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本記事は10月29日 「 注目記事ランキング クラシック音楽鑑賞 」で 第1位 となりました。
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スケルツォ倶楽部 
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目にもみじ 耳にもさやけし ブラームス
目に黄葉(もみじ ) 耳にも さやけし ブラームス

 アーリー・オータム - “スケルツォ倶楽部発起人です。
 ラジオから 俳句の「 」の季語に「ブラームス 」を、という提案が聞こえてきて、思わず耳をそばだてました。
 それは二週間ほど前の日曜の午後、NHK-FMのお気に入りクラシック番組きらクラ 」を ドライブの車中に流していたときのこと。
 投稿された方のお名前は控えそびれましたが、うーむ、なかなか良いことを おっしゃるなあ・・・ と、賛同の意を表し 私 発起人からも 一句

―  目に黄葉(もみじ ) 耳にも さやけし ブラームス

 ・・・ お粗末。 
 そのあと 番組MCふかわりょう氏が「“シューマン”は - 」と、どうやら言わずには おれなくなったらしく 「 - “”の季語 」と発した一語には 思わず爆笑。

ブラームス Carsten MeyerdierksSachsenwald near Hamburg, Germany
▲ Carsten MeyerdierksSachsenwald near Hamburg, Germany
 
 季節がもう少し深まって、ほどよく爽やかな寒気を感じ始める頃、樹々も色づき あたり一面 落葉に覆われた小道を柔らかく踏みしめながら 静かに歩いて帰宅する、そんな黄金色に染まった夕暮れに聴くべき音楽を選ぶとしたら、やはりブラームスかも・・・。
 
 または、早朝 快く震える冷気の中、ねこの額ほどの庭へサンダル履きで降り、乾いた落ち葉を ぱりぱりと踏みながら、そこで静かに瞳を閉じて 若い頃から 折にふれ聴き続けてきたブラームスの名旋律の数々に想いを馳せてみる・・・。今日のキーワードは 四度上昇 です。
 真っ先に 胸を去来したメロディは、やはり特定の演奏家による ピアノのフレーズでした。

グールド、バッハ LP (CBS-SONY) グールド、バッハ LP 裏表紙
ブラームス
間奏曲 変ホ長調 作品117-1 冒頭主題
グレン・グールド(ピアノ )
録音:1960年 ニューヨーク
音盤:CBS-SONY

楽譜 ブラームス 間奏曲 変ホ長調
 すでに 当ブログ“スケルツォ倶楽部”でも 何度か紹介してきましたが、やはり私にとっては グレン・グールドの この一曲に尽きます。これは 発起人の「人生の一枚 」ですから。
 冒頭から 四度上昇 で始まる 美しい旋律をアルペジオ気味に紡ぐ個性的な奏法とセットで耳奥に刷り込まれてしまい、他の誰とも異なるグールドの語り口ったら格別。この曲との内的関連を秘めた イ長調作品118-2(アルバム巻末にさらりと置かれた、もうひとつの素敵な小品 - )のほうも同じくらい愛好する楽曲です。
過去記事 ⇒ 晩秋から初冬にかけて グレン・グールドが描く「間奏曲集 」を聴く


ブラームス ヴァイオリンとチェロのための協奏曲 クレーメル、ハーゲン、アーノンクール(Teldec) 若き日のアーノンクール夫妻(右 アリスさん )バスの車窓から
ブラームス
ヴァイオリンとチェロのための協奏曲 イ短調 作品102 第二楽章冒頭
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン )
クレメンス・ハーゲン(チェロ )
ニコラウス・アーノンクール 指揮
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:1997年4月 アムステルダム
音盤:Teldec/Warner Bros.WPCS-21223

楽譜 ブラームス ダブル・コンチェルト 第2楽章 
 一昨年、惜しくも他界した偉大なアーノンクールの言葉を 回想します。
「私(アーノンクール )は、若いころ ブラームスの二重協奏曲を ヴァイオリニストである妻アリスと演奏したことがあります(上の写真 )。二人とも19歳だったでしょうか、これは 私たちにとって 特に思い出深い曲のひとつです。よく二人で一緒に第2楽章の主題を 口笛で吹いたりしたものです。この曲は 私たち二人の恋愛、結婚、そして新婚生活と、感情的な面で密接に結びついているのです 」 
 呼称“ダブル・コンチェルト”の緩徐楽章は、秋の大自然に深く抱かれながら目を閉じて 美しい人生を顧みるような素晴らしさ。 四度上昇 するホルンの遠く山々に響く信号に始まり、同じ音程を追うかのように二人のソリストが静かに歌い継ぎます。


ブラームス 弦楽六重奏曲 カプソン、ハーゲン(ERATO) ブラームス 弦楽六重奏曲 カプソン、ハーゲン(ERATO) (2)
ブラームス
弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調 作品18 第二楽章の主要主題
ルノー・カプソン(ヴァイオリンⅠ )Renaud Capuçon
クリストフ・コンツ(ヴァイオリンⅡ )Christoph Koncz
ジェラール・コセ(ヴィオラⅠ )Gérard Caussé
マリー・シレム(ヴィオラⅡ )Marie Chilemme
ゴーティエ・カプソン(チェロⅠ )Gautier Capuçon
クレメンス・ハーゲン(チェロⅡ )Clemens Hagen
録音:2016年3月 エクサン・プロヴァンス・イースター音楽祭 ライヴ
音盤:ERATO(0190295888374 )

楽譜 ブラームス 弦楽六重奏曲第1番
 従来の弦楽四重奏の中・低音域を厚くした特殊な楽器編成は、その響きにブラームスらしい独特の渋みを加えています。最初から 四度上昇 の動きで始まる、第2楽章のメロディは 一度聴いたら忘れ難い、情熱的な名旋律。
 そういえば、一世代前の愛好家がこの曲を解説する時には 必ず“映画「恋人たち 」(1958年、ルイ・マル監督、ジャンヌ・モロー主演 )で使われた曲”であると、まるで判で押したように引き合いに出す習慣ですが、50年以上もリスナーのイメージを限定するのも良いことばかりではないことにそろそろ気づいてほしいものです。
 上記 推薦盤は、いかにもライヴ収録らしい 気迫の奏者一人一人が互いに交わし合う あ・うんの呼吸までマイクロフォンが鮮明にとらえた、臨場感も豊かなレコーディングです。たとえばスケルツォ楽章トリオが絶妙に割り込んでくる瞬間の一体感など、稀にみる気迫ですから。乞うご一聴。


ブラームス ピアノ協奏曲第1番 ニ短調(ゼルキン)SONY LP ブラームス ピアノ協奏曲第1番 ニ短調(ゼルキン)CBS
ブラームス
ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15 第三楽章の第一主題
ルドルフ・ゼルキン(ピアノ )
ユージン・オーマンディ指揮
フィラデルフィア管弦楽団
録音:1961年12月 タウンホール、フィラデルフィア
音盤:CBS(SONY / SICC-1595~96 )

楽譜 ブラームス ピアノ協奏曲第1番 第3楽章
 私 発起人が、初めてこの名演に触れたのは(例によって )中学生時代廉価盤L.P.(左の写真 CBSソニー 13AC-86 )でした。あの当時の私が 自分で買えるレコードなど 殆ど廉価盤ばかりでしたが、たとえばソニーの同じ1300シリーズには 他にバーンスタインの「春の祭典ニューヨーク・フィル盤(13AC-21 )を筆頭に、優れた演奏内容に驚かされるものが多く、決して“安かろう=わるかろう”ではなかったのです。当時の大手国内レコード会社の良心的な企画には 本当に感謝しています。
 もとい。ルドルフ・ゼルキンがソリストを務めたピアノ協奏曲第1番は、当時ジョージ・セル/クリーヴランドO.との新しい録音(1968年)のほうがレギュラー盤として世評も高かった - けれど、経済的な理由で 私が入手した一枚は、オーマンディ/フィラデルフィアO.との廉価な旧盤でした。
 しかし これにより若きブラームスの世界に一聴で心酔し、さて一体何度繰り返し聴いたことでしょうか、学校から帰宅するたび ステレオの前に座り込むと 文字どおり擦り切れるほど 愛聴盤となったレコードを ターンテーブル上に乗せたものです。
 後年になってセル盤も 期待しつつ購入し 聴き比べましたが、意外なことに 演奏密度の濃さ では(個人的な思い入れまで加味すれば なおさら ) 私にとっては オーマンディとの演奏のほうがずっと上まわる熱気で、さらにゼルキンの忘我の息遣いから唸り声まで聞こえてくる力強い渾身の打鍵には ずっと圧倒されました。
 元々は交響曲として構想された スケールの大きな第一楽章の劇的な構成と何よりオケとピアノの対話の格好よさ、透きとおるように美しい第二楽章の気品、そして 四度上昇 するピアノ独奏で始まる第三楽章悲愴なテーマが 実は第一楽章の主旋律と密接な関連からできていることの素晴らしさに気づいた瞬間の 全身に鳥肌が立つような あの感覚 - 忘れられません。


ブラームス 交響曲第1番、ギュンター・ヴァント シカゴ交響楽団(RCA )
ブラームス
交響曲第1番 ハ短調 作品68 第四楽章の第一主題
ギュンター・ヴァント指揮
シカゴ交響楽団
録音:1989年 シカゴ、オーケストラ・ホール ライヴ
音盤:RCA / BMGファンハウス(BVCC-37092 )

楽譜 ブラームス 交響曲第1番 終楽章のテーマ
 この傑作交響曲の頂点を築く 終楽章といえば、山々に朗々とこだまするアルペン・ホルンの響きも忘れ難いですが、やはり ブラームスの「第一 」と聞いて 真っ先に脳裏に去来するメロディ は、低音弦がピッツィカートで刻む心地良いリズムに乗せ ヴァイオリン群が開放Gの 四度上昇 から歌いだす あの有名なハ長調の主題です。
 ベートーヴェンの偉大な「第九 」のやはり終楽章で、まだ合唱が入ってくる前に 一度オーケストラが「歓喜のテーマ 」の気高い姿をみせてくれる瞬間がありますよね、その時の美しい装いを、どうしても この大好きな主題を聴くと、そう、どうしても「第九 」の あの風景を 私も連想してしまうんですよ。もう「馬鹿なヤツは何でも同じに~ 」とでも何とでもおっしゃってください、ブラームス先生、貴方になら 私 何を言われても良いです(笑 )。
 そんな発起人が、今日たまたまCD棚から取り出した一枚は、晩年に大化けした巨匠(77歳 )が初めて渡米してシカゴ交響楽団を客演指揮、その世界的名声を決定づけた歴史的ライヴ・レコーディング。さすがオケの鳴りも豪快で、北ドイツとは一味違うなあ、ただ唯一 物足りないのは エンディングで聴衆の大拍手が聴けないことかな。実況盤だと銘打つなら やはりオーディエンスの喝采もきちんと残しておいてほしいものです。


ブラームス ピアノ三重奏曲第1番_トリオ・ジャン・パウル(Ars Musici )
ブラームス
ピアノ三重奏曲 ロ長調 作品8 第一楽章の第一主題
トリオ・ジャン・パウル Trio Jean Paul
エッカルト・ハイリガース(ピアノ )Eckart Heiligers
ウルフ・シュナイダー(ヴァイオリン )Ulf Schneider
マルティン・レール(チェロ )Martin Löhr
録音:2003年10月 ケルン
音盤:Ars Musici / AMCD-232-393

楽譜 ブラームス ピアノ三重奏曲第1番
 第1交響曲 終楽章のメロディを どこか連想させられる(半音低いロ長調だけど )これも 四度上昇 から始まる主題第一楽章の曲頭から登場、知る人ぞ知る 若きブラームスの名旋律に 感無量です。
 奏者三名が紡ぎゆく音楽のタペストリーに 胸がふくらむ想いで圧倒されます。プレイヤー同士のほのぼのとした親密さが伝わってくる、このCDジャケット写真も実に秀逸。もしLPサイズだったら、背景にインテリアや小道具とかいろいろ配してみて、彼らのインティメイトな関係までも推察させられたかもしれません。
 それはさておき、このレコーディングで特筆すべきことは、演奏に使われている楽譜が1854年の初期稿(現行の決定稿は1889年 )であること。初期稿・現行版ともに同じ主題から出来ているにもかかわらず、35年もの時を隔ててブラームスが書き直した故か これほどまで大きな相違が聴けることに驚き。特に第一楽章など 途中から もう殆ど別の曲、演奏時間の長さも 初稿は 改訂された現行の倍近くもあったのです(第一楽章 トリオ・ジャン・パウル盤 18:23に対し、RCAルービンシュタイン盤 10:28 )。
 この素晴らしい一枚に関しては、時間ができたら、また別に機会を改め 両版の比較などできればなーなどと思ってます。

 それでは、“スケルツォ倶楽部会員の皆さまも 芸術の秋を 思いきり ご満喫ください。「ブラームス 」が 秋の季語として いつか 歳時記に載る日を祈念して(笑 )。 では また。

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