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スケルツォ倶楽部
ハイドン「ロンドン・セット」のメヌエットを すべて ミンコフスキ盤で聴く。


 スケルツォ倶楽部 への お便り
ハイドンの交響曲の場合、いわゆる“ロンドンセット”のメヌエット楽章だと、(演奏にもよるけど)スケルツォといってもいいぐらい。“スケルツォ的メヌエット”なら 第104番“ロンドン”などは、ベートーベンにも まっすぐ繋がっているような気がします。メヌエット と スケルツォ の違いって 一体 どこにあるんでしょうね。」( by 名無しの笛の踊り さん)

 こんばんは、“スケルツォ倶楽部” 発起人(妻のほう)です。
 ハイドンロンドン・セットメヌエットが 「演奏によっては スケルツォにも聴こえる」という 匿名会員「名無しの笛の踊り」さんから頂戴したコメント( ありがとうございます )に 過剰に反応。
 「やっぱり聴いてみなくっちゃ」と、夫の夏休み期間中をチャンスとばかりに、お気に入りの新譜 ミンコフスキ指揮 ルーブル宮音楽隊(Naïve)によるCD盤で ハイドンザロモン 交響曲集(ロンドン・セット)から 「 メヌエットだけを 抜き出して聴く! 」 という、暴挙に出たのでした。
 ミンコフスキ盤は、当ブログスヌーピーの音楽」の 8月11日「スヌーピーとパパ・ハイドン」でも 夫から ご紹介させて頂いたばかりでしたよね。よろしければ 併せて ご覧ください。

 Haydn_portrait_by_Thomas_Hardy_(Public Domain)  ミンコフスキ&ルーヴル宮音楽隊  (3)フォルテッシモ!

ハイドン:後期交響曲集(ロンドン・セット、全12曲 ) 
Disc‐1
 交響曲第 96番 ニ長調「奇蹟」 Hob.I-96
 交響曲第 95番 ハ短調 Hob.I-95
 交響曲第 93番 ニ長調 Hob.I-93
Disc‐2
 交響曲第 94番 ト長調「驚愕」 Hob.I-94
 交響曲第 98番 変ロ長調 Hob.I-98
 交響曲第 97番 ハ長調 Hob.I-97
Disc‐3
 交響曲第 99番 変ホ長調 Hob.I-99
 交響曲第100番 ト長調「軍隊」 Hob.I-100
 交響曲第101番 ニ長調「時計」 Hob.I-101
Disc‐4
 交響曲第102番 変ロ長調 Hob.I-102
 交響曲第103番 変ホ長調「太鼓連打」 Hob.I-103
 交響曲第104番 ニ長調「ロンドン」 Hob.I-104 ( 配列は 推定初演順? )

 マルク・ミンコフスキ(指揮)
 レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブル(ルーヴル宮 音楽隊)
 録音:2009年6月、ウィーン、コンツェルトハウス
 Naïve V-5176 4枚組


 これは、ハイドン・イヤーでもあった昨年(2009年)、彼らがウィーンコンツェルトハウスで行った 全12曲の連続コンサートからの実況録音です。収録されたディスクの曲順は、必ずしも交響曲の番号順ではなく、ハイドンがロンドンで初演した順番ではないかと察せられます。それでは、このCDで順番にメヌエットを 聴いてまいりましょう。

♪ 交響曲 第96番ニ長調「奇蹟」
   「1791年 ロンドンに到着したハイドンが、最初に書きおろした新作交響曲がこれ。メヌエットは、どっしりした貴族的風格さえ感じるアレグレット ニ長調 」
わたし 「トリオでは レントラー風の舞曲旋律を奏でるオーボエ・ソロが大活躍するのね」
   「そう言えば “奇蹟”ってタイトルの由来、お前知ってたかー」
わたし 「前回のスヌーピーのブログ( 8月11日)に アナタ 自分で書いたばっかりでしょ。指揮台に現れたハイドンの姿を見ようとして ステージに殺到した聴衆が まさに移動した 空っぽの席をめがけて、天井からシャンデリアが落下。大事故にもかかわらず 怪我人が出なかったことを知って、聴衆も ハイドン自身も、深く心を動かされ その場で神さまに感謝した・・・・っていう 有名なお話があるのよね」
夫   「 ふんふん、でも ランドン や 伝記作家が ハイドン自身に ことの真偽を訊いてみたら・・・」
ハイドン 「なに?  わしは そんなこと知らん

♪ 交響曲 第95番 ハ短調
   「ザロモン・セット中、唯一の短調交響曲 だ。第3楽章メヌエットも ハ短調、明確なアクセントを持ったメヌエット主題には、スケルツォの影はまったく聴かれない。でも 興味深いのはトリオだな、弦楽アンサンブルのみで奏される」
わたし 「そのトリオは、ここでは殆ど独奏チェロによるソロなのね。 他の弦セクションは 控えめなピチカートによる伴奏中心で とにかく画期的。 まるでチェロ協奏曲みたいな音響なのよね」
 「ハイドンは 第98番の第2楽章にも独奏チェロのオブリガート、少し出てくるよ。 ところで、最後 ハ長調へ転じる第4楽章には、フーガが採用されて 盛り上がる」
わたし 「ハ長調でフィナーレでフーガって言うと、やっぱりモーツァルトの“ジュピター”を連想させられちゃうわね。 この大名曲と比べちゃうと、さすがのハイドン先生も ちょっとお気の毒かな」
夫 「それを言うな、ハイドンは質より量なんだ(?)。 でも 第95番が初演されたこの年、1791年とは モーツァルトが亡くなった年でもある。これは偶然なのかな。1788年に作曲された モーツァルト第41番“ジュピター”ハイドン先生が知っていたかどうかは不明。 ・・・ところで 脱線するけど、モーツァルトの第41番に“ジュピター”って命名した人、お前、誰だか知ってるか」
わたし 「?」
   「ザロモン。」
わたし 「! 」

♪ 交響曲 第93番 ニ長調
わたし 「第3楽章メヌエット、やや遅めのアレグロ、ニ長調。典型的なメヌエット主題ね。 連打されるところのティンパニが、気持ちいいわー」
   「トリオが変わってるな。突然、管とティンパニが 信号風の三連符を打ち込むあたりが快適。間を縫うように、弦がざくざく切り込んでくるところも 格好いい。 ミンコフスキならではの 良い意味で トリッキーな迫力が その効果を高めている」

♪ 交響曲 第94番 ト長調「驚愕」
わたし 「ミンコフスキによる 第2楽章の独特な演奏については、新譜でもあり ネタバラシは控えたいと思います。なぜなら 聴者がホントに驚かせてもらえるのは、最初の1回だけですから、その貴重な機会を奪うことは決して許されることじゃありません。それは ジョン・ケージ4分33秒録音 を聴くのと 同じことですよね」
夫   「それにしても 第94番は つくづく名曲だと思うなー。第3楽章のメヌエットは、アレグロ・モルト。 全四楽章の中で メヌエットに最速のテンポが指定(第4楽章の表示はアレグロ・ディ・モルト)されてるのも おもしろい」
わたし 「アクセントの置き方は まだまだメヌエットだけど、でもこの曲は確かに スケルツォへ向かってる気がするわ。もし ベートーヴェンが この旋律 を使ったとしたら、 一小節(♩♩♩)を一拍に取ってテンポを速め、スケルツォに仕立てたでしょう」
夫    「“田園”の スケルツォ主題 みたいな感じ? 」
わたし 「そうそう。ミンコフスキなら いっそ そこまで アップ・テンポにしてもよかったのに」
夫   「そんな、やめろよ。ミンコを さらに煽るようなことを言うのは 」

♪ 交響曲 第98番 変ロ長調
   「第3楽章に置かれた、典型的なアレグロのメヌエットだ。変ロ長調」
わたし 「これは 楽想的には 少々マンネリ。ミンコフスキルーヴル宮 音楽隊 による 剃刀のような鋭いアクセントが聴けるから 楽しめるようなものね。でもトリオでの木管群によるレントラー旋律の受け渡しは、工夫されてる筆致を感じるわ」
夫   「お前は相変わらず ハイドン先生に 辛口(からくち)だなー。でも この曲で、本当に“諧謔たっぷり”なのは終楽章なんだよ。終わったかと思ったら 突然 独奏ヴァイオリンでソロが始まるところ、知らないで初めて聴く人などは 相当 驚かされちゃうと思うよ。また コーダに入ってから、よし このまま終わるんだろうなーと思っていたら、今度は 突然 メヌエットみたいなリズムに変わって、しかも唐突にチェンバロ・ソロでバッキングなんか付き出すし。もー どうなっちゃうんだろーって感じだよ。かと思うと、最後は まるで 急な来客で バタバタと布団でも片付けるみたいに 一気に全曲を終わらせる慌ただしさだよ。 ハイドン先生、一体ナニ考えてるんだろ」
わたし 「そこは、笑っていいんじゃないのかな」
夫   「いいともー」
わたし 「 ・・・ えーと、それは 笑えないっていうことかな? 」

♪ 交響曲 第97番 ハ長調
わたし  「第3楽章のメヌエットは、ハ長調のアレグレット 。“メヌエット”って、どれも各小節の頭一拍目毎に 規則的にアクセントのあることが特徴なのね」
   「それ、考えてみれば当たり前だけどな。木管群がひとつのフレーズを次々と受け渡すところ、背後の低音弦が小さくオクターヴで “ドどドどドど”って伴奏するところなんか ちょっとベートーヴェンっぽくて いいなー 」
わたし 「ティンパニによるアクセントもね。 それから トリオ部分は、モーちゃんドイツ舞曲みたいね。ヴァイオリン・ソロもかわいい」
夫   「実は 第97番は、このあと プレストの第4楽章フィナーレこそが諧謔味満点で、ミンコフスキの 迫力ある解釈で聴かされたら もう最高。」

♪ 交響曲 第99番 変ホ長調
   「第3楽章メヌエットはアレグレット、変ホ長調。これは個性的だ。アクセントの位置が必ずしも一拍目に置かれていないから、今まで聴いてきたハイドン先生のメヌエットの中では、 最もスケルツォに近い曲想だな」
わたし 「同意。あ、ほらほら 一昔前の 音楽評論家 大宮真琴氏が書いてる文章を 音楽之友社の名曲解説全集の中から見つけたわよ。 ・・・えーと、“この楽章に、もしアレグレットという比較的緩徐なテンポが指定されていなかったらば、ベートーヴェン風のスケルツォとなったに違いない”ですって!」

♪ 交響曲 第100番 ト長調「軍隊」
   「 “驚愕”、“時計” と並んで、ハイドン先生の グレイテスト・ヒッツ。メヌエットは、定石どおり第3楽章に。ト長調のモデラート」
わたし 「どうせならメヌエットでもガンガン打楽器使っちゃえばよかったのに」
夫   「相変わらず 過激なご意見。そこがハイドン先生の抑制を効かせているところだ。軍隊パーカッションの導入を 偶数楽章だけにしたことによって、そこで上がる効果たるやテキメン」
わたし 「それは たしかに言えるわね。しかもその終楽章では、打楽器を最後の最後まで温存しておいて、“コレでおしまい”っていう直前に 突然 全合奏で 圧倒的に叩くんですもの、初演時の聴衆に与えた衝撃の大きさは想像に難くないわね」
   「ハイドン先生らしいだろ」

♪ 交響曲 第101番 ニ長調 「時計」
夫   「アレグレット ニ長調のメヌエットが、これも第3楽章に配置されている」
わたし 「堂々とした恰幅の良いメヌエットね。手入れの行き届いた貴族の庭園を眺めるよう。 ハイドン先生の創作したメヌエット楽章の典型的なモデルってとこかしら」
   「まったくヴィブラートがかかってない弦セクションの音色、やっぱり気持ち好いな。トリオのフルート・ソロの音色も 古楽器の雅やかさ」
わたし 「ホントだー、芳醇な木の香りさえするわね」
    「それは お前、想像力が豊かなのか、暗示にかかりやすいのか」

♪ 交響曲 第102番 変ロ長調
   「第3楽章メヌエット、アレグロ。三連の前打音が付いた 雄大なメヌエット主題だ。これもティンパニが効いてるなあ」
わたし 「トリオは、オーボエとファゴットによる鄙びた感じの、なだらかなレントラーね」
   「フルートも加わって 木管のアンサンブルが 実に魅力的。メヌエット主題との対照も著しい」

♪ 交響曲 第103番 変ホ長調「太鼓連打」
わたし 「第1楽章の冒頭、ティンパニ独奏の凄い迫力にも驚かされたけど、やっぱり期待どおり メヌエットも 格好イイ! 三連の前打音が、第102番のメヌエット主題にも似ているし。ここのフレーズを、ホルンの後で 木管がエコーのように繰り返すところなんか、まさに ハイドンっぽいわー」
夫   「このトリオ部分、好きなんだ。クラリネットがヴァイオリンに支えられて歌う辺り、なんかベートーヴェンの予感がする。第103番って、個人的にお気に入りなんだよね」
わたし 「あ、また何か思い出でもあるのね」
   「そう。中学の頃、カラヤン/ウィーンPo.の1,000円廉価(ロンドン )盤(104番と組み合わされたLP )を買ってきて、学校から帰宅しては いつも繰り返しレコードに針を降ろしてた」
わたし 「それ、キング・レコード盤よね。わたしは 短大の頃、同じキャンパスで 憧れてた先輩の大学院生から 研究室で、超派手なドラム・ロールのヨッフム/ロンドンPo.盤 (D.G.)を 聴かされながら、トーマス・マンの “トニオ・クレーゲル最後の手紙の部分の解釈を説明してもらった 個人的な思い出なんかが・・・ 」
   「そのくらいにしておけよ 」

♪ 交響曲 第104番ニ長調「ロンドン 」
   「ハイドン最後の交響曲。“交響曲の父”は、常にメヌエットを第3楽章に配置してきたけど、最後まで この型を崩さなかったわけだな」
わたし ハイドン自身は、この後まだ10年以上も寿命を残してるわけだから、これが最後っていう自覚はなかったんでしょうけど、後世の耳から聴くと、もっと凄い、さらに上を行くような “メヌエット(= スケルツォ )” を期待しちゃうのよね、それなのにいつものハイドン節なんだからー、もー 」
夫   「主部がニ長調なのに、トリオが変ロ長調っていうのが、聴く人が聴けば、おっ!ていうポイントかな 」
わたし 「あたしは、第1楽章の冒頭 ニ短調の五度ユニゾンの方が、おっ!て感じたわ 」
夫   「あ、そこには俺も同意。ベートーヴェン 第9交響曲の 第1楽章冒頭も ニ短調の和音から 三度を抜いた属音上の空虚な五度で開始されるよな 」
わたし  「似てるところあるよねー。だから 期待させられた上 主部のアレグロ ニ長調が始まった途端、ベートーヴェンとは 似ても似つかぬ展開になるんで、わたしコケましたわ 」
夫   「 “わたしコケましたわ”って、それ “わたし負け越したわ” の変則回文だな。回文と言えば、ハイドンの 交響曲 第47番 ト長調のメヌエットとトリオが旋律を逆行させる “回文メヌエット”との情報もあるんだよ 」
    ⇒ 第47番 第3楽章( 回文メヌエット )の最初と最後 楽譜  Wikipedeia より
わたし 「これについては また いつか 詳しく触れてみたいです 」

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コメント

のり2 さま

いらっしゃいませ!
クラシック音楽鑑賞ブログ の 大先輩 のり2 さま
http://plaza.rakuten.co.jp/noclasica/  から 頂けた、
新参ブロガーズの私たちへの 暖かいお言葉、とても感激です。
コープマン/ベルリンフィルの話題、さすが タイムリーでしたねー。
http://plaza.rakuten.co.jp/noclasica/diary/201009140000/

URL | “スケルツォ倶楽部” 発起人 ID:-

Good afternoon!

こんにちは!

コメントありがとうございます。
さくっと拝見させていただきました。斬新な切り口で大変楽しく読ませていただきました。
またお邪魔させていただきます。♪

URL | のり2 ID:-

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