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スケルツォ倶楽部 
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2020年ウィーン・フィルのニューイヤーを振る
アンドリス・ネルソンスに期待。
ベートーヴェン生誕250周年「コントルダンス 」を予習する。


スケルツォ倶楽部 2020年ウィーンフィルのニューイヤー アンドリス・ネルソンス
    「毎年元旦の恒例行事、ウィーン・フィルニューイヤー・コンサート
わたし 「音楽の都 ウィーンムジークフェライン・ザールから 世界中に中継される “音楽の年賀状”よね。2020年の指揮者は 誰かしら 」
    「若々しいイメージのアンドリス・ネルソンス Andris Nelsons(1978- )が初登場。ごく最近 ベーム、バーンスタイン、アバドに続いて ドイツ・グラモフォンからリリースされた ウィーン・フィルとの ベートーヴェン / 交響曲全集が注目を集めている、今が旬な指揮者だろ 」
わたし 「その人、わたし あまり詳しく知らないなー。でも検索してみたら 過去二回ほどニューイヤーの指揮台に立った名指揮者マリス・ヤンソンスと同郷、ソ連解体とともに独立したバルト三国の一つ ラトヴィア共和国の首都リガ出身ですって 」
    「おっ、リガといえば、若きリヒャルト・ワーグナーゆかりの地としても知られるな 」
⇒ ワーグナーの劇的な前半生

アンドリス・ネルソンス Andris Nelsons アンドリス・ネルソンス Andris Nelsons
アンドリス・ネルソンス Andris Nelsons(1978- )

わたし 「ええと・・・ Wikiによれば、ネルソンスって 最初ラトヴィア国立歌劇場管弦楽団の首席トランペット奏者( ! )。で、指揮法はアレクサンドル・ティトフ、ネーメ・ヤルヴィ、ヤンソンスに師事・・・ 」
   「2003年から 同歌劇場の首席指揮者に就任 」
わたし 「オーケストラピットから指揮台に登ってきたというわけね(笑 ) 」
   「その後、北西ドイツ・フィルハーモニー首席、バーミンガム市交響楽団ボストン交響楽団の音楽監督を歴任、そして今年春に来日公演もこなした ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団楽長(カペルマイスター )も務めている 」
わたし 「客演指揮したオーケストラの名前を列記すると、そのままヨーロッパ中の殆ど主要な(なぜかイタリアを除く )オケのラインナップになってしまうほど 」。
   「ロイヤル・コンセルトヘボウ管、チューリッヒ・トーンハレ、バイエルン放送響、ベルリン国立歌劇場管、フランス国立管、ケルンWDR響、オスロ・フィル、フィルハーモニア管、ウィーン響、シュターツカペレ・ドレスデン、ロンドン響、ベルリン・フィル、そしてウィーンフィルと・・・ 」
わたし 「凄い ! オペラも得意 」
   「ウィーン国立歌劇場(「スペードの女王 」、「蝶々夫人 」、「トスカ 」、「カルメン 」 )、英国ロイヤル・オペラハウス(「ラ・ボエーム 」 )、メトロポリタン(「トゥーランドット 」 )、そして2010年のバイロイトでは「ローエングリン 」も指揮している 」


▲ メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド 」第4楽章
2018年 2月22-23日 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス


わたし 「動画をみる限り、颯爽とした指揮ぶりは 指揮の師ヤンソンスを思わせる、メリハリの効いた 迫力みなぎるものね 」
   「長身で大柄な体躯から振り下ろす棒さばきは エネルギッシュだよ 」
わたし 「お正月、ムジークフェラインザールからの中継に期待しちゃうなー 」
   「ネルソンス自身が組んだ 2020プログラムが、早々に発表されている(以下 ) 」
 
ウィーンフィルハーモニー logo

1.ツィーラー:喜歌劇「放浪者 」序曲
2.ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「愛の挨拶 」
3.ヨーゼフ・シュトラウス:リヒテンシュタイン行進曲
4.ヨハン・シュトラウス二世:ポルカ「花祭り 」
5.ヨハン・シュトラウス二世:ワルツ「レモンの花咲くところ 」
6.エドゥアルト・シュトラウス:ポルカ「警告なしで 」


(休憩 )

1.スッペ:喜歌劇「軽騎兵 」序曲
2.ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ「キューピッド 」
3.ヨハン・シュトラウス二世:ワルツ「もろびと手をとり 」
4.エドゥアルト・シュトラウス:ポルカ・マズルカ「氷の花 」
5.ヘルメスベルガー二世:ガヴォット
6.ロンビ:郵便馬車のギャロップ
7.ベートーヴェン:12のコントルダンスから 第1、2、3、7、10、8番
8.ヨハン・シュトラウス二世:ワルツ「人生を楽しめ 」
9.ヨハン・シュトラウス二世:トリッチ・トラッチ・ポルカ
10.ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「ディナミーデン 」

アンコール(お楽しみ )


   「ニューイヤーのプログラムは 通常、“ワルツ王ヨハン・シュトラウス二世シュトラウス・ファミリーの楽曲を中心に構成されるものだが ― 」
わたし 「同時期に活躍していた作曲家の作品も選ばれる習慣よね 」
   「ツィーラーヘルメスベルガー、そしてスッペなどオーストリアの同時代の作曲家や ウィーンフィルゆかりの作曲家などは もう“常連”といった印象だ 」
わたし 「このロンビって人、誰だっけ? 」
   「“北欧のシュトラウスハンス・クリスチャン・ロンビ(1810-1874 )はデンマークの作曲家。そういえば 2012年のニューイヤー・コンサートで、ネルソンスの師であるマリス・ヤンソンスロンビの快活な『コペンハーゲン蒸気鉄道 』を選曲していたな 」
関連記事こちら ⇒ 「鉄オタクラシック」 - 鉄道博物館と 音楽

わたし 「他に、その年が生没の記念年に当たる大作曲家の楽曲を演奏することも 近年では恒例になってるわよね 」
   「そう。たとえば、1991年には アバド没後200年のモーツァルトドイツ舞曲コントルダンスを、2009年にはバレンボイムが やはり没後200年のヨーゼフ・ハイドンの「告別」交響曲(終楽章 )を それぞれ採りあげている 」
わたし 「で、2020年は? 」
by Julius Schmid_散策するベートーヴェン
   「偉大なベートーヴェン生誕250年という重要な記念年だ。ネルソンスは『12のコントルダンス 』を選んでいる。一曲が 2分以内の短いダンスが12曲でセット 」
わたし 「知らない 」
   「貴族から注文を受けて作曲した機会音楽であるらしい。若きベートーヴェンがウィーンで活躍を始めたばかりの1795年から1802年にかけて断続的に書かれた。交響曲第1番(1800年 )や第2番(1802年 )、『悲愴ソナタ 』(1798年 )、『月光ソナタ 』(1801年 )が、同時期の作品だ 」
わたし 「『コントルダンス 』って、そもそも有名な曲なの? 」
   「中では 第7番 変ホ長調が、よく知られた有名なメロディでできているよ 」
わたし 「 ? 」
   「ネタバレ自粛(笑 )。聴いてからのお楽しみ・・・ 」

♪ 予習しましょう
ウィリー ボスコフスキーDECCA  J.シュトラウス二世(A.ドラティ編)バレエ音楽「卒業舞踏会」他 DECCA LONDON(ポリグラムPOCL-4539 )
ベートーヴェン
「12のコントルダンス 」から
ウィリー・ボスコフスキー指揮 Willi Boskovsky
ウィーン・モーツァルト合奏団 Vienna Mozart Ensemble
録 音:1969年7月10-11 & 13日 ウィーン・ゾフィエンザール
併録曲:
J.シュトラウス二世(A.ドラティ編)バレエ音楽「卒業舞踏会」ウェーバー(ベルリオーズ編)「舞踏への勧誘 」他( ⇐ アルバムとしては本来 これらがメイン、ウィーンフィルによる かなり激越な名演です )
音 盤:DECCA/LONDON(ポリグラムPOCL-4539 )

 発起人のCD棚に埋もれていた一枚が、これ( )です。
 ウィーンフィル・ニューイヤーの指揮台に、今日のように毎年入替わりで著名指揮者が立つようになる以前(1979年まで )、正月にはコンマスのボスコフスキーがヴァイオリン片手に弓で指揮(往年のシュトラウス・スタイルを踏襲 )する、彼の独壇場でした。
 「指揮者ボスコフスキーが、レコーディング・セッションのためにウィーンフィル・メンバーを中心に集められた(とされる )ウィーン・モーツァルト合奏団を率い、デッカ/ロンドン・レーベルの埋め草的レパートリー楽曲の録音を残していますが、これは、そんな一連のレコーディングのひとつでした。

アンドリス・ネルソンス Andris Nelsons ベートーヴェンの像 Beethoven Platz, Wien, Österreich
 2020年ウィーンフィルニューイヤー・プログラムとして予告されている、ベートーヴェンの「コントルダンス 」から抜粋されるナンバーは、第1、2、3、7、10、8番の 6曲です。
 興味深いことに、同じベートーヴェンの「ドイツ舞曲 」WoO.9や「メートリング舞曲 」WoO.17などが いずれも三拍子(明らかにワルツ )であるのに対し、「コントルダンス 」のリズムは、ポルカを思わせる二拍子系。そんなところも プログラム全体のバランスを みながら選曲したネルソンスの見識なのでしょう。
 以下、カッコ内に表示した演奏時間ボスコフスキー盤のもの。あくまで ご参考に。

第1番 ハ長調(00:31 )
 アウフタクトで始まる快活な楽曲、弱拍にアクセントが付くベートーヴェンらしいアイディアのおもしろい作品です。

第2番 イ長調(00:39 )
 これもシンコペーションが個性的な楽曲。第1番から続けて聴くと 急に転調したような効果が得られそうです。

第3番 ニ長調(01:07 )
 主旋律を歌う弦と管が巧みに交替する緻密なアンサンブルが特長の佳作。半音階のステップを踏みながら上昇するパートは 短くも劇的な表情をみせます。

第7番 変ホ長調(00:35 )
 第3交響曲「英雄(1804年 )」終楽章にも登場する「プロメテウスの創造物(1801年 )」の有名なテーマがここでも使われています。ベートーヴェンは この旋律がよほど気に入っていたようですね。

第10番 ハ長調(01:03 )
 冒頭からオクターヴ跳躍をみせる、高音弦の力強く魅力的なメロディ。後半は管の信号風な動きが主体となり 弦はこれに従属します。

第8番 ハ長調(00:33 )
 弦の刻みをそのまま旋律に置きかえたような親しみやすい楽曲。ニューイヤー・コンサートでは 順序を替え、最後に置かれるらしいですが、クライマックスに相応しい曲想でもないような・・・。あるいは、結尾 8小節でパーカッションが加わるため 楽曲を華やかな印象で締めくくることができる、と考えたのでしょうか。

 今回ニューイヤープログラムには 惜しくも選ばれませんでしたが、実は 第12番 変ホ長調 も 興味深い一曲です。これは フリッツ・クライスラーの愛らしいヴァイオリン小品「ベートーヴェンの主題によるロンディーノ 」の原曲と思われる旋律が (「ロンド 」WoO.41 とも同じ )、冒頭から はっきり聴きとれるからです。


おまけ

▲ ベートーヴェンの舞踏曲は稀少ですが、その晩年 第9交響曲と同時期(1822年 )に、親しい劇場支配人ヘンスラーに献呈された「祝賀メヌエット 変ホ長調」Gratulations Menuett WoO.3 ― すでに作曲技法的にも完成の域に在ったベートーヴェンの余技(?)が聴けます。


♪ 興味深い追加情報(2019年12月12日 追記 )
ニューイヤー・コンサートの「ラデツキー行進曲 ニュー・ヴァージョン

 ヨハン・シュトラウス一世作曲の「ラデツキー行進曲」といえば、ニューイヤー・コンサートのアンコールで演奏され、聴衆が手拍子でオーケストラに合わせ 盛り上がるお約束ですが、来年2020年から 何と「新しいヴァージョンで 」演奏されることが発表されたそうです。
 実は、今までニューイヤー・コンサートで使われてきた版は、シュトラウス一世のオリジナル・スコアではなく、オーストリアの作曲家レオポルト・ヴェーニンガー Leopold Weninger という人が 編曲の手を施したヴァージョンだったそうです(発起人 初耳! )。ヴェーニンガーは、父シュトラウスが元々書いた「小規模なオーケストラのために書いた原典版 」を 大編成管弦楽向けに改訂を加え、そのスコアを 1946年に ウィーン・フィルゆかりの指揮者 ヨーゼフ・クリップスが使って以来 “伝統的に”(かつてグスタフ・マーラーの遺した言葉を思い出す人も多いでしょう )使われてきたのだといいます。
 けれど ウィーン・フィル側の説明によれば、「すでにウェーニンガー編曲版は、時間の経過とともに 近年修正の手が加えられてきており、実際に聴いてみれば、これまでのものと そう大きな違いはない 」とのことなのですが(? )、ティンパニやトライアングル、グロッケンなどのパーカッション・パート全体を削除するなど 目立つ個所に手が加えられていることは間違いない様子。新版スコア楽譜文書館に作成・出版を依頼中だそうですよ。
出典 ⇒ 2019.12th.Dec. Philharmonische Version of the Radetzky March


♪ 関連記事 ⇒ アフター・シュトラウス & “バイ・シュトラウス
ヨハン・シュトラウス二世(Wiki ) ヨーゼフ・シュトラウス(Naxos)

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