本記事は、7月25日「人気記事ジャズ ランキング」で 第1位となりました。
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クラヲタに捧ぐ、ジャズ=フュージョンの名盤 ランダム辞典
スケルツォ倶楽部、
スティーヴ・ガッド Steve Gadd を讃える。
   
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Recently Steve Gadd 謹掲載、御大 近影

「ガッド・ライヴ 」 ( スティーヴ・ガッド )
“ STEVE GADD AND FRIENDS、 Live at Voce ”  
Steve gadd and friends live at Voce
 (ビデオアーツ・ミュージック:VACM-1416)2010年7月21日リリース!

Steve Gadd Steve Gadd スティーヴ・ガッド(リーダー、ドラムス)
Joey Defrancesco Joey Defrancesco ジョーイ・デフランセスコ (ハモンドB3、トランペット)
Ronnie Cuber Ronnie Cuber ロニー・キューバー (バリトン・サックス)
Paul Bollenbock Paul Bollenbock ポール・ボーレンバック (ギター)


 「ジャズ=フュージョン・ドラムスの歴史そのものであり、ジャンルを越えた現代最高峰のドラマー、スティーヴ・ガッドのリーダー・アルバム。 彼らのホームタウン、アリゾナ州スコッツデールのクラブで、2009年11月17日 レギュラー・バンドを率いて行なったライヴを収録。 久々に行なった自らのバンドによるツアーで録音されたものですが、誰でも一度は耳にしたことのあるレパートリー(ジャズ、R&Bの名曲の数々)が収められており、ガッド・ファン待望のリーダー・アルバムの登場となりました ( 以上、発売・販売元 ビデオアーツ 提供の資料より 補足の上、引用 ) 」 。

 こんばんは、発起人(妻のほう)です。
 とうとう 待望久しい ガッドの新譜を聴けることになりました! 一日早いけど もしやと思って、夕方 近所の山野楽器 某店頭へ駆け込んでみたところ ・・・ ふふん、ありましたよ。しかも わたしにとっては意外なことに、装丁は なんと紙ジャケでした! 省スペースがウレシイ。もちろん即買い(「 VISAでお願いしまーす 」 )。
 さて 今、全曲通し試聴の2回目、「シスター・セイディ」の 格好いいエンディングを 聴き終えて 心地よい疲れを感じながら クリームたっぷりのアイス・コーヒーの 冷たいグラスに唇をつけたところ。うーん、良くも悪くも 期待していたとおりのプレイに、とても満足しています。
 ガッドが叩き出すビートに乗せて、ハモンド・オルガンとバリトン・サックスのコンビネーションがフォローする幅広い音域、そして バンドがトゥッティで がーっ と鳴り響くときの まるで ビッグ・バンドを模したような厚い音響 は、音楽の方向こそ違うものの かつてのウェザー・リポートの( ヨーゼフ・ザヴィヌルのキーボードが ウェイン・ショーターのサックスの音をミックスすることによって デューク・エリントンのビッグバンドの響きを再現した)試みのように、実に見事な効果を上げていると思います。目を閉じて これを聴くと、わたしは ガッドが あたかも 自分自身のビッグ・バンドを率い、そのステージの真ん中で ドラム・セットに座して、激しく口を開きながら 黒いスティックを振り降ろしている - そんなイメージをふくらませてしまいます。

1.Watching The River Flow ( 河の流れを見つめて  
 懐かしの(?)ガッド・ギャングレパートリーでもあった、ボブ・ディラン Bob Dylan のナンバー。冒頭、ロニー・キューバー(バリトン・サックス)最初の一音にはギョッとしましたね。ペッパー・アダムスかしら? なんて思ってしまうほどの鋭い音色・・・ でもソロが始まれば、あ、なんだ やっぱり 昔のままのロニーだった・・・って ちょっと安心。気合いの入ったバンドのグルーヴィーな乗りには、知らず知らず わたしの身体も揺れ(スウィングし)てしまいます。ポール・ボーレンバックのブルージーなギターも快適。少しずつ盛り上がってきます。 ジョーイ・デフランセスコのハモンド・オルガン、黒い! この人、マイルスとの共演歴もある 実力派です。ガッドもとりわけ熱を込めてバッキングで盛り上げ、続いて 待望のドラムス・ソロへ。バスドラがちょっと重たいけど、そこは 若い頃の録音で聴けるような 往年の切れ味を期待してはイケマセン。ここは素直にライヴの聴衆と一緒に 思い切り手を叩いて 喜ぶべし。
 このナンバーは、どうやら ガッドのお気に入りであるらしく、かつてジョー・コッカー Joe Cocker のアルバム「Luxry You Can Afford (エレクトラ1978年)」の中でも リチャード・ティー、コーネル・デュプリーら、そして重厚なブラス・セクションと共に演奏する 素晴らしいバージョンで 聴き比べることも出来ますね。 
Bob Dylan_Greatest Hits Vol.2(CBS) Joe Cocker Luxry You Can Afford The Gadd Gang(Sony)1986
参考盤(左から):ボブ・ディランジョー・コッカーガッド・ギャング

2.Way Back Home ウェイ・バック・ホーム 
 この曲も ガッド・ギャングのレパートリーでした。かつてギターの個性的なカッティング・パターンに、重心の低いリチャード・ティーのピアノが バッキング・リズムで加わってきた時には 本当に胸が高鳴ったものです。この新譜のライヴ盤でも、コーネル・デュプリーのギター・リズムと同じパターンを ポール・ボーレンバックが刻んでいます。その上にハモンド・オルガンが自由な飛翔を見せ、ガッドの力強いアクセントが印象的です。どうでもいいことですが、クラブのお客さんが ナイフとフォークをお皿にカチャカチャ当てる音が聴こえてくるのが 少し気になるなあ。何にって、当夜のメニューですよ、チキンかなー ビーフかなー・・・。
 もとい、ここでのロニー・キューバーのソロ とても良いですね。決して技巧的ではないんだけど、自然な呼吸で 徐々に加熱してくる感じ。もちろん ガッドの最高のバッキングもあって に違いないんだけど、この楽器特有の 原色のような厚い音の圧力が、確実に 空気を盛り上げます。あれ、オーディエンスの中に 日本人がいるのかな? 06:05頃、女性の声で「ありがとうございます(?) 」って はっきり聴こえたような ・・・。空耳か? ・・・ ま、どーでもいーコトですけど。
 注目は、その後の ガッドのドラム・ソロ。踏み込んだハイハット・シンバルとリムショットを連動させた複雑な複合リズムを 切れ味も鋭く、しかも ギターのリズム・パターンの上に乗せる巧みさには 思わず 大拍手。
 「ウェイ・バック・ホーム」は、クルセイダーズウィルトン・フェルダーが作曲したナンバー。クルセイダーズはライヴ盤( 「スクラッチ」収録バージョン )での演奏も超格好イイですよね。
Crusaders_ Way Back Home ( Scratch) The Gadd Gang Live at The Bottom Line(Sony)1988
参考盤(左から):ザ・クルセイダーズガッド・ギャング

3.Undecidedアンディサイデッド 
 チャーリー・シェイヴァース Charlie Shaversが作曲した スウィング時代の名曲。スティックをブラシに持ち替えたガッドは、フレンズと共に この名曲を快速な4ビートで料理しています。実に気持ちイイ、特にオルガンの音色が 実に 曲調に合ってるなー。パタパタ、サクサクいうブラシ、ホント格好イイ!  ロニーポールとソロが続き、相当盛り上がった後、短いアンサンブル部分を何度もはさみながら、ガッドがブラシでドラム・ソロ。力強い、スゴイ。うーん、今 あの スティーヴ・ガッド が 叩いているんだなーって思うと 背筋が冷たくなるような感動が・・・ って、そんなコト思ってるうち、あ! ガッドが 昔からソロの締めくくりで 用いていたリズム・パターン「タ・トン・トン、 バン・バンッ、 ジャーン! 」 が 出たーっ! うわーっ!
 ところで、素材となったこの曲、個人的には カーティス・フラー Curtis Fuller(トロンボーン奏者)によるサヴォイ盤「ブルースエット BLUES-ETTE」 (サックス奏者 ベニー・ゴルソン Benny Golson、ピアニストは トミー・フラナガン Tommy Flanagan、ベース奏者 ジミー・ギャリンソン Jimmy Garrison、ドラムス奏者 アル・ヘアウッド Al Harewood という渋い面々!) が思い入れのある演奏。参考に・・・。
CURTIS FULLER_Undecides(BLUES ette)Savoy 参考盤:カーティス・フラー

 この曲の不思議なタイトル 「Undecided( “未決定” の意)」 には、有名でオモシロイ逸話がありますよね。シェイヴァースが タイトルを尋ねられた当時、曲を仕上げたばかりで まだ名前がついていなかったので、正直に「Undecided」 と答えたら、その返事が そのまま曲名にされてしまった(笑) というもの。

4.Bye Bye Blackbird バイバイ・ブラックバード
 レイ・ヘンダーソン Ray Henderson作曲のスタンダード・ナンバー。ここでは ジョーイ・デフランセスコ が 見事なミュート・トランペットを披露。上手い。これはマイルスへのトリビュートですね、テーマの歌いまわしや ソロ・フレーズは 完全にマイルスのコピーです。ちなみに ここで 使われている ジョーイのトランペットは かつて 共演していた マイスル自身から プレゼントされたものなのだとか。マイルスの音がするのも道理? でも さらに驚異的なのは、ここで ジョーイが 足だけでハモンド・オルガンのベース・ラインを演奏し、コレに合わせて マイルスを演じているのです。プロ意識の高さ、素晴らしいですよね! CDでは もちろん音しか聞こえてきませんが、もし このステージを実際に観ていたとしたら、感銘もひとしおだったでしょう。途中、トリ繋がりで洒落てみせたのか(?)「スカイラーク」なども さりげなく引用しながら ロニーが演奏するバリトン・サックスによるソロも、繊細なミュート・トランペットとの音色の対比が際立って面白く、それは かつての マイルスコルトレーンの音色のコンビネーションさえ連想させられます。
Miles Davis_Bye Bye Blachbird(Round About Midnight)CBS
参考盤:マイルス・デイビスの傑作「ラウンド・アバウト・ミッドナイト(CBS)」コルトレーン、入ってますよ。

5.Them Changes ゼム・チェンジズ 
 かつて ガッド・ギャングでも演奏されていたレパートリーでした。 バディ・マイルズ Buddy Miles の、あの超ファンキーなリフ・ナンバー。
 これは名演です。途中で たびたび 急速な4ビートに転じるところ 超格好イイですね。ロニー・キューバーのバリトンとガッドのドラムスだけになる部分なども 迫真のインタープレイですが、その次にオルガン・ソロの背後で、ガッドのドラムスが 近年にはめずらしく 思い切り暴れているところ、特筆モノです。この部分だけを聴いていると、かつて 名手トニー・ウィリアムス(ドラムス奏者)、ジョン・マクラフリン(エレクトリック・ギター奏者)、ラリー・ヤング(ハモンド・オルガン奏者)といった鉄壁のメンバー による三人編成だった頃の ライフタイムの演奏( 1st アルバム“エマージェンシー !” )をも思い出してしまいます。
 このライヴが録音される約5ヶ月前にあたる 2009年6月25日に急死したマイケル・ジャクソンの 名曲「今夜はドント・ストップ(Don't Stop 'Til You Get Enough)」のフレーズを ソロの途中で 先に引用するのはロニーですが、これをジョーイがしっかり記憶していて、自分のオルガン・ソロの中でも 同じ「ドント・ストップ ~ 」のメロディを 巧みに引用しているのがわかります。これに 御大ガッドがしっかり合わせて、アクセントをブチ込んでみせるあたり、さすがっ! 聴衆もドッと沸いてます。その上、ジョーイは 同じマイケルの大ヒット曲「バッド BAD 」のリズム・フレーズまで 一瞬 弾きだすサービス振り。 ・・・ あ、そう言えば マイケル・ジャクソンの「バッド BAD 」の中で ハモンド・オルガンのソロが登場するのは 皆さんもご存知のとおりですが、そこでのソリストって 一体誰だったか 知ってますか? ( 答え: ジミー・スミス だったんですよ! ) 
  ・・・で、もとい。ガッドのドラムス・ソロの素晴らしさも含め、この「ゼム・チェンジズ 」の演奏が 当夜のライヴ全曲の山場だと断言します。
 ここで、またも脱線 ご容赦。 スタッフのルーツとも言える キング・カーティスのライヴ盤でも この曲「チェンジズ」は、取り上げられていましたよね。きっと ガッド自身も ドラマーとして これは 昔から お気に入りのステージ素材であったのでしょう。
Buddy Miles_Them Changes(Polygram) King Curtis Live at Filmore West(Atlantic)1971 The Gadd Gang Here  Now (SICP‐10103)
参考盤(左から):バディ・マイルズキング・カーティスガッド・ギャング(ここでは 途中これぞガッドっていうマーチング・ドラムのソロが聴けます、クローズアップ気味の おバカな録音バランスには大喜び )

6.Georgia On My Mind わが心のジョージア 
 レイ・チャールスの絶唱(1959年)が有名な、ホーギー・カーマイケル作曲のスタンダード・ナンバー。ゴスペル調のオルガンが鳴り渡り、コレに乗って ロニーのバリトン・サックスがフューチャーされます。ガッドの堅実で控えめなブラシ、素晴らしい。ジョーイの 音数の多い スグレモノのオルガン・ソロにも注目です。わたし まだ この1枚のCDを聴いただけですけど、このジョーイ・デフランセスコに かなり 好感を寄せてる自分に気づいてます。この才能には 今後も 要注目だなーって。
Ray Charles_Georgia on My Mind (Double Pleasure ) Joey Defrancesco ジョーイ・デフランセスコ Georgia On My Mind(CBS)1990 
参考盤(左から):レイ・チャールズ。右は ジョーイ・デフランセスコのリーダー作(1990年 CBS盤“Where Were You ? ")、21人編成のビッグバンドをバックに 若きジョーイが ハモンドC3を弾きまくる注目の一枚

7.Back At The Chicken Shack バック・アット・ザ・チキン・シャック
 モダン・ジャズ・オルガン界のチャーリー・パーカーにも比して語られる存在、ジミー・スミス Jimmy Smithが作曲したブルーノート盤で聴ける名曲。アンサンブル部分をはさみながら、アーシーな ロニー、クールなポール、古いスタンダード「 その手はないよ Don't be that way 」をさりげなく引用するジョーイと、ソロがくるくるまわされます。最後のアンサンブルで御大登場、ソロが炸裂、弾力とパンチはあるけれど、少し重たいかなー。御大、ココへ来て さすがにお疲れか。がんばって! あと1曲だから。
Jimmy Smith Back At The Chicken Shack(Blue Note 84117)
参考盤:ジミー・スミス

8.Sister Sadie シスター・セイディ 
 ホレス・シルヴァー Horace Silver の、 これもブルーノート盤「Blowin' the Blues AwayBlue Note) 」で聴ける ファンキーな素材です。
 これは 本ライヴ盤のラスト・ナンバー。ガッドは お得意のブラシを構えています。サクサク、パタパタ、あまりに快適な4ビート・ナンバーに 思わず 足のつま先が 餅突きを始めてしまいます。あれ、クラブ内でレジスターの鳴る音がしますよ。こんな素晴らしい演奏の途中なのに 会計を済まして帰っちゃうお客さんのいることが信じられない。
 ジョーイのハモンド・オルガンを筆頭に ロニーの熱いブロウも ポールの堅実なプレイも、実に気持ちイイですね。全員が 大熱演ですが、やはり ガッドブラシさばきの素晴らしさに - もちろん 以前から定評はありましたが - 今回 あらためて 深い感銘を受けました。
BLOWIN THE BLUES AWAY(HORACE SILVER)Blue Note 
参考盤:ホレス・シルヴァー

 ガッドのバンド(フレンズ)のメンバーは、数年前に来日した際の顔ぶれと同じようですが ( 当時 発起人 は その 生演奏に接しておらず)、今回の演奏自体は 彼らのホームタウンでのライヴなので やはり相当リラックスした表情が窺えたことが やはり 特筆すべきことと思い、あらためて 書き添えさせて頂きます。ディスクの最後に バンドのメンバーを紹介している声は、ガッド自身ではないかと察します。
 今回も少し長くなっちゃいましたが、これは ご購入される価値のある 近年稀な名盤と思い、おススメ致します。

 さて 次回は、1975年へ一気にバックしてジョン・トロペイ の 「トロペイ」 を聴きます!
 
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