本記事は、6月19日の「人気記事ジャズ ランキング」で 第1位となりました。
皆さまのおかげです、これからも 何卒よろしくお願い申し上げます。


Getz Children Of The World (CBSソニー 25AP-1696 ) スケルツォ倶楽部 ⇒ 全記事 一覧は こちら
午後のジャズ喫茶 「カフェ ソッ・ピーナ」から
  ⇒ メニュー画面は こちら

スヌーピーのジャケット
+ 村上春樹のライナー・ノーツ
= スタン・ゲッツ


 こんにちは、スケルツォ倶楽部“発起人” 妻 のコーナーです。
 ここ ジャズ喫茶「ソッ・ピーナ」は、わたしのお気に入りの場所。毎週足を運んでは 音楽オタクで独身の二代目マスターが選んでくれるジャズ周辺のディスク を、立派なオーディオ装置の大音量で聴かせてもらいつつ、「まあまあ美味しいコーヒー」を楽しみながら、貴重な午後のひと時を マスターのウンチク談議 に耳を傾けてあげてます。
 さて、入口に吊ってあるカウベルの音マーラーの6番を連想しつつ お店に入ると、今日は メロディアスな、そして十分に潤いある独特なテナー・サックスの音色が 店内空間一杯に鳴り切っています。

マスター「いらっしゃいませ 」
わたし 「こんにちは。この音、スタン・ゲッツ でしょ。針音が目立つから、今日はLPレコードかかっているというわけね 」
マスター「正解。はい、これです(・・・と、ジャケットを わたしに見せてくれる ) 」
わたし 「あら、懐かしい! 従兄弟が持っていたLPだわ。お洒落にサングラスをかけたスヌーピーシュローダーの弾くピアノの上に ちょこんと座って テナー・サックスを格好良く吹いてるジャケット。ブロウに吹き飛ばされてるウッドストックも何気に可愛い。それに このレコードのライナーったら、村上春樹の名文なのよね。なぜかCDの解説書には転用されなかったから、このLPって 意外に貴重品なんだよ 」
マスター「へえー、それは知りませんでした。今まで お店にはLPしか置いていなかったので、これと CDの解説書とを 読み比べる機会なんか ありませんでしたよ 」
S.Getz_Children of The World_1979_CBS  ( 通称「スヌーピーのゲッツ 」! ) 
スタン・ゲッツ Stan Getz 1979年(CBSソニー 25AP-1696 )
「チルドレン・オブ・ザ・ワールド Children Of The World 」
  
  スタン・ゲッツ Stan Getz (テナー・サックス )
  ラロ・シフリン Lalo Schifrin (アレンジ、指揮、ピアノA-6 )
  アンディ・ラヴァーン Andy Laverne (ピアノ、フェンダー・ローズ )
  マイク・メルヴォイン Mike Melvoin (フェンダー・ローズ )
  マイク・ラング Mike Lang(シンセサイザー )
  クラーク・スパングラー Clark Spangler(シンセサイザー )
  ソニー・バーク Sonny Burke(シンセサイザー A-1、4、6 )
  デニス・バディマー Dennis Budimer(ギター )
  ティム・メイ Tim May(ギター )
  ポール・ジャクソン Paul Jackson(ギター A-1、4、6 )
  エイブ・ラボリエル Abe Laboriel(エレクトリック・ベース)A-3で見事なソロあり
  スタンリー・クラーク Stanley Clarke(エレクトリック・ベース A-1、4 )
  ヴィクター・ジョーンズ Victor Jones (ドラムス )
  ラリー・バンカー Larry Bunker(ヴィブラフォン)
  ポーリーニョ・ダ・コスタ Paulinho da Costa(パーカッション )
  ジョー・ポーカロ Joe Porcaro(パーカッション )
  ボブ・ツェンミッティ Bob Zemmitti(パーカッション )
  スティーヴ・フォアマン Steve Forman (パーカッション )
録音:1978年12月20~21日、LA

 Side-A
  1.Don't Cry For Me Argentina (04:31 )
  2.Children Of The World (05:35 )
  3.Livin' It Up (05:26 )
  4.Street Tattoo (05:15 )
  5.Hopscotch (03:23 )
  6.On Rainy Afternoons (02:41 )
 Side-B
  1.You, Me And The Spring (06:45 )
  2.Summer Poem (08:22 )
  3.The Dreamer (05:47 )
  4.Around The Day In Eighty Worlds (06:57 )
 
 このレコードは、アルゼンチンブエノスアイレス出身、ジャズ・ピアニスト、アレンジャーでもある作曲家ラロ・シフリンLalo Schifrin、1932年6月21日生まれ )の貢献度が大きく、彼は「ミッション・インポッシブル 」「燃えよドラゴン 」「ダーティ・ハリー 」など 映画音楽の分野では有名でしたが、ここではアルバム全曲のアレンジ、及び 殆どの作曲も担当しています。
 1950年代にはクール・モダン派、60年代にはボサノヴァとジャズとの融合にと大活躍した名テナー・サックス奏者スタン・ゲッツStan Getz 1927~1991)は、このラロ・シフリンの多彩な編曲スコアに乗せて、素晴らしく潤いのあるインプロヴィゼーションを繰り広げています。シフリンとは、約15年前 ヴァーヴレーベルに「リフレクション Reflection 」(ユニヴァーサル/ビクター UCCV-9103 )というアルバムを制作(1963年 シフリン & クラウス・オガーマン編曲担当 )した実績がありましたから、今回は 2度目の共同制作ということになります。
Lalo schifrin_ nsensate(Verve)  Stan Getz「Reflection 」(Verve_UCCV-9103) 
 参考:(左写真ラロ・シフリン Lalo schifrin 右写真)意欲作「Reflection(Verve)」 ゲッツのソロ、ラロ・シフリンクラウス・オガーマンによるオーケストラ伴奏(1963)。
 コーラス入り(!)の「アーリー・オータム 」には 好き嫌いが分かれるところでは。

 国内盤「スヌーピーのゲッツ 」 LPは 村上春樹氏によるライナー・ノート 
 「スヌーピーのゲッツ」CD再発時、ライナーノーツが岩浪洋三氏の平凡な解説に差し替えられていることを知って、わたしは とてもがっかりしました。それほどまでに LPライナーに掲載されていた村上春樹氏の文章が印象深かったためです。
 そこで、今回 スケルツォ倶楽部の皆さまにだけ、国内盤LPでしか読むことが出来なかった、村上春樹氏の個性的なライナー・ノーツから その「一部 」を ご紹介させて頂きましょう。さすが名文です。以下、フォントの色を変えている部分村上氏の文章です。

 ある種の人々はドーナツについてこのように語る。
 私はたしかにドーナツを食べた。しかしドーナツの穴まで食べた覚えはない。だから今でもドーナツの穴はどこかに存在しているはずだ、と。
 もちろんそんな詭弁に納得する人も居るまいが、文章を手だてとして音楽を語ろうとする時、僕たちが多かれ少なかれこういった「ドーナツ・ホール・パラドックス 」に巻き込まれざるを得ないのも事実だ。音楽を語る折りに覚えるちょっとしたもどかしさ、後ろめたさ、そしてある時には胡散臭さといった感情は結局実体のない空間を手に取ろうとする時のもどかしさであり、後ろめたさでもある。もちろん、だから音楽を語ることに何の意味もないと言うわけではない。僕たちの語る言葉がカントの言うところの「幻想から生じた誤解 」に過ぎぬとしても、そういった「誤解 」を無数に積み上げることによって本質に限りなく近づいていくことは可能であるはずだからだ。言語というものは本来そういった機能しか有してはいない。そして機能が音楽を対象とする時に限界性を最も明確な形で露呈する、というだけのことだ。
 それでは音楽を作り出す側の演奏者はどうかといえば、彼らも彼らでやはり僕たちとは違った井戸の底に居るように思える。パラドックスは彼らをも巻き込んでいる。この資本投下 ‐ 大量生産 ‐ 資本回収という車輪を休みなく回しつづける巨大な情報社会の中で、絶対芸術としての音楽(全体像としてのドーナツ)を把えることのできる天才の存在はもはや神話的でさえあるからだ。神話を取り囲んだオーラだけが巧みに取り外され、分割された聖衣のように奪い合われる。
                           ◆
(中略 )
 もしテナー・サクソフォニストとして以外のスタン・ゲッツの姿を想像してくれと言われれば、僕は躊躇なく野球選手を選ぶ。ゴールデン・グラヴ賞に輝くニューヨーク・ヤンキーズの名ショート・ストップなんてどうだろう。打順は6番、終身打率は2割7分。(ちなみに3番はソニー・ロリンズ、4番ジョン・コルトレーン、5番デクスター・ゴードン
 文学の領域で彼のイメージを求めるとすればスコット・フィッジェラルドが「グレート・ギャツビイ」で見事に描ききった薄幸の青年ジェイ・ギャツビイ以外にはなかろう。心に癒し難い影を残したまま成功の階段を上り詰め、毎夜遠くの灯台の灯を眺めては果てのない想いに胸を焦がすジェイ・ギャツビイ・・・。
 そういった脈絡のない一連のイメージから共通点として浮かび上がってくるものは、ある種の夢の持つ茫漠とした悲しみであり、甘美な香りである。時折僕には、このシャープでシャイで、傲慢とも言えそうなほどのナイーヴさを漂わせた永遠のジャズ青年が自己の中心に据えたものは「創造の神 」ではなく、こういった「見果てぬ夢 」ではなかったかと思えることがある。「アメリカン・ドリーム」と呼ぶこともできるだろう。フィッジェラルド風に呼べば「冬の夢 」ということになる。(中略)
 彼の名声を決定的なものとした1950年を前後する一連のルースト・レコーディングに注意深く耳を傾けた人なら、そのクールな外皮にひっそりとつつまれた青年スタン・ゲッツの危うげな、そしてそれだけに聴く者の心を打つ魂の彷徨を辿ることができるだろう。それは愛憎、明暗、プライドとコンプレックスといった対立する極をそれぞれに内包しながら、しかもその完璧な様式を崩さぬ稀有な例として、その輝きを今も失ってはいない。もし他にそういった演奏あるいは演奏家を求めるなら、チャーリー・パーカー以外にいないだろう。しかしながらチャーリー・パーカーが素晴らしいインプロヴィゼイターであると同時に偉大なイノヴェーターでもあったのに対して、スタン・ゲッツはいわば一個のスタイリストに過ぎなかった。トルーマン・カポティー (原文のママ )  がスタイリストであると言うのと同義において。
 そして若くしてある種の完璧さに到達した良質なスタイリストの常として、スタン・ゲッツはそれ以降の人生の多くの部分を「発展的後退 」とでも呼ぶべき作業に費やさねばならなかった。それはちょうどドミノ牌を積み上げるように骨の折れる、神経を滅入らせる作業だ。しかしそういった時期のスタン・ゲッツの演奏の軌跡を丹念に辿ってみて、彼がどれほど素晴らしく、良心的な仕事をなしとげたかを眺める時、僕は感動さえ覚える。そういった質の感動はちょっと他に例を見ない。「至上の愛」も「ビッチェズ・ブリュー (原文のママ) 」も その種の感動とは無縁である。
 しかし破局は1954年にやってきた。その果てしなく続くようにも思える緻密な作業の連続は彼の神経をズタズタに引き裂いていたのだ。麻薬、深酒、強盗未遂事件、逮捕、自殺未遂といった様々な暗黒が彼の頭上にのしかかり、そしてその暗いパッセージは彼の追い立てられるようなヨーロッパへの逃避によってしめくくられた。もちろんスタン・ゲッツは麻薬と訣別によって再起を遂げるわけだが、その後のゲッツを(少なくともそれ以前ほどには)好まぬというファンも数多くいる。彼が生きのびたかわりに、彼の中の何かが死んでしまったのだ、と。悲しいことだがこれは事実である。40年代後半から50年代前半にかけての虚実の狭間をさすらうばかりの瑞々しいリリシズムは確かにその影を潜めた。しかしそれ以後のゲッツがつまらなくなったとは僕には思えない。その後のゲッツのプレイにはひとつの感性の死さえも自らの目で見据えてきたという強さとスケールの拡がった優しさや悲しみが加わったように僕には感じられる。
                           ◆
(中略 )
 僕が最初に買ったゲッツのLPはヴァーヴの「フォーカス」、二枚目は「ウイスキー・ア・ゴーゴー(原文のママ)だった。大学に入ってからは迷惑にならぬように(といった気持はわかってもらえるかな?)開店直後のジャズ喫茶に通っては、「イン・ストックホルム」や「ウエスト・コースト・ジャズ」といった手に入りにくかったレコードをリクエストした。だから「オーバー・ザ・レインボウ」や「イースト・オブ・ザ・サン」のフレーズと共に思い起こすのは 朝一番のコーヒーをたてる香りだ。(中略)


 肝心の当盤「スヌーピーのゲッツ」について、実は 村上氏は あまり多くを割いてはいません。CBSにおける前作3枚( 「ベスト・オブ・ザ・トゥー・ワールド」、「ピーコック」、「アナザー・ワールド」 )について触れた後で、以下のように書いておられます。

 ・・・ ( 前三作のレコードには ) しかしながらどうにも割り切れない気持ちは残った。まず第一に自らがプロデューサーを兼ねることによってプレイにいささかの隙の見受けられること。往年の緻密なプレイを愛した者にとって、これはいかにも辛い。第二に時折感じられる隠居芸的な雰囲気。これはこれでなかなか味わい深いものではあるのだが、僕の求めるスタン・ゲッツはそういったスタン・ゲッツではない。僕が愛すのは永遠の夢を追い、荒野を歩むスタン・ゲッツである。
 ただ、この第4作目のLP「チルドレン・オブ・ザ・ワールド」はそういった僕の不安をさっぱり、とはいかぬまでもかなり吹き飛ばしてくれた。作曲・アレンジ・指揮の分野で才人ラロ・シフリンに下駄を預けたためか、ゲッツのプレイは最近にない緊迫感さえ漂わせたものとなっている。また、ラロ・シフリンのアレンジも(エコー・プレックスの多用を別にすれば)一級品である。
 このLPについてこれ以上僕が語るべきことは何もないように思える。「パイの味を知るにはパイを食べるのが一番」という古い言葉がここにも生きているわけだ。とにかく聴いて頂きたい。そしてもしあなたがA面に収められた「雨の午後には」を聴いて僅かなりとも暖かい気持ちになれたとすれば、あなたは、我が党の士である。何故ならその暖かさはスタン・ゲッツしか伝えることのできぬ暖かさであるからだ。
       以上、「永遠のアメリカン・ドリーマー/スタン・ゲッツ(村上春樹)」より抜粋


 ・・・そして 村上春樹氏は ライナーの最後に、ご自身で選ばれた 「スタン・ゲッツ・ベスト・コレクション 」 なるタイトルを、ゲッツが活動した5つの時期に分けて それぞれ列記しておられます。
 さすが早稲田大学の学生時代からジャズ喫茶 「ピーター・キャット 」 のオーナーを務めてこられたご経験から、実に的を射た 絶妙なセレクトなのですが、しかし、こちらについては また別の機会に ご紹介させて頂きましょう。どうぞお楽しみに!


 名曲「雨の午後には On Rainy Afternoons 」
 ・・・村上春樹氏も 注目の一曲。
 A面の最後に配された、短いけれど こんな雨の日の静かな午後にぴったりの一曲。作曲者ラロ・シフリン自身が弾く 静かなピアノのコードに乗せ、名手ゲッツのテナー・サックスが 耳元で囁いてくれる 最高に素晴らしい演奏です。
マスター「この曲の“ ヴォーカル・バージョン”を、聴いてみますか? CDですけど」
わたし 「・・・え? 『雨の午後には 』って、この『スヌーピーのゲッツ 』のために書かれた オリジナル曲ではなかったの?」
マスターラロ・シフリンの曲には違いないですが、バーブラ・ストライザンド Barbra Streisand のアルバム『ウエット Wet (1979年 CBS ) 』A面4曲目同一曲で、どちらも ほぼ同時期にリリースされたものなんです。興味深いことに 曲のアレンジも 殆ど一緒ですよ。バーブラ盤でピアノを弾いているのは シフリン本人ではなく、ゲッツ盤の中でシンセサイザー奏者として参加している マイク・ラング なのです 」。
 バーバラ・ストライザンド「ウエット」(1979年)CBS
バーブラ・ストライザンド Barbra Streisand
「ウエット Wet (1979年CBS ) 」
 1.ウエット Wet
 2.カム・レイン・オア・カム・シャイン Come Rain Or Come Shine (「降っても晴れても 」 )
 3.スプリッシュ・スプラッシュSplish,Splash
( “バチャ バチャ” といった擬音語 )
 4.雨の午後には On Rainy Afternoons
 5.アフター・ザ・レイン After The Rain
 6.ノー・モア・ティアーズ No More Tears(Enough Is Enough )
 7.ナイアガラ Niagara
 8. アイ・エィント・ゴナ・クライ・トゥナイト I Ain't Gonna Cry Tonight
 9.キス・ミー・イン・ザ・レイン Kiss Me In The Rain


マスターバーブラ・ストライザンドの このアルバム『ウエット 』は、『水 』をテーマにしたコンセプト・アルバムなんですよ 」
わたし 「あ、ドナ・サマーとのデュエットで大ヒットした“No More Tears”も入ってる。涙、滴、雨、滝・・・ タイトルが全部 水に関係あるのね 」
マスター「 『ゲッツのスヌーピー』における、名曲『 雨の午後には On Rainy Afternoons 』では、バーブラの歌唱パートを そのままスタン・ゲッツがテナー・サックスで歌っている、と言い換えることも出来ます 」
わたし 「あらためて、どちらも素晴らしいことがわかりました 」

 ・・・もとい。1979年は「国際児童年 」。
わたし 「ところで、この 『 スヌーピーのゲッツ 』の正式なタイトル『Children Of The World( 世界の子供たち ) 』という まるで取ってつけたような名前には 何か意味があるのかしら」
マスター「はい、よい質問ですね 」
わたし 「・・・って、先生みたい 」
マスター「このレコードが発表された1979年は、ユニセフの「国際児童年(I.Y.C.)」( International Year of the Child )だったんです。もともと『 児童の権利宣言(子どもは 子どもとしての権利をそれぞれ持つ、とした宣言 ) 』だけは1959年からありましたが、宣言だけでなく、実際に効力のあるものができないか、と考えた大人たちがいました。彼らの努力によって20年後の1979年、この『国際児童年』、世界中の人々が 子どもの権利について考える好機になった と言われてます 」
わたし 「ふーん ・・・でも、それって 音楽と関係あるの? 」
マスター「 『国際児童年記念として 世界中でミュージシャンがユニセフ協賛歌を制作、レコード売上の印税をユニセフに寄付したそうです。スタン・ゲッツラロ・シフリンが、と言うよりも 当時CBSのブルース・ランドヴァルの意向で ユニセフに協力することになり、国際児童年を記念した『子どもたちに関係のあるテーマで一枚のアルバムを・・・ 』という企画になったようです。『スヌーピーのオリジナル・ジャケットにしよう 』というアイディアも おそらくこの過程で発想され、チャールズ M.シュルツに委嘱したものでしょう 」
わたし 「ふんふん 」
マスター「 しかし 実際には、ゲッツシフリンも タイトルを含む音楽以外の部分や 音楽を収めるパッケージそのものには あまり興味がなかったのではないかと思うのです、ここは ボクの憶測になりますが ―  」
わたし 「ユニセフに協賛したレコードは これ以外にもあったのかしら?」
マスター「それこそ グローバル・スケールで集まったようですよ。特にビージーズ Bee Gees 失われた愛の世界 Too Much Heaven(写真左 ) 』あたりが 特に有名でしょう。何しろ1979年の全米ナンバーワン・ヒットですから、この印税の貢献は 大きかったでしょう。また、わが国のポップ=ロック・グループ、ゴダイゴ Godiego の『ビューティフル・ネーム Every Child Has A Beautiful Name(写真右 ) 』もユニセフへの協賛歌で、同年 国内年間チャート第2位のヒットでした 」
ビージーズ「失われた愛の世界」(79ユニセフ協賛歌) ゴダイゴ「ビューティフル・ネーム」(79ユニセフ協賛歌) いずれも1979年のユニセフ協賛歌

マスター「音楽業界からの世界的規模による後援の甲斐もあって、その後『子どもの権利条約 』は国連で採択され、1990年には 国際条約として発効したのだそうです 」
わたし 「へー。じゃ、スタン・ゲッツラロ・シフリンチャールズ・M.シュルツスヌーピーは、このレコードの売上を『子どもの人権確立 』のために役立てたというわけね ! 」
「スヌーピーのゲッツ」ジャケットを眺める発起人(妻)ソッ・ピーナにて ジャケットをしげしげと眺める発起人(妻)

 付記( ・・・ここだけ マスターの独り言)
 「スヌーピーのゲッツA面1曲目は、アンドルー・ロイド・ウェバー作曲のミュージカルエヴィータ(1978年 ) 」からのナンバー「アルゼンチンよ、泣かないで Don't Cry for Me Argentina 」で始まるのですが、アルバムのこれ以外の収録曲は すべてラロ・シフリンのオリジナル作品で占められているので、アルバム全体を通して聴くと 何故 冒頭にこの一曲を入れたのか、大きな違和感が残ります。
 このレコードの海外盤のライナーには、当時CBSプロデューサーだった ブルース・ランドヴァルからの「お勧め 」があったから、などと ゲッツシフリンも 二人とも異口同音に わざわざ書いているほどですから、これを勘ぐれば 本来 演奏家たちが意図していなかった不本意な選曲を フロント(ランドヴァル)に強制されたから、と 読めないこともありません。これは スタン・ゲッツの感性ではあり得ません。
 実際「ドント・クライ・フォー・ミー ~ 」だけが コーラスまで付けた大編成オーケストラをオーヴァー・ダビングまでして録音されているのに対し、他のオリジナル曲は いずれも少人数のすっきりしたバンド編成が基本なのです。冒頭のミュージカル・ナンバーだけが完全に浮いているばかりか、アルバムの統一感さえ破壊している、とまで思うのです。これは いっそ敢えてアルバムから外してしまうか、少なくともA面1曲目に配することだけは 避けるべきだったでしょう。ジャズのアルバムにおいて 冒頭の1曲目というのは それほど大事なポジションだと思うのです。

 佳演「 ユー・ミー・アンド・ザ・スプリング You, Me And The Spring 」
わたし 「・・・じゃ マスターだったら、どの曲を代わりにA面トップに置きたい? “ 雨の午後 ~”? 」
マスター 「いえいえ、それはA面ラストの位置のままで。“雨の午後 ~ ”は、あそこがベスト・ポジションです。もし ボクがアルバム冒頭に置くとしたら、ゲッツらしい お洒落なボサ・ノヴァのリズムを借りた、“ユー・ミー・アンド・ザ・スプリング You, Me And The Spring ”ですねー、やっぱり 」
わたし 「なるほど・・・チャールズM.シュルツが描いた スヌーピー素晴らしいジャケット画にも曲想が合ってるし、アンディ・ラヴァーンシュローダーみたいなアコースティック・ピアノにも相応(ふさわ)しいかも・・・ 」
マスター「ここで もう一度 “ユー・ミー・アンド・ザ・スプリング You, Me And The Spring ”聴き直してみますか? 」
わたし 「お願いしまーす。 ・・・あ、そう言えば オーダーするの 忘れてた! 」
マスター「うひゃあ、そう言えば お冷(ひや )のタンブラーも おしぼりも出してなかった! 」
わたし 「・・・ブレンド ひとつ(笑 ) 」


次回 「1973年のピンボール」と、スタン・ゲッツの「ジャンピング・ウィズ・シンフォニー・シッド」 は こちら・・・


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