☆ スティーヴ・ガッドを 讃える。

スティーヴ・ガッドを讃える。 「恋人と別れる50の方法 」(ポール・サイモン )1975年

 ←ハイドンのスケルツォを聴きながら オッタクリンガーで酔っ払った発起人(妻)に、若きベートーヴェンが憑依する →NHK-FM「気ままにクラシック 」で、ケージ「4分33秒 」全曲オン・エア!
   

本記事は、7月8日「人気記事ジャズ ランキング」で 第1位となりました。
皆さまのおかげです、これからも 何卒よろしくお願い申し上げます。


クラヲタに捧ぐ、ジャズ=フュージョンの名盤 ランダム辞典
スケルツォ倶楽部、
スティーヴ・ガッド Steve Gadd を讃える。
   
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ポール・サイモンとガッド (One Trick‐Ponyより)Warner Bros.  ガッドポール・サイモン ( “One Trick‐Pony”より )

「恋人と別れる50の方法 」
 Fifty Ways To Leave Your Lover
 (ポール・サイモン ) 1975年

ポール・サイモン「恋人と別れる50の方法」(国内シングル盤 )ソニー           

ポール・サイモンの歌詞に注目 
恋人と別れる50の方法Fifty Ways To Leave Your Lover ) 」は、傑作アルバム「時の流れに Still Crazy After All These Years )CBS 」からシングル・カットされ、1976年2月には3週連続で全米ランキング第1位になったヒット曲でもあります。

 「問題は すべてアナタの頭の中に 」
  と、彼女が僕に言いました、
 「答えは簡単、もし ちょっと論理的に やってみさえすればね ― 」。
 「わたしはアナタを 苦しみから解放したいの。
  アナタが 今の恋人と別れる方法なんて、
  たくさん (50とおりも) あるに違いないんだから 」

 「歓迎されないことに口を出すのは、
 本当に わたしの趣味じゃないの。
 でも それ以上に
 アナタを戸惑わせたり 誤解させたくもないから、
 もう一度 はっきり繰り返してあげる、
 ぶっきらぼうな 物言いだけどね 」
 「アナタが 今の恋人と別れる方法なんて、
  50とおりもあるに違いないんだから 」
  
 Chorus
 ただ 出て行きさえすればいいの、ジャック
  ( You just slip out the back, Jack
 ただ 新しいプランを作ればいいの、スタン
  ( Make a new plan, Stan
 はにかむ必要はないの、ロイ、そして自由になって
  ( You don't need to be coy, Roy
   Just get yourself free )
 ただ バスに飛び乗ればいいの、ガス、
  ( Hop on the bus, Gus
 さほど話し合いなんか いらないのよ、
  ( You don't need to discuss much )
 合い鍵なんか捨てちゃえばいいの、リー、そして自由になって
  ( Just drop off the key, Lee
   And get yourself free )

 彼女は言いました、
 「苦しんでいるアナタを見ていると わたしもツライの、
  わたしに何か出来ることはないかしら、
  またもう一度 アナタが微笑んでくれるのなら 」
 僕は 彼女に感謝して、「ぜひ教えてほしいな 」と頼んだのでした、
 「その たくさんの方法 ( the fifty ways ) というやつをさ - 」

 すると 彼女は、
 「ねえ、わたしたち二人、今晩 いっしょに寝てみないこと?
  そして 朝を迎えたら、きっと光も見えてくるでしょう」
 と言って、僕にキスしてくれました。
 その時 僕は悟ってしまったのです、たぶん 彼女は正しいぞって。

 「アナタが 今の恋人と別れる方法なんて、
  50とおりもあるに違いないんだから 」
  ( There must be fifty ways
    To leave your lover
    Fifty ways to leave your lover )
  
 Chorus 繰り返し

原詩:ポール・サイモン Paul Simon(1975年)
和訳:スケルツォ倶楽部 発起人


 サビのコーラス部分(50の方法を次々と述べる部分)は、韻を踏んだ語呂合わせ(太字部分)を楽しむべきなので、上記 訳詞文中に 併せて原詩も載せておきました。直訳されても その効果を削ぐばかりですからね。

■発起人(妻 )は、これを「誘惑の歌 」と意訳 
 歌詞の中の「バスに飛び乗って(Hop on the bus)」という個所は、サイモンとガーファンクルの名曲「サウンド・オヴ・サイレンス」や「ミセス・ロビンソン」などを主題歌にした映画「卒業(1967年 マイク・ニコルズ監督 ) 」のラストシーン、花嫁衣装をまとったキャサリン・ロスが花婿と別れて ダスティン・ホフマンと一緒に教会から逃げていく姿を連想してしまいます。
 The Graduate 1967 この後、二人はバスに飛び乗り・・・( 映画「卒業」1967 )

 ・・・もとい、この歌の主人公の男性は、実は「(今の )恋人と別れてわたしと付き合うように」と「彼女 」から 言葉巧みに 誘惑されているところなのだ、と想像することも出来ると思います。
 歌詞の中で「彼女 」が、「わたしたち 今晩一緒に寝てみない? 」というのも、 「50の方法」のひとつだったわけです。これは、わが国の“トレンディ・ドラマ”の中で使われたような 安直な台詞を 遥か以前に先取りしています。サビのコーラスで繰り返される「50の方法」には、さほど深い意味もないように感じられますが、共通して求められていることは “Just Do It”、いずれも何かしら「行動」「実行」することなのです。逆に、時間を止めるような「話し合い (discuss) 」、「はにかみ( be coy )」などは不要である、とはっきり歌われています。
 「彼女 」は 主人公に ただ「行動 」「実行 」を求めました。「わたしたち 今晩一緒に・・・ 」という言葉で、主人公は コロッと陥落してしまいます。実にポール・サイモンらしい、ウイットに富んだオモシロい歌詞だと思います。
 (ため息 )しかし男なんて 弱い生きものですよね、「据え膳食わねば 」なんとか言う理屈をつけて、結局 出した結論が「たぶん 彼女は正しい 」ですもん。安易過ぎるわ。危ない、危ない。みなさんも お互い 気をつけましょうね・・・。

ポール・サイモンが語る、ガッドのプレイについて
 後年、ポール・サイモンが レコーディングを 回想して述べている発言があります。
「この曲( “Fifty Ways To Leave Your Lover” )での大きな発見が、スティーヴ・ガッドのドラムス・パートだった。たぶん このおかげでヒットしたんだな。スティーヴはスタジオにいる時、よくこの小さなマーチング・バンドのパターンを練習していて、彼にとっては ちょっとした腕慣らしだったんだろうけど、僕にはわかっていたよ。これこそが仕掛けなのさ。たくさんのドラマーがこのリズムに挑戦したのを見てきたけれど、誰もあの域には達しないね。それほど技巧的な仕掛けなんだ 」

■ 傑作アルバム
時の流れにStill Crazy After All These Years ) 」
 
 
Paul Simon_Still Crazy After All These Years_CBS_Warner Bros.
1.時の流れに "Still Crazy After All These Years" (03:26 )
2.マイ・リトル・タウン "My Little Town" (03:51 )
3.きみの愛のために "I Do It For Your Love" (03:35 )
4.恋人と別れる50の方法 "50 Ways to Leave Your Lover" (03:37 )
5.ナイト・ゲーム "Night Game" (02:58 )
6.哀しみにさようなら "Gone at Last" (03:40 )
7.ある人の人生 "Some Folks' Lives Roll Easy" (03:14 )
8.楽しくやろう "Have a Good Time" (03:26 )
9.優しいあなた "You're Kind" (03:20 )
10.もの言わぬ目 "Silent Eyes" (04:12 )


1.時の流れに Still Crazy After All These Years 
 アルバム・タイトルの名曲ですよね。日常性から徐々に乖離してゆく狂気を孕んだ秀逸な歌詞、美しいメロディ。バリー・ベケット(エレクトリック・ピアノ)、デヴィッド・フッド(ベース)、ロジャー・ホーキンス(ドラムス)編曲のみ担当のボブ・ジェームスのアレンジは、あたかもサウンド・トラックのように音楽の背景を淡く彩ってくれます。その上に乗っかって絶妙な呼吸に基づくマイケル・ブレッカーテナーサックス)のソロは、とても短いものの聴き応え十分です。このオリジナル・アルバム・バージョンの演奏には、ガッドは不参加。
 ガッド入りの演奏で特筆すべき同曲のレコーディングといえば、1991年7月4日ドイツのドルトムントにおけるライヴ録音が鮮烈でした。ガッドドラムス、盟友リチャード・ティーフェンダー・ローズ・エレクトリック・ピアノ、カメルーン出身 Armand Sabal-Leccoベースという“リズム・オヴ・ザ・セインツツアーリズム・セクションは、同年8月15日録音の名盤“ライヴ・イン・セントラルパーク”でも同じ顔ぶれで優れた録音が残されてはいるものの、こちらは ドイツの聴衆の圧倒的な歓声に迎えられて登場するマイケル・ブレッカーの量感豊かなテナー・サックスたるや 比類なき素晴らしさです。それは オリジナル・バージョンのソロ・フレーズを大事に再現・踏襲しつつ、熱い情熱によって突き抜けたプレイです。これに激しく同意するように叩き込まれるガッドのスネア・ドラムスの凄さも含め、もし機会があれば ぜひ一度お聴きになってみてください。
 ポール・サイモン_グレイト・ソングブック_1964~1993_(ワーナーWPCP-5698~700)  Michael Brecker (Better Days)
(左)ポール・サイモングレイト・ソングブック 1964~1993(Warner Bros.)」、(右)マイケル・ブレッカー

2.マイ・リトル・タウン My Little Town 
 聴き始めるなり、あー、やっぱりサイモン&ガーファンクルだ、二人の声の相性はこんなにも美しいって、あらためて感動。ホーン・セクションの音によって象徴される都会に 今は身を置きながら、過去と故郷を回想しながら徐々に胸を熱くしてゆく「マイ・リトル・タウン」は、ポール・サイモンサイモン&ガーファンクルを解散して後、ソロ活動を始めてから 再びアート・ガーファンクルとのデュエットでレコーディングした最初の曲です。
 ガッドは不参加。ベケット(エレクトリック・ピアノ)、フッド(ベース)、ホーキンス(ドラムス)という「時の流れに」と同じリズム・セクション。これにポール・サイモン(アコースティック・ギター)、ピート・カー(エレクトリック・ギター)、ラルフ・マクドナルド(パーカッション)の演奏、そして 秀逸なホーン・セクションアレンジメントデヴィッド・マシューズです。
 1975年9月に単独で先行シングル・リリースされ、全米シングル・チャート最高位は第9位でした。ポール・サイモンのソロ・アルバムだけでなく、同時期にリリースされたアート・ガーファンクルのソロ・アルバム「愛への旅立ち Breakaway(1975年) 」にも収められています。
 Art Garfunkel アート・ガーファンクル_愛への旅立ち_ Breakaway_CBS
(左)アート・ガーファンクル、(右)アルバム「愛への旅立ち Breakaway(1975年) 」
 
3.きみの愛のために I Do It For Your Love 
 抑制の効いたガッドのドラムスが登場。ジョー・ベックジェリー・フリードマン(エレクトリック・ギター)、ポール(アコースティック・ギター)、ケン・アッシャー(エレクトリック・ピアノ)、トニー・レヴィン(ベース)、ラルフ・マクドナルド(パーカッション)ボブ・ジェームスアレンジによる効果的な弦アンサンブルには、適度な苦みさえあります。冒頭からシヴーカが奏でるアコーディオンはオーボエの音かと見紛うほど繊細で美しく、曲の中間部ではヴォーカルとのユニゾンで ブルーなフレーズのソロを聴かせてくれます。
 この曲の意外性ある転調の巧みさは、まるでシューベルトピアノ・ソナタのようです。ベルギー出身のジャズ・ハーモニカ奏者トゥーツ・シールマンスのお気に入りの曲でもあり、一時 彼が 頻繁に演奏していたことでも知られます。特に1978年に録音された、名ピアニスト ビル・エヴァンスとの貴重な共演盤「アフィニティ AFFINITY 」(左下写真)における 名手マーク・ジョンソンベース奏者)を加えたトリオこの曲を素材にして繰り広げる即興演奏の深遠さに耳を傾ければ、たとえ空調のスイッチを点けなくても 貴方は 部屋の温度が二度ほど下がったような気がするでしょう。
 Bill Evans“Affinity”(輸入盤Warner Bros. 3293-2) トゥーツ・シールマンス_Toots Thielmans
(左)ビル・エヴァンス「アフィニティ AFFINITY 」(Warner Bros. 3293-2)(右)トゥーツ・シールマンス

4.恋人と別れる50の方法 50 Ways to Leave Your Lover
 歌詞の解釈も含め 前述のとおり。重ねて言うまでもなく、ガッドドラムスが刻むリズムが、「本当に偶然仕上がった様な即興性 a real casualness(ポール・サイモン ) 」を決定づけていると思います。ケン・アッシャー(オルガン )、ヒュー・マクラッケン、ジョン・トロペイ(エレクトリック・ギター )、ポール(アコースティック・ギター )、トニー・レヴィン(ベース )、ラルフ・マクドナルド(パーカッション )、フィービ・スノウ、ヴァレリー・シンプソン、パティ・オースティン(コーラス )

5.ナイト・ゲーム Night Game 
 ガッドは不参加。ポールの静かなエレクトリック・ギター奏法は、普段のフォーク・ギターの弾き語りともあまり変わらぬように聴こえます。フィル・ラモーン Phil Ramone あたりが 曲調から判断して 音色を変えるべき とでも考えたのでしょうか。トニー・レヴィンエレクトリック・ベース、そして名手トゥーツ・シールマンスの見事なジャズ・ハーモニカが、これに融け合うような淡い色彩を添えています。

6.哀しみにさようなら Gone At Last
 アップテンポのゴスペル調のバッキングで活躍する「これぞリチャード・ティー」といった感じのパーカッシヴなアコースティック・ピアノに、太く重たいゴードン・エドワースベース、さらにガッドがリズムを刻んでいたらスタッフそのものだったのですが、残念ながら ここでのドラムスグラディ・テイトでした。ラルフ・マクドナルド(パーカッション)、ジェシー・ディクソン・シンガーズ The Jessy Dixon Singersをバックに、ポール・サイモンと共にエモーショナルなソロ・ヴォーカルを取るのは、フィービ・スノウです。

7.ある人の人生 Some Folks' Lives Roll Easy 
 これは、シングル盤「恋人と~」 のB面収録曲でもありました。ボブ・ジェームス(エレクトリック・ピアノ)、ヒュー・マクラッケン(エレクトリック・ギター)、トニー・レヴィン(ベース)、ガッド(ドラムス)、デイヴィッド・サンボーン、エディ・ダニエルズ、マイケル・ブレッカーという豪華なホーン・セクションにソロも取らせずアンサンブルに徹するよう定めたアレンジャーは、ポール・サイモン自身でした。ストリングス編曲ポールです。曲はカントリー調のワルツ・リズムで、その音響は都会的であるものの、詩は神との対話と言う設定で、それが寓意なのか宗教的な思索なのか、わたしにはポールの真意はちょっと判りかねます。ガッドドラムスは、ここでも抑制されていますが、タメの効いたスネアのタイミングは やはり絶妙です。

8.楽しくやろう Have A Good Time
 ボブ・ジェームス(エレクトリック・ピアノ )、ヒュー・マクラッケン、ジョー・ベック(エレクトリック・ギター )、トニー・レヴィン(ベース )、ガッド(ドラムス )、ラルフ・マクドナルド(パーカッション )、ヴァレリー・シンプソン(バッキング・ヴォーカル )という顔ぶれ。ホーン・セクションのファンキーなアレンジを書いたのは、かつてジェームス・ブラウンのステージ用に管楽器の編曲の仕事もしていた デヴィッド・マシューズです。
 この曲はサビのコーラス部分は普通に4拍子ですが、それ以外のパートは7/8拍子という変拍子です。演奏家は呼吸を合わせるのに苦労するところですが、ポール自身、「スティーヴ・ガッドのお陰で、たいへん滑らかに仕上がった」と語っています。たしかに意識せずに聞き流せばガッドの刻むリズムのあまりの自然さに、7拍子であることに気づかない人もいるかも知れませんね。
 注目すべきは、エンディングで炸裂するフィル・ウッズ Phill Woods(1931~ )のアルト・サックスの素晴らしさです。「ホワイト・パーカー」と呼ばれるほどチャーリー・パーカーを崇拝していたウッズが、パーカーの死後 彼の内縁の妻だったチャン・リチャードソンと結婚し 二人の混血遺児まで保護したという逸話は有名で、これだけでもチャーリー・パーカー直系といった見方をされていた存在でした。わたしは、1960年代末から70年代にかけて ヨーロッパで活躍していた時期(ヨーロピアン・リズム・マシーン)の猛烈に熱いウッズのプレイにとりわけ注目していますが、マイナーレーベル( Pierre Cardin など)での録音が多かったためか CD化されている音源が依然として少なく、彼の真価を伝える演奏は 実はもっとあるのにーっと、残念に思っています。
 ウッズアルト・サックス演奏の中で、皆さんに最も親しまれている有名なものと言えば、ビリー・ジョエル Billy Joel の名盤「ストレンジャー The Stranger」に収められた名曲「素顔のままで Just the Way You Are 」の中に現れる、傑出したソロでしょうね、あれがフィル・ウッズの音です。そう言えば、ビリー・ジョエルアルバムのプロデューサーも この「時の流れに 」と同じ、フィル・ラモーンでした。コレは偶然ではないと思います。
フィル・ウッズ_ Phill Woods Billy Joel _ The Stranger_CBS フィル・ラモーン_Phl Ramone
(左から)フィル・ウッズ、ビリー・ジョエル「ストレンジャー (CBS) 」、フィル・ラモーン

9.優しいあなた You're Kind 
 都会人の孤独がテーマ、ブルージーで薄明るい 魅力的な曲調です。ミュージシャンは、ジョー・ベック(エレクトリック・ギター)、ポール、ヒュー・マクラッケン(アコースティック・ギター)、トニー・レヴィン(ベース)、ガッド(ドラムス)、ホーン・セクションアレンジャーポール自身。
 ガッドがキープする堅実なリズムに乗って、悩めるポール・サイモンがニューヨークの街を歩き続けます。ここではジョー・ベックのギターの音色が絶品で、曲の転調に合わせてガッドが微妙にリズム・パターンを切り替えるのも快適。プレイヤーには いつまでもこのまま演奏し続けていてほしい とさえ思ってしまいます。

10.もの言わぬ目 Silent Eyes 
 ポール・サイモン(パウロ・シモン?)特有の宗教的なテーマを扱った曲です。深すぎて、正直わたしには作者の真意は計り知れません。エルサレムという歴史的な都市の名前、「神の前へ、やがてすべての人が召喚され、目撃者としてひとりひとり何があったか証言する」とは、やはり最後の審判のことでしょうか。
 レオン・ペンダーヴィス(アコースティック・ピアノ)、トニー・レヴィン(ベース)、ガッド(ドラムス)、および シカゴ・コミュニティ・コーラスバック・グラウンド・ヴォーカルとして参加しています。

■ 1981年 S. & G. セントラルパーク・コンサートにおける
「恋人と別れる50の方法 」
 

1981年_ S.  G. セントラルパーク・コンサート_(CBS)
録音:1981年9月19日、ニューヨーク セントラルパーク 
音盤:CBS/SONY RECORDS (25DP-5143)

 さて、1981年9月19日、50万人と言われる記録的な聴衆を集めた 一夜だけの再結成コンサート後半の山場、ちょうどS. & G. 最大のヒット曲「明日に架ける橋 Bridge Over Troubled Water 」を歌い終わった直後、ポール・サイモンのソロ・アクトとなる「恋人と別れる50の方法 Fifty Ways To Leave Your Lover 」の間、片やアート・ガーファンクルは 休憩しようとステージ奥の高いスツールへ腰掛けます。
 この曲のオリジナル演奏でリズム・パターンを提供したドラムス奏者であるガッドの他、当日は もうひとりのドラマーグラディ・テイト、当時ビリー・ジョエル・バンドに在籍していたデイヴィッド・ブラウン(ギター) また、ピート・カー(ギター)、アンソニー・ジャクソン(ベース)、リチャード・ティー(キーボード)、ロブ・マウンジー(シンセサイザー)および ホーン・セクションの面々。
 すでに宵闇のセントラル・パークガッドの刻む あの特徴的なリズムが生で鳴りだすと、逸早くそれと理解した聴衆が一斉に歓声を上げるのが聴こえます。ポールアコースティック・ギターティーフェンダー・ローズが華麗に飾り、ブラウンエレクトリック・ギター・ソロが鋭く切り込むと、ファンキーなホーン・セクションが唸りを上げています。アルバム「時の流れに」に収録されていたオリジナル演奏よりも 遥かに攻撃的な、ライヴならではの編曲・演奏となっていることに 胸が高鳴ります。
 最後はガッドの叩くドラムスのリズムだけが残り、一瞬 光るように 装飾的な技巧を聴かせるものの、ソロと呼べるほどには 長く引っ張らず、まるで歌の中に登場する主人公「僕」が「恋人と別れる」決定的瞬間を暗示するように、ポンと呆気なくエンド。それはまるで 詩の中の恋人たちの関係の糸が そこでぷつんと切れたかのような終わらせ方です。 
 演奏が終わった後、ポール・サイモンが この不世出のドラマーに敬意を表して「スティーヴィー・ギャーッッド! 」と紹介するところが 大好きです。映像ですと、この直後に 軽く立ち上がって挨拶するガッドの、一瞬はにかんだ笑顔が実に素敵です。

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