スケルツォ倶楽部 
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「サンタクロース物語」(3)
 
 イエペス_カタロニア民謡を弾く(D.G.)クリスマスの音楽_サンタ_スヌーピー
 ↑ 今宵の一曲
「聖母の御子」 El Noi de la Mare ( カタルーニャ民謡 / アンドレス・セゴヴィア編)
ナルシソ・イエペス(ギター)

 スペイン、カタルーニャ地方の古いクリスマス・キャロルが原曲。その高い純度の 素朴な美しさに恍惚とします。ギター編曲では セゴヴィアの私淑したミゲル・リョベート版の方が 有名かもしれません(ホセ・ルイス・ゴンザレス盤、ジョン・ウィリアムス盤など)。
▽ 「イエペス、カタロニア民謡を弾く」に収録
D.G.= ポリグラム( POCG-3801 )

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

「サンタクロース物語」
(3) 「聖母の御子」 に 贈り物


「なるほど。よくわかりました。ところで・・・」
と、ニコラウスは 思いだしたように 自分がここへ呼ばれた理由を尋ねました。
「皆さまが 木製のおもちゃを お探しだと 伺いましたが - 」
「いかん、いかん 前置きが長くて 忘れてしまうところだった 」
と、メルヒオールは 自分の額を叩きながら、
「われらは 深い敬意と友好を表すため、神の御子さまのご家族に 贈り物を用意してまいったんだ。私は 没薬(もつやく)、エジプトで使われている超高級品だ、ほら 」
と、ニコラウスに高価な袋を わざわざ持ち上げてみせました。
バルタザール師も 自分が用意した贈り物の箱を持ってきて、
「わしは 礼拝の時に捧げる 香の調合に必要な貴重品、乳香じゃよ 」。
寡黙なカスパール師も、両手で重そうなケースを運びながら、
「私は 自分に相応(ふさわ)しく、金(ゴールド)を用意した。『沈黙は 金』と言うだろ 」
と、表情ひとつ変えず のたまうので、メルヒオールとバルタザールは 一瞬顔を見合わせると、次の瞬間 二人とも必死に忍び笑いを堪(こら)えていました。

「 ・・・ しかし、肝心の御子さまに差し上げる贈り物がないのだよ 」
その無表情のまま、カスパール師は呟くように言いました。
話の木を接(つ)ぐように、メルヒオールが言葉を続けます。
「やっぱり お子さまは おもちゃがうれしいのではないか - と、われらは考えたわけさ。御子さまに差し上げるおもちゃを 安全な木素材で たくさん作ってほしいのだ 」
ニコラウスは 思わず 言葉が口をついて出ました。
「生まれてきたばかりの赤ちゃんが手遊びをおぼえるには まだ早いと思いますが ― 」
「いや、そんなことは お前が心配しなくても良いのだ、遥々(はるばる)遠くから祝いに訪れた われら異邦人が、ご両親に高価な贈り物、しかも幼い御子さまにも きめ細かい気遣いを見せた、という姿勢のアピールには 十分なるのだから 」
と、笑いながらメルヒオール。
これにバルタザール師もゆっくりと口をはさみました。
「たとえ子どものおもちゃとは言っても、わしらの高価な贈り物と一緒に並べて 御子に差し上げようというものじゃ。素朴なものでかまわないんだが、しかし 何と言うかな、貧弱な代物では困る。どうじゃな お若い人よ、ひとつ お前の腕前を見せてくれぬかな?」

 かつて わが子カルロスのため 心をこめて作った木彫りの動物や鳥を ニコラウスは自分の懐から取り出して 三人の博士たちの前に並べて見せました。
「ほう、サンプルというわけじゃな、どれどれ 」
彼らは、その小さな鳩やカラス、ひばりといった鳥たち、そして羊や犬、ライオンといった動物たちの木製のおもちゃを 長い時間 手にとっては真剣に眺めていましたが、やがて互いに顔を見合わせると 口々に絶賛し合いました。
「 ・・・素晴らしい出来だ、真に迫っているではないか 」
「これはただの工芸品ではない。ほら、この細部の彫刻を見てご覧、立派な芸術作品じゃな 」
「しかも 作った人の温かい気持ちが伝わってくるような仕上りだ 」
博士の一人が ニコラウスに訊きました。
「この塗料の色は美しいな。だが 子どもが口に入れたら有害なものではないか 」
「いいえ、色鮮やかな花や草の汁を搾って調合した絵の具で塗ったものですから 舐めても平気です 」
これを聞いて、三人は一斉に膝を叩きました。
「決まった。これほど質の高い仕事ができる この男に任せようではないか 」
「そうしよう。よし 頼んだぞ、ニコラウス 」
「報酬は 銀貨30枚でどうだ、すべて前金で支払うぞ。さあ、取っておけ 」
「え、こんなに沢山 ・・・ ど、どうもありがとうございます」
ニコラウスは、博士たちが自分の腕をこの上もなく高く評価してくれたことを知って、とてもうれしく思いましたが、決して 軽薄に舞い上がるようなことはなく、逆に ぐーっと 気持ちを引き締めると 自然に深呼吸してから 頭を下げました。大きな仕事を任された時、彼は いつもそうしているのでした。
 屋敷を退出しようとするニコラウスの背中に、“沈黙博士”カスパール師の言葉が 追いかけるように飛んできました。
「マイスターのニコラウスよ、仕事を急いでくれ。“メシアの星 ”の動きが止まったら わしらは 即行ここを引き払って、すぐに出発せねばならぬから。くれぐれも 頼んだぞ 」

・・・ 次回 (4) 「イッツ’ア・スモール・ワールド」 It's a Small World に 続く

    キリスト時代のパレスチナ地図
  キリストの時代のパレスチナ ( 国際ギデオン協会の 新約聖書に掲載 )

文章:“ スケルツォ倶楽部 ”発起人

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