NHK-BS「処刑人シャルル=アンリ・サンソンが見たフランス革命」が、ちょっと惜しい。
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NHK-BS ダークサイド・ミステリー
「処刑人シャルル=アンリ・サンソンが見たフランス革命」
が、ちょっと惜しい。
“スケルツォ倶楽部”発起人です。
今宵は、ひとこと感想です。
録画機能付TVに録っておいたきり放置していたNHK-BSダークサイドミステリー(2021年 9月 9日放送回 )シャルル=アンリ・サンソンを描いた「美しき処刑人が見たフランス革命 - なぜ理想は恐怖に変わったのか?」 - を、ようやく本日になって視聴しました。
フランス革命期にパリの死刑執行人を務めたサンソン家の4代目当主シャルル=アンリ・サンソンが主人公のドキュメンタリー。
人の命を奪う使命。だからこそ命を愛し法に厳格に生きた誇り高き処刑人サンソン。
権力者からは道具として使われ、庶民からは差別を受けた悲運の生涯から、革命の光と闇に迫る。
自由と平等の革命に取り残され、不当な差別と偏見に苦しむ日々。
理想を求める革命が派閥争いの恐怖政治へと変わり、子どもまでギロチン刑にかけられる悲劇。
命とは? 人権とは? 時代の混乱と矛盾を、処刑台から見つめ続けた男の生涯を通して描く。
【ナビゲーター】栗山千明
【出演】成蹊大学名誉教授…松浦義弘、大阪大学外国語学部 非常勤講師・作家…西川秀和
【声】宮野真守、 【語り】中田譲治、 【司会】青井実
(以上 青字 NHKホームページより )
フランス革命期にパリの死刑執行人を務めたサンソン家の4代目当主シャルル=アンリ・サンソンは、王ルイ16世、王妃マリー・アントワネット、エベール、カミーユ・デムーラン、ダントン、ラヴォアジェ、ロベスピエール、サン=ジュスト、シャルロット・コルデー といった、この激動の時期の処刑ほとんどに立ち会った重要人物であると言われます。
その処刑人としての苦悩と同時に時代的背景が興味深く描かれ・・・ るには、いまひとつでした。短い番組だったのに些(いささ)か 長ささえ感じました。
ちょっと もったいなくて、私 発起人、思わず つぶやきます。
ドキュメンタリーとしてのテーマを明確に絞り切れなかった構成、そんな散漫な印象が残ります。
そんな番組の中で、いくつか気になった点が・・・。
死刑執行人という立場について、アンリ・サンソンが「私は 斧の振るい手ではなく、斧だったに過ぎない。斧が裁かれることはない」と述べた - と 番組の中で 西川秀和氏が紹介していました。
が、この有名な言葉は、たしか革命裁判所の検事フーキエ・タンヴィル(もしくはタンヴィルと一緒に出廷した被告人)が ロベスピエール失脚後に罷免/告発され、今度は裁かれる立場で法廷に立った時の主張で、少なくともサンソンが発した言葉ではなかったと思うのですが。
また、革命裁判所で裁かれる人々は、その家族や従者、雇われ人まですべて連座させられ死刑になったと(そのようなことはない )とられかねない説明が一部にあり、ちょっと首を傾げました。
その中でも ひとりの少女が 処刑されようとする直前、死刑台上でサンソンらの顔をじっと凝視し「アナタがた、これでいいのですか? 」と咎めるように言った、という番組の描写も、伝承では 幼すぎて自分が処刑されることを最期まで分からぬまま 断頭台に首を差し込むよう説明された幼女が、教えられたとおり身体を伸ばしながら サンソンらのほうを振り向いて「おじちゃん、これでいいの?」と尋ねたという、そのあまりにもイノセントな口調が周囲の人々の涙を誘ったとされる伝承のはずで、番組の描写とは かなりニュアンスが異なります。
むしろこの番組の中で ぜひ採りあげてほしかった逸話は、死刑件数が革命期より激減して以降、シャルル=アンリの孫 六代目アンリ=クレマンが「商売道具」たるギロチンをなんと 借金の形(かた)に質入れしてしまったという、時代を象徴するような、笑うに笑えないエピソードです。
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が、ちょっと惜しい。
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録画機能付TVに録っておいたきり放置していたNHK-BSダークサイドミステリー(2021年 9月 9日放送回 )シャルル=アンリ・サンソンを描いた「美しき処刑人が見たフランス革命 - なぜ理想は恐怖に変わったのか?」 - を、ようやく本日になって視聴しました。
フランス革命期にパリの死刑執行人を務めたサンソン家の4代目当主シャルル=アンリ・サンソンが主人公のドキュメンタリー。
人の命を奪う使命。だからこそ命を愛し法に厳格に生きた誇り高き処刑人サンソン。
権力者からは道具として使われ、庶民からは差別を受けた悲運の生涯から、革命の光と闇に迫る。
自由と平等の革命に取り残され、不当な差別と偏見に苦しむ日々。
理想を求める革命が派閥争いの恐怖政治へと変わり、子どもまでギロチン刑にかけられる悲劇。
命とは? 人権とは? 時代の混乱と矛盾を、処刑台から見つめ続けた男の生涯を通して描く。
【ナビゲーター】栗山千明
【出演】成蹊大学名誉教授…松浦義弘、大阪大学外国語学部 非常勤講師・作家…西川秀和
【声】宮野真守、 【語り】中田譲治、 【司会】青井実
(以上 青字 NHKホームページより )
フランス革命期にパリの死刑執行人を務めたサンソン家の4代目当主シャルル=アンリ・サンソンは、王ルイ16世、王妃マリー・アントワネット、エベール、カミーユ・デムーラン、ダントン、ラヴォアジェ、ロベスピエール、サン=ジュスト、シャルロット・コルデー といった、この激動の時期の処刑ほとんどに立ち会った重要人物であると言われます。
その処刑人としての苦悩と同時に時代的背景が興味深く描かれ・・・ るには、いまひとつでした。短い番組だったのに些(いささ)か 長ささえ感じました。
ちょっと もったいなくて、私 発起人、思わず つぶやきます。
ドキュメンタリーとしてのテーマを明確に絞り切れなかった構成、そんな散漫な印象が残ります。
そんな番組の中で、いくつか気になった点が・・・。
死刑執行人という立場について、アンリ・サンソンが「私は 斧の振るい手ではなく、斧だったに過ぎない。斧が裁かれることはない」と述べた - と 番組の中で 西川秀和氏が紹介していました。
が、この有名な言葉は、たしか革命裁判所の検事フーキエ・タンヴィル(もしくはタンヴィルと一緒に出廷した被告人)が ロベスピエール失脚後に罷免/告発され、今度は裁かれる立場で法廷に立った時の主張で、少なくともサンソンが発した言葉ではなかったと思うのですが。
また、革命裁判所で裁かれる人々は、その家族や従者、雇われ人まですべて連座させられ死刑になったと(そのようなことはない )とられかねない説明が一部にあり、ちょっと首を傾げました。
その中でも ひとりの少女が 処刑されようとする直前、死刑台上でサンソンらの顔をじっと凝視し「アナタがた、これでいいのですか? 」と咎めるように言った、という番組の描写も、伝承では 幼すぎて自分が処刑されることを最期まで分からぬまま 断頭台に首を差し込むよう説明された幼女が、教えられたとおり身体を伸ばしながら サンソンらのほうを振り向いて「おじちゃん、これでいいの?」と尋ねたという、そのあまりにもイノセントな口調が周囲の人々の涙を誘ったとされる伝承のはずで、番組の描写とは かなりニュアンスが異なります。
むしろこの番組の中で ぜひ採りあげてほしかった逸話は、死刑件数が革命期より激減して以降、シャルル=アンリの孫 六代目アンリ=クレマンが「商売道具」たるギロチンをなんと 借金の形(かた)に質入れしてしまったという、時代を象徴するような、笑うに笑えないエピソードです。
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