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はじめは ベートーヴェンから。
発起人の書斎

 やはり、はじめはベートーヴェンからでした。
 「その人 」は 小学校の音楽室の防音壁に並ぶ大作曲家たちの肖像画の中で、いつも一人だけ怒ってたし 髪形だってもじゃもじゃだし - そんな特徴的な印象のおかげで、まだ物心つく前から いち早く その名前だけは憶えていました。
 ルートヴィヒ・ヴァン = ベートーヴェン  - と。

関連記事 ⇒ ベートーヴェンの顔

 けれど、彼が音楽家であるにもかかわらず 何と「耳が聴こえなかった 」という、他とは際立って異なる個性を有していた事実を初めて知ったのは、私 発起人がようやく小学校3年生も秋頃になってからのこと - 子ども向けの偉人伝を読んだ時でした。
ベートーベン伝記

 これには 驚きました。耳が聴こえないのに 作曲なんて できるんでしょうか ?
 それって、視力を失った画家が絵を描くようなものじゃ ?
 特に有名なエピソード - 晩年、聴覚をほぼ完全に失っていたとされるベートーヴェンが、合唱付きという大規模編成の第9交響曲を初演した時には自分自身で(副指揮者を立てつつも )オーケストラの指揮を執ったと - 。フィナーレのラスト一音が鳴り止んだ瞬間、この偉大なシンフォニーに感動した聴衆の嵐のような喝采が会場いっぱいに湧き起こるも その歓声が本人の耳に届くことはなかった - というくだりを、そこまで猛烈に感情移入しながら読んでいた私は、ここで一気に目頭が熱くなり生まれて初めて読書しながら泣いてしまったという(以後は ちょくちょくあるのですが )、そんな忘れられぬ思い出・・・

 「その人 」が生み出した音楽は、時を超え 今も膨大な人々を感動させ得るエネルギーで燃えつづけているというのに - 当の作曲者自身が聴くことを許されなかっただなんて、そんな酷いことってありでしょうか。
 子ども向けの伝記を読んで(それには多少の美化・脚色はあったにせよ )苦悩の生涯を知った私は、当然 ベートーヴェンが残してくれた音楽を 聴いてみないではいられなくなりました。
 というわけで、小3にして、生まれて初めてクラシック・レコードを親にねだることとなりました。 私の生まれて初めての「クラシック音楽体験 」ということになります。

ステレオをリビングに置いた家庭の風景(保育社カラーブックスより) (2)
▲ 当時のレコード店内(保育社カラーブックス )

 その頃(大阪万博の翌年 - 1971年でした ) スケルツォ倶楽部発起人は 西武池袋線ひばりヶ丘駅沿線に住んでおりましたので、その駅近くにあったレコード店へ 初めて両親に連れられ 足を踏み入れました。

カラヤン 運命 未完成(グラモフォンL.P.)
▲ 一枚2,400円もするカラヤン / ベルリン・フィルの格好良いジャケットのL.P.レコード(グラモフォン / ポリドール )盤を仰ぎ見つつ、経済的に決して裕福な家庭でなかったことを子ども心にも感じていましたので、母親が指差す廉価盤コーナーに 同じカップリング「運命 / 未完成 」で1,000円というお買い得のフォンタナ盤(花束にホルンを配した地味なデザイン )を発見すると、躊躇なくそちらを買ってもらいました。

運命 未完成 ウィレム・メンゲルベルク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
▲ それは、ウィレム・メンゲルベルク指揮 / アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団による、今にして思えば 歴史的なライヴ盤ではありましたが、1940年のモノラル録音 - もし大人になった今の私が、これから音楽に触れようとする子どもに 同曲のレコードを最初に選んであげるとしたら、絶対に勧めないような貧弱な音質でした。
 
 それでもその日は、買ってもらったL.P.レコード(まだモノラルとステレオの違いさえ理解していなかった )を抱えて大喜びで帰ってくると、パイオニアセパレート・ステレオのスピーカー前に座り込んで 初めての音楽鑑賞です。
ステレオをリビングに置いた家庭の風景(保育社カラーブックスより) (1)
▲ 当時のステレオ広告(保育社カラーブックス )より

 初体験の「未完成 」と「運命 」 - レコード両面を 繰り返しひっくり返し、もう憑りつかれたように何度も何度も聴きました。音質の良し悪(あ )しなんか知りません。不思議なことに 全く飽きることなく、さらに食欲も感じませんでした。ねだられるままレコードを買い与えた両親は、こんなスノッビーな息子の姿を眺めて あきれていたと思います。
 ・・・でも こっちは真剣でした。
 ああ、シューベルトも この二楽章の交響曲(『未完成 』 )を 自身の耳で聴く機会はなかったんだろう、気の毒になー などと 勝手に思いを馳せながら「運命 」と交替で、判るまで何度もレコードに針を下ろしつづけました。
 なにしろまだ小3、しかも本物の音楽ビギナーが イキがって音楽鑑賞の真似事を始めたところで、いきなり交響曲が理解できるわけなんかありません。でも判らぬまでも繰り返し聴いているうち 楽曲の構成はおぼろげにつかめてきますし、ははあ、気に入った旋律がこの辺までくれば出てくるのかとか、情報として頭に入ってくるものです。ちょうど知らない場所でも数多く歩いているうち土地勘がついてくるようなもので、好きな場所や風景が、まだ幼かった脳の中で徐々に整理されてくるのがわかりました。

 その晩から私は、音楽を聴くことの喜びと引き換えに、それまで楽しんでいた野球やプロレスやドリフやアニメなど 殆どのTV番組を観ることに対する興味を すべて失いました。 はい、病的なクラヲタへの道を歩み始めてしまったのです(笑 )。

⇒ つづく。

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