スケルツォ倶楽部 Club Scherzo
「アフター・シュトラウス & “ バイ・シュトラウス ”」
After-Strauss & “By Strauss”
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(17)1938年 ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
   「セカンド・ワルツ
 
ドミちゃん_Dmitrii Dmitrievich Shostakovich  Andre Rieu in Concert Mercury(534 266-2)“
(左 )ドミちゃん (右 )Andre Rieu Live in Concert(Mercury 534 266-2)

1938年 ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
「セカンド・ワルツ 」 ~ ジャズ組曲第2番 から
アンドレ・リュウ(指揮 & ヴァイオリン )Andre Rieu
ヨハン・シュトラウス・オーケストラ Johann Strauss Orchestra
録  音:1996年 アムステルダム、コンセルトヘボウにおけるライヴ

収録曲:「春の声(J.シュトラウス二世 )」、「狩り(J.シュトラウス二世 )」、「金と銀(レハール )」、「軍隊行進曲(シューベルト )」、「アヴェ・マリア(シューベルト )」、「テープは切られた(エドゥアルト・シュトラウス )」、「プラーター公園は花盛り(ロベルト・シュトルツ )」、「Kortjakje(モーツァルトの名曲メドレー )」、「クラップフェンの森で(J.シュトラウス二世 )」、「サロメ(ロベルト・シュトルツ )」、「美しく青きドナウ(J.シュトラウス二世 )」、「鍛冶屋のポルカ(J.シュトラウス二世 )」、「夏の名残りのバラ(アイルランド民謡 )」、「レンツ・サーカスの思い出(グスタフ・ペーター )」、「さらば、近衛の将校殿(シュトルツ )」、「Strauß & Co.(ヨハン・シュトラウス二世、レハール、カールマンの名曲メドレー )」、 「セカンド・ワルツ(ショスタコーヴィチ )」
Mercury(輸入盤534 266-2 )“Andre Rieu in Concert”
 
 
 ブリュッセルコンセルヴァトワールを主席で卒業したヴァイオリニスト アンドレ・リュウは、着飾った(女性を中心にデコレートされた楽団員で構成された)ポップス楽団を使い、音響にも堂々とP.A.を通し 広いコンサート会場で、かつてのシュトラウス・ファミリーの「エンタテイメント性の再現」という試みを 欧米で大成功させた指揮者です。
 格好良すぎるクラシックのアーティストに対しては、常に胡散臭く思う風土病なのか 我が国では いまだに もうひとつ火が点かず 依然として評価定まらず - といった印象ですが、国際的には 割り切って楽しむ層を中心に、アンドレ・リュウヨハン・シュトラウス・オーケストラ の人気は 根強く定着しているようです。
 彼らのコンサートの雰囲気は、演奏会場に行けない以上 映像で観るしかありませんが、ライヴ音源であるこのCDなら、それなりに臨場感も味わえます。
 ウィンナ・ワルツを看板にしている楽団がシュトラウスではなく、ショスタコーヴィチワルツを選曲するとは意外ですが、この曲をA.リュウはシングル・ヒットさせ、まるで自分のテーマ・ソングのように、コンサート会場において、最も盛り上がった場で演奏する習慣です。
 このディスクは、A.リュウの出身地・オランダコンセルトヘボウにおける実況録音盤ですが、シュトラウス・ファミリーやレハールの音楽などを 次々とメドレーで接(つ)なげた 超楽しい「Strauß & Co. 」と同様、この「セカンド・ワルツ」では 楽曲のメロディを 聴衆が一緒に歌っている(!) という、クラシック・コンサートでは めずらしいシーンが しっかり 記録されている貴重な録音です。

では “歌なし(笑 )”ヴァージョンは こちら・・・ 
 さて、ここで ちょっと変なディスクを 1枚 ご紹介。
 “歌なし(笑)”で「セカンド・ワルツ」を聴こうと思ったら、リッカルド・シャイー指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 という 超一流の名演奏を聴けるディスクが有名ですが、オリジナル・カップリング盤ではなく、今回は コレ・・・「Viva!!! ショスタコーヴィチ」なるタイトルの、 ドミちゃん入門 にも適した、日本編集による 興味深いコンピレーション盤。ご覧のとおり、なかなか絶妙な選曲でしょ?
 ショスターヴィチ「ジャズ音楽集」(Decca)  Viva!!! ショスタコーヴィチ(Decca)  
(左 )参考 オリジナルのカップリング (シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ)盤
(右 )本日 話題の Viva!!! ショスタコーヴィチ(詳細は下記に )
 
1.祝典序曲
   アシュケナージ指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
2.セカンド・ワルツ (《ジャズ組曲第2番》から)
   シャイー指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

3.バレエ《ボルト》 作品27 ~ タンゴ
   シャイー指揮/フィラデルフィア管弦楽団
4.映画《馬あぶ》 作品97 ~ ロマンス
   カー(Vn.)、 シャイー指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
5.タヒチ・トロット(ティー・フォー・トゥー 2人でお茶を)
   シャイー指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
6.バレエ《黄金時代》 作品22 ~ ダンス
   ハイティンク指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
7.バレエ《黄金時代》 作品22 ~ ポルカ
   シャイー指揮/フィラデルフィア管弦楽団
8.モスクワを疾走
   シャイー指揮/フィラデルフィア管弦楽団
9.弦楽四重奏曲第3番 作品73 ~ 第1楽章
   フィッツウィリアム弦楽四重奏団
10.オラトリオ《森の歌》~ 第7曲「讃歌」
   アシュケナージ指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
   ブライトン・フェスティヴァル合唱団
11.交響曲第7番 作品60《レニングラード》~ 第1楽章から
   ハイティンク指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
12.交響曲第5番 作品47 ~ 第4楽章
   ハイティンク指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
(Decca/ユニバーサル UCCD-3597)
 
 ・・・尤も コレをもってショスタコーヴィチを理解したぞ・・・なーんて 思われちゃったら、それは大きな誤解。ショスタコーヴィチの持つ たくさんの魅力の中でも、コレは あくまで一面だけしか切り取っていない、偏った選曲なのですから くれぐれも要注意と思います。
 ・・・と、言いつつも、しかし 超のつく名旋律「セカンド・ワルツ」に 情熱的な「ボルトのタンゴ」、美しい「馬あぶのロマンス」、傑作のアレンジが楽しい「ティー・フォー・トゥー」・・・と ヒット曲が 連続で発射されるのを聴けば、たとえ どんなに硬派なショスタコ・ファンでも 思わず頬が緩(ゆる)んでしまうのは必定。ドミちゃんの豊かな才能を再認識できること 間違いありません。
 あ、でも そういえば 最近ショップで見かけなくなりましたね、このディスク。もし店頭に残っているのを見つけたら、即 ご購入なさって 決して損はないでしょう。割り切って聴けば、実に楽しめる一枚です。

「セカンド・ワルツ 」を使用した、キューブリック映画の話題 

 さて このワルツについては、今は亡き映画監督スタンリー・キューブリック Stanley Kubrick(1928-1999)最後の映画「アイズ・ワイド・シャット Eyes Wide Shut (1999年製作)」の 冒頭シーンに使われていたことが 強烈に記憶に残っています。
Stanley Kubrick(1928-1999) Eyes Wide Shut (1999)
(左 )スタンリー・キューブリック監督、
(右 )映画「アイズ・ワイド・シャット」主演のニコール・キッドマントム・クルーズ 主演の美男美女カップルは、実は“スケルツォ倶楽部”発起人夫婦に そっくり(?)
なんちって。
 
 音楽評論家の小沼純一氏も、キューブリックの「セカンド・ワルツ」起用に注目した、と書いておられます。
 その個所を 以下、引用(青字 )させて頂きましょう。 

 ・・・着替えているニコール・キッドマンの部屋には典型的なワルツが響いている。オフ(映画の背景)からではない。彼女の部屋のステレオからだ。どこかで耳にしたと感じさせる曲調。だが思い出せない。シュトラウス? レハール? 聴いたことがあるのに想い出せないのか、似たような曲が沢山あるので 一種の「既視感」ならぬ「既聴感」の錯覚なのか。しかも、あの演歌のような旋律を吹く音色はサックスだろうか? 19世紀のウィーンの音楽にサックスは使われたっけ? キューブリックは裏をかく。 これは全くのフェイク。ショスタコーヴィチの書いたワルツだったのだ。ソ連の社会主義体制の時代に書かれた、19世紀ウィーンのフェイク!
小沼純一著、キネマ旬報ムック「フィルム・メーカーズvol.8 」より。巻末のデータ・ファイルには、小沼氏と編集部の制作による キューブリック映画関連の詳細なディスコグラフィも掲載されてます )。

 映画「アイズ・ワイド・シャット 」の物語は、世紀末ウィーンの作家アルトゥール・シュニッツラー Arthur Schnizler(1862-1931 )が 1926年に発表した「夢小説 Traumnovelle 」が原作だそうですが、キューブリックは この作品を映像化する際、舞台設定を20世紀末のニューヨークへと移したのです。
 その大胆な転換に、音楽もまた変容を遂げたものである、と言えないでしょうか。
Arthur Schnizler(1862-1931) 
シュニッツラーであれば、間違いなく19世紀末のウィンナ・ワルツが似合っていたでしょう。しかし、原作を変容させた結果である映像作品において、ここで見事に 「キューブリックは裏をか 」 いたわけです。


1939年  独ソ不可侵条約。
      ドイツ、ボヘミアとモラヴィアを吸収。ポーランドに侵攻。 
      第二次世界大戦勃発。
      フロイト、没。
      
      ウィーン・フィル、クレメンス・クラウスの指揮で 翌々年以降からの
      ニューイヤー・コンサートの原型ともなる、大晦日コンサートを開催。

1940年  ドイツ軍、パリ占領。
      日・独・伊三国同盟条約調印。
      プーランク、歌曲「愛の小径」 に続く・・・


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