FC2ブログ
本記事は、 4月 9日 「注目記事ジャズ ランキング 」で 第1位となりました。
皆さまのおかげです、これからも 何卒よろしくお願い申し上げます。
     
Getz Children Of The World (CBSソニー 25AP-1696 )
スケルツォ倶楽部 ⇒ 全記事 一覧は こちら
午後のジャズ喫茶 「カフェ ソッ・ピーナ」から
  ⇒ メニュー画面は こちら

ジョー・ザヴィヌルの思い出
(スイングジャーナル誌 / アイジャズ・テストに登場! )

ジョー・ザヴィヌルにサインをもらう

 ずいぶん昔の話で恐縮ですが、私 "スケルツォ倶楽部"発起人、来日中のジョー・ザヴィヌルに 銀座で遭遇、握手してもらったという素敵な思い出があります。
 それは 1986(昭和61)年のこと、大学を卒業して 親類が営む小売業に就職(カジュアルなギフトを扱うチェーン店の経営 )、銀座の数寄屋橋本店にいた私は、店舗にふらりと立ち寄った ひとりの外国人を接客しようと顔を上げた瞬間、絶句しました。
 ジャズのフィールドで 私が最も尊敬する対象の一人だった、ウェザーリポートのリーダー、ジョー・ザヴィヌルその人が 目の前に立っているではありませんか。思わず目をこすりました、そっくりさんではありません(笑 )。
ジョー・ザヴィヌル (2)
 こんな機会は願ってもないこと、これは絶対に表敬の挨拶をしておかねばなりません。勇気を奮って、片言の英語で おそるおそる話しかけます、
「あの、あのあの・・・エクスキューズ・ミー、アルン’チュー・ミスター・ヨーゼフ・ザビヌー? 」
その瞬間、ザヴィヌルは「おっ、此処にもオレのファンがいたか 」と云わんばかりの満面な笑顔で“How Do Ya ! ”と発するなり、私のほうにぬっと手を差し伸べてくれました。
 忘れることはできません、決して小さくもない私の手を 裕に包み込めるほどのザヴィヌルの大きな手が、勢いよく力強いシェイク・ハンドをくれました ― 新卒で入社した日本のカイシャでは 頭の下げ方は教えても 握手の仕方までは教えません。しかし私は、ウィーン出身のザヴィヌル師から「人はいかに握手すべきか 」を教わったような気がしました。
 
 当時 ザヴィヌルは、彼が心血を注いできた偉大なグループ、ウェザーリポートを様々な事情から解散へと追い込まれていた重要な時期、何と15年ぶりに製作した自身のソロ・アルバム「ダイアレクツ 」のプロモーションと、彼のキーボードだけのソロ・コンサート・ツアーのために来日していたのです。
 私は、その週の土曜日に開催される ザヴィヌルの「ソロ=オーケストラ 」読売ホール公演のチケット(肌身離さず持っていた )を財布から出し、興奮しながら本人に見せ、聴きに行くことを楽しみにしています、あなたの音楽がずっと好きでした、などと一生懸命に下手な英語で伝えました。
 この時 ザヴィヌルが発した言葉は、今では正確に記憶していませんが、以下のような内容だったことは 間違いありません。
また来年くる
今度は(ソロではなく )ニュー・バンドで演奏する
Weather Update というバンドでジョン・スコフィールドが加わる
きみはジョン・スコフィールドを知っているに違いない
オフ・コース・イエス、そのギタリストはマイルスのグループにいた人ですね、と答えると 嬉しそうに頷いていました。
 何か書くものはないか、という身振りをなさるので 見回しましたが、平和相互銀行の封筒(笑 )くらいしかありませんでした。躊躇(ためら )いつつも これを示すと、彼は快くグリーンのマジックで サラサラと手早くサインを書いてくれたのです。上掲の写真が、「それ 」です。
Auf Wiedersehen !
笑顔で手を振って立ち去るザヴィヌル師、今にして思えば、熱烈なファンを名乗る日本人の若者に、しっかりとプロモーションも施していったというわけでしょう・・・ 仕事のデキる男です。
「ダンケ・シェーン、アイ’ム ベーリィ・ハッピー・トゥ・ミーチ’ュー 」

 ザヴィヌル師の温かい掌の感触が、今も 私の右手に残っています。
 かの人の大きな手は、きっとマイルスウェイン・ショーターの手も、キャノンボール・アダレイジャコの手も、さらにはフリードリヒ・グルダの手も、同じように力強く握ったことでしょう・・・ 感激。
 世界を股にかけて大活躍していた音楽家が銀座の街を歩き去ってゆく後ろ姿を眺めながら、私はもう片方の手で 握手してもらったほうの掌を 無意識に撫でていました。


おまけ
スイングジャーナル」誌に連載、
「IJAZZ TEST アイ・ラヴ・ジャズ・テスト」に
ジョー・ザヴィヌル登場 ! (掲載 1986年9月号 )

 私 "スケルツォ倶楽部"発起人が銀座でザヴィヌルに出会ったのとちょうど同じ時期、彼は月刊音楽雑誌「スイングジャーナル」に招かれ、興味深い取材を受けていました。
 それが「アイジャズ・テスト 」 - 「スイングジャーナル」誌(2010年7月号をもって休刊 )の名物コーナーでした。来日ミュージシャンを招き、編集部がチョイスした数枚のディスク(ジャンルは必ずしもジャズに限りませんでした )を タイトルを伏せた上で聴かせ、演奏しているのが誰か言い当ててもらったり、その演奏やアーティストについて語ってもらおうという企画でした。
ジョー・ザヴィヌル (4) 小川隆夫
 当時のインターヴュアーは、小川隆夫氏でした。小川氏は この回で「ザヴィヌルほどの人に対しては ありきたりなレコードでテストしても面白くないから 」「変化球的勝負 」で挑んだ、と語っておられました。
 今 改めて読み直してみると、小川氏が引き出してくださった ザヴィヌルの貴重な音楽コメントは、いずれも的を射た素晴らしいものです、特に冨田勲への高い評価など 目頭が熱くなります。その一部を ご紹介(引用部分 青字表記 )しましょう。


イエローマジック・オーケストラ
邂逅
アルバム「浮気な僕ら Naughyt Boys 」より(アルファ )

Y.M.O. イエロー・マジック・オーケストラ
ザヴィヌル 「サウンドはとてもいい。注意深く選ばれた音が積み重ねられている。アイディアには見習うべきものが多い。そしてこれが一番大切な点だが、これだけ緊密な音創りがされているにもかかわらず、そうした難しさを少しも感じさせない。表面上はBGMにしてもいいくらいシンプルなものになっている。けれどひとたび耳を傾けると、「これはちょっと違うぞ 」という気持ちにさせられる。ところで、この演奏が誰によるものなのか全くわからない。教えてもらえるかい ? 」
―  イエローマジック・オーケストラと言う日本のグループです。
ザヴィヌル 「なるほど、そうかと思った。こうした音創りは、アメリカのミュージシャンの体質とは違うものだからね。むしろヨーロッパの人たちの感性に近い。 」
―  その「音創り 」について 少し教えてください。
ザヴィヌル 「ここでのハーモニーを聴いてごらん。こういうのはアメリカのものには絶対ない。メジャーの曲の中にもマイナーのスケール(音階 )が混ざることで 独特の音世界が生み出されている。アメリカのプレイヤーはまずやらないことのひとつがこれだ。ここに、このグループの魅力とオリジナリティがある。もうひとつ言わせてもらうなら、彼らが用いるビートには感心できない。コンピューターを利用しているせいだろうが、あまりにも規則正しいバック・ビートからは本物のグルーヴやスウィング感は生み出せない。判で押したように刻まれるこのバックビート、これだけはいただけないね。コンピューター・ミュージックの陥りやすい危険性だが、感性の優れた音楽をクリエイトしているグループにしては残念なミスを犯しているとしかいいようがない 」


冨田勲=ドビュッシー
「雪は踊っている 」

アルバム「月の光 」より(RCA )

冨田勲 ISAO TOMITA 月の光 SNOWFLAKES ARE DANCING ~ドビュッシーによるメルヘンの世界
ザヴィヌル 「これはトミタの音楽だ。彼のことはよく知っているし、音楽もよく聴いている。だから、これがトミタの作品であることは聴いた瞬間にわかった。彼の演奏からは 言葉で言い表せないほど大きな影響を受けている 」
―  冨田勲の音楽には即興演奏の要素がほとんどありませんが、あなたの音楽にどのような影響を及ぼしているでしょう ?
ザヴィヌル 「どの演奏家よりもトミタはインスピレーションの点で優れているし、奥深い。ひとりで音を積み重ねていく作業で怖いのはインスピレーションが枯渇してしまうことだ。それは即興演奏においてばかりでなく、このような譜面に書かれた音楽においても同じなのだ。それにしても何とイマジネーション豊かな音楽なのだろう。トミタはシンセサイザー・ミュージックの枠をはるかに超えたところで、音楽の持つ可能性や領域を大きく広げてくれたのだ 」
―  彼の音楽には斬新なオリジナリティが溢れている。そういうことですね。
ザヴィヌル 「特にトーン・カラーは独自のものだ。いまではこうしたトーンをメインにした音楽が当たり前のように演奏されているが、すべてトミタが創り出したものだ。彼の存在なくしてシンセサイザー・ミュージックはここまで発展できたかどうか。それとトミタの偉大なところは、ジャンルを超えてすべての音楽に影響を与えたことだ。世の中に氾濫している音楽の持つトーン・カラーやサウンド・カラーをたどっていけば、トミタに行き着くということさ 」

ご参考 : 発起人のディスク・レヴュー ⇒ 冨田勲=ドビュッシーを語ります。


キャノンボール・アダレイ
「ワルツ・フォー・デビー 」

アルバム「ノウ・ホワット・アイ・ミーン 」より (RIVERSIDE )

Know What I Mean、Cannonball
ザヴィヌル 「キャノンボール・アダレイ(a.s. )のレコードだ。これは懐かしい。ピアニストはビル・エヴァンス。二人ともマイルスのグループ出身だ。私はその逆で、キャノンボールのグループを経て、レギュラー・メンバーではなかったけれど、マイルスのところに出入りするようになった。このレコードは、キャノンボールのグループ在籍中に聴いたことがある。彼がまるで別人のようでおかしかった。こんなに真面目な雰囲気でアルト・サックスを吹いているのは、マイルスのバンドにいた時以来のことだ。そのことを指摘したら、本人も照れていた。でもキャノンボールはこのアルバムを誇りにしていた。エヴァンスのことを尊敬していたんだよ、『自分とは違って、音楽に向かう姿勢が謙虚だ 』と言ってね。だけど、キャノンボールだって不真面目だったわけじゃない。彼は彼で一所懸命に自分のやるべき音楽の方向を考えていた。練習にも熱心だったしね 」
―  あなたはビル・エヴァンスのようなスタイルを意識した事はあるんですか ?
ザヴィヌル 「キャノンボールのグループに入る前は 私もエヴァンスのようなピアノを弾いていた。自分のトリオを率いて仕事をしていたんだよ。たまたまキャノンボールのグループに入ったんで、彼の音楽に合わせるようになったが、そうでなかったら 今頃は『ビル・エヴァンスの後継者 』と呼ばれていたかもしれないよ(笑 ) 」


マイルス・デイヴィス
「タイム・アフター・タイム 」

アルバム「ユア・アンダー・アレスト 」より(CBS )

Miles_Youre Under Arrest
ザヴィヌル 「マイルスの演奏はいいけれど、バンドがだめだね。彼がポップチューンを取り上げることにはまったく問題がない。だけどポップチューンをそのまま演奏してはいけない。もっと高いクォリティ、密度の濃い演奏するべきだ。このトラックでそれができているのはマイルスだけだよ。バックの演奏からは何も感じるものがない。彼らはこのての音楽をどう演奏したらいいのか知らないんじゃないかな ? 曲はいいのにね。マイルスはミュージシャンに色々と教えるべきだ 」
―  あなたもウェザーリポートでマーヴィン・ゲイのヒット曲『ホワッツ・ゴーイン’オン 』を録音していますね。
ザヴィヌル 「あの演奏を聴いてもらえばわかるはずだが、ウェザーリポートの音楽として完全に消化されている。そこが大切だ 」
―  マイルスと演奏していた時代に、彼から音楽上のアドヴァイスを受けたことはありますか ?
ザヴィヌル 「あの頃のバンドはクォリティが高かったから、その必要はなかった。だってチック・コリアがいて、ウェイン・ショーターがいて、ジョン・マクラフリンがいて、ハービー・ハンコックがいたんだから。彼らはみんな独自にクォリティの高さを誇っていた。それらが合わさるから、他に手を加える必要などなかった。みんなが集まって演奏するだけで完璧な音楽が創れるバンドだったんだよ 」
―  あなたはバンドのメンバーにあれこれ指示するタイプですか ?
ザヴィヌル 「必要な時は注文を出すよ。マイルス時代のことで言うなら、彼と私の音楽とではコンセプトがまったく異なっていた。マイルスのバンドはフレームが決まっているけれど、あとはフリー・ブロウィング的な要素が強かった。私の音楽はリズムが土台になって、その上でメロディが動くようになっている。逆の場合もあるしね。かなりキチッとしたフレームの中で音楽が組み立てられているから、それについては注文もあればリハーサルも必要だ。クリエイティヴィティの点では絶対にスポイルされないような配置が必要である、と常々思っている 」

(以上、青字部分の引用元:スイングジャーナル誌 1986年9月号より )

Joe Zawinul (3) Joe Zawinul(2) ジョー・ザヴィヌル Joe Zawinul (4)
Josef Erich "Joe" Zawinul、1932年 7月 7日 - 2007年 9月11日

スケルツォ倶楽部”へ ようこそ
▼ ジャズ系の音楽がお好みの方へ・・・
午後のジャズ喫茶カフェ・ソッピーナから
スティーヴ・ガッドを讃える。
You Can Never Capture “IT” Again …
音楽ジャンルの障壁を飛び越えるメロディ ♪
アフター・シュトラウス & “バイ・シュトラウス”



↓ 清き一票を
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村
blogram投票ボタン
人気ブログランキングへ
Club Scherzo, since 2010.1.30.

関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

トラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)