スケルツォ倶楽部 Club Scherzo
「アフター・シュトラウス & “ バイ・シュトラウス ”」
After-Strauss & “By Strauss”
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(13 )1925年 チャップリン
ワルツ「感謝祭のディナー 」~ 映画「黄金狂時代 」 から
        
Charlie Chaplin ● Soundtrack Of His Famous Movies 靴を食べるチャップリン(黄金狂時代) 
(左 ) 映画のオリジナル音源を抜粋した、チャップリン映画名曲集
Charlie Chaplin:Soundtrack Of His Famous Movies

(併録音源:「モダン・タイムス 」「街の灯 」「サーカス 」から )
 Nostalgia(NOS-3620 ) 


BMG Classics RCA(輸入盤09026 68271 2) チャップリン 映画「黄金狂時代 」から (2)
フィルム・ミュージック・オヴ・チャーリー・チャップリン“ The Film Music of Charlie Chaplin ”
オリジナル・フィルム・スコアで演奏された録音

(併録曲:「キッド 」「サーカス 」「モダンタイムス 」)
カール・デイヴィス 指揮 Carl Davis
ドイツ・ベルリン交響楽団 Deutsches Symphonie-Orchester Berlin
録音:1995年 BMG Classics RCA(輸入盤09026 68271 2 )
 
 
 喜劇王チャールズ・チャップリン卿は、自分の映画で使う音楽の多くを 自身で作曲していました。「スマイル( 『モダンタイムス 』 ) 」、 「エタニティ、またはテリーのテーマ( 『ライムライト 』 )、「マンドリン・セレナーデ( 『ニューヨークの王様 』 ) 」など、多くの名旋律を残しました。もっとも、彼は譜面が書けなかったので、楽想が浮かぶと常にテープ・レコーダーをまわしながら鼻歌を唸って これを録音し、テープをお雇いミュージシャンに聞かせては 楽譜起こしからオーケストレーションまでさせていた、と 長男が 後に伝記に書いています。
 さて、この映画「黄金狂時代 The Gold Rush 」は、第二次大戦中・大戦後 チャップリン作品の評価を (残念なことに ) 世界中で微妙にし続けてきた 政治性思想性 の占める要素が希薄なので、その意味においては 子どもにもわかりやすい 「安全な作品 」であると言えます。  純粋な喜劇映画として 誰にとっても 思いきり楽しめるので、これを 「モダン・タイムス 」や「独裁者 」を さしおいて、彼の最高傑作と評価する人もいる半面、めずらしく 手放しのハッピー・エンド を迎えることになる ラスト・シーン に 「いつもの チャップリンらしい 哀愁ペーソスが感じられない 」などとして 違和感を訴える 見識のチャップリン・ファンも また多いことによって 知られていますよね。

Charlie Chaplin_the Gold Rush
The Gold Rush(「黄金狂時代 」) 
 
 映画は1925年公開ですが、その封切り時は まだ無声映画でした。今日 よく知られているチャップリン自身によるナレーションオリジナル音楽が付けられたのは、正確には 1942年(このバージョンの日本公開は、さらに遅れて 戦後1946年 )だったそうです。念のため 付記させて頂きます。
素顔のチャップリン httpwww.krainatapet.pltapetygwiazdy_starego_kinaCharlie_Chaplincharlie_chaplin_4 
素顔(すっぴん )のチャップリン(!)

 映画「黄金狂時代 」の設定背景は 独特です。それまでの多くの作品では 都市における はぐれ者を主人公に扱ってきたチャップリンでしたが、この映画では 非日常的な空間 - アラスカに発見された金鉱を求め、多くの命知らずの冒険家が厳寒の雪山にやってきている、という前提に置いています。
 チャップリン演ずる主人公「チャーリー 」も 一獲千金を夢見て、しかし何故か山高帽・古ぼけた背広・ドタ靴にステッキという、毎度のいでたちで 雪深いアラスカの山中を彷徨(さまよ)っています。
 詳細は 皆さまご自身で 映画を見直して頂くとして ・・・、 猛吹雪で山小屋に何週間も閉じ込められ、食べものがなくなって飢餓状態となる主人公チャーリーと、奇妙な縁で同居人となった大男の冒険家(マックス・ウェイン)。せめて感謝祭の晩くらいはごちそうが並んだディナーの雰囲気にだけでも浸りたい・・・と思ったのかどうか、食材として口に入れる物が もう全く何も無くなった その挙句、ずっと大事に身につけていたものまで食べてしまう、という、映画史上 最も有名な場面のひとつが出てきます。それは・・・
≪ 以下 ネタばれを含む ≫  って、もうご存知ですよね。


▲ どうぞ 音楽にご注意を 払いながら、ご覧ください。 ( ナレーションはチャップリン自身 ) 

 このシーンで使われていた音楽が、笑いの効果を高めることに 大いに貢献していたことを 聴き逃す手はありません。
 最初 ワーグナーの「夕星の歌 」 の一節によって 豪雪の山小屋に宵闇が訪れたことが暗示されると、熱い鉄鍋の中からほかほかの湯気とともに「チャーリー 」がお皿に移そうとするのは、他ならぬ 茹で上がった自分のドタ靴の片方です。靴紐パスタのようにフォークの先でくるくる丸めたり、靴底の釘フライド・チキンの骨のように一本一本しゃぶったり、そんな悲惨極まりないシーンなのに、チャップリンが ここに付けたのが この音楽( グノーバレエ曲を思わせる、軽いフランス風のワルツ )です。
 当時の上流社会の豊かな食卓に相応(ふさわ)しい、ストリングスとハープの爪弾きまで聴こえてくるような優雅なワルツを、吹雪に閉ざされた殺風景な山小屋の中で 餓死に瀕している男達の悲惨な食事風景のBGMとして流すという その残酷さ、それは 音楽を「目に見えない大道具」として活かしきった 天才チャップリン独特の 強烈なアイロニーだったのです。

チャップリン 映画「黄金狂時代 」から
 さあ果たして スクリーンの前の貴方は、このようなブラックな状況を 笑って観ていることができるでしょうか?

1926年  初のトーキー映画(一部同期による)「ドン・ファン 」公開
      ( 完全なトーキー映画「ジャズ・シンガー 」公開は、翌1927年 )。
      ジャズミュージシャン マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、生まれる。
      指揮者 クラウス・テンシュテット 生まれる。
      性格テノール ゲアハルト・シュトルツェ 生まれる。
      エルノ・ラペー、「シャルメーヌ Charmaine 」 に続く・・・


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