スケルツォ倶楽部 
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「サンタクロース物語」(2)
 
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↑ 今宵の一曲
われらは三人の王 We Three Kings of Orient Are」 (ホプキンス牧師 作曲 )
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
レオンタイン・プライス
(ソプラノ独唱) ウィーン楽友協会合唱団
▽ 1961年6月録音、カラヤンの「アヴェ・マリア」(クリスマス名曲集)
に収録
LONDON = キングレコード ( KICC-9520 ) 

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「サンタクロース物語」
(2)「われらは三人の王」
 We Three Kings of Orient Are  
 
 木工職人のニコラウスは、三人の占星術の博士 - カスパール、メルヒオール、バルタザール - に会いに行きました。
 彼らは旅の途中にあり、エリコの東端にある富裕な商人の立派な屋敷に滞在していました。その身なりの豪奢さや、彼らが運んでいる調度品や身の回りの品物の贅沢さは、部屋へ案内されたニコラウスの目を丸くさせるには十分でした。
 
 三人の博士のうち、カスパール師が その口数の寡少なために「沈黙博士」などと呼ばれているのとは逆に、メルヒオールとバルタザール師の二人は、とてもよく喋る人物でした。
「ははは、身なりに驚いたようだな。実は われら三人は 東の国の王の血縁でもあるのだ 」
と 誇らしげに語る、三人の中では最も若いメルヒオール。
「天体観測術で未来に起こる出来事を調べることが出来れば、わが国の繁栄にも繋がるというわけで、東の国の王から わしらは莫大な研究費を頂戴しているんじゃ 」
と、ゆっくりと語る 老いたバルタザール師。
それを聞き、ニコラウスは尋ねました。
「なるほど。しかし そのような方々が、何故かくも遠き このような地まで旅してお出でになったのですか 」
メルヒオールとバルタザール師は、よくぞ訊いてくれた と言わんばかりに、二人で代わりばんこに説明を始めました。
「・・・ そのきっかけは 一年前、天空に 極めて不可思議な星が存在するのを 私が発見したことだ 」
「いや、メルヒオールよ、最初に発見したのは そこに座っておられるカスパール師だったじゃろう 」
「いや、私の方が 一日早く見つけたんだ 」
「・・・ まあ、良いとしよう。その星は、通常あり得ぬ位置に存在し、あり得ぬほど明るい輝きを放ちながら 夜空を 少しずつ移動しておったのじゃ 」
「いろいろな角度から調べた挙句、遂に 私は ある真実を突きとめた 」
「いや、メルヒオールよ、先に突きとめたのは そこに座っておられるカスパール師だったじゃろう 」
「いや、私の方が 半日ほど早かったんだ 」
「・・・ まあ、良いとしよう。重要なことは、この星が天に現れるのは なんと数千年に一度だけ ということ。それこそ“メシア(救世主)の星 ”という天の徴(しるし)だった ということが判ったんじゃ 」
「 “メシアの星 ”が 西の夜空に輝いてから1年後、その止まった地点から垂直に下ろした場所に、神の御子が誕生するという言い伝えだ 」
ニコラウスは驚いて聞き返しました。
「え、神の御子ですって? 」
その時、“沈黙博士”の カスパール師が、初めて口を開きました。
「然り。戦争・支配・迫害・貧困ばかりの 今の世を救うメシアとして、天からつかわされる神の御子。このお方さえいらっしゃれば、この世の中から 争いも病気も貧富の格差も全部なくなる。そして人々は死に別れた親兄弟とも再会して みんなで平和のうちに暮らせるようになる 」
それを聞くとニコラウスは、カスパール師に 興奮して尋ねました。
「そ、そんなことが その御子さまは 本当にお出来になるんですか。死に別れた親兄弟とも再会できるのなら、先立った家内や 倅(せがれ)にも 会わせて貰えるんでしょうか? 」
カスパール師は これにも言葉少なに答えました。
「然り。かく伝えられているとおりだ」
その瞬間、ニコラウスは 最愛の妻マルタと息子のカルロスに会わせて貰えるという喜びで胸がいっぱいになり、自分の両足が躍り上がってしまいそうになるのを 必死に堪(こら)えながら、部屋の窓際まで歩み寄りました。

 開いた窓から青空を見上げながら、ふと 感じた素朴な疑問を ニコラウスは 博士に質問しました。
「夜空の星が止まっているか 動いているかなんて、わかるんですか 」
「ははは、たしかに普通の人間の目には どちらも同じように映る。そこが われわれの学術研究レベルの高さなんだよ 」
と、メルヒオールは ちょっと偉そうに笑いました。 
 けれど 高齢のバルタザール師は 溜め息まじりに つぶやきました。
「 ・・・ しかし“メシアの星 ”は まだ動いておる。老いたこの身、一年にも渡る長旅は さすがに堪(こた)えるわい。“メシアの星 ”が天空を動き続ける限り、わしらはずっと その星を追いかけて旅を続けねばならぬのじゃろうか - 」
若いメルヒオールが、老人を元気づけるように言いました。
「大丈夫だよ、バルタザール。神の徴(しるし)は、これが出現してから一年というではないか。われらの遠征も12か月目に入った、もう間もなく旅も終わろうというもの。 ・・・ 私は思うのだが、今の様子なら 星はエルサレム辺りで止まりそうな予感がする。おそらく その御子さまは、ヘロデ王の孫か、王に近い貴族の家にでも お生まれになるのだろう 」
これにうなづきながら バルタザール師は、椅子に腰をおろします。
「 お若い人よ、先ほど わしが言った“ 国の繁栄に繋がる ”とは 実は そういうことにも関係があるんじゃ、わかるか。神の御子がご誕生ということになれば、その国は 近い将来 必ず勢いを増すであろう。遠く遥々(はるばる)表敬訪問にやって来た わしら東の国と、その御子さまの国とが将来 仲たがいするようなことがないように、最初から 友好を育(はぐく)み、心配の芽を摘み取っておく ということが、わしらの仕事の目的というわけなんじゃ 」

 ・・・ 次回  (3)「聖母の御子」に贈り物  に 続く

    キリスト時代のパレスチナ地図
  キリストの時代のパレスチナ ( 国際ギデオン協会の 新約聖書に掲載 )

文章:“ スケルツォ倶楽部 ”発起人

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