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短期連載 
ジャコ・パストリアス ~ A Remark You Made

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ジャコ・パストリアス ~ A Remark You Made

7.最初のレコーディング

 ピーター・グレイヴズのビッグ・バンドに参加したり アイラ・サリヴァンとの交流を深めたりするうち、ジャコの関心は 単純なR&Bから より高度で本格的なモダン・ジャズへと移っていた。成長を遂げつつあるジャコの音楽的嗜好、それは 前回の「クライテリア・セッション 」の高いクオリティを 聴けば、明白だ。

 ちょうどそんな頃だった、かつてジャコが熱烈にアイドル視していたマイアミのR&Bシンガー、リトル・ビーヴァーのレコーディング・セッションに ベーシストとして参加しないかという声がかかったのは。 ・・・ああ、つい数年前だったら かつての(Used To Be )R&B少年は それこそ舞い上がって喜んだに違いないものを、この時 23歳になっていたジャコは 彼自身 意外なほど冷静にオファーを受けたものだ。そして初めての商業レコーディングへの参加となるプロ・スタジオまで足を運ぶ。左手にベースケースを提げていたため 片手で押し開けたスタジオのぶ厚い防音ドアは、ジャコには 思いのほか軽く感じた・・・。

リトル・ヴィーヴァー Young Jaco Pastorius スケルツォ倶楽部
リトル・ビーヴァー Willie ”Little Beaver” Hale
アルバム「パーティ・ダウン 」Party Down
収録曲:Party Down、Money Vibrations、Get Into The Party Life、I Can Dig It Baby、Let The Good Times Roll、Let’s Stick Together
録 音:1974年 5月、フロリダ
音 盤:CAT 2604 (国内盤 CRCD5059 )

 ジャコは、Nelson “JOCKO”Padron なる表記で B面冒頭 I Can Dig It Baby にのみ参加。これ一曲だけというのが惜しまれるほど 素晴らしいベース・プレイ。
 イントロでいきなり 彼の名刺代わりでもある 華麗なハーモニクスの重音が美しく煌めく。だが決して必要以上にスタンドプレイが目立つようなことはなく、後年のジャコを知る私たちにとっては 控えめなくらいだ。ゆったりとした横揺れの快適なリズムのもと、指先からいくつもの細かいパルスを正確に発射させ、バンド・サウンドに どっしりとしたグルーヴ感を醸し出している。

レコーディングを終えたばかりのスタジオで、
「オマエ、若いのに大した腕だなあ 」
と、少年時代には敬愛の対象だったリトル・ビーヴァー本人をはじめ、録音プロデューサーのスティーヴ・アライモも ウィリー・クラークも皆 口を揃えて ジャコのベースを絶賛した。
「どうだい、しばらく 俺たちと一緒にやらないかい?」
が、ジャコは もはやR&Bを卒業していた。丁寧に断ってスタジオを後にする。
「あいつ、きっといい音楽を聴いてきたんだろうなあ 」
黒人ミュージシャンたちからの名誉な言葉を背に受け、さあ、今度は 急いでマイアミ大学へ行かねば。
 
 週二回、カレッジではジャズの“師匠”アイラ・サリヴァンが、音楽志望の学生に ジャズ・クリニックを施していた。ジャコの才能に惚れこんだジャズ学部長の厚意で、すでにジャコは サリヴァン師匠の“助手”のような立場で、カレッジに出入りすることを許されていた。いや、学内へ出入りする以上に、師匠が遠方へ演奏旅行に出かけた週などは、ジャコが代わりに学生たちに指導することも珍しくなかった。ジャコの教授は なかなか実践的で、年下の大学生たちの間でも評判だった。

 そんなジャコの授業の様子を 廊下から覗いている一人の若者が いた。
 ・・・パット・メセニー。ギター科の講師だった。

⇒ 次回につづく

事実に基づいたストーリーですが、ドラマの文章は“発起人”創作で 架空のものです。

参考文献
「ジャコ・パストリアスの肖像」ビル・ミルコウスキー(湯浅恵子/訳)リットー・ミュージック
「ワード・オブ・マウス / ジャコ・パストリアス 魂の言葉」(松下佳男)立東舎文庫
季刊ジャズ批評118号「特集ジャコ・パストリアス」ジャズ批評社
ジャズベース・プレイヤー Vol.4「オール・アバウト・ジャコ・パストリアス」シンコーミュージック・エンタテイメント
「NO BEETHOVEN ウェザー・リポート&ジャコ・パストリアスと過ごした日々」ピーター・アースキン(川嶋文丸/訳、松下佳男/監修)アルトゥス・ミュージック
「ALL ABOUT WEATHER REPORT」シンコーミュージック・エンタテイメント
「ザヴィヌル ウェザー・リポートを創った男」ブライアン・グラサー(小野木博子/訳)音楽之友社

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