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スケルツォ倶楽部 
Club Scherzo
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ワイエス「クリスティーナの世界 」の意味を
「NHK-Eテレ 日曜美術館 」で 初めて知る。

Andrew Wyeth. Christinas World.
▲ Andrew Wyeth.“Christina's World”(1948、MoMA )

 「クリスティーナの世界 」は、昨年生誕100年を迎え、再び注目を集めているアメリカの画家アンドリュー・ワイエス(1917-2009 )が 1948年に描いたテンペラ画です。
 二十世紀のアメリカ絵画で 最も有名な作品の一つとされ、アーサー C.クラークの小説「2001年宇宙の旅 」において ボーマン船長がスターゲイトを抜けた後、例の「豪華ホテルのスイートルーム 」の白い壁に ゴッホの「アルルの跳ね橋 」とともに掛かっていたこと(になっている描写 )でも知られます。

 けれど、この名画に対する スケルツォ倶楽部発起人の認識は「知ってるつもり 」の浅薄な知識でした。この女性が なぜうつ伏せで草原に横たわっているのか、その視線の先にある屋敷への彼女の執着のようなものは感じられましたが、その背景となる事情について 調べようともせず 今日まで全くの無知でした。
 それが、今朝 何気なくTVリモコンをONにしたら 「日曜美術館(司会 : 井浦新高橋美鈴NHK-Eテレ 毎週日曜 午前 9時~ )」で 「ワイエスの描きたかったアメリカ 」なる回が始まり、そこに今日「クリスティーナの世界 」が登場したことによって、すべて氷が溶けるように解決しました。

 実は、この絵は 身体に障がいのある女性が 這って自宅に帰ろうとしている姿 を描いた作品だったのです。
 小児麻痺 ポリオ(近年では早発型CMT説が有力だそう )によって下肢麻痺が進行している彼女(クリスティーナ・オルソン )は、日常的に両腕の力だけで移動しており、生来病弱で孤独に育ったワイエスは、何もかも自分の力でやってのける彼女の力強さに心を打たれ、その姿を美化することなく ありのまま描くことで彼女への深い敬意を表したのだといいます・・・ 衝撃。
 
 スケルツォ倶楽部発起人が子どもだった頃の記憶に、生まれつき脳性麻痺で歩行が困難だった実父が 座敷を這って進んでいた姿がオーバーラップしました。
 ああ、なぜそうだと気がつかなかったんだろう。

 知ろうとしなかった怠慢な自分に、自責の念と同時に罪悪感まで感じてしまいます・・・
 うう、ごめんなさい、クリスティーナさん、ワイエスさん。
 ・・・ごめんなさい、お父さん。

 番組では、ワイエス研究の第一人者 岐阜県現代陶芸美術館館長 高橋秀治氏の傍らで、ゲスト・コメンテイター席に 何と 五嶋龍さんが座っていました。思わず身を乗り出して ワイエスについての発言を傾聴します。

五嶋 龍
「(見えないものを描くには・・・) いろいろなテクニックがあります。音楽に例えますと、音量だったり、言いたいことも半分言わないでおくとか、表現したいものを 敢えて控えめに表現することによって、聴いている側の人はもっと求めるようになる -。その求める先の延長線上にあるものや、全体を想像させるということも、可能ですよね 」

「音楽には、音の無い部分のほうが意味をもつときがあるわけです。そのまま伝えるのではなくて、聴いて頂いて そこからまた世界が広がるようにすることが目的ですから、ただ事実だけをそのまま伝えるのではなくて、それ以上のものを感じてもらいたいんですね 」


五嶋 龍 (2)
「アーティスト(演奏家 )と、観客・聴衆とは しばしば分けて考えられがちですが、私たちアーティストの大切な役割とは、やはり聴いている人たちのクリエイティヴィティを誘うことだと思うのです。自分のアート、ささやき、音楽というのは、あくまでもきっかけに過ぎないわけですよね。それを使って、観ている人、聴いている人のクリエイティヴィティを刺激してアートを生み出すようにすることこそが、究極のアートなんじゃないかなと思ってます 」

「今の世代 - 自分もそうですが、すべてをものすごいハイスピートで判断する癖がついているので、僕自身も服を選んだり絵を観たりする時、大体2秒位で決めつけてますからね。でもそれに飽きる時だってあるんです。一瞬で判るものではなく、もっととらわれて、あれ ? これって、もっと裏に何かあるんじゃないか - というものを考えさせられる。深いもの、意味のあるものに惹かれてくると思うのです。ワイエスのパワーは 一瞬戸惑わせるところにあります。それって、今の世代が持つハイペースな感覚の中でこそ必要なのではないかと思うのです 」


参照NHK Eテレ 日曜美術館「ワイエスの描きたかったアメリカ
 ・・・ どうやら 2017年 9月10日放送分の再放送だったようです。偶然にも 観ることができて、よかった !

 さて、今日の一曲は ワイエスと同じく ペンシルヴェニア州の出身で ほぼ同時代を生きた作曲家、サミュエル・バーバー(1910-1981 )による合唱曲「アニュス・デイ(神の子羊 ) 」Agnus Dei 

 これは、バーバーの非常によく知られた旧作「弦楽のためのアダージョ 」を、作曲者自身が合唱曲として編曲したものです。
 ケンブリッジ・トリニティ・カレッジ合唱団リチャード・マーロウ合唱指揮 )1993年 3月録音。

バーバー 作品集(3CD-SONY)
▲ The Music of America - Samuel Barber ( 3CD) [US輸入盤] 収録
音盤:SME MASTERWORKS
[DISC:1]
01.Overture to The School for Scandal, Op. 5
02.Dover Beach for Voice and String Quartet, Op. 3
03.Symphony No. 1, Op. 9 Allegro ma non troppo
04.Allegro molto
05.Andante tranquillo
06.Con moto (Passacaglia)
07.String Quartet, Op. 11 Molto allegro e appassionato
08.Molto adagio
09.Molto allegro (come prima)
10.Adagio for Strings

[DISC:2]
01.Concerto for Violin and Orchestra, Op. 14 I. Allegro
02.II. Andante
03.III. Presto in moto
04.Second Essay for Orchestra, Op. 17
05.Medea's Dance of Vengeance, Op. 23a
06.Sonata, Op. 26 I. Allegro energico
07.II. Allegro vivace e leggero
08.III. Adagio mesto
09.IV. Fuga: Allegro con spirito

[DISC:3]
01.Knoxville: Summer of 1915, Op. 24
02.Hermit Songs, Op. 29 At Saint Patrick's Purgatory
03.Church Bell at Night
04.Saint Ita's Vision
05.The Heavenly Banquet
06.The Crucifixion
07.Sea-Snatch
08.Promiscuity
09.The Monk and His Cat
10.The Praises of God
11.The Desire for Hermitage
12.I Hear an Army, Op. 10 No. 3
13.Nocturne, Op. 13 No. 4
14.Sure on this Shining Night, Op.13 No. 3
15.Vanessa Must the Winter Come So Soon?
16.Antony and Cleopatra, Op. 40 Give Me Some Music
17.Give Me My Robe
18.Agnus Dei

バーバー 作品集(3CD-SONY) (2)


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