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ロシュフォールの恋人たち タイトル1(ミシェル・ルグラン)ロシュフォールの恋人たち タイトル2(ジョージ・チャキリス )ロシュフォールの恋人たち3 タイトルロシュフォールの恋人たち タイトル4(ジーン・ケリー)ロシュフォールの恋人たち タイトル5(ジャック・デミ監督)
ミシェル・ルグラン ロシュフォールの恋人たち 」の
アルペジオが止まらない。    ⇒ もくじは こちら


シモンの歌 」Chanson de Simon (シモン・ダム )、あるいは
イヴォンヌの歌 」 Chanson d'Yvonne (イヴォンヌ・ガルニエ )


 このドラマの主人公たる ふたご姉妹の姉ソランジュフランソワーズ・ドルレアック )は、パリで作曲家として成功することを夢みる女流ピアニストです。
 ソランジュが憧れているのは、コンセルヴァトワール卒のアメリカ人作曲家アンディ・ミラー。そのアンディと音楽院時代から友人だったというシモン・ダム氏(ミシェル・ピコリ )Michel Piccoli は、ここロシュフォールで 楽器店を開店したばかり。
ロシュフォールの恋人たち 尼僧が「アヴェ・マリア」の楽譜を買いにダンの楽器屋に来店する
▲ そのシモン・ダム楽器店に シューベルト「アヴェ・マリア の楽譜を求めて修道女ら一行が訪れてくるシーンは、やはり米ミュージカル映画の古典「サウンド・オブ・ミュージック 」へのオマージュでしょうか。
 
 独身だが穏和な性格と音楽の専門的な高等教育を修めた立場から シモン氏は、親しい常連客でもあるソランジュの作曲について助言を与えたり、彼女の進路について相談に乗ったりしていたようです。
来週の月曜 パリに出かけます 」と話すソランジュに、今ちょうど演奏旅行でフランスに来ているはずの友人アンディに宛て シモン氏は紹介状を書くことを約束、「彼はきっと 貴女の力になってくれるでしょう 」と、ソランジュを励ますのでした。
 そこで彼女は、作曲中である「コンチェルト第三楽章の一部を 店のピアノで弾いて聴かせてくれます。
 流れ落ちるようなピアノのアルペジオの中から 切ないメロディが浮かび上がる、その「華麗で情感に満ちあふれ、力強いラフマニノフ風なサウンドには、この場にいないはずの重厚なオーケストラ伴奏まで付いています。後述しますが、実はこの曲、ソランジュアンディ・ミラーとの「愛のテーマ 」的に機能することとなる 重要なメロディです。しっかりと記憶しておきましょうね、シモンさん。

 しかし、シモン氏は(おそらく好意も感じていたように見える )美しいソランジュロシュフォールの町からいなくなってしまう寂しさを、かつて別れたという婚約者の思い出に重ねつつ 問わず語りに 自分の身の上ばなしを シャンソン「シモンの歌 」に託すのでした。
 尚、ここでシモン氏(ミシェル・ピコリ )の歌唱を吹き替えている歌手は、ジョルジュ・ブランヌ Georges Blanes という人(下の写真 / 右側 )。ルグランの「シェルブールの雨傘 」で 宝石商ローラン・カサールの吹き替えも務めていましたよ と言ったら、「ああ、確かに あの声だった ! 」って、思わず膝を叩く人は多いかも ?
ロシュフォールの恋人たち シモン・ダムの歌 ジョルジュ・ブランヌ Georges Blanes
「10年前、私はパリから この町にやってきた -
「ここロシュフォールは 彼女と出会った思い出の場所 -
「かつて心から愛し合っていた二人は 評判の美男美女カップルだった -
「彼女は、二人の愛の結晶を その胎内に宿していたのに -
「ある日突然 さよならも言わずに 姿を消してしまった 」


 それは何故 ? と、訝しげな表情をみせるソランジュに、シモン氏 悲しげに微笑みながら 続きを歌います。

「数年経って、共通の友人から聞いた話に拠れば -
「彼女は、裕福な外国人に求婚され 太平洋の海辺へ旅立った -
「今は、何不自由なくアカプルコで幸せに暮らしているという -
「失意の私は独りぼっち - 」
「彼女と出会った思い出の町、ここロシュフォールで
「思い出を胸に秘め、静かに暮らしているのです・・・ 」


 彼女は、また別の男性との間にもうけた 幼い ふたごの姉妹も すでにいたけれど、当時 姉妹らは寮に住んでいて、シモン氏とは 顔を会わせる機会がなかった - ということまで語ります。 ・・・って、この辺まで聞いたら、いい加減 それ わたしたち姉妹と母イヴォンヌのことじゃん ? って、普通なら気づきそうなものですよね。鈍感にもほどがあるだろ、ソランジュ ?(笑 )。
ミシェル・ピコリ Michel Piccoli 1925- Michel Piccoli(1958 )Rafles sur la ville
シモン・ダム氏と「10年前のミシェル・ピコリ

 さて、同じ頃 イヴォンヌダニエル・ダリュー )が営むカフェでは、翌週の月曜には除隊が決まっている画家マクサンス(ジャック・ペラン )が、カフェの常連客デュトル氏(アンリ・クレミュー )に、パリで個展を開く計画について話しています。「寂しくなるわね 」と、二人の会話に入ってきた イヴォンヌ、ふと昔の恋人のことを感傷的に思い出し、今まで誰にも話したことがない 自分の恋物語を、シャンソン「イヴォンヌの歌 」に託すのでした。
 さて、この映画「ロシュフォール~ 」主要俳優の中で、歌唱部分を吹き替えなしで務めているのは、このダニエル・ダリュー唯一人なんです。凄いですね !
ロシュフォールの恋人たち イヴォンヌの歌
「当時 わたしは 婚約者の名前に耐えられなかったから -
「一方的に 別れも告げず、姿を隠したの -
「あれは もう10年も前のこと -
「かつて二人は 熱烈に愛し合い、子どもまで授かっていたというのに -
「その子が 下の男の子、可愛いブブ -

「わたしたち二人は 評判の美男美女カップルだった -
「わたしには すでに ふたごの娘がいた -
「ふたご姉妹は 当時 寄宿舎に入れていたから 彼とは会わずじまい -
「だから ふたごの娘たちも 彼のことは知らないの 」

「数年後、共通の友人を介して伝えてもらったの -
「大金持ちのメキシコ人に 太平洋の海辺でプロポーズされたって -
「でも これは全部 悲しいウソ -
「今のわたしは すっかりオバさんに -
「わたしのことを真剣に愛してくれた彼と出会えた このロシュフォールの町で -
「思い出を胸に秘め、後悔しながら 毎日を過ごしているの・・・ 」
 
ダニエル・ダリュー Danielle Darrieux Danielle Darrieux(1959)
ふたご姉妹ブブ君のママ、イヴォンヌと「10年前のダニエル・ダリュー

 イヴォンヌの告白を聞いたデュトル氏、思わず彼女に尋ねます。
その男は 一体 今どこに ?
パリじゃないかな
捜してみたら?
シモン氏もイヴォンヌも10年前に別れて以来、お互いを忘れられず ともにロシュフォールの町で暮らしていながら、一度も顔を合わせていないという不条理(笑 )。そして 遂に デュトル氏が 核心に触れる質問を - 。
そ、その男の『耐えられないほど変な 』名前というのは ?
イヴォンヌは さらっと応えます。
ダムよ。シモン・ダム Simon Dame - もし結婚していたら わたしは ・・・ 」
その先を想像して、マクサンスは 思わず噴き出します。
Madame Dame マダム(夫人 )ダム ? 」
ロシュフォールの恋人たち イヴォンヌの歌
「あー、やっぱり笑ったわね(怒 )。滑稽でしょ 」
「す、すみません・・・ 」

 さて、すでに「デルフィーヌの歌」の回でも 種明かしをしたとおり、このミュージカル映画の中で それぞれペアとなる恋人同士は、用意周到に同じテーマ・ソングを歌うことになっています。この「シモン・ダムの歌 」と「イヴォンヌの歌 」もまた すでにお気づきのとおり、同じメロディ、一部に共通の歌詞が充てられ、二人が歌うキーも Fマイナーで同じ、さらには歌唱のバッキング・アレンジも 雄弁な木管と弦が巧みに橋渡しを繰り返す技法が特徴の ほぼ同じスタイルが基本となっています。

Les Demoiselles de Rochefort(5DC-海外盤)DECCA-UNIVERSAL-sacem-le coupie privèe ロシュフォールの恋人たち 仏DECCA=UNIVERSAL 5枚組CD
▲ 仏DECCA=UNIVERSALからリリースされた、映画50周年記念CD 5枚組ボックスに収められた、ボーナス・トラックにはミシェル・ルグランによるデモ歌唱「シモン・ダムの歌 」の現行ヴァージョンと それとは別の異なる候補メロディが さらに二つあったことが紹介され、ルグラン自身のピアノ弾き語りで聴くことも出来るのです。さらに興味深いことに、現行の「シモンの歌 」=「イヴォンヌの歌 」の旋律は、何と「ソランジュの歌 」の候補曲だったメロディ同じ旋律を(どちらが先だったかは不明ですが )使い回していた( ! )という事実も判明しました。作曲途上にあるルグランの懊悩が推し量れますね。

次回は ⇒ 「水兵、友達、恋人、または夫 」 に続く


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