本記事は 9月19日 「 注目記事ランキング クラシック音楽鑑賞 」で 第1位 となりました。
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スケルツォ倶楽部 
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発起人のディスク・レヴュー ⇒ こちら


記憶に残るクラシック「裏青」CD-Rライヴ盤
記憶に残る 裏青CD-Rライヴ盤(クラシック編 )

  「あら、アナタったら 大事にしてる所蔵CDを 段ボール箱につめたりして。処分しちゃうつもり ? 」
  「いや、コレクションのごく一部だよ。せいぜい100枚くらいね。良い音で再発された愛聴盤を買い直してダブった旧盤とか、5年以上聴かず放置して棚のコヤシになっていたヤツとか、すでに持ってるのに間違って買ってきてしまったウッカリCD - などだな。もうずいぶん前から 年に数回 不定期にディスク・ユニオンに買い取ってもらってるんだよ 」
  「歩いて行ける近所のBOOK OFF へ持っていけばいいじゃん 」
  「BOOK OFFは 以前一度だけ利用したけど、その時の査定担当者がクラシックやジャズの価値を全く知らないようで、残念だったんだ。十把一絡げでトータル数百円という あまりな叩かれようにがっかりさせられた 」
  「そうなの 」
  「逆に、ユニオンは 昔から 稀少価値のディスクにはそれなりの値段をつけてくれるし、さらに査定明細書まできちんと作ってくれるから納得もできる。L.P.時代から もう何十回となく買い取ってもらってるけど 売らなきゃよかった、と後悔したことは 今まで一度もないな 」
  「ふーん 」
  「・・・とは言っても さすがに最近はCDの売値は下がってるので、相当イタイよ 」

  「そんなアナタのCD棚の中には、また ずいぶんとチープなデザインのディスクが何枚かあるのねー 」
  「あ、そいつらには手を触れるなよ、“スケルツォ倶楽部”で 話題にする予定は ないんだから。ヤケドするぜー(笑 ) 」
  「イケナイと言われると つい見たくなるものよね 」
  「こらこら・・・ 」
  「ありゃー パッケージだけじゃなくて ディスク自体もやたら軽くて薄っぺらだし、おや ?  う、裏が青いわよー、アナタ。なぜなのかしらー 」
  「(舌打ち )わかってるくせに、それがCD-Rの無修正ライヴ盤だってことくらい・・・って、また知らないふりしちゃって 」
  「ははーん、コレがアレかー 」
  「今日は あまり大きな声では語れない話題です 」

秋葉原 石丸電気3号店
  「マニア向けのCD-Rライヴ録音盤の数がこんなに増えちゃったのも かつて秋葉原の石丸電気3号店に行けば これらがごく普通に、しかも大量に店頭で並んでいたからなんだよな。ああ、サンクチュアリのようだった あの店も、すでに閉店して久しいけど 」
  「やだ 信じられなーい、こんなアヤしいブツが堂々と ?  犯罪じゃん 」
  「でもマニア心をくすぐる 良タイトルばかりだったんだよ 」
  「たとえば ? 」
  「そうだな、個人的にも初めて購入した裏青盤は やっぱり忘れられない。それが コレ 」

ディースカウ‐ポリーニ1978ザルツブルク・ライヴ「冬の旅」(非正規盤FKM) マウリツィオ・ポリーニ(ポリグラム資料) Dietrich Fischer-Dieskau
FKM(FMK CD-R1012 )
シューベルト 歌曲集「冬の旅 」
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン )
マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ )
録音:1978年8月23日、ザルツブルク音楽祭(ザルツブルク小劇場 )


このディスクについては、当ブログ“スケルツォ倶楽部” をスタートさせたばかりの頃、最初のタイトル『架空のシューベルティアーデ 』 でも話題にしました。  ⇒ こちら

  「ホントお世話になったよ、この一枚には 」
  「ディースカウ & ポリーニ、一期一会のザルツブルク・ライヴ冬の旅 』と言えば、その後 めでたくオルフェオから正規音源がリリースされたわよね。後になって より良い音質の正規盤が出れば、その途端 一気に価値が暴落するところが CD-R盤の宿命なんでしょ 」
  「でも この一枚に限っては さほどガッカリ感はなかったな。なにしろオルフェオ盤が正規に出るまで35年間、あの貴重なライヴを聴ける方法など他には皆無だったわけだし、FKMなる非正規レーベルは、まさに埋もれるところだった音楽の文化遺産を支える一端を担う仕事をした - と評価しても過言ではない。この一枚のディスクによって、伝説のリサイタル音楽史上のドキュメンタリーとして語り継がれたのだ 」
  「なるほど。不本意にもブートレッグ呼ばわりされてきたCD-R盤の中にも、アナタのようなクラヲタに対する使命を果たし、晴れて正規盤にバトンタッチするまでの役割を全うした存在もあった - ということね。そんなFKM盤の音質を 正規オルフェオ盤と聴き比べてみると ? 」
Schubert_Winterreise (ORFEO )
  「この場合、ソースは同じ放送音源だし、サウンド・クォリティ、音のヴォリューム・音の定位・ヒスノイズなど、素人たる俺の耳には両者の較差は殆ど判らないレヴェルだった。それでも音の輪郭にごく僅かな鮮明さが増したオルフェオ盤を聴いて、オレが気づいた相違点と言えば、第18曲『あらしの朝 』冒頭の欠損がきれいに修復されていたことと 『ライアー回し 』で全曲を終えた後、聴衆の盛大な拍手の音がきちんと入っていたおかげで カタルシスを感じたこと、それくらいだったなー 」



セルジュ・チェリビダッケ「新世界より」RE! DISCOVER(RED - 3 ) セルジュ・チェリビダッケ_ Sergiu Celibidache
RE! DISCOVER(RED - 3 )
ドヴォルザーク 交響曲第9番 ホ短調「新世界より 」
セルジュ・チェリビダッケ 指揮
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1985年6月24日 ミュンヘン、ヘルクレス・ザール


  「“CD-R盤の宿命”を感じる指揮者と言えば、やはりチェリビダッケかな。録音嫌いで有名だった異能の巨人セルジュ・チェリビダッケ、世評高い彼がつくりだす峻厳な世界を聴きたければ、実際のコンサート会場に足を運んでライヴを聴くか、それが無理なら チェリビダッケ自身が嫌悪しまくった非正規録音盤を入手して聴くしか方法がなかったんだから 」
  「で、当然アナタは - 」
  「マイナー・レーベルでさえ入手できないプログラムをCD-R盤でみかけたら、そりゃもう買うしかねーだろ 」
  「さては けっこう散財したのね (眉間に青筋を立てる )」
  「おうよ。やはり筆頭は あの巨大なブルックナー。それから ベートーヴェンブラームスといったドイツもの。あのスロー・テンポで築き上げるチャイコフスキーが、バルトークが、果たしてどんな構造物に仕上がっているか 聴いてみたい衝動はやはり抑えきれず、高額な裏青盤を探し回ったものだ 」
  「ふふん、でも中には ? 」
  「“膝上録音”と呼ばれる、客席で隠れてカセット・テープの録音ボタンを押してみました的な、酷い音質のディスクつかまされ、悔し泣きしたことも少なからず… 」
  「高い授業料だったというわけね(笑 ) 」
  「そう、そんなチェリビダッケのブート盤は その後すべて“授業料”と化すことになる。生涯をかけて自己の信念と美意識を貫いたチェリビダッケ本人が亡くなった途端、遺族らは 複数の大手レコード会社に 放送局が保管する音源を 莫大な契約金と引換に販売することをあっさり許可したのだ 」
  「そんな言い訳のような理由が もっともらしく“劣悪な質の海賊盤の横行を止めるため” - だったかしら 」
  「めでたく“正規販売”されることになったD.G. シュトゥットガルト放送交響楽団との音源 & EMI ミュンヘン・フィルとの音源 ― を、複雑な想いで買い直したのが、つい昨日のことのような気がする・・・ 」
  「そんなCDをプレイヤーに乗せるまでのほんの一瞬、自分たちが生きている世界が 今 何を必要としているか、アナタもちゃんと考えてみた ?(笑 ) 」
  「何だよそれ、たまたま幸運にもチェリビダッケの遺族だった輩が必要とした世界には 金が要る、ということだw 」
  「ところで 上掲 ミュンヘン・フィルとの“新世界交響曲の裏青ディスクは、意外にもEMIのチェリビダッケ・エディションでは なぜかリリースされなかったプログラムなのよね 」
  「スローモーション再生のような、気も遠くなる遅さが出色の第2楽章。全曲を50分超えで演奏するスケールの大きさも チェリビダッケの指揮だったら想定内だ。この“新世界”は本当に凄い。指揮者の唸り声も随所で炸裂、実はお気に入りの爆演だったから 今までずっと手元に残しておいた一枚だったんだ 」
セルジュ・チェリビダッケ_ドヴォルザーク 新世界より Warner Classics
  「でも アナタ、これ 今年(2017年 ) 6月頃 ミュンヘン・フィルの自主制作レーベルワーナー・クラシックスから遂に正規発売されていたらしいよ。1985年6月のヘルクレスザール録音だっていうから、このRE! DISCOVER盤と同音源じゃない ? 」
  「・・・う、全く知らなかった 」
  「“CD-R盤の宿命” キターッ (笑 ) 」



RE! DISCOVER(RED - 81 )クライバー 「コリオラン」、モーツァルト、ブラームス Kleibers Legendary 1996 Munich Concert
RE! DISCOVER(RED - 81 )
ベートーヴェン 「コリオラン 」序曲
モーツァルト 交響曲第33番 変ロ長調K.319
ブラームス 交響曲第4番 ホ短調 作品98
カルロス・クライバー 指揮
バイエルン州立管弦楽団
録音:1996年10月21日 ミュンヘン、ヘルクレス・ザール


  「非正規のブート盤でしか聴けなかった、もう一人の代表的指揮者と言えば ? 」
  「そりゃー 80年代以降のカルロス(・クライバー )でしょ 」
  「リアルタイムで正規リリースされたクライバーの新録音・新譜といえば、レーザー・ディスクで発売された ウィーン国立歌劇場でのライヴ「ばらの騎士 」(1994年 3月収録 )が最後だった 」
  「へえ、そうだったかしら ? 」
  「登場回数そのものが少なかったカルロス、その後、新譜発売どころか オペラでもコンサートでも指揮台に立つこと自体が“大事件”扱いされるほどになり - 」
  「“高い理想を追い求めた結果のキャンセル” も多かったしね 」
  「置き去りにされた世界中のクライバー・ファンたちは、CDショップに立ち寄る度 せめて未発表のライヴが たとえ非正規盤ででも聴けないかと目を皿にして探したものだった。彼らは皆 のどから手が出るほどクライバーのライヴ音源を渇望していたんだ 」
  「(笑 )って、それ アナタ 自分のことでしょ 」
  「ふん、潔く否定はしない。そんな時期に出た この一枚は、1996年10月21日録音 - というから、カルロスが殆ど活動休止に入っていた頃の貴重な実況録音。これは、彼の友人でウニテル社長(当時 )でもあった企業家レオ・キルヒの 70歳の誕生日を記念して招待客に限定されたプライヴェートな演奏会の実況で、久しぶりに指揮台に立ったカルロスの雄姿が聴けるんだ 」
  「ここでの『コリオラン序曲ったら とにかく凄い気迫のこもった爆演ね。勢いあまって最初のうち弦セクションが揃わないなど 細かいキズはあるものの、逆にそこが 普段は綿密なリハーサルの址を聴衆に感じさせないカルロスの 音楽に求める自発性をより一層強く実感させてもらえる稀有な瞬間といえるのではないかしら 」
  「メイン・プロのモーツァルトブラームスのシンフォニーは 目立った破綻もなく比較的丁寧に演奏し終えているが、いずれも入魂の素晴らしさだよ。モーツァルトに脈打つ拍動は絶好調だし、ブラームスは新たな境地さえひらいてみせる生きた佳演だ。常に中身を知らずに購入しなければならないのでギャンブル性も満載(笑 )だった、そんなカルロスCD-R盤の中でも この一枚は大当たり。クリアな音質で 録音バランスも良好 」
Kleibers Legendary 1996 Munich Concert,First Release Ever !
  「でもアナタ(笑 )・・・ これD.G.から出ているDVD“Kleiber's Legendary 1996 Munich Concert、First Release Ever ! ”(00440 073 4017 )と 絶対同じソースだよ。たしか衛星中継もされた時の有名なコンサートだったから、音源は同じに違いないよ 」
  「え ? このライヴって、正規映像あったんだっけ ? 」
  「今さら何を言ってんの ウニテル社長バースデイ・コンサート実況だもん、“商売抜き で撮っていたわけがないでしょ。っていうか アナタ このDVD持ってるでしょうが、ほら(と、棚から出してみせる ) 」
  「あ・・・ 未開封 (絶句 ) 」
  「よかったじゃん ? その歳で 楽しみが一つ増えて 」



クラウス・テンシュテット、91年 ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調 作品125「合唱 」R.M. クラウス・テンシュテット (2)
RARE MOTH(RM410-S )
ベートーヴェン 交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱 」
ジェーン・イーグレン(ソプラノ )
キャスリーン・クールマン(メゾ・ソプラノ )
アンソニー・ロルフ=ジョンソン(テノール )
ジョン・トムリンソン(バス )
クラウス・テンシュテット 指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、合唱団
録音:1991年8月31日 ロンドン、ロイヤル・アルバートホール


  「これは 感動的な超名演。晩年のテンシュテットが 生涯の手兵ロンドン・フィルとアルバートホールで演奏した第9のライヴ録音といえば、他にも数種類 遺されてはいるけれど - 」
  「わたし85年BBC )盤と最期の92年LPO )盤 -いずれも正規盤で - 聴いたことあるよ 」
  「85年盤は、喉頭癌を発症したためロンドン・フィルの音楽監督を辞任する1ヵ月前の演奏会。発熱するパワーが尋常じゃない。92年盤は、放射線治療を受けながら断続的に演奏活動を続けていた、迫力に諦観まで加わったような最晩年の演奏記録。いずれも素晴らしいけれど、この91年8月のライヴで聴ける 深い集中力、切ないほどの振幅の大きさ、異様に膨張する激情などは 他では求め得ないもの 」
  「ホント凄い演奏させる人だよねー、テンシュテットって・・・。大好き 」
  「少し残念なのは 静かな個所でヒスノイズが若干気になること、かつてアナログ再生時によくあったゴースト現象プリエコー(予鳴 )も なぜか目立つな 」
  「それ、ひょっとして若い世代は 知らないかもよ。音楽が始まる直前の無音部とか ピアニッシモで直後フォルテになる部分が先に小さく聴こえてきて興ざめ ― ってやつでしょ。デジタル以降は皆無だったから、なんか懐かしい 」



クラウス・テンシュテット、マーラー 交響曲第2番ハ短調「復活 」L.B. クラウス・テンシュテット
Lucky Ball(LB-0001 2CD )
マーラー 交響曲第2番 ハ短調「復活 」
エディト・マティス(ソプラノ )
ドリス・ゾッフェル(メゾ・ソプラノ )
クラウス・テンシュテット 指揮
NDR(北ドイツ放送)交響楽団、同合唱団、リアス室内合唱団、
録音:1980年9月29日 ハンブルク、ムジークハレ


  「テンシュテットの非正規盤と言えば、コレに触れないわけにはいかない 」
  「いいぞー ドンドン行けー(笑 ) 」
  「NDR時代のテンシュテットが遺した爆裂系の代表的名演として 今も語り草となっている奇跡的なレコーディング 」
  「とにかく奏者が全員 本気で取り組んでいる感が圧倒的だわ。録音の臨場感も L-R いっぱいに音場は広いし、第5楽章でステージ裏から聴こえてくる別働隊の金管群の距離感もグッド(いいね )。せめて最後に 拍手の音まで残しておいてほしかったなー 」
  「全楽章にわたって緊張感がまったく途切れず、演奏の猛烈な燃焼度も凄い高さだ。弦セクションが一斉にザクザク刻む時の激しさ、特に低音弦セクションの奏者らが鳴らす間接音も派手 」
  「パーカッションのバランスの良さ、とりわけティンパニの気持ちよく抜けてゆく轟きの効果とか - 」
  「第5楽章の前半 最初のクライマックスの ここぞという場所で 先走ったシンバルが思い切り 轟音を鳴らしてしまうわけだが、ここまでの演奏の熱い勢いが凄いから 全然気にならないほど 」
  「指揮台からテンシュテットが煽っているに違いない切迫感の高さや緊張感など オケに与える影響の大きさたるや甚大で、やっぱり物凄いの一語に尽きる記録よね。これ 正規盤で出せないものかしら。後年のロンドン・フィル盤をも凌ぐような こんな素晴らしいレコーディングがあるのに、余りにももったいない・・・ 」
  「2004年頃 NDR KulturEMI系列 )辺りで放送音源を正規リリースするチャンスはあったろうに、その後 母体のEMIが買収されたりしたため 時期を逸したんだろうけど。素人の発起人には 正確な事情はわからないが - 」



レナード・バーンスタインのマーラー第5 1987年9月10日 ロンドン、ロイヤル・アルバートホール レナード・バーンスタイン Leonard Bernstein 1987
sardana records(SACD-150 )
マーラー 交響曲第5番 嬰ハ短調
レナード・バーンスタイン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1987年9月10日 ロンドン、ロイヤル・アルバートホール 


  「マーラーの演奏史を考える時、やはりバーンスタインの功績を語らぬわけにはいかない。非正規ライヴ音源の中でも有名なもののひとつと言えば - イスラエル・フィルとの第9 を別格にすれば - この一枚、屈指のパフォーマンス記録といえるのでは 」
  「残響豊かなロンドンのロイヤル・アルバートホールBBCプロムスに招かれたウィーン・フィルのタクトを振ったのがバーンスタインD.G.正規盤と数日しか違わない時期のライヴであるにもかかわらず - 」
  「随所で爆発する第1楽章の高い緊張感、第2楽章もメリハリある展開に思わず手に汗を握る。第3楽章の長大なスケルツォ - 金管は言うまでもなく ワルツのリズムを刻むウィーン・フィルの弦セクションの膨らむような上手さにも圧倒されてしまう。指揮台を踏み鳴らすバタバタいう音、いかにもバーンスタインらしい 」
  「白眉のアダージェットD.G.盤より一際濃厚な表現ね。正規盤とは数日しか違わない演奏のはずなのに・・・ そしてヘッドフォンで聴いていると、レニーが わたしの左の耳元で怪しく唸ってくれる(笑 ) 」
  「終楽章ウィーン・フィルの弦がバロック風な無窮動で突進してくる大迫力のクライマックスに 演奏終了と同時に 会場全体が一斉にブラヴォーの歓声で大爆発する気持ちよさ、やっぱりライヴ盤はこうでなくちゃ 」



ヘルマン・プライのベックメッサーが聴ける、FMK ニュールンベルクのマイスタージンガー ヘルマン・プライ_バイロイト祝祭劇場の1984年
FMK(CDR-5039~42 )
ワーグナー 楽劇「ニュールンベルクのマイスタージンガー 」
ホルスト・シュタイン 指揮
バイロイト祝祭管弦楽団、合唱団
ベルント・ヴァイクル(ザックス )、マンフレート・シェンク(ポーグナー )、ジークフリート・イエルザレム(ヴァルター )、マリ=アンネ・へーガンダー(エーファ )、グレアム・クラーク(ダーヴィット )マルガ・シムル(マグダレーネ )、ヘルマン・プライ(ベックメッサー )他
録音:1986年 8月2日 バイロイト祝祭劇場


  「かつて 秋葉原の石丸電気CD-R盤コーナーには マニア向けらしくオペラの全曲盤まで置いてあった 」
  「この『マイスタージンガー 』には アナタがごひいきだったバリトン歌手ヘルマン・プライが参加しているのね 」
  「そう。プライが過去バイロイト音楽祭に出演したワーグナーのレパートリーと言えば ? 」
  「“ヴォルフラム”でしょ、『タンホイザー 』の友情に篤いお友だち。終幕では『夕星の歌 』なんて 聴かせ所もあったよね 」
  「正解。かつてはヴォルフラムだけがプライワーグナー唯一のキャスティングだった。でも それから20年も経ってから 突然プライが“ベックメッサー”などという 意表を突いた役どころ に挑戦した 」
  「ミス・キャストなの ? 」
  「そういうことじゃないんだな。かつてオペラのレコードでは“フィガロ”や“パパゲーノ”といった どちらかといえば明るい主役級のロールを務めることが多かったヘルマン・プライの作られた既成印象から、“ベックメッサー”のような 敵(かたき )役を演じると聞いて、初めて聴いてみる前は とても意外だったという記憶しかない 」
  「フィッシャー=ディースカウが“ジャンニ・スキッキ”を演(や )った時と比べたら ? 」
  「うん、それに負けず劣らず興味深いキャスティグだぞ。そういえば、往年のウィーンの名歌手エーリヒ・クンツも 同じベックメッサーをレパートリーにしていたけど、彼の印象は プライとも重なるものがあるな 」
妻  「このCD-R盤でしか聴けないわけ ? 」
  「正確には、D.G.から同じバイロイト祝祭劇場1984年公演をライヴ収録したDVDが出てはいる。それももちろん すでに持っている。でも スタジオ録音でプライが同役を務めたレコーディングは存在しないから 映像なしで彼の歌唱をじっくり聴こうと思えば、このCD媒体は貴重なんだなー 」
  「って アナタヘルマン・プライベックメッサーだけを聴きたい一心で このディスクを購入したわけ ? 他に語ることはないの (笑 )って、なんてマニアック・・・ 」




サイモン・ラトル_ ベルリン・フィル_ハイドン En Larme サイモン・ラトル_Simon Rattle
En Larmes(ELS-04-476 )
ハイドン 交響曲第90番 ハ長調

ハイドン 交響曲第67番 ヘ長調
ハイドン シェーナScena di Berenice「ベレニーチェよ 何をしているのだ 」Berenice, che fai ?
グルック 歌劇「アンティゴネー 」L'Antigoneからアリア「ベレニーチェよ 何をしているのだ 」Berenice, che fai ?
ハイドン 歌劇「オルフェオとエウリディーチェ 」L'anima del filosofo ossia Orfeo ed Euridice からアリア「あなたの幸運な胸で 」Al tuo seno fortunato
チェチーリア・バルトリ(メゾ・ソプラノ )
サイモン・ラトル 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2003年9月26日 ベルリン


  「この一枚だけは、クラシック専門のネットショップ アリアCD 店主 松本大輔氏による秀逸な紹介文を引用(青字 )させて頂きましょう。名文です。なぜなら 私もこの文章を読んだら やはり聴いてみたくなり、思わず通販で購入してしまったからです 」

―  ハイドンの交響曲第90番。
 今まで店主もわりと愛好していた楽曲だったが、実はこれ、自分が思っていたような曲とは違っていたのである。終楽章アレグロ・アッサイ、曲は軽やかな終結部に入って 何事もなく終わる。そして拍手。
 ところが拍手が鳴り止みそうになると、ラトルはまたオーケストラに向かって演奏を始めた。終わってなかったのだ !
 観客は「しまった 」というような無言の声を上げる。オーケストラはそんな観客をよそに 引き続き軽やかな演奏を披露する。そしてまた完璧な終結部を迎えた音楽は大団円を迎える。聴衆は今度こそ、と万雷の拍手 ! すばらしい演奏 ! ブラボー !
 ・・・しかしラトルが笑う。そしてオケに向かう。「しまった ! 」また罠だった ! 場内はもう大爆笑。
 そういう曲だったのである。終わったとみせかけて観客に拍手をさせてはまだ終わってないよと演奏をつづける、そんなハイドンらしい なんともいたずらっ気に満ちた・・・! そう、この曲は観客を入れて、観客のだまされた拍手、狼狽の叫びを伴って初めて完成する作品だったのだ。
 最後、またまた演奏が終わっても観客は一瞬拍手を躊躇する、だってこれも罠かもしれないんだから。
 でも どうやら本当に終わったらしいと言うことで、ほっと一息。みな安心して拍手喝采。
 しかし そこでラトルは もう一度オケに向かって棒を上げる。やっぱり まだ終わってなかったのである ! 信じられん ! ラトル&ハイドン !  (以上、松本大輔/著 「それでもクラシックは死なない ! 」青弓社 より )

サイモン・ラトル_ハイドン 交響曲集_ベルリン・フィル_EMI
 ・・・その後、ようやく2007年になって ラトル / ベルリン・フィルによる正規録音がEMIレーベルからリリースされます。そこでも同様に、ラトルは この「不意打ち 」終止で「確信犯的に聴衆から拍手を導き出していて佐伯茂樹氏 ) 」、EMI盤では そのライヴ・ヴァージョンとともに 別トラックに 拍手のないヴァージョンも一緒に収められていました。もちろん聴いて面白いのは「拍手入り 」のほうですが、やっぱり上記CD-R盤 2003年の実況に聴ける 衝撃の瞬間をとらえたレコーディングのほうが 破壊力では大きく上回りますよね。



ロジャー・ノリントン 指揮 ジ・エイジ・オヴ・インライトゥンメント・オーケストラ_マーラー 交響曲第1番ニ長調「巨人 」Sounds Supreme(2S-012 ) ロジャー・ノリントン Roger Norrington
Sounds Supreme(2S-012 )
マーラー 交響曲第1番ニ長調「巨人 」

ワーグナー ヴェーゼンドンク歌曲集
ベルナルダ・フィンク(コントラルト )
サー・ロジャー・ノリントン 指揮
ジ・エイジ・オヴ・インライトゥンメント・オーケストラ
録音:2001年9月30日 ドイツ、ブレーメン音楽祭


  「もう15年以上も前のことになるのかー、このCD-R盤を初めて秋葉原の石丸電気店頭で手に取った時、ピリオド・アプローチのマーラーが聴けるっていうんで、かなり興奮した日の記憶が甦る - 」
  「スイッチが入ったわけね(笑 )。まだノリントンSWRシュトゥットガルト放送交響楽団マーラーの交響曲に取り組んでいなかった頃のライヴだもんね 」
  「これが録音された背景は 全然知らないんだけど、ゲネプロ通しリハーサル演奏だったのかも -。カップリングのワーグナーには曲間すべてに、マーラーにも第1第3楽章の楽章間で、さほど多くない聴衆の一部から なぜか拍手が起きているし、その音から察すると 客席自体もさほど広くない様子 」
  「でも このCD-R盤、どこかとても雰囲気の良い音空間よね。管楽器寄りにマイクがセッティングされているのかしら 特に木管の音が鮮明。ノンヴィブラートの弦セクションが左右両翼に配置されていることがステレオの音ではっきりとわかる快さ、後年のSWRの弦よりも薄いけど 涼しげで透明感は上回っている、そんなクリアな響きが素敵 」
  「そうなんだ。もしや急な代役だったのかもしれない 気の毒なホルン奏者のプレイも含め、実は このディスクのサウンドが何ともいえず好きなので 手放さず繰り返し聴いている。聴く回数は正規SWR盤よりも多いくらいなのさ 」


シュローダーとルーシー (1)
  「さすがに最近では クラシックCD-Rライヴ盤を かつての石丸電気のように小売店で堂々とみかけることは なくなってしまったけれど、もう消滅しちゃったのかしら ? 」
  「いやいや、しっかりと通信販売専門店を通して 確実に販路を拡大しつつ生き残っているようだよ、ネット販売網の強さだな。むしろ品揃えの充実には 磨きがかかっていると言ってもよいのでは。 たとえば、DIRIGENTというレーベルからリリースされるタイトルは、毎回1コンサートをコンプリート収録するライヴ・レコーディングのシリーズだが、一例を挙げると 昨今話題のテオドール・クルレンツィス指揮/ムジカ・エテルナマーラー『巨人 』と これに コパチンスカヤ独奏による ベルク/ヴァイオリン協奏曲を加えた 今年(2017年 ) 3月 ブリュッセルでの公演を まるごと収録した サウンド・クォリティSの音源など すでに夏に入手することができた - って 驚きのスピードだろ ? それで - 」
  「それで 最近アナタ 自分宛てに 小包がよく届くというわけね ? 」
  「・・・ 」

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コメント

こちらこそ、お久しぶりです !

岡本先生、お久しぶりです。良コメント、うれしいです。
「正規盤の意味や、逆に正規盤を聴いてもなお 最初に聴いたCD-Rの印象が強烈に残ること 」こそ、まさに今回 私の書きたかった本質でした ! 見事にすくいとってくださり、どうもありがとうございます。

URL | “スケルツォ倶楽部”発起人 ID:-

ご無沙汰しております

こんにちは。
実に興味深い記事をありがとうございます。
僕は「裏青」CD-Rには疎く、ほとんど買い集めることもなかったので、こういう楽しみ方をされていた方にとっての正規盤の意味や、逆に正規盤を聴いてもなお最初に聴いたCD-Rの印象が強烈に残ることなど、奥深いですね。(笑)
勉強になります。

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