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ミシェル・ルグラン逝去、
偉大な才能を 絶賛する。

ミシェル・ルグラン追悼 2019年01年26日
   
 先月 1月26日、フランスの作・編曲家ミシェル・ルグラン師が パリの自宅で亡くなりました - 86歳。
 遅ればせながら、深く哀悼の意を表したいと存じます。大好きでした。
 巨匠ルグランは、ジャック・ドゥミ監督による仏語ミュージカルの二大傑作「シェルブールの雨傘 」、「ロシュフォールの恋人たち 」の作曲家だったというだけでも すでに不滅の存在でしたが、同時に 知らぬ人もないほどジャズ・ピアニストとしても一流でした。
シェルブールの雨傘 Les parapluies De Cherbourg ロシュフォールの恋人たち サントラ
 
 その こよなくアメリカのモダン・ジャズを愛する情熱は、1958年 ルグラン自身のハネムーン旅行の途上、ジャズのスタンダード・ナンバーをビッグ・バンド用にオリジナル編曲したスコアを携え、新婚の妻を伴ってニューヨークを 訪れるほどでした。
Michel Legrand - Rendezvous a Paris
 それは、欧州レコード・レーベルの大手フィリップス社のバック・アップとお膳立てもあっての上でしょう、ルグランが 特に共演を望んでいたマイルス・デイヴィス以下 ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンス、ポール・チェンバース といった1958年当時は最高のメンバーを揃えていたマイルス・バンドのレギュラーのみならず フィル・ウッズ、アート・ファーマー、ドナルド・バード、ハービー・マン、エディ・コスタ、ハンク・ジョーンズ といった、当時ニューヨークで活躍していた旬のジャズ・ミュージシャンを ソリストに迎えた 一枚の豪華なアルバム「ルグラン・ジャズ 」(PHILIPS )に結実しているのです。
Legrand-Jazz(PHILIPS Legrand-Jazz(PHILIPS) (2) Legrand-Jazz(PHILIPS) Legrand-Jazz(PHILIPS)
 今宵は このアルバム中の白眉でもあるセロニアス・モンク作曲の「'ラウンド・ミッドナイト 」とファッツ・ウォーラーの親しみやすい佳曲「ジターバグ・ワルツ 」における“これぞルグラン”なオーケストレーションにマイルスの繊細なソロが浮かび上がる上等のサウンドに耳を傾けました。特に「ジャンゴ 」で聴ける ハードボイルドな感性など、映画「死刑台のエレベーター 」(ルイ・マル監督、1957年 )のBGMに抜擢されたマイルスのプレイが 当時のフランスの聴衆にいかに支持されていたか、容易に思いをはせることができるのでした。
 でも、久しぶりに聴き直してみたら、各曲の演奏時間があまりにも短いことだけが、玉に瑕でしたね。ことに「ワイルドマン・ブルース 」におけるコルトレーンの素晴らしいプレイなど、16小節くらいじゃ全然足りない、もっと聴きたくなってしまいます。もしライヴだったら これら名手たちに しばらくの間 ソロを回して、この素晴らしい雰囲気を 延々と味わえるのにな・・・。

 名盤「ルグラン・ジャズ 」は、それまで「パリ」、「ローマ」、「ウィーン」、「スペイン」・・・と、いわゆる“観光地アルバムシリーズの世界的ヒットで 初期の音楽的キャリアを築いてきたルグランが、遂にニューヨークで“旅路の終着点”を迎えたと言える、素晴らしい「達成 」だったと感じます。 
ミシェル・ルグラン世界音楽旅行 ミシェル・ルグラン 世界音楽旅行「アイ・ラヴ・パリ」 ミシェル・ルグラン 世界音楽旅行「ウィーン」
▲ そんなミシェル・ルグランキャリアの原点たる「世界音楽旅行 」(祝、近年ソニーから まとめて再発されました )、全く古さを感じない、秀逸なアレンジが楽しめます。

 さらに10年後 - 1968年 9月、今度はピアニストとして、L.A.最高のベテラン・リズム・セクション、レイ・ブラウン(ベース )とシェリー・マン(ドラムス )と共演。
シェリー’ズ・マン・ホールのミシェル・ルグラン(Verve) レイ・ブラウン Ray Brown シェリー・マン Shelly Manne
▲ リラックスしたライヴの模様を収めたレコード「アット・シェリー’ズ・マン・ホールVerve )」によって、その卓越したピアノの腕前を全米に知らしめましたね。ちなみに、オリジナル・ジャケットのデザインは、ドラマーのシェリー・マン自身が経営するライヴ・ハウスの店名“シェリー'ズ・マン・ホール”と「マンホール」に掛けた 素朴な親父ギャグです(笑 )。

ミシェル・ルグラン「ライヴ・アット・ジミー’ズ 」Live At Jimmy’s(RCA ) フィル・ウッズ_ Phill Woods
▲ そして、隠れ名盤「ライヴ・アット・ジミー'ズ 」Michel Legrand Live At Jimmy's(RCA )、1973年12月に渡米、ニューヨークのクラブ“ジミー'ズ”出演時の臨場感も濃いライヴ音源。カリスマ・ディレクター、フィル・ラモーンによるプロデュース作品。 ロン・カーター(ベース)、グラディ・テイト(ドラムス )という安定した名手のリズム・セクションが付きました。
 長いつきあいで 気心知れた才人フィル・ウッズをフィーチャー、アメリカでも大ヒットしたミュージカル映画「ロシュフォールの恋人たち 」から「マクサンスの歌(米題:ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング ) 」を大熱演。ウッズの噴出するがごとき怒涛のソロ・フレーズは とどまるところを知らず、言葉を失うほど素晴らしいプレイに大拍手です。この一曲を聴くためだけに入手する価値のあるライヴ・アルバムである、と強くおススメします。
 但し、師の代表作でもある 映画 「シェルブールの雨傘 」に登場する屈指の名旋律「アイ・ウェイト・フォー・ユー 」のサービス精神旺盛な演奏だけは、正直 “過ぎたるは及ばざるがごとし”な感、なきにしもあらず。

ミッシェル・ルグラン ステファン・グラッペリ(Verve) ミッシェル・ルグラン ステファン・グラッペリ(Verve) (2)
▲ ミッシェル・ルグランステファン・グラッペリによる共演アルバム(Verve )。左は1992年 邦題「おもいでの夏」、右は1995年 邦題「バラ色の人生 」。
 いずれも「パリの空の下」、「枯葉 」、「聞かせてよ、愛の言葉を 」などといったシャンソン名曲や、グラッペリのレパートリー「 」、さらには「シェルブールの雨傘 」といったルグラン・スタンダードを、ルグラン自身が新しくアレンジしたスコアで演奏するオーケストラを従えたもの、安心して二人のソロが楽しめます。ジャケットのイラストも可愛い。

ミシェル・ルグラン The Warm Shade Of Memory(Alfa) トゥーツ・シールマンス(左)とルグラン、1989年
▲ アルバム「ウォーム・シェイド・オブ・メモリー 」(1995年、Alfa )
 名盤です。自作曲の再アレンジを集め、アコースティック・ベースとドラムスを従えたピアノ・トリオによる演奏が聴けます。抒情的な映画音楽「おもいでの夏」、名曲「アイ・ウィル・セイ・グッドバイ 」の2曲のみですが、ハーモニカの名手トゥーツ・シールマンストリオに加わります。この二人はかなり以前から親交があった筈ですが 共演の録音は意外に少なく、そんな大物同士の寛(くつろ)いだ演奏が貴重で、それゆえコレクターの稀少価値を高めているのでしょう。
 当盤のハイライトは、12分近い長尺の「“ロシュフォールの恋人たち”メドレー 」、トリオ編成による熱演が聴けます。

 ルグラン翁は つい昨年 7月にも来日され、ブルーノート東京に出演までされていたことを知って、驚き。上記のアルバム「シェイド・オブ・メモリー 」と同様のピアノ・トリオによる小編成で名曲「ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリングマクサンスの歌 )」、「ファミリー・フーガフライデイ・フーガ )」、「シェルブールの雨傘主題曲などを、変わらぬ技巧と「衰えを知らない繊細で華麗なピアノ・タッチで聴かせてくれた(ネット情報による ) 」とのことでした。
 その偉大なる功績を讃え、あらためて 心よりご冥福を お祈り申し上げます。

おまけ

▲ ディ・グ・ディン・ディン(1964 ) かつて資生堂のCMに使われて、わが国限定で リヴァイヴァル・ヒットを記録(笑)。今も鮮度を失わない 若きルグランの感性を 今一度。

 次回は、この機会に 久しぶりに観なおした 仏語ミュージカル映画の傑作「ロシュフォールの恋人たち 」の音楽について、話題にしようかなー などと思ってます ⇒ しました(こちら ご参照)。

ミシェル・ルグラン Michel Legrand ミシェル・ルグラン Michel Legrand (2)

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コメント

木曽のあばら屋 さま !

久しぶりのご来訪、ありがとうございます。そういえば最近、NHKきらクラの「知られざる作曲家」強化月間で、ポーランドの不遇の作曲家ヴァインベルクのことをご紹介されてましたね、いつものお名前がFMから聴こえてきて、思わずおーっ ! と 色めき立ちましたよー。
 ・・・ルグラン翁「自伝 」があったんですね。それはぜひ探してみたいと思います、個人的には やはり「ルグラン・ジャズ 」成立の経緯を知りたいので。また !

URL | “スケルツォ倶楽部”発起人 ID:-

R.I.P.

こんにちは。
ミシェル・ルグラン、映画音楽作曲家・ピアニストとして偉大な人でした。
数年前に出た「自伝」も面白かったです。
個人的には「ロシュフォール」「シェルブール」などジャック・ドゥミとの仕事が印象に残ってます。
色彩の乱舞のような映像に、ルグランの優美で洒落たサウンドがマッチして
本当に素晴らしいです。

URL | 木曽のあばら屋 ID:GHYvW2h6[ 編集 ]

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