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短期連載 
ジャコ・パストリアス ~ A Remark You Made

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ジャコ・パストリアス ~ A Remark You Made

11.デモ・テープ

「ミスター・ザヴィヌル?」
名前を呼ばれて振り返ったジョー・ザヴィヌルの顔を 一目見るなり、ジャコは仰天した。
「あ・・・ 神さま ! 」
ジャコの脳裏には 前世での最期の記憶が鮮明に甦った。それは、フォート・ローダーデイルの深夜営業のクラブで ボコボコに殴打された自分を助け起こしてくれた神様と同じ顔だったからだ。
ああ・・・ おっしゃっていた「再会」とは、今日の この日のことでしたか、瀕死の私を救ってくださった、あの慈悲深き神様の御顔を 忘れられるものですか。
Joe Zawinul
「コンサートを聴いてくれて ありがとう。すまんが、この後 メンバーと反省会なんだ。ご用なら 手短に頼む 」
と、「熱烈なファン」に 事務的な対応をしようとするザヴィヌルの言葉を 遮(さえぎ)って、ジャコは 突然 その場に ひざまずいた。
「か、神さま、お忘れですか? ほら、俺です。フロリダで あなたに救って頂いたジョン・フランシス・アンソニー・パストリアス三世ですよ。必死に努力して、今や世界一のベース・プレイヤーになりました 」
初対面の相手からの予期せぬ態度にザヴィヌルは 驚き、思わずファイティング・ポーズで身構えるほどだった。
「はあ? コイツ 一体何を 言いだすんだ? 」
身の危険まで感じ、思わず二、三歩 後ずさりまでするザヴィヌル。
その時、ジャコは 今朝ここへ来る送迎バスの中で 自分のベース・プレイをマイアミ大学の生徒らに聴かせる目的で、“フロリダ・デモ”をダビングしたカセット・テープを 尻ポケットに突っ込んでいたことを 思い出した。そうだ、神様に俺が演奏したテープを聴かせることができるぞ。
「神さま、どうか俺を思い出してください 」

ザヴィヌル-3
「あっちへ行け、とっとと失せやがれ ! 」
腹を立てつつも ザヴィヌルは、この「ヤバイ奴 」から手渡されたカセット・テープを 無意識に上着のポケットに放り込んだ。
楽器運搬クルーに囲まれ、悪態をつきながら その場から遠ざかってゆくザヴィヌルの手中には、しかしジャコのデモ・テープが しっかりと渡っていた。


⇒ 次回につづく

事実に基づいたストーリーですが、ドラマの文章は“発起人”創作で 架空のものです。

参考文献
「ジャコ・パストリアスの肖像」ビル・ミルコウスキー(湯浅恵子/訳)リットー・ミュージック
「ワード・オブ・マウス / ジャコ・パストリアス 魂の言葉」(松下佳男)立東舎文庫
季刊ジャズ批評118号「特集ジャコ・パストリアス」ジャズ批評社
ジャズベース・プレイヤー Vol.4「オール・アバウト・ジャコ・パストリアス」シンコーミュージック・エンタテイメント
「NO BEETHOVEN ウェザー・リポート&ジャコ・パストリアスと過ごした日々」ピーター・アースキン(川嶋文丸/訳、松下佳男/監修)アルトゥス・ミュージック
「ALL ABOUT WEATHER REPORT」シンコーミュージック・エンタテイメント
「ザヴィヌル ウェザー・リポートを創った男」ブライアン・グラサー(小野木博子/訳)音楽之友社

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