スケルツォ倶楽部 Club Scherzo
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スヌーピーまどろむ
「牧神の午後への前奏曲」

 屋根の上で眠るスヌーピー
 チャールズ・M.シュルツ氏の「ピーナッツ」には、スヌーピー気持ち良さそうにまどろむシーン が たくさん出てきます。
 その代表的な「定番」とも言えるのが、↑ この 犬小屋の上 でしょうね。
 ご存知のとおり 他にも たくさんあります。
 ・・・それは たとえば、チャーリー・ブラウンのベッドの中 とか
 チャーリーブラウンのベッドの中で寝る

 ・・・チャーリー・ブラウンの頭の上 でも
 チャーリーの頭の上で寝る

 ・・・チャーリーブラウンのクッションの上 でも
 クッションの上で寝る(1) クッションの上で寝る(2)

 ・・・ライナスの毛布の上 にも
 ライナスの毛布の上でも寝る

 ・・・そして シュローダーのピアノを まくらにして
 シュローダーのピアノをまくらに寝る

 ・・・さて、すでにご紹介してきたように、スヌーピーは よくシュローダーと一緒に 音楽鑑賞をしています。今回はベートーヴェンでもハイドンでもなく、めずらしくドビュッシーの登場です。作者シュルツ氏のクラシック音楽への嗜好の幅広さが察せられます。
 スヌーピーは どうやら 刺激の少ない音楽の微風に身を委ねているうち 眠くなってしまったのでしょうね。
(1) What are you listening to?  Debussys Afternoon of A Faun (2) very beautiful  I can think of something even more beautiful... (3) Afternoon of A Beagle
 谷川俊太郎 訳 (講談社 +α 文庫 )

 ドビュッシー Claude Achille Debussy
 「牧神の午後への前奏曲 Prélude à "L'après-midi d'un faune"」

 ドビュッシーが 同時代の詩人マラルメ Stéphane Mallarmé 1842-1898 )の作品からインスピレーションを得て作曲、1894年12月に初演された 近代管弦楽曲の傑作。10分弱という短さながら ドビュッシーの印象主義的と呼ばれる個性をギュッと凝縮した、官能性豊かな幻想的作品。素晴らしいです。

「真夏の昼下がり、
 半人半獣の牧神が まどろんでいるが、
 ふと夢から目覚め、
 まだ夢の中なのか 現実なのか わからないような状態で、
 笛を吹く。
 目の前の泉では 妖精らが水浴をはじめ、
 牧神は 彼女らの姿をじっと目で追う。
 やがて妖精らは姿を消してしまうので、
 牧神は 再びまどろみはじめる」  (マラルメによる詩の大意)


 冒頭から奏でられる魅力的なフルートの独奏は、ギリシャ神話の牧羊神サテュロスが奏でるパンの笛の来歴を物語る 同じくドビュッシーが作曲する 無伴奏フルートのための音楽シランクス Syrinx(1913年)」へと 見事につながります。
 ハープによるグリッサンドは 夏の午後 陽炎(かげろう)のように大気が揺らぐ様を、弦による静かなさざ波は 風が吹き抜けて周囲の草や木立を一斉に揺らしていく様を いずれも表現しているように聴こえます。
 
 Steacute;phane Mallarmeacute; Claude Achille Debussy
 (左)マラルメの晩年の写真 と (右)ドビュッシーの肖像画

 これを作曲者自身のピアノによって 初めて聴かされた原詩作者マラルメは、長い沈黙の後で「こうしたものは思いもよらなかった! この音楽は、私の詩から情緒を延べひろげ、それに色彩よりも熱烈に背景を置く」と語り、また後日 オーケストラによる初演を聴いた後 以下のような言葉をドビュッシーに贈ったと言われています ― 「≪牧神の午後≫へのあなたの挿絵は、繊細さと不安と豊かさをもって、ノスタルジーと光の中に進みすぎている他は、私のテキストに対して少しも不協和を感じさせません」( マラルメの言葉は いずれも 青柳いずみこ著『ドビュッシー 想念のエクトプラズム(中央公論新社) 』より引用 )。

 ・・・本日も 私 “スケルツォ倶楽部 ”発起人 の CD棚から、お気に入りの音盤を おススメいたします。
 「牧神の午後」について語るなら、やはり シャルル・ミュンシュ/ボストン交響楽団(RCA)盤、ピエール・ブレーズニュー・フィルハーモニア(CBS) 旧盤、アバド(D.G.)、ラトル(EMI)、両ベルリン・フィル盤などについても 本来であれば ぜひ触れたいところでしたが、ぐっと我慢して 今宵は こちらを。
 Montagne-Naiuml;ve V-4854 55 56
ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」
デジレ=エミール・アンゲルブレシュトDésiré-Émile Inghelbrecht 指揮
フランス国立放送管弦楽団
1962年1月23日、パリ ライヴ録音
併録曲
:歌劇「ペレアスとメリザンド」、神秘劇「聖セバスティアンの殉教」、「選ばれし乙女」、交響詩「海」、管弦楽のための「夜想曲」、「スコットランド風行進曲」
海外盤( Montagne-Naïve V-4854 55 56 )
 20世紀前半のフランスで最も重要な名指揮者アンゲルブレシュト(1880‐1965)と、彼が1934年に創設した フランス国立放送管弦楽団(1975年以降フランス国立管弦楽団に改称)による名演です。
 このディスクのセットは、1960年3月に行われたドビュッシー生誕百年記念フェスティヴァルの録音を中心に集められたアンゲルブレシュトの歴史的音源の価値ある集大成です。併録曲も全曲素晴らしい名演ですが、「牧神の午後」は フランスの伝統を受け継いだ演奏家たちの息遣いと 生きた音楽が脈打つのが明瞭にわかります。
 この日のライヴ・レコーディングでは、おそらくヴァイオリン奏者のひとりが座っていたと思われるパイプ椅子が頻繁に軋(きし)む音を 録音マイクが ずーっと拾ってしまっています。いえ、本来 音楽が持っている特質=「演奏の一回性」を考える上で、この音は なかなか悪くない効果を果たしているのでは・・・などと、考えさせられます。この考察については、またいずれ 別の機会に。

 ・・・ついでに 今宵は もう一枚
 コロムビア‐デンオン・アリアーレ(COCQ-84176~7) 有田正広 ( コロムビア‐デンオン・アリアーレ )
ドビュッシー作曲 無伴奏フルートのための「パンの笛(シランクス)」
有田正広(フルート独奏)
 写真 右
「パンの笛~フルート、その音楽と楽器の400年の旅」
併録曲:クープラン「恋のうぐいす(1722年)」、ヴィルジリアーノ「トラヴェルサ・ソロのためのリチェルカータ(1600年頃)」、テレマン「フランス風サンフォニー(1728年)」、モーツァルト「魔笛」~アリア「わたしにはわかる、愛の消え失せてしまったことが(1791年)」、フェルー「3つの小品(1921-22年)」、チーマ「ソナタ ニ調(1610年)」、ウッダール「セレナード(1870年頃)」、ドンジョン「3つのサロン・エチュード op.10 (1865年)」、クーラウ「ロンド ホ短調 op.10-7 (1810年頃)」、テュルー「グラン・ソロ 第13番イ短調 op.96(1846年頃)」、クヴァンツ「組曲 ホ短調(1750年頃)」、ランベール/オトテー“ル・ロマン”「ブリュネットとドゥーブル『ある日ぼくのクロリスは・・・ (1720年頃)』」、ブラヴェ「3つの小品(1750年頃)」、カー「イタリア風グラウンドによるディヴィジョン(1686年)」、福島和夫「冥(1962年)」
録音:1998年12月、横浜 
コロムビア‐デンオン・アリアーレ(COCQ-84176~7)
 
 わが国が 世界に誇るトラヴェルソ奏者 有田正広が、演奏作品一曲一曲 それぞれの時代や背景に合わせ13本ものフルートを使い分けて挑戦した 意欲あふれる企画盤。
 たとえば、フランソワ・クープラン「恋のうぐいす」では バロック時代のパリの名工トーマ・ロット作による1キー・ピッコロを使用しています。また ヴィルジリアーノの「トラヴェルサ・ソロのためのリチェルカータ」では イタリアのボローニャやヴェローナで行われたルネサンス・フルートの調査研究の 最新の結果をもとに有田氏自身が 楽器製作者の杉原広一氏 と共同で 極めてオリジナルに近い形で完成させたレプリカのフルートを使用しています。
 ドビュッシーの「シランクス」で使われている楽器もパリの名工ルイ・ロット工房で 名匠シャンビーユによって1913年制作の(それは「シランクス」が作曲された、まさに同じ年です!) 銀製ベーム・システム・フルート(H管)です。この楽器は、ドビュッシーとも親交があり モイーズの師であったフルートの名手 A.エネバン が 晩年に所有していたという由緒ある逸品だそうです。

次回 (12)ピアノ協奏曲「ピーナッツ・ギャラリー」(エレン・ズウィリック作曲 )に続く・・・

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