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本記事は、 7月 9日「注目記事ジャズ ランキング 」で 第1位となりました。
皆さまのおかげです、これからも 何卒よろしくお願い申し上げます。
   

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ジョン・コルトレーン
幻の「ロスト・アルバム 」
Both Directions At Once が
未発表だった理由は、“インプレッションズ”にあり?

ジョン・コルトレーン 「ブルー・トレイン」の頃 ジョン・コルトレーン:「ザ・ロスト・アルバム 」スケルツォ倶楽部 ジョン・コルトレーン 「ジャイアント・ステップス」の頃
 
 今回の記事は、前回「幻の『ロスト・アルバム』 世界初同時リリースに 大きな期待を寄せる 」 - の続きとなります。前回未読のかた、よろしければ ⇒ こちらから
 もはや未発表音源の初リリースを知らせるものではなく、購入して演奏を聴いた感想アルバムの中身についての考察を 書くものです。

コルトレーン 未発表アルバム(1963年) (2) コルトレーン ザ・ロスト・アルバム【デラックス・エディション】
ジョン・コルトレーン:「ザ・ロスト・アルバム 」
John Coltrane:Both Directions At Once 、The Lost Album
パーソネル:
  ジョン・コルトレーン(ts, ss )
  マッコイ・タイナー(p )
  ジミー・ギャリソン(b )
  エルヴィン・ジョーンズ(ds )
01. アンタイトルド・オリジナル11383 (テイク1 )
02. ネイチャー・ボーイ
03. アンタイトルド・オリジナル11386 (テイク1 )
04. ヴィリアの歌 (テイク3 )
05. インプレッションズ (テイク3)
06. スロー・ブルース
07. ワン・アップ、ワン・ダウン (テイク1)
録 音:1963年3月6日、ニュージャージー、ヴァン・ゲルダー・スタジオ
音 盤:Impulse! / ユニバーサルミュージック(UCCI-1043 )


01. アンタイトルド・オリジナル11383 (テイク1 ) 05:41
 アルバムは、意外にもスタジオ内の会話から始まりました。マイルスの「プレスティッジ 」四部作を思わせる、インパルス録音ではめずらしい試み。
ボブ・シール  「じゃ、オリジナル行きますね 」
コルトレーン  「はい 」
ボブ・シール  「11382じゃなかった・・・11383オリジナル(テイク)1 ! 」

 頭からコルトレーンのソプラノ・サックスが B♭マイナーの半音階下降的な短いリフを繰り返す 快速テンポのオリジナル・チューンです。紛れもなしのコルトレーン・サウンド(当たり前、そうじゃなきゃ困る )、あの「マイ・フェイヴァリット・シングス 」と同じソプラノ奏者の音であると一瞬で判別すると、もう耳が先に悦んでしまいます・・・。
 タイトルも付されていなかったナンバーゆえでしょう、良心的に(? )マトリックス記号をそのまま「アンタイトルド・オリジナル11383 」としています。マッコイ・タイナー(ピアノ ) → ジミー・ギャリソン(ベース、前半アルコ )→ 再びコルトレーン とソロが回され、そのままテーマに戻って簡潔に終わる、今回の音源の中でもアルバムのオープナーに置くには最も相応しいナンバーと思います。

02. ネイチャー・ボーイ 03:24
 エデン・アーベッツ作詞/作曲の神秘的なナンバー、ナット・キング・コールによって 一般に浸透するようになりました。
 このヴァージョンは、とても興味深い演奏です。ここでコルトレーンマッコイ・タイナー(ピアノ )を外し、ギャリソン(ベース )、エルヴィン(ドラムス )とのトリオ編成での演奏に終始します。ヴィレッジ・ヴァンガードの「チェインシン’ザ・トレーン 」のように バックのピアノが奏でるコードの拘束を解くことによって、ソリストが一層自由にインプロヴィゼーションしやすくなることはよく知られています。
 この内省的な旋律の隙間をカウンターメロディで埋めてゆく手法に、ひとつの道を見出した(と思われる )コルトレーンは、この録音からさらに 2年後(1965年 )の 2月・・・
コルトレーン ネイチャーボーイ(iMPULS!)
マッコイ、ギャリソン、エルヴィンというオリジナル・カルテットのメンバーに、アート・デイヴィスを加えた二人のベース奏者という変則編成によって さらに複雑な変拍子による素晴らしい「ネイチャーボーイ 」を、正式にレコーディングすることとなります。この貴重な録音から、私たちは その「原型 」を聴くことができるのです。

03. アンタイトルド・オリジナル11386 (テイク1 ) 08:43 
 エルヴィン・ジョーンズが豪快に叩く マックス・ローチ風のラテン・ポリリズムに乗って、大きな振幅でスウィングする ペンタトニック・スケールも個性的なナンバーです。発表されなかったことが信じられないほど魅力的な楽曲で、もしビッグ・バンドなどスケールの大きな編成で演奏されたら、その効果も倍増する可能性さえ秘めた「隠れ名曲 」と思います。
 デラックス・エディションのほうには さらに同曲が2テイク収録され、聴き比べることが出来るのですが、まとまりの良い本ヴァージョンを決定版としたことは見識と感じました。構成をほぼ同じくするテイク2(08:41 )ならともかく、テイク5(08:23 )では ピアノがトレモロで背景を覆うという(おそらく )タイナーのアイディアは、楽曲のもつ躍動感を削いでおり 、こちらは個人的には受け入れられません。

04. ヴィリアの歌 (テイク3 ) 05:32
 デラックス・エディションのほうに収録された テイク5(04:37 )では コルトレーンは ソプラノ・サックスでテーマを吹いていますが、本テイク3では 終始テナーを使っています。両テイクとも そのプレイはいずれも素晴らしく、ソロを聴き比べるだけでも常に手元に置いておきたい内容です。
 テイク5のみ、本「ロスト・アルバム 」中唯一 既発表の音源でした。
Impulse! AS-9101_ The Definitive Jazz Scene Volume 3
 それは、前回の記事でも少し触れましたが、1965年に発売されたインパルスオムニバスLPThe Definitive Jazz Scene Volume 3(AS-9101 )」に収録されたものを指します。 
 念のため 今回の“テイク5”を LPの音と聴き比べてみたところ、使用楽器(ソプラノ・サックス )はもちろん、タイミングやソロ・オーダー、プレイヤーのフレーズなど ふたつは間違いなく 同一音源でした。但し “The Definitive Jazz ~”ヴァージョンのほうは、当時のインパルスオリジナル・マスターテープが使われていたので 純正なステレオ音源です。これに対して 「ロスト・アルバム」収録の音源は、すべてコルトレーン自身がスタジオから持ち帰り用に モノラル・ミックスに落としたコピー・テープがソースであることは、もうご存知のとおりですよね。

フランツ・レハール(資料 ユニバーサル ミュージック) レハール 喜歌劇「メリー・ウィドウ 」カラヤン DG
▲ ヴィリアの歌」作曲者フランツ・レハール、代表的なカラヤン(D.G.)盤の表紙
 尚、この「ヴィリアの歌 Vilia 」は、「マイ・フェイヴァリット・シングス 」を含むミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック 」の舞台芸術上の先祖ともいえる、ヨーロッパ発祥のオペレッタ「メリー・ウィドウ 」フランツ・レハール作曲、1905年初演 )の中のナンバーです。若く美しい未亡人ハンナは、老富豪に求愛されて結婚したものの、僅か 8日後に夫が急死、巨万の富を遺産として相続しています。そんな彼女の故郷ポンテヴェドロの(架空の )民謡として オペレッタの第2幕で 主人公が歌う名曲です。

05. インプレッションズ (テイク3 ) 04:36
 ええと、勝手ながら スミマセン、順番を一部変えて ここでの「インプレッションズ 」の感想は、最後に述べさせて頂きます。理由は、後で申し上げます。

06. スロー・ブルース 11:28
 コルトレーンのテナーが中心の 11分を超える Fのスローな長尺ブルース演奏です。 5分以上にも渡って コルトレーンの手癖も満載、次々と聴き慣れたフレーズが溢れるように繰り出されます、リラックスした安心感で コルトレーンに浸りましょう。
 マッコイ・タイナーのピアノは、意外に軽いタッチで高音がコロコロよく転がるソロ展開。 3分ほどのピアノ・ソロですが 途中からエルヴィンが テンポの刻みを 1/2 にすると、やがて 堪えきれなくなったようにコルトレーンが再登場。もうすでに大分熱が通っているらしく、後半の二度目のソロでは著しく音数が増え、短いながらも素晴らしいシーツ・オブ・サウンドも披露されます。 破綻もなく 予定調和的に終わるところ リハーサルですけどテープを回してみました的なスナップにもかかわらず、その演奏は黄金カルテットのなんでもない日常レベルの高さ、凄さ が思い知らされます。

07. ワン・アップ、ワン・ダウン (テイク1 ) 08:01
コルトレーンTransition(Impulse)
▲ 後の「トランジション 」(1965年 6月10日録音 )によく似た旋律線を描く スリリングな錐もみ状の曲想が特徴的な楽曲です。紛らわしいですが、タイトルが酷似する「ワン・ダウン、ワン・アップ 」(ライヴ盤“New Thing At Newport” 1965 に収録 ) とは、聴き比べてみたら 「別の曲 」でしたので、ご注意ください。
 デラックス・エディションに収録されたテイク6(07:17 )より マスターテイクのほうが やや締まった演奏内容と思いますが、どちらも速いテンポを維持、緊張感の持続も圧倒的で、特にエルヴィン・ジョーンズの嵐のように暴れまわるドラムスの凄まじさは、両テイクとも素晴らしいです。
 もともとスタジオのコルトレーンは、高い完成度を求め しつこく何度もリハーサル・テイクを重ねる傾向がありましたが
Duke Ellington John Coltrane
▲ 1962年に偉大なデューク・エリントンと共演した際、御大から演奏の完成度より奔放な勢いを残したアプローチの良さについて聴かされ、それ以来 スタジオでのテイク数は激減したとされていました。にもかかわらず 1963年時点で かくも重量級なナンバーを本当に 6テイクも重ねていたとしたら、プレイヤーらも相当疲労を溜め込んだに違いありません。


05. インプレッションズ (テイク3 ) 04:36
 「マイ・フェイヴァリット・シングス 」や「ネイマ 」と共に、コルトレーンがその生涯に渡ってステージ上で演奏し続けた この重要なレパートリー曲「インプレッションズ 」には、つい17年前まで スタジオ・ヴァージョンは存在しない、と思われてきましたよね。
コルトレーン(デラックス・エディション)
 でも 2002年、コルトレーン没後35年企画としてユニバーサルからリリースされたアルバム「コルトレーン 」“デラックス・エディション未発表トラック集の中に、それまでその存在が全く知られていなかった「インプレッションズ 」のスタジオ・レコーディング(1962年 9月20日録音 )が、何と 2テイク(06:31、04:31 )含まれていたのでした。

 さらに、今回この「ロスト・アルバム 」中にも “4テイク”(1963年 3月 6日テイク1:04:06、テイク2:04:37、テイク4:03:40 )の 未知なる「インプレッションズ 」の録音が収められていたことを 知るに及んで、わたし発起人のほう )、ふと考えたことがあるのです。

未発表」だった謎を解く鍵は “インプレッションズ” にあり? 
 
 それは、本「ロスト・アルバム 」の音源である1963年 3月 6日のセッションが行われた目的のひとつが、「インプレッションズ 」を中心としたスタジオ録音のニュー・アルバムを製作することにあったのではないか、という仮説です。 あ、どうか笑わないで、最後までお読みくださいね。

 未来の聴者たる わたしたちが 今日から振り返ってみれば意外なことですが、実は ヴィレッジ・ヴァンガードの実況録音(1961年)「インプレッションズ」って、 この1963年 3月時点では まだ未発売でした。あのリリースは 7月なのですよ。リアルタイムで、当時 普通のコルトレーン・ファンは、まだレコードで 「インプレッションズ 」を 聴いていません。
コルトレーン_ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード Live At The Village Vanguard コルトレーン インプレッションズ(Impuls!)
▲ 左:「ライヴ・アット・ヴィレッジ・ヴァンガード 」(1962年リリース )
右:その姉妹盤とされる「インプレッションズ 」(1963年 7月リリース )

 
 コルトレーン(とボブ・シール )は、ステージ上でのインプロヴィゼーション素材として 人気も高かった重要ナンバー「インプレッションズ 」を、はじめスタジオ録音盤でリリースするべく、ヴィレッジ・ヴァンガードの翌年にあたる 1962年 6月20日オリジナル・カルテットを招集して スタジオ・レコーディングを試みたものと推察されます(それが、アルバム「コルトレーンデラックス・エディション所収の2テイク です)。
 しかし、毎回ステージで燃焼し尽す あのエネルギーを、短い枠内のスタジオ録音で再現させることは難しく、グループの演奏をプレイバックしたコルトレーンは、自身で聴きながら「ちょっと違うぞ 」、「これではないな 」と判断、この時はリリースを見送ったものではないでしょうか。

 そして1963年 3月 6日、本「ロスト・アルバム」セッションで 再度「インプレッションズ 」に手をつけます。
 今までずっと「謎のヴェールに包まれたセッション 」として知られ、「これを挟む前後のセッションである『バラード 』と『アンド・ジョニー・ハートマン 』では バラード中心に小曲が録音されていたので、この未知のセッションも その一環であるように思われる 」(カッコ内 高井文夫氏 )と推測されてきました。唯一の既発表音源だった「ヴィリアの歌 」の印象から察して、私も 正直そう思っていました。 ⇒ 前回の「リリースに期待を寄せる 」文章

 しかし、今回初めて聴いてみた結果、 「チェインシン’ザ・トレーン 」風に ピアノを外し ベースとドラムスのみという編成で 己が即興演奏の可能性を スタジオで追求した「インプレッションズ 」を中心に、大曲「ワン・アップ、ワン・ダウン 」 の2テイク、スケールも大きな 隠れ名曲「アンタイトルド・オリジナル11386 」など、予想に反して へヴィー級な内容だったことが判明したのです。
 ここでもコルトレーンは、短いスタジオ版「インプレッションズ 」に再挑戦し、そのプロセスを4テイクもの録音で聴くことができます。そのクォリティは決して低かったわけではありませんが、しかし昨年(1962年 )の アルバム“コルトレーン” セッション (デラックス・エディション収録 )における 2テイクの熱気を超えるには至っていない、とわたしは感じました。

Fundación Juan March_ Miles Davis John Coltrane 90 years later
Fundación Juan March_ Miles Davis & John Coltrane 90 years later

 「インプレッションズ 」が、恩師マイルス・デイヴィスにとっても重要な ステージ・レパートリーだった「ソー・ホワット 」の 本歌取りだったことは、どなたもご存知のとおりですが、それゆえ ソリストのバックで ある程度 明確にコードを示すピアノの存在は 聴者にとって重要、いえ むしろ欠くべからざるものと個人的には考えます。ピアノレスの場合、鳴っていないコードを 聴者に感じさせるほど エッジの立った よほど力強いベーシストが発するパルスがそこに伴っているなら 話は別ですが、(インパルスの録音バランスも含め ) ジミー・ギャリソンの音では コルトレーンの技能に拮抗し得ているとは 正直 言えないと思うのです、すみません。 さらに ここでのトリオ編成による“再挑戦ヴァージョン自体のスピードも、ソロ構成も、フレージングも、そして演奏そのものが放つ勢いも・・・ どうか皆さまもご自身で聴き比べて お確かめください。
 コルトレーンは、この日試みた「インプレッションズ 」と一緒に録音した二つの新曲と 「ヴィリアの歌」、「ネイチャーボーイ」に萌芽したアイディア、「ワン・アップ、ワン・ダウン 」などのレコーディングすべてを、(いつも彼がそうしていたように )モノラル・ミックスのテープにコピーしてもらって持ち帰り 自宅でプレイバックし、間違いなく 慎重に再チェックしたはずです。その結果 リリースが見送られたという事実を考えれば、やはり この仕上がりでは まだ発表には時期尚早と判断した、と考えるほうが 自然ではないでしょうか。
 少なくとも 当時 プレスティッジアトランティックといった、コルトレーンインパルス以前に契約していたレーベルが、今まで備蓄していた古い音源を あたかも新作のごとく装ってリリースしていた混乱状況を インパルス側が気にして 出さなかったのだろう、という推理が アシュリー・カーン氏のライナーノーツの中に書かれていましたが、そこは 私 “スケルツォ倶楽部発起人の意見とは異なります。 

 そんな翌 4月、バンドにとって困った事態が起こります。エルヴィン・ジョーンズが、薬禍治療に専念するため入院してしまうのです。
 代役のドラマーとして、セロニアス・モンクとの共演時から親しかった名手ロイ・ヘインズが駆けつけてくれましたが、重要なレギュラー・ナンバーである「インプレッションズ 」だけは、盟友エルヴィンのドラムスで残しておきたかったのではないでしょうか。 4月29日の「アフター・ザ・レイン 」セッションとして知られるスタジオ・レコーディングでは、「インプレッションズ 」は演奏されていません。
 ・・・ここに至ってコルトレーンは、ようやく決断を下します - 「インプレッションズ 」は、新しくスタジオ録音するのではなく、1961年のヴィレッジ・ヴァンガードの、あの熱気溢れるライヴ録音を使うことを。そう考えたら、 エリック・ドルフィーソロカットされていた理由も これで同時に説明がつきます なぜなら (アルバムのリリース時 )“” のコルトレーン・カルテットのメンバーの中には すでにドルフィーはいなかったわけですから。

 - こうしてアルバム「インプレッションズ 」には、さらに同じヴィレッジ・ヴァンガードのライヴ・テープの中から「インディア 」を、1962年スタジオ録音の「アップ’ゲインスト・ザ・ウォール 」を、そしてロイ・ヘインズが加わった最新(1963年 )のスタジオ録音、静寂の「アフター・ザ・レイン 」を加え、ようやく1963年 7月中旬に 初リリースされたのでした。
コルトレーン インプレッションズ(Impuls!)
 これによって「ロスト・アルバムセッションでレコーディングされた楽曲たちは、日々成長を続ける“黄金カルテット”のアルバムに収録するには まだ未成熟な段階にあるものとみなされ、リリースの機会を逸したものでしょう。
 なにしろ この年の後半からコルトレーン芸術の深化にはさらに拍車がかかっており、エルヴィン復帰後から遠征となる怒涛のヨーロッパ・ツアー、明けて 翌年には最高傑作「クレッセント 」が、さらに「至上の愛 」が、そして遂に1965年の「アセンション 」が・・・
 
 そう思って ここまでの変遷をみれば、ヴィレッジ・ヴァンガードライヴ音源を使うことが決まった瞬間 スタジオ版「インプレッションズ 」構想は 100% お蔵入りが決定、小曲「ヴィリアの歌 」のみ簡潔にまとまっていたためか インパルスのオムニバス盤で単発・・・ そうしたら、二つの 未発表曲や「ワン・アップ~ 」(2年後 「トランジション 」に姿を変えた可能性あり )は、一体いつ どのタイミングで リリースできたというのでしょう ? 
 マスター・テープまで廃棄されてしまった このセッションの記録 - 「ロスト・アルバム 」の発売が どれほど奇跡的なことだったか、あらためて身に沁みてきませんか?
 欠落していたパズルのピースが発見されたことによって、意識の下に水没していたドラマが引き上げられました。

おまけ “副題”の意味すること
 「ロスト・アルバム 」The Lost Album の副題 Both Directions At Once とは、1950年代後半に コルトレーンが、ウェイン・ショーターと修練に励んでいる間に発した言葉である。
文章のど真ん中から始める、ということなんだよ。そして、文頭と結びの両方に向かって一度に書き切る ! 双方向へと一気に Both Directions At Once 突き進むのだ。
 この当時、彼らと同世代の即興演奏家の多くは、ビ・バップの星のもとに生まれ、和声関係や調性の中心音といった「音楽 」の基本レヴェルの問題を主眼としていた。なるほど「言葉 」というのは、うってつけの
(音楽の )メタファーであった。
 - 上記 青字部分、アルバム(UCCI-9295/6 )所収ライナー・ノーツより引用。アシュリー・カーン(寺井珠重/訳 )2018年 3月


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  ⇒ モンク・ウィズ・コルトレーン 1957


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