FC2ブログ
本記事は、 4月23日 「注目記事ジャズ ランキング 」で 第1位となりました。
皆さまのおかげです、これからも 何卒よろしくお願い申し上げます。

   
スケルツォ倶楽部 Club Scherzo Home
ワンダリング・ローズ WANDERING“RHODES” 記事一覧

ステイシー・ケント Stacey Kent
バレット・トレイン Bullet Train (新幹線 ) 」 2017年

ステイシー・ケント「バレット・トレイン(新幹線 ) 」2017年 (1)

 2月に入院していた時のこと、(その経緯は こちら ⇒ CoCo壱番屋加熱不足カキフライに当たって急性胃腸炎  ) 点滴に繋がれたまま病室のベッドで うとうとと微睡(まどろ )んでいると、小さな音で鳴らしっ放しにしていた NHK-FM から流れてきた一曲に耳が吸い寄せられました。
 覚醒するきっかけは、やはりローズ・エレクトリック・ピアノが叩くコードの音でした。「おや? 知らない曲だ 」 - もはや ばっちり目覚めています。
 シンプルな B♭ → A♭ を 半拍シンコペートさせて モーダルに繰り返す、ゆっくりと電気シグナルが点滅するようなサウンド・・・ 主音(B♭)を キープし続けるベース音を確かめるまでもなく、この動きは 私“スケルツォ倶楽部発起人の大好物「下降する二つのコード 」・・・ うーん、これには 思いきり食いつきますよ。
詳しくは こちら ⇒ マイルスの「ソー・ホワット 」に影響を受けた ? と思われる 音楽 ) 

楽譜 バレット・トレイン(新幹線)
 これに、一拍三連で 四拍子を刻むビートが静かに鼓動を打ちだすと 緩やかにテンポが確定します。
 そして主役たる女声ヴォーカルが登場、語るがごとく柔らかに歌いだすのです。
 サウンドの隙間を埋めるように、ローズが断片的なフレーズを しゃぼん玉のように浮かべてみせます。
 控えめなエレクトリック・ギターのプレイは、往年のラリー・カールトンが歌伴をつけていた頃のよう・・・。
 やがてストリングスが、これも 音を選びつつ楽曲の背景へと広がってきます、その高音弦がさえずるトリルは 往年のデイヴ・グルーシンが オーケストラル・スコアに描いたペンのよう。
 美しくグリッサンドを聴かせるハープの爪弾きまで 音の天空を昇ってゆくではありませんか。チャーリー・パーカークリフォード・ブラウンの時代から常に“ウィズ・ストリングス企画には、ハープが付き物でしたね。

 ・・・発起人、ツボです。
 やられた。この種の音創り、もう大好きです。
 よーし、退院したら このCDを絶対 買いに行くぞ、と心に決め、曲名を告げる 向谷実さんのアナウンスを、聴き洩らさぬよう 書き留める用意をします。

Stacey Kent

ステイシー・ケントの“バレット・トレイン”(新幹線 ) 」 という曲 だそうです・・・。

 また初めて聴く 未知の新しいナンバーに 出会ってしまいました。
 はー、「新幹線 」って、英語で“Bullet Train” っていうんですか - 直訳「弾丸列車 」High-Speed Passenger Train 同じタイトルのジャズ・ナンバーを、私が連想するとしたら、やはりステップス時代のマイク・マイニエリの作品になってしまいます。
 特急列車のスピードを 音楽で描写しようとする場合、どうしても賑やかなものになりがちです。しかしステイシー・ケントの夫(曲中、ソロも吹くUKサックス奏者 )ジム・トムリンソン Jim Tomlinson 作曲による「高速旅客列車 」の曲想は、意外なことに 客車の「静けさ 」がテーマ なんですよ。日本の「新幹線 」ならでは”でしょう、 まるで動いてないみたい  なんていう発想で、まるまる一篇仕上げてしまうなんて( ! )。
N700系「低騒音型パンタグラフ」(写真提供:JR東海 )
▲ N700系 低騒音型パンタグラフ (写真提供:JR東海 )

 そんな素敵な感性をもつ この「作詞者 」が誰であるか - という情報については、すでに大きな話題となっていますから、もう今さら お知らせするまでもないですよね。何を隠そう、昨年(2017年 ) ノーベル文学賞 を受賞した、日系英国人の作家 カズオ・イシグロ です。
(左から)ステイシー・ケント、カズオ・イシグロ、ステイシーの夫で作曲者のジム・トムリンソン(イシグロ夫人撮影)
 イシグロは、ステイシー・ケントとその夫ジョン・トムリンソンとは すでに10年以上も前からコラボを続けており、グラミー賞にノミネートされた彼女のアルバム「市街電車で朝食を Breakfast On The Morning Tram(Blue Note ) 」所収の共作曲「アイス・ホテル 」The Ice Hotel は、2008年インターナショナル・ソングライティング・コンペティション、ジャズ部門最優秀楽曲賞を受賞しているそうです。

ステイシー・ケント Stacey Kent
アイ・ノウ・アイ・ドリーム ~ オーケストラル・セッションズ

ステイシー・ケント アイ・ノウ・アイ・ドリーム オーケストラル・セッションズ
  01. ダブル・レインボウ Double Rainbow
  02. フォトグラフ Photograph
  03. 失われた恋 Les amours perdues
  04. 新幹線 Bullet Train
  05. さよならを言うために To Say Good-bye
  06. メイク・イット・アップ Make It Up
  07. 時の流れに Avec le temps
  08. アイ・ノウ・アイ・ドリーム I Know I Dream
  09. マデュレイラ通り La Rua Madureira
  10. マイス・ウマ・ヴェス Mais Uma Vez
  11. ザッツ'オール That's All
  12. チェンジング・ライツ The Changing Lights
録 音:2016年10月~2017年 5月、ロンドン エンジェル・スタジオ
音 盤:Sony Music Japan(SICP-5617 )
 

Stacey Kent( Photo Courtesy Bay Area Cabaret)
 本アルバム「アイ・ノウ・アイ・ドリーム 」I Know I Dream には、発起人のお気に入りナンバー、アントニオ・カルロス・ジョビンによる名曲「ダブル・レインボウ( = “チルドレンズ’ゲーム”と異名同曲 ) 」が、冒頭に置かれています。
 新しいストリングス入りアレンジで再録された旧作「チェンジング・ライツ 」も素晴らしい出来ですが、アルバム収録曲中 意外にも唯一のアメリカン・スタンダード・ナンバーである「ザッツ’オール 」That’s All の溢れる詩情に思わず感涙・・・。
 
 ・・・ もとい。
 「バレット・トレイン(新幹線 ) 」 すなわち 電車 Electric Train だけに、エレクトリック・ピアノを使うのが効果的だというわけでしょう。そんなキーボード奏者は、グラハム・ハーヴェイ Graham Harvey という人・・・
Jazz Pianist,Graham Harvey Graham Harvey
 UKアシッド・ジャズのグループ、インコグニート Incognito に参加。キーボード奏者として 大所帯グループのメンバーに 長くその名を連ねていました。でも すみません、私 発起人 80年代以降のUKアシッドの動きには 実は あまり詳しくありません、拠って 多くを語れず(笑 )。
 でも ハーヴェイ氏のローズ・ピアノに注目するなら、やはり アルバム 9曲目 ニノ・フェレル作曲の「マデュレイラ通り 」 La Rua Madureira にも耳を傾けましょう。 徒にテクニックをひけらかすタイプのプレイヤーではないようで、抑制を効かせたフレーズ選びと正確かつ鋭いタッチに好感度高し。うーん、実に気持ち良さそうに ソロ弾いていますね。

ステイシー・ケント「バレット・トレイン(新幹線 ) 」2017年 (2)

↓ 清き一票を
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村
blogram投票ボタン
人気ブログランキングへ
Club Scherzo, since 2010.1.30.

関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

トラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)