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スケルツォ倶楽部 
Club Scherzo
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I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE Schroeder
鍵盤上の同音連打
素敵な効果を発揮する ピアノ曲



ビリー・ジョエル Billy Joel (1976) 
プレリュード(怒れる若者 )Prelude/Angry Young Man


 今晩は、“スケルツォ倶楽部発起人(のほう )です。
 最近は、実は詳しく知りませんが、かつて(80年代頃までの )ビリー・ジョエルがステージでオープニングを飾っていたオリジナル・ナンバーは、常にピアノの鍵盤の激しい連打で始まる、この「プレリュード ~ 怒れる若者 」でした。

 ビリー・ジョエルの関連記事 ⇒ 「ニューヨークの想い

楽譜 ビリー・ジョエル「プレリュード 怒れる若者 」
 基本16分音符の「ド」の音をひたすら連打しつつ、リズムのアクセントが付くところでは 最小限な音数でコードも叩きます。そのためには一本指で「ド」を弾き続けているようでは 演奏を続けることは無理です。右手は親指、左手は中指、交互に「ド」を叩きながら、さらに右手の中指と小指はアクセントが付く個所でコードCを構成する和音、Fを構成する和音、C△7を構成する和音をタイミングよく押さえる必要があります。・・・などと下手に説明すると 何だか難しそうですが、複数の指を駆使して一つの鍵盤を叩き続ける奏法=同音連打は、一度習得してしまえば むしろ非常に弾きやすい、合理的な方法です。

 昔から鍵盤楽器で同音連打を効果的に用いた楽曲は、やはりクラシック音楽の分野では 頻繁に弾かれてきました。
 本日のテーマはそれです。今回は できるだけ映像で確認できるよう動画で聴ける演奏を選びましたが、これはという良い演奏で 映像の無いものは、一部やむを得ず静止画となります。何卒ご承知おきください。



スカルラッティ 
ピアノ・ソナタ ニ短調 K.141
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ )


 これはトリノでのライヴ録画。冒頭に紹介したビリー・ジョエルは 両手を使う同音連打奏法ですが、多くは 右手(片手 )の守備範囲内(?)に収まるもの。この場合は 右手の指を 4-3-2-1-2-1の順で回します。
 魅力的な小ソナタを量産したドメニコ・スカルラッティ作品の中でも同音連打が効果的な一曲。このソナタを、アルゲリッチは 若い頃からアンコールピースとして繰り返し披露してきましたが、すっかり魔女のような風貌となってしまった(失礼! )近年も 変わらぬ技巧の冴えは、さすがです。



リスト 
「ラ・カンパネッラ 」
辻井伸行(ピアノ )


 この青年の演奏を聴く時、私たちは 単なる音楽の感動以上の、何か別の感情に心を揺り動かされませんか。もはや多言無用。
 以前 発起人( )が書いた、過去の記事 ⇒「前略 辻井伸行さんへの手紙



ショパン 
「華麗なる大円舞曲 」変ホ長調
ラン・ラン 郎朗(ピアノ )


 ベルリンでのライヴ録画(2018年 )。
 いかにもラン・ランらしい個性が大爆発、自由闊達で天真爛漫、伸縮自在なプレイ。この作品では 随所に聴かれる同音連打、カメラさんには ピアニストのもう少し上方から指先を追ってもらいたいものです。01:39 およびコーダの開始 03:54で 一瞬 ウィンナ・ワルツのリズムをデフォルメしてみせたところが 賛否を分けたのでしょうか。演奏後の大拍手に 仕方なく弓を振るコンサート・マスターも握手は拒否、会場の一部からもブーイングの声が聞きとれます ?



ショパン 
前奏曲 変ニ長調「雨だれ」
ポール・バートン(ピアノ )


 ドイツのピアノ・メーカー FEURICH と提携しているポール・バートン(1961~ )は、ユーチューバーの世界では有名な クラシカル・ジャンルのピアニストだそうです。演奏と同時に 上から鍵盤を映す特徴的な映像によって、ピアノ学習者は 運指や手のポジションを学べるというもの。



シベリウス
「カプリース 」Op.24-3
ポール・バートン(ピアノ )


 ポール・バートンのプレイを もう一曲、これも同音連打で知られたシベリウスのピアノ作品です。途中で 名曲「樅の木 」に似た和声進行が顔を出します。
 この動画には 楽譜のガイドは付きませんが、“ユーチューバー”ポール・バートンの個性的な解釈と実力のレヴェルに驚かされます。ペダルを抑え気味にして 音の粒立ちを巧みに際立たせ、またカメラワークのせいでしょうか、両手のポジション(弾く姿勢 )が とても美しいですね。



バラキレフ 
「イスラメイ 」
(PianoCzarX )


 こちらは、上から降ってくる光ナビ・キーボードのような画面を駆使して音楽の流れを可視化してくれる PianoCzarX
 「イスラメイ 」は、ロシア五人組のひとりバラキレフの有名曲。超絶技巧的なピアノ曲の代名詞として知られ、ニコライ・ルビンシテインリストも好んで演奏会で取り上げました。ラヴェルなどは「イスラメイ 」以上に難しいピアノ作品を作曲することを目標に作ったのが「夜のガスパール 」だったそうです。
 この演奏の音に限っては (私には )シーケンサーに組み込まれた自動演奏にも聴こえますが。


モシュコフスキ 
「スペイン奇想曲 」
バラズ・ソコレイ(ピアノ )


 Balázs Szokolay(1961~ )は、東欧出身のピアニストでフランツ・リスト音楽院のピアノ科教授。この覇気に満ちたタッチは かなりの名演ではないでしょうか。
 この後で紹介する アルベニスラヴェルと同様、スペインのギター奏法を 鍵盤に置き換えた同音連打で始まる 印象的なピアノ曲です。必ずしも有名な曲とは言えませんが、演奏効果の上がる佳作で、中間パートのハヴァネラも親しみやすいですね。作曲者の モシュコフスキは、ヨゼフ・ホフマンワンダ・ランドフスカらを育成したことで知られるポーランド系の大ピアニスト。


ドビュッシー 
「反復音のための練習曲 」
スザンヌ・アナチコーヴァ(ピアノ )


 最晩年のドビュッシーが「ショパンの追憶に」作曲したとされる12曲から成るピアノのための練習曲集で、鍵盤上で同音連打が多用される第 9曲 Pour les notes répétées は、セリー様式の作曲家ジャン=アンリ=アルフォンス・バラケに「響きとリズムの探究 」に振り当てられていると解釈されています。
 本当なら 内田光子が演奏している動画があったらよかったのですが、演奏中の運指がわかりやすい映像を優先的に選びました。Susanne Anatchkova はバイエルン出身、主にミュンヘン、バイエルン、パリを中心に演奏活動を行っている女流ピアニストです。


アルベニス 
「アストゥーリアス 」(「スペイン組曲 」第5曲 )
エステバン・サンチェス(ピアノ )


 原曲はギターのために書かれた楽曲。有名な冒頭から 弦の爪弾きをそのままピアノに移し替えれば かくのごとき奏法となります。音粒の安定感が実に素晴らしい、この名演は 知られざるスペインの名ピアニスト、エステバン・サンチェス EstebanSánchez(1934 – 1997 )によるもの。残念ながらネット上に 動画はみつかりませんでした。



ラヴェル 
「道化師の朝の歌 」 (組曲「鏡 」第4曲 )
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ )


 1964年の映像(カナダ、トロント放送局でのスタジオ・ライヴ )。01:05頃から(あるいは04:50以降 )アルベニスの「アストゥーリアス 」と同発想ですが、スパニッシュ・ギターの爪弾きの効果を模すピアノ鍵盤上での同音連打が連なる技巧的な個所が 聴きどころです。
関連記事 リヒテルを呪縛したカーネギーホールの「熱情



ラヴェル 
「スカルボ 」(「夜のガスパール 」第3楽章 )
アリス=紗良・オット(ピアノ )


 幻想的な照明の効果がプレイに神秘性まで付加した興味深い映像。演奏中 アリス=紗良さんの表情ったら まるで巫女さん・・・ これはアブナイ。そして演奏を終えた途端、まるで それまで憑依していた魔が落ちたような安堵の表情・・・ 一体どこまでが ステージを舞台とした演戯だったのでしょうか。凄いです。



プロコフィエフ 
「トッカータ 」
ユジャ・ワン 王羽佳(ピアノ )


 プロコフィエフの楽譜をセットして ダウンロードしたら、もう瞬時に演奏を聴けます - みたいな、あり得ない想像をしてしまいそうな完璧さ。元々意図的に機械のように無機質な音楽でしたが、これほどダイナミックに再現できる高度なテクニックには唸ります。
 かつてポリーニエチュード(ショパン )を初めて聴いて 心底驚いていた頃から 今はこんな遠くまで来てしまったのか。アスリートのような 女性ピアニストのステージ・ファッションも含め、ああ 時代は変わったなあ。
 2018年ルツェルン音楽祭の動画 ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=AVpnr8dI_50



ガーシュウィン 
ピアノ協奏曲 へ調 ~ 第3楽章
ユジャ・ワン 王羽佳(ピアノ )
マイケル=ティルソン・トーマス指揮
サン・フランシスコ交響楽団


 もう一曲、ユジャ・ワンのライヴから。
 静止画像(広告 )に続いて、演奏は 00:07 から開始されます。
 同音連打から始まる終楽章は、前二楽章の楽想を追想しつつ 次々と新たな主題も投下される、たいへんヴァラエティに富んだ豊かな内容です。
 自分自身で楽譜をめくりながら 「わたしに これ弾かせる?」 って (言ってません、たぶんw )、技巧的には全く余裕しゃくしゃくな表情のユジャ・ワンのタッチは、完璧にコントロールされたもの。この人 何でも弾けちゃうんだなあ。



ボブ・ジェームス Bob James (1974/75 ) 
ゴールデン・アップル Golden Apple


 フリー・ジャズを消化し終えた後のボブ・ジェームスが、才人クリード・テイラーがプロデュースを務めていた CTIレーベルに迎えられ、名盤ONE”(邦題「はげ山の一夜 」 )に続いて放ったアルバム“TWO”(邦題「夢のマルディグラ 」 )A面三曲目、「ゴールデン・アップル 」は、ガーシュウィンピアノ協奏曲 へ調 第3楽章の出だしを思わせる 同音連打から始まるエネルギッシュな作品。効果的なストリングス(アレンジもボブ・ジェームス自身 )を音の背景いっぱいに広げる70年代のニューヨーク摩天楼をイメージした映画音楽のような出来。
 パーソネルは、ボブ・ジェームス(ピアノ、シンセサイザー )、リッチー・レズニコフ(エレクトリック・ギター )、ゲイリー・キング(ベース )、スティーヴ・ガッド(ドラムス )+ ストリングス・セクション
録音:1974年12月~1975年1月、ニューヨーク



ブルース・ホーンズビー Bruce Hornsby (1995 )
スパイダー・フィンガーズ Spider Fingers


 最後に、再び 現代ロック界から かつて1987年にグラミー賞最優秀新人賞を獲得して以来 今日まで 息の長い活動を続けている 弾き語りスタイルのピアノマン、ブルース・ホーンズビーです。往年のヒット・ナンバー「ザ・ウェイ・イット・イズ 」The Way It Is と言えば、ご記憶の方も多いのでは。近年は徐々にジャズ色を強めてきており、レコーディングに パット・メセニーブランフォード・マルサリスを迎えたり、ステージ上では ピアノによる即興演奏の割合も増やしているようです。
 同音連打が聴かせ所の「スパイダーズ・フィンガース 」を含むライヴの名盤“Here Come The Noise Makers - Live98/99/00 ”(BMG )などを聴くと、セロニアス・モンクビル・エヴァンスのナンバーなども採り上げたりしていました。


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