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本記事は 8月19日 「 注目記事ランキング クラシック音楽鑑賞 」で 第1位 となりました。
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スケルツォ倶楽部 
Club Scherzo
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マスカーニ ローラとトゥリッドゥ
マスカーニ 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ 」
2015年ザルツブルク・イースター音楽祭、
フィリップ・シュテルツル演出は 斬新だ !


 “スケルツォ倶楽部発起人です。
 今さらですが、HD搭載の録画機能付TVって ホント便利ですよね。これは観ておかなきゃと思ったら「予約 」さえしておけば 後で時間のある時に ゆっくり観ればいいんですからね。
 おかげで いつのまにかリアルタイムで番組を観る習慣がなくなってしまいましたよ。皆さんもそうじゃありませんか ? これだけ一般の視聴スタイルが変わってしまった以上、今は 正確な“視聴率”なんて 一体どうやって測ってるんでしょうね ?
 番組を録り溜めしておけるのはよいのですが、今度は いつでも観れるからいいやと気楽に放置するようになり、大事な番組を録画していたことさえ忘れてしまっているという、まるで餌を隠して安心している“野生のシマリス”状態。
  「体型もでしょ(笑 ) 」
  「なぬ ?! (気色ばむ )」
シマリス_Wikipedia
シマリス(Wikiより )

 まずは そんな話題から。
 と言うのも 6月にNHK-BSプレミアム・シアターで放送された プッチーニの歌劇「トスカ 」(ティーレマン指揮 / ドレスデン国立歌劇場管弦楽団ザルツブルク復活祭音楽祭2018年3月 )を録画しておいたことを 昨日になって 突然思い出し、昨晩になって やっと鑑賞した次第・・・。
2018年 ザルツブルク・イースターでトスカを演じるアニヤ・ハルテロス
 ミヒャエル・シュトゥルミンガーによる サスペンス・ドラマ風な「読み替え演出は いかにも観衆をびっくりさせてやろうというサービス精神も満載で、思わず一歩引いて眺めていましたが、そんな私でも(途中まで )ちょっと驚かされた一工夫は 第2幕の幕切れ。悪辣な敵(かたき )役スカルピアリュドヴィク・テジエ )に追いつめられたヒロイン トスカアニヤ・ハルテロス )は、とうとう思い余って男爵を刺し殺してしまうわけですが、このシュトゥルミンガー演出では 彼女の与えた傷は浅手で スカルピアは死んでいなかった( ! )というもの・・・。
 注目の終幕、狡猾なスカルピアの計略によって 騙し討ちのようにカヴァラドッシアレクサンドルス・アントネンコ )が銃殺刑に処された後、スポレッタシャルローネら配下の警吏に伴われ 血だらけのスカルピアが無言で舞台にその姿を現わします。もちろん第3幕にはスカルピアが歌うパートなんかありませんからね、さあ果たして どう収拾をつけるんだろと傾聴していたら、あろうことか 星のきらめく高層ビルの屋上でトスカスカルピアが拳銃を握って一騎打ちになるという安手なアクション・・・ 最後の最後で これにはゲンナリさせられました。はー 観たくなかった、あんなの あり得ないだろ ― 私には全然 頂けませんでしたよ(スミマセン )。
 ・・・などと今さら語ってみても、すでに話題としての鮮度自体はすっかり落ちているわけですが。これも録画機能TVのせいで すっかりシマリスになってしまったおかげです(爆 )。

 ええと、実は ここまでの文章は 全部 前置きです。
 今回 私が深い感銘を受け、思わず語りたくなったのは、今年プレミエの「トスカ 」に続けて同番組で「再放送 」された2015年「カヴァレリア・ルスティカーナ 」公演のほう。今になって 初めて観たというわけです。さらに話題が古くなって(笑 )申し訳ありません。それでも 語らずにはおれなくなるほど 素晴らしい内容だったからです。
Jonas Kaufmann ピットのティーレマン Philipp Stölzl
▲ ヨナス・カウフマン、ピットのティーレマン、演出家フィリップ・シュテルツル

 最近は新しい情報にもとんと無頓着で 不勉強な “スケルツォ倶楽部発起人2015年ザルツブルク・イースター音楽祭ドレスデン国立歌劇場管弦楽団/クリスティアン・ティーレマン指揮 )で 今や人気/実力ともに 飛ぶ鳥を落とす勢いのヨナス・カウフマン(二役 )を迎え フィリップ・シュテルツルによる斬新な演出で ヴェリズモ・オペラの二大傑作「カヴァレリア・ルスティカーナ 」(マスカーニ )と「道化師 」(レオンカヴァルロ )」が 一夜上演されていたというニュース・・・ 全然知りませんでした。
 この公演が日本で最初に紹介されたのは 2016年 6月19日(日)深夜、NHK-BS「プレミアム・シアター 」においてでした。それは、今から 2年前の6月 - 食うために稼いでいる本業がひたすら忙しかったという記憶しかありません(笑 )。ですから、この素晴らしい舞台を観るチャンスを 今回もう一度 私に与えてくださったNHKには、心からの感謝を申し上げたいです。

マスカーニ 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」分割舞台
▲ これが 演出家フィリップ・シュテルツル Philipp Stölzl(1967~ )による 斬新な「カヴァレリア・ルスティカーナ 」舞台写真です。たいへん興味深いことに、舞台が六区画に分割されていますね。こうすることによって まるで映画のモンタージュ手法のように、劇的な効果を発揮するのです。

 上掲は 歌劇のラストシーンなのですが、「左下区画 は 今まさに決闘に敗れたトゥリッドゥ(ヨナス・カウフマン )が教会内に倒れる場面。「トゥリッドゥさんが殺された 」と、これを目撃した女性が叫びます。尚、 ヴェルガの原作では 二人の決闘は 村はずれの牧草地(カンツィーリア )で決着しています。
トゥリッドゥは、いかにして殺されたか (3)

 その右隣の「中央下区画 では 同じ教会の外へ出たアルフィオ(アンブロージョ・マエストリ )トゥリッドゥを刺した武器を懐にしまっているシーン。目撃した女性が 今度は屋外に向かって「トゥリッドゥさんが殺された 」と、もう一度叫びます。もちろん 異なる女性歌手が 巧みに “二人一役” を演じているわけですが。
「トゥリッドゥが殺された」

 「右下 区画 では トゥリッドゥの母ルチア(ステファニア・トツィスカ )が客席に背を向け 机に独り突っ伏しています。
 意図的な演出なのでしょうが、シュテルツルの用意したルチアの居酒屋は全然“酒場”風ではなく 女将ルチアもまるで冷たい事務員のよう、息子のことにもまるで無関心を装っているという不思議な演出です。さらに彼女は、「あの酒は強いね 」でもトゥリッドゥと決して目を合わそうとせず、別れのキスも交わさない徹底ぶりなのです。
「トゥリッドゥさんが殺された」

 本当なら そんなルチアと抱き合って 後悔の涙を流す筈のサントゥッツァ(リュドミラ・モナスティルスカ )は「中央上区画ルチアとは全然別の場所にいます。姑と鬼嫁の関係決裂という感じ( ? )。
 これもまたシュテルツル演出独自の変わった設定、訃報を聞いてサントゥッツァトゥリッドゥとの間に授かった( ? )男の子の冷たい視線を背に、悔悟の絶叫。
幕切れのサントゥッツァ
 もともと このオペラは、戦争から戻ってきた主人公トゥリッドゥが留守中に 裕福なアルフィオと結婚してしまった元恋人ローラの目の前で、腹いせに籠絡した(ようにみえる )純朴な村娘サントゥッツァと これ見よがしにイチャイチャしてみせた結果、 “焼けぼっくいに火が点いた”人妻が なびいてきて とうとう危険な関係を結んでしまう、その果てに起こる悲劇であるわけですが、そこまでの短い時間経過を考えたら、トゥリッドゥサントゥッツァの間に こんなにも大きく成長した子どもがいることは、どう考えても不自然ですよね。しかも二人は まだ正式な結婚前である筈ですから。
 この黙役の男の子は、私 “スケルツォ倶楽部発起人が察するところ、本当は実在しない登場人物であって、たとえばトゥリッドゥの潜在意識の下に 隠れすんでいる「良心敬虔心 」、「サントゥッツァへの純愛 」、あるいは「二人の間に授かりし 出生前の子どもの姿( ? ) 」など、何らかの象徴的な存在であるかも知れません。

 さらに「左上区画 では、トゥリッドゥと不倫関係にあった 人妻ローラ(アンナリーザ・ストロッパ )が、愛人の訃報に衝撃を受け、寝室の窓のカーテンを引いたところ。
ローラ

 以上、シュテルツル演出は、登場人物全員を一つの場面の中に同時進行で描くことに成功しています。
 ご存知のとおり、マスカーニオリジナル・オペラは、全一幕二場で構成され、舞台転換も普通はありません。けれどシュテルツル映画的技法を用いれば、本来なら舞台に出ていない登場人物を描くことさえでき、さらには心理描写までをも可能にします。この演出方法は素晴らしい発明であると思います、同じ技法を駆使して モーツァルトワーグナー、「カルメン 」も「ヴォツェック 」も ぜひ一度やってみせてほしいものです。ぜひ観たいです(BS-TVで ? 笑 )。
 同じ夜公演の後半で、これもヨナス・カウフマンが主役を務めた、同趣向(六分割舞台 )のシュテルツル演出による「道化師 」についても、いずれ機会があれば 語りたいものです。


▲ こちらで シュテルツル演出による 「カヴァレリア~ 」 2015年ザルツブルク・イースター公演六分割舞台が 観れます。
 マンマ・ルチアの あまりにも無関心な「この酒は強いね 」から、興味深いラストシーンの衝撃まで 。ありがとうございます、投稿主様 !

次回 トゥリッドゥさん”は、いかに殺されたか


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