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祝 ! 映画「スヌーピーとチャーリー
A Boy Named Charlie Brown (1970年 ) 
サントラCD(Kritzerland )盤、初発売

00 映画「スヌーピーとチャーリー 」 A Boy Named Charlie Brown サントラ LPとCD

 チャールズ・M.シュルツ氏原作「ピーナッツ 」シリーズ、記念すべき最初の劇場用アニメーション映画「スヌーピーとチャーリー A Boy Named Charlie Brown 」(1970年、CBS )については、6年前、スケルツォ倶楽部/スヌーピーの音楽/関連記事シュローダーが『悲愴 』を弾いたのは、ベートーヴェンの命日 ≪ 3月26日≫ だったかも で、すでに話題にさせて頂きました。

 映画のサウンド・トラック盤は、1970年の映画封切時にCBS(国内CBSソニー SOPM-10 )からL.P.レコードで発売されたきり、それ以後は 国内外ともにCDリリースはされていませんでした。
 もはや幻の一枚となった このサントラ盤は、(1)映画のオリジナル主題曲 A Boy Named Charlie Brown の他 数曲のソング・ライティングを担当したロッド・マッケンによるヴォーカル・トラック、(2)映画用のオリジナル・スコアを担当した名編曲家ジョン・スコット・トロッターのオーケストラによるB.G.M.トラック、さらに(3)TVシリーズでも音楽を担当していたヴィンス・ガラルディをリーダーとするジャズ・コンボ演奏 - そればかりでなく、ドラマのストーリーに沿ったナレーションと登場人物の子どもたちによる楽しいダイアログまで(むしろ こちらが主だったかも ) 丁寧に編集された上、見事にレコード両面に収まっていたのでした。
 
 私 “スケルツォ倶楽部発起人が特に注目していたのは、西海岸のモダンジャズ・ピアニスト、ヴィンス・ガラルディによる、TVシリーズのサントラ(Fantacy )盤 - こちらのタイトルも同じ “A Boy Named Charlie Brown” なので、かなり紛らわしい - では聴くことのできない ( この映画だけのために 一度きりの特別メンバーで編成された )オリジナル・コンボによるジャズ演奏パートで、これには その稀少性からプレミアムな付加価値がありました。
 チャールズ・M.シュルツ氏のピーナッツの世界ガラルディの演奏を愛する コアな「スヌーピーの音楽 」ファンを自認する “スケルツォ倶楽部発起人としては 映画 A Boy Named Charlie Brown のサントラ盤リリースは、もはや「待望の 」などという月並みな言葉を通り越して 悲願・・・ そう、数えたら何と50年近い( ! )「悲願 」だったわけです。

00 A Boy Named Charlie Brown (1969)Poster
 さて、TOSHIKI さんの良ブログ JOE COOL STRUTTIN'(ピーナッツ、スヌーピーのアニメやら音楽やら  で、待望久しい この映画「スヌーピーとチャーリー A Boy Named Charlie Brown サントラ完全盤CD初発売 ! という 耳を疑うニュースは、すでに今年 4月22日に投稿されていたのですが、ようやく 7月に入ってから この情報に初めて気づいた私 発起人、俄然色めき立ちました。
 意外なことに、このディスクは 米CBS系の音源を保有するソニーからの発売ではなく、米国内でサントラ専門レーベルとして 知る人ぞ知る、クリッツァーランド Kritzerland からのリリースでした、ゆえに 発売数も わずか限定1,000枚だと・・・。
 このレーベルに強いとされるタワーレコードには まだ在庫あり(当時 )との貴重な情報までTOSHIKIさんのブログから得た私は、クーポンを使っても 4,267円(税込 )という、CD一枚にしては些か高額な価格に躊躇しなくもありませんでしたが、しかし この機会を逃してしまっては元も子もないと思い直し、タワレコ・オンラインで「カートに入れる 」を 大急ぎでクリックしたものです。
 そして先月、無事入手することができました !  TOSHIKIさんのおかげです、この場をお借りし、ホント感謝申し上げます。

00 A Boy Named Charlie Brown_Original L.P. 00 映画「スヌーピーとチャーリー」サウンドトラック
(左 )オリジナル国内(SOPM-10 )盤LP、(右 )Kritzerland(KR-20031-8 )盤CD表紙
録音:1969年 4月19日、7月30日、8月14日、10月14日
米国封切日(20世紀FOX ):1969年12月 4日 ニューヨーク
オリジナル・サントラ盤リリース:1970年
オリジナル・ジャズ・コンボのパーソネル :
 ヴィンス・ガラルディ Vince Guaraldi(ピアノ )
 コンテ・カンドリ Conte Candoli(トランペット )
 ミルトン・バーンハート Milton Bernhart(トロンボーン )
 ハーブ・エリス Herb Ellis(ギター )
 モンティ・バドウィッグ Monty Budwig(ベース )
 ピーター・マーシャル Peter Marshall(ベース )
 ジャック・スペリング Jack Sperling(ドラムス )
 ジェリー・グラネリ Jerry Granelli(ドラムス )
 ヴィクター・フェルドマン Victor Feldman(ヴァイブ、パーカッション )


Vince Guaraldi コンテ・カンドリ ハーブ・エリス Victor Feldman on Vibes
▲ L.A.を代表するジャズ・ミュージシャンたち (左から )ヴィンス・ガラルディコンテ・カンドリハーブ・エリス & ヴィクター・フェルドマン発起人も最注目の名手。

 上記パーソネル情報は、ライナー担当のデリック・バングDerrick Bang のサイト Vince Guaraldi on LP and CD  に拠ります。尚、このデリック・バング氏とは、“世界一のピーナッツ・ファン”としても高名、チャールズ・M.シュルツ氏も公認した一冊 「スヌーピーたち50年分のHAPPY BOOK(原題 50 Years of Happiness A tribute to Charles M.Schulz )」 の著者でもあります。
「スヌーピーたち50年分のHAPPY BOOK ( 原題 50 Years of Happiness A tribute to Charles M.Schulz )」 デリック・バング Derrick Bang


 さて、すでに事前情報で承知してはおりましたが、この Kritzerland(コンプリート )盤には、1970年(国内盤1972年)に発売された CBSオリジナルL.P.レコードの内容と 大きく異なる点が ひとつありました。
00 A Boy Named Charlie Brown_Original L.P. 00 A Boy Named Charlie Brown_Original L.P. (2)
 前述のとおり オリジナルLPは、映画のストーリーに沿って 音楽と一緒にドラマの登場人物たちの台詞(英語 )とナレーションが収録されていました。初めてこの映画とレコードに触れた当時、子どもだった私にとって それは まるでラジオ・ドラマを聴くような楽しさでした(英会話自体はまったくわかりませんでしたが、見開きジャケットに付いていた対訳を参照しつつ 何度も繰り返し聴いたものです )。この特殊なサントラ盤は、 ドラマ進行のほうを重視したためでしょう、多くの音楽はB.G.M.的に扱われ 適度なところでフェードアウトされていました。
 
 それが、今回のKritzerland盤CDには台詞もナレーションも一切ありません(とは言っても、なぜか一ヵ所だけライナスの短いダイアログは収録されていますが・・・ 後述 )、オリジナルLPの音に馴れ親しんできた私にとっては 正直そこだけは ちょっぴり残念でした。
 それでも音楽トラックに関し、そのすべてが全曲ほぼノーカットで聴けることは 何にも勝る驚喜の対象でした。しかも映画では使用されなかった、まったく初聴の別テイク未発表曲まで ボーナス・トラックとして収録とは・・・ むむむ、これは素晴らしい。


 はい。それではご一緒に、一曲ずつ聴いてまいりましょう(わくわく )。
 但し CDのトラックの切り方に、やや難があるのです。一つのトラックの中に複数曲がアタッカでつながっていることが散見されるためです。詳細は追々・・・。

トラック1. チャンピオン・チャーリー・ブラウン Champion Charlie Brown (logo )
01.-1 Champion Charlie Brown (Logo)
 上映の巻頭、シネマ・センター・フィルムスの頭文字C.C.F.をあしらったロゴ(そのまま映写機のデザインになるところが秀逸 )を写す10秒ほどのカットの背景に流れる短い音楽。ロッド・マッケン(後述 )作曲の劇中歌「チャンピオン・チャーリー・ブラウン」 Champion Charlie Brown のメロディを快速にアレンジした、ジョン・スコット・トロッターによる編曲です。

トラック1.クラウド・ドリームス Cloud Dreams
01.-2 Cloud Dreams
 最初の導入シーン、前曲に続けて 同じトラック1.に入ってしまっています。
 原っぱに寝そべって空を見上げ 雲がゆっくり流れてゆくのを眺める三人の子どもたち、という有名な構図。雲の形が何に見えるかというルーシーの問いに、ホンジュラスの地図だとか聖ステパノの殉教だなどと なんだか子どもらしくない ませた回答をするライナス。それを聞いたチャーリー・ブラウン、自分はアヒルと馬だと思ったのに もう言えなくなってしまった・・・ と呟く可笑しさ。弦と木管が中心の、ジョン・スコット・トロッターによる ドリーミーなオリジナル曲です。

トラック2. チャンピオン・チャーリー・ブラウン Champion Charlie Brown (メイン・タイトル Main Title )
02-1 Champion Charlie Brown (Main Title)

 再びロッド・マッケンの劇中歌 Champion Charlie Brown のメロディを ジョン・スコット・トロッターがアレンジした「チャンピオン・チャーリー・ブラウン 」の快適にスウィングするヴァージョン。この曲をBGMにして 以下メイン・キャスト紹介の映像が流されます。

02-2 Champion Charlie Brown (Main Title)
02-4 Champion Charlie Brown (Main Title) 02-3 Champion Charlie Brown (Main Title)
 次々とアニメーションの主要人物が登場します。

02-5 Champion Charlie Brown (Main Title) チャールズ・M.シュルツ氏(朝日新聞社).
 さらに 原作者チャールスM.シュルツ氏の名前と、

02-6 Champion Charlie Brown (Main Title) 02 Rod McKuen
 オリジナル主題歌A Boy Named Charlie Brown を歌う ロッド・マッケンの名前・・・

Vince guaraldi 02-7 Champion Charlie Brown (Main Title) John Scott Trotter
 そしてTVシリーズでもピーナッツ・アニメのオリジナル曲を担当したヴィンス・ガラルディ、映画音楽のオリジナル・スコアを編曲したジョン・スコット・トロッター John Scott Trotter も紹介されます。
 才人トロッターは、この時点で 14年間もの(ラジオの黄金時代 )ビング・クロスビー・ショーで ミュージカル・プロデューサーだったという輝かしい実績があり、またピーナッツのTVシリーズの音楽監督も務めていたのでした。
 そのピーナッツの人気曲「ライナス & ルーシー 」の作曲者として知られるヴィンス・ガラルディについては、もはや多言不要ですよね。

リー・メンデルソン. 02-8 Champion Charlie Brown (Main Title) ビル・メレンデス
 さらにアニメ製作陣、リー・メンデルソンビル・メレンデス - もちろんTVシリーズと同じです。

02-9 Champion Charlie Brown (Main Title)
 
トラック2. 「チャーリー・ブラウンという名の男の子 」A Boy Named Charlie Brown
02-10 A Boy Named Charlie Brown [Rod McKuen] 02 Rod McKuen
 ロッド・マッケンによる この映画のオリジナル主題歌です。CBSオリジナル・サントラ盤では レコードの冒頭に収録されていました。LPに針を降ろすと 最初に流れてくる音楽が、このストリングスによる 半音ずつ上昇するイントロだったのです・・・。Kritzerland盤CDでは トラック2.の中に 「メイン・タイトル 」から切れ目なく続けて入っています。
 ロッド・マッケン Rod McKuen 1933–2015という人は、米本国での活躍の割には 日本では殆ど紹介されてきませんでした。初期のシンガー・ソングライターのはしりとも呼べる存在で、フランク・シナトラとの親交でも知られています。マイクのそばで静かに囁くような、独特な雰囲気あるハスキー声です、と書いたら チェット・ベイカーの歌唱に似ているように思われるかもしれませんね、いいえ チェットのような滑らかさは皆無で、もっと男っぽい精悍な優しさ( ? )を秘めたヴォーカルです。一度聴けば お判りになります。
 マッケンは、この映画音楽に関わっていた1970年時点で、すでに40枚ものオリジナル・アルバムをリリースしていたばかりか、さらに他のアーティストが歌う楽曲を900曲以上も作曲/提供し、1億枚以上ものレコード売上実績があったそうです。また当時 すでに詩集も四冊出版しており、これだけで200万冊以上売れていたというから 凄い人ですよね。

02-11 A Boy Named Charlie Brown [Rod McKuen] 02 Rod McKuen_A Boy Named Charlie Brown
主題歌 A Boy Named Charlie Brown
作詞/作曲 ロッド・マッケン

(オリジナル歌詞 掲載自粛 )
 
 朝の太陽の影が 8月の午後にのびてゆくように
 チャーリーはなんとなく 一日をすごしている
 ただ部屋を歩きまわって
 これも魔法のひとつかもしれない
 小さな男の子だけができること
 だがチャーリーが笑うのをみると
 つい足をとめさせられて
 うれしい気持ちになる
 彼はただチャーリー・ブラウンという名の男の子
 ただのとなりの子
 どこにでもいる男の子
 どこの町にも、いくらでもいる子
 世界には人々が大勢いるけど
 どこにもここにも人はいるけど
 でも だれしも最初は小さな子
 だれもがみんなチャーリー・ブラウン

(対訳 : 清水俊二、オリジナル・サントラ国内盤より )

 
トラック3. 「凧の音楽(ルシファー’ズ・レディ )」 Kite Music (Lucifer's Lady )
03-1 Kite Music (Lucifers Lady) 03-1 The Eclectic Vince Guaraldi_Warner Bros.1969
 凧揚げに苦戦する チャーリー・ブラウン
 「ライナス & ルーシー 」にも似た特徴的なシンコペーションを用いた、ガラルディらしいマイナー・キーの作品。この映画製作とほぼ同時期にワーナー・レーベルからリリースされたガラルディ自身のオリジナル・アルバム The Eclectic Vince GuaraldiWarner Bros. 上掲写真 右 )では「ルシファー’ズ・レディ Lucifer's Lady というタイトルで発表されている曲と同じもので、そこではもう少し遅いテンポで演奏されていました。
 ピアノのリズミカルなテーマに 名手ハーブ・エリスの刻むリズム・ギターが加わると スコット・トロッターのペンによる弦と管のアンサンブルが、個性的なバンドの背景を控えめに彩ります。やがてコンテ・カンドリのミューテッド・トランペットによるソロが12小節、これも 西海岸の名手ヴィクター・フェルドマンのヴァイブ・ソロ12小節、同じくテナー・サックス(奏者名不詳 )によるソロが12小節回ったところで、曲はテーマに戻ることなく中断されます。


トラック3. 「チャーリー・ブラウンの野球チーム 」Charlie Brown And His All-Stars
03-3 Charlie Brown And His All-Stars
 野球場のグラウンドへ向かうチャーリー・ブラウンの希望にふくらむ気持ち。そんなエースピッチャーを迎えるのは マウンドを覆う群生タンポポ(笑 )。
 CBS-TVシリーズ 1966年 6月放送「チャーリー・ブラウンの野球チーム」にヴィンス・ガラルディが作曲したテーマ曲の再演です。ボサ・ノヴァのリズムに乗って ガラルディのピアノ・トリオによる寛いだ演奏、これにスコット・トロッターによるオーケストラが絶妙に被ります。やがて軽やかなフルート・ソロ(奏者名不詳 )が加わり、約18小節のソロをとります。

04 24 The Star-Spangled Banner [arr. Trotter]
 リーグ開幕試合に国歌斉唱は欠かせません。いつのまにか音響担当のスヌーピーがグラウンドにステレオ装置をセット、さあ全員起立、背筋を伸ばして 国歌「星条旗 」Star Spangled Banner に聴き入りましょう。
 尚、本CDのボーナス・トラック24.に特別収録された「星条旗 」は、このシーンで使用された音源、スコット・トロッターによるアレンジです。


トラック4. パーカッション・スウィンガー Percussion Swinger
04-3 Percussion Swinger
 ティンバレスとコンガによる20秒ほどのパーカッション・アンサンブル。国歌斉唱が終わるとすぐ試合開始です。大急ぎで音響機材を片づけるスヌーピー


トラック4. ベースボールのテーマ Baseball Theme
04-4 Baseball Theme
 そして顔色ひとつ変えずに ショートの守備配置に着きます。クールでスマートに手際よく仕事をこなすスヌーピー。ここではラテン・パーカッションのリズムが強調されるヴァージョンですが、この曲もTVシリーズ「チャーリー・ブラウンの野球チーム 」に登場していました。
Charlie Browns All-Stars
 ガラルディが奏でるアコースティック・ピアノの硬質な打鍵が 実に美しいです。西海岸の名手コンテ・カンドリによる短いミューテッド・トランペットのソロが入ります。

トラック5. ベースボールのテーマ Baseball Theme (Charlie Brown Pitches )
05 Baseball Theme (Charlie Brown Pitches)
 ガラルディのピアノと名手ヴィクター・フェルドマンのヴァイブによる素晴らしいアンサンブルに 金管セクションが背後でジャズ・ワルツのリズムを裏打ちする、なんともグル―ヴィなヴァージョンです。この雰囲気のまま見事なピアノ・ソロ、続いて 奏者不明のサックス・ソロ、そしてギター・ソロ・・・ と、回したところで演奏は中断しています。
Charlie Browns All-Stars (2)
 相手チームの打者に打ち返されるたび マウンド上で全裸になってしまうチャーリー・ブラウン、そのたび服を着直してはまた投げる、そんな忙しい彼の頭にピッチャー・ライナーが直撃。


トラック6. ベースボールのテーマ Baseball Theme (Three Strikes And You're Out )
06-1 Baseball Theme (Three Strikes And Youre Out)
 ジャズのビッグ・バンド編成による快速な4ビートのリズム・アレンジが施され、同じテーマ演奏でも管楽器アンサンブルが炸裂するパンチの効いたヴァージョンです。短いギター・ソロとピアノ・ソロをはさんで、アンサンブル・テーマが戻ってきます。
 これは、チャーリー・ブラウンのチームが試合に惨敗する様子が 面白おかしく、早送りで描かれるシーンで 効果的に使われています。

トラック6. 「チャーリー・ブラウンという名の男の子 」A Boy Named Charlie Brown(We Lost Again )
06-2 A Boy Named Charlie Brown (We Lost Again)
 副タイトル「また負けた 」の雰囲気にもぴったり、落ち込むチャーリー・ブラウンの心象を表す「主題歌 」(インストゥルメンタル )のストリングス・アンサンブルを中心としたヴァージョンです。そんなチャーリーを元気づけようとするのに心の傷を広げてしまうライナス

トラック6. 「スヌーピーのテーマ 」 Air Music (Snoopy Theme )
06-3 Air Music(Snoopy Theme)
 原曲のメロディは、TVシリーズ(「チャーリー・ブラウンのクリスマス 」など )では「サーフィン・スヌーピー 」として知られるガラルディのオリジナル曲ですが、ここでは管楽器アンサンブルがテーマを受け持ち、テンポもぐっと落とすことによって 日常的でユーモラスな雰囲気を出すことに成功しています。
 そんなチャーリー・ブラウンに 高飛車な態度で 晩ご飯を要求するスヌーピー。しようがないなあ・・・

06-4 Air Music(Snoopy Theme)
 お腹いっぱい食べて満足したら、いつもの小屋の上でゴキゲンに就寝です。

06-5 Air Music(Snoopy Theme)
 そんなスヌーピーのみる夢は、第一次世界大戦で 歴史的な複葉戦闘機ソッピース キャメルを操ってレッド・バロンを追うという、ご存知「撃墜王 」の姿・・・ リアルな空中戦が始まっても 戦闘機は犬小屋のままであるという深刻な矛盾は、シュローダーの弾くピアノが常にトイピアノのままである矛盾と同じ理論 - すなわち 子どもの想像力の中にしか存在し得ない チャールズ・M.シュルツ氏が描く世界の証でもあります。
詳しくはこちら ⇒ なぜ シュローダーが弾くトイ・ピアノは スタインウェイの響きがするのか

 第一次大戦で活躍する 空の英雄を描く場面の音楽って、実は「サーフィン・スヌーピー 」の、手の込んだヴァリエーションなのですよ。テンポも急速調となり、スコット・トロッターのスコアによるビッグバンドの管楽器群が「スヌーピー ~ 」の上昇する動機をデューク・エリントン楽団にも似たジャングル風の咆哮で聞かせます。ドラムスもリム・クリックを多用して切迫感を煽ります。16分音符が流れ出すガラルディの巧みなピアノ・ソロも 途中で自分の「ライナス & ルーシー 」のフレーズを引用するなど 敵機から機銃掃射を受けて敗戦と焦燥の色を濃くしてゆきます。絶体絶命・・・ そんなスヌーピーが逃げ込む最後のシェルターは、飼い主チャーリー・ブラウンの寝室のベッドでした(笑 )。


トラック7. ブルー・チャーリー・ブラウン Blue Charlie Brown
07 Blue Charlie Brown
 鬱状態(ブルー )なチャーリー・ブラウンが 精神分析スタンドにいるルーシーのところへ受診に訪れるシーン。しかしルーシーの治療とは、患者(チャーリー・ブラウン )に 自分がいかにダメな人間であるかという画像をスライドにしてプロジェクターで見せる、という どん底まで突き落とすショック療法でした。
 TVシリーズでもお馴染みの一曲 「ブルー・チャーリー・ブラウン 」は 12小節のシンプルなブルース、こんなシーンにぴったりです。テーマを奏でるガラルディのピアノ・トリオにギター・ソロが加わる頃、例によって トロッター・アレンジのオーケストラが精妙に被さります。その後、奏者不明のフルート・ソロが2コーラス、次にベースでソロをとるのは 西海岸の名手モンティ・バドウィッグと思われます。さらに奏者不明のテナーサックスによるソロが2コーラス、最後にピアノ・ソロが3コーラスあって、そこで演奏は中断します。


トラック8. チャンピオン・チャーリー・ブラウン ヴァリエーション
08-1 Champion Charlie Brown (These psychiatric treatments are going to bankrupt me )
 裏表紙のCDデータには未記載ですが、トラック8. 「ライナス & ルーシー 」が始まる前、最初の20秒ほど ロッド・マッケン作曲「チャンピオン・チャーリー・ブラウン 」(後に フルコーラス・ヴァージョンが登場しますが )のメロディを使用した 沈んだ曲調のギター・ヴァージョンが入っています。
 これは、ルーシーのショック療法を終えたチャーリー・ブラウンが自室に帰ってきてから、サイケなカラーのブタ貯金箱を前にし 「精神療法を続けていると治療費の支払で破産しちゃうなあ 」と呟く、ごく短いシーンのB.G.M.として使われていました。


トラック8. ライナス & ルーシー(学校へ行く時間 ) Linus And Lucy (Time To Go To School )
08-2 Linus And Lucy (Time To Go To School )
 翌朝、学校へ出かけようと支度するルーシーライナス姉弟の楽しい会話。ライナスが肌身離さず抱いている毛布について、姉ルーシーが不快の念を表明すると、弟ライナスは 毛布が自身の精神安定のために絶対必要なものであり、これがないと舵の壊れた船と同じ状態になる - などと説明、さりげなく 後に出てくる場面に向けて伏線を張っています。
 「ライナス & ルーシー 」は、ガラルディTVピーナッツ・シリーズのために作曲した 最初の一曲。ここでは ミディアム・テンポ、ギターのカッティングや 明るい音色のフルート・ソロが加わる多彩なサウンドで聴かせます。


トラック8. チャンピオン・チャーリー・ブラウン ヴァリエーション(くよくよしてもムダ ) Champion Charlie Brown (I Only Dread One Day At A Time )
08-3 Champion Charlie Brown (I Only Dread One Day At A Time)
 肩を落としながら登校するチャーリー・ブラウンライナスが駆け寄ります。「人生はむずかしいね 」、「でも もうくよくよ考えないことにした I’ve developed a new philosophy 」、「自分がみじめになるだけだから 」と、ため息をつくチャーリー・ブラウンに、「なんとかしなきゃダメだ、何かで勝って失われた自信をとりもどさなきゃ 」と、ライナスは 友だちを元気づけようとします。
 トラック8.の冒頭で ごく短く収録されていた「チャンピオン・チャーリー・ブラウン 」のテーマ・ヴァリエーション同アレンジによるロング・ヴァージョン。ギター・ソロの後に フルート・ソロが続きます。


トラック9. 「泣きっつらチャーリー 」Failure Face (女の子たちの唄 )
09-1 Failure Face (Lucy, Violet, Patty )
 スペリング大会(単語の正確な綴りを競うゲーム )の学校を代表する出場選手を決める予選会が催されることになりました。失われた自信をとりもどすため、チャーリー・ブラウンは予選会に出場することを考えます。
 それを耳にした女の子たち、ルーシー、パティ、ヴァイオレットは 顔じゅうを口にして大爆笑、代表選手に ? オマエなんかが なれるワケないじゃん、と踊りながら歌いだすのでした。

挿入歌 「泣きっつらチャーリー 」 Failure Face 
作詞/作曲 ロッド・マッケン

(オリジナル歌詞 掲載自粛 )
 
 何してもしくじる
 何もまともにできない
 だから負け犬と言われてる
 底抜けのバカで
 歴史の本から名を消され
 泣きっつらと言われてる
 バカくらべなら誰にも負けない
 泣きっつらのチャーリー

(対訳 : 清水俊二、オリジナル・サントラ国内盤より )


トラック9. 「緊張型統合失調症のブルース 」 Catatonic Blues (By Golly I'll Show’em )
09-2 Catatonic Blues
 約49秒の短い嘲笑ソングFailure Face が終わると チャーリー・ブラウンを嗤う女の子たちの笑い声からフェイド・インするように入ってくる、オーケストラによる静かで内省的なパートが、このカタトニック・ブルース です。スコット・トロッター作曲のオリジナル曲。
 “By Golly I'll Show’em” とは、「きっと今に見てろよ 」という感じのリヴェンジ感あふれる台詞ですが、そう繰り返すチャーリー・ブラウン自身、教室でスペリング大会の予選会にエントリーしようとしても 震えて手が挙げられないという場面に使われます。

 クラスメイトらの予想に反し チャーリー・ブラウンは勝ち進み、クラス代表として勝ち残ってしまいます。
 さあ、明日は 校内代表を決める全校大会。帰宅してから 猛勉強の開始です。

トラック10. 「Cの後は EをIの前に 」 'I' Before 'E' except after 'C'
10-1 I Before E (Charlie Brown, Linus)
 まるで教育TVの文法習得ソングのような一曲、スコット・トロッタービル・メレンデスの共作で、文法の解説と具体例の単語が大量に並ぶ、不思議な歌詞です。基本的に4ビートで始まりますが、リズムを刻む小太鼓は 徐々にオカズを増やしてゆき マーチング・リズムとなります。画面上で踊るチャーリー・ブラウンライナスに加え、スヌーピーも 得意のジュース・ハープJew's Harp (弁を振動させてビヨヨーンという音を発する携帯楽器 ) を口に咥えて 二人の「勉強 」に参加してきます。


トラック10.  「Cの後は EをIの前に 」 'I' Before 'E' except after 'C' (スヌーピーのジュース・ハープ・ヴァージョン )
10-2 I Before E (Charlie Brown, Linus)
 さて、翌日の全校大会です。
 選り抜きの優等生たちに並んで、まさにちょうど “PERCEIVE”の綴りが出ず苦戦しているチャーリー・ブラウンの様子を 教室の外から覗き込んだスヌーピー、ジュース・ハープを使って「EをIの前に 」のメロディを、チャーリーにだけ聴こえるように助けてあげるという 超ファイン・プレイ ! って、でも これってフェアなのだろうか ? ・・・なーんて野暮なことは申しません。


トラック11. 「チャンピオン・チャーリー・ブラウン 」Champion Charlie Brown
11 Champion Charlie Brown (The Gang)
挿入歌 「チャンピオン・チャーリー・ブラウン 」 Champion Charlie Brown
作詞/作曲 ロッド・マッケン

(オリジナル歌詞 掲載自粛 )
 
 チャンピオン・チャーリー・ブラウン
 美しくひびく名。
 新聞が書き立て 子どもがうたう。
 チャーリー・ブラウン、世界の話題
 旗をかかげて
 テープを投げて
 彼こそチャンピオン
 チャーリー・ブラウン
 だれにも負けぬ
 スペルだったら 誰よりとくい
 チャーリー・ブラウン
 鈍くみえても
 見かけだけでは 人はわからぬ
 彼こそチャンピオン
 チャーリー・ブラウン
 チャンピオン・チャーリー・ブラウン

(対訳 : 清水俊二、オリジナル・サントラ国内盤より )

CBSのオリジナル・サントラ(ソニー )L.P.盤では、ここで切り良くA面が終わっていましたね。

 とうとう次は、全国大会への出場です。
 しかし周囲の大きな期待に反して、向上心の足りないチャーリー・ブラウンは 学校代表に勝ち残ったところで もう満足。 「ここでやめたい 」などと言い出し、一同のひんしゅくを買う始末。
 チャーリー・ブラウン付きの「優秀な 」マネジャーを買って出たルーシーヴァイオレットら女の子たちは、そんな情けないチャーリーに発破をかけます。「もっとTV映りを意識しなきゃダメよ 」、「スタイルを直さなきゃ・・・ 」、「身づくろいを正さなきゃ・・・ 」、「もっと笑顔をつくれなきゃ・・・ 」 って、ああー 一体どうすればよいのか。始めから出場なんかしなければ 勝つこともなかったんだ、エントリーなんかしなければよかったなあ・・・ って、すっかり元のダメ・チャーリーに戻ってしまいましたね(笑 )。


トラック12. 「オー、グッド・グリーフ 」 Oh Good Grief !
12-1 Oh, Good Grief
 スペリング・ゲームの全国大会へ出場することが決まり、仕方なく本に囲まれて勉強しているチャーリー・ブラウン。彼の相談相手ライナスに 恋心を抱いて チャーリーの かわいい妹サリーが近づいてきます。そんな彼女は ライナスにデートに誘ってほしい素振りまんまん。ああ、ヤレヤレ・・・
 “Oh Good Grief ! ”  - この風変わりなタイトルは、チャールズ・M.シュルツ氏の原作コミック中に頻出する、登場人物の台詞そのままです。このフレーズに「ああ、ヤレヤレ 」という名訳を与えたのは、詩人 谷川俊太郎氏でしたね。
Oh, Good Grief !
 そんなフラストレーションあふれるタイトルに反し、どこかほっこりと明るいジャズ・ピアノ曲。TVシリーズでもお馴染みヴィンス・ガラルディのオリジナルです。ガラルディ・トリオスコット・トロッター編曲の管楽器セクションが リズミカルにアクセントをつけています。51秒。


トラック12. 「チャンピオン・チャーリー・ブラウン・ヴァリエーション(バス・ステーション ) 」 Champion Charlie Brown ( Bus Station )
ロッド・マッケン作曲「チャンピオン・チャーリー・ブラウン 」のメロディに乗せ、全国大会へ発とうとするチャーリー・ブラウンを バス停まで見送りに来る大勢のピーナッツの仲間たち。みんなの声援に送られ、出征兵士のような気分になるチャーリー・ブラウン
 完全版CDでは ここでハーブ・エリスのギター・ソロ、続いて 名手ヴィクター・フェルドマンによる控えめなヴァイブ・ソロを聴くことができます。

12-2 Champion Charlie Brown (Bus Station)
 発車時刻です。バスに乗ろうとするチャーリー・ブラウンライナスが「運がつくから もって行け ! 」と、自分の大事な毛布を餞別として衝動的に与えてしまう場面。これが、後で大変な騒動になるわけですが、そこは後述。


トラック12. 「チャーリー・ブラウンという名の男の子 」A Boy Named Charlie Brown (Checks into his room ) オーケストラ・ヴァージョン
12-3 A Boy Named Charlie Brown
 同じくロッド・マッケンのタイトル主題歌を弦セクションが美しく奏でる、スコット・トロッター編曲によるオーケストラル・ヴァリエーションです。前曲「チャンピオン・チャーリー・ブラウン 」から絶妙に繋がっています。
 この演奏は、到着したバスからめいめい大きな荷物を抱え 子どもたちが宿舎となるホテルのロビーへ入ってくる場面でB.G.M.として流れます。選手たちには それぞれ個室が与えられ、チャーリー・ブラウンも一人部屋で勉強に集中することに。


12-4(26)Sonata In C Minor Op. 13 (3rd Movement)
 シュローダーが熱心にピアノを弾いているところへ ルーシーがやってくるという、“スケルツォ倶楽部発起人 個人的には 最注目の場面・・・。
 ルーシーは、彼が敬愛するベートーヴェンの胸像を無造作にとりあげ、 これ誰 ? ジョージ・ワシントン ?  などと 無関心いっぱいに尋ねます。
12-4(26)Sonata In C Minor Op. 13 ~ 3rd Movement
 そんな彼女をにらみつけるシュローダーの怒りと悲しみの形相が なぜあそこまで本気だったのか・・・ その理由(わけ )は、すでに過去記事で 解明しました。
ご参照ください ⇒ 「シュローダーが『悲愴 』を弾いたのは、ベートーヴェンの命日 ≪ 3月26日≫ だったかも

Willibrod Josef Mahler, Portrait of Beethoven with Lyre, c. 1804(部分 ) 12-4(26.)Sonata In C Minor ~ 2rd Movement
▲ ソナタ「悲愴 」を作曲したころのベートーヴェンの肖像

 尚、完全版CDボーナス・トラック26.には この会話シーンでシュローダーが弾いていた「悲愴ソナタ第3楽章が第23小節目の途中まで(ピアニスト、Ingolf Dahl による )収録されています。が、なぜでしょうか 肝心の第2楽章アダージョ・カンタービレのほうは入っていません。残念 !

トラック13. 「ライナス & ルーシー 」 マイナー・ヴァリエーション Linus and Lucy (minor key, I've Got To Get My Blanket Back )
13 Linus And Lucy (Ive Got To Get My Blanket Back)
 ライナスは、チャーリー・ブラウンに安心毛布を貸してしまったため 自分が神経衰弱に陥り、もう絶不調。歩くこともままなりません。
 音楽はヴィンス・ガラルディの名曲「ライナス & ルーシー 」ですが、ここでしか聴けない独特なヴァリエーションスコット・トロッターによって施されています。原曲は明るいメジャー・キー でしたが、Aマイナー イ短調 に転調(暗転 )、テンポもぐんと落とし、さらにフルートのオブリガートが 息も絶え絶えなライナスを描写します。グレン・ミラーの「タキシード・ジャンクション 」で聴けるような トランペット・セクションをプランジャーでリズミカルにミュートさせる ワウワウな奏法も効果的。


トラック14. バス・ホイール・ブルース Bus Wheel Blues
14 Bus Wheel Blues
 ライナスは毛布をとりもどすため、チャーリー・ブラウンが滞在している全国大会会場近くのホテルへバスで向かうことに。お伴は 介助犬(笑 )スヌーピー、大丈夫なのかなあ。
 オリジナル音楽はスコット・トロッター作曲、ブルーノートを多用した3コードのシンプルなブルース、メロディはハービー・ハンコックの「ウォーターメロン・マン 」に酷似。オーケストラによる演奏ですが ヴィクター・フェルドマンの乾いた木琴が 執拗に同音連打を続けるリズムが耳に残ります。

スヌーピーのジュース・ハープ
スヌーピーったら バスのシートで跳ねながら ジュース・ハープをビヨンビヨン。


トラック15. 「チャーリー・ブラウンという名の男の子 」A Boy Named Charlie Brown(“Ⅰ”before Milk ) オーケストラ・ヴァージョン
15-1 A Boy Named Charlie Brown (I Before Milk)
 一方 チャーリー・ブラウンは 本選を控え、ホテルの部屋で缶詰めになって猛勉強中。まともに食事もとらず、ベッドで眠ってもいないようです。

 懐かしいツルコミック社の月刊「スヌーピー 」1972年臨時増刊号には この映画の全シナリオ対訳が掲載されており、スヌーピー・ファンの皆さん と同様、今でも私は大事に持っているのですが、このリブレットには 文法の勉強に(しつこいほど I before E が頻出する )疲れきったチャーリー・ブラウンが 電話で シリアルとミルクのルームサービスを注文するシーンが書かれていました(Ⅰbefore E after Milk という台詞あり )。 が、出来上がった映画には この部分が存在しませんでした。
スヌーピーとチャーリー リブレット(ツルコミック社)
今回 リリースとなった完全版CDには このトラックに ( “Ⅰ”before Milk ) という興味深い副題が付いており、これは 初稿( ? )台本の名残りでは( ? )と思われるのです。


トラック15. 「チャンピオン・チャーリー・ブラウン 」 Champion Charlie Brown (March-Style Fanfare, Snoopy & Linus Arrive )
15-2 Champion Charlie Brown
 ドアにノックの音が。スヌーピーライナスの到着です、愛犬との再会に喜ぶチャーリー・ブラウン。勉強疲れもどこへやら。
 明るいマーチング調の「チャンピオン・チャーリー・ブラウン 」は、映画の巻頭で C.C.F.のロゴ・マークを映したカットで流されていた音楽とほぼ同じアレンジ。
 陣中見舞いかと思いきや、開口一番 ライナスは 毛布を返してくれ と懇願。しかし何とチャーリー・ブラウンは意識の外、勉強が忙しくて毛布のことなど忘れていたというのです。


トラック16. 「ライナス & ルーシー 」 マイナー・ヴァリエーション Linus and Lucy (minor-key, Searching The City )
16 Linus And Lucy (Big City)
 再び「ライナス & ルーシー 」の陰鬱な短調ヴァージョン。毛布が見つかるまで この音楽が 本来の明るく軽快な長調で現れることは 決してありません。
毛布はどこ ? 」というライナスの嘆きに、チャーリー・ブラウン「図書館かもしれない・・・ 」そんな怪しい記憶だけを唯一の手掛かりに、ライナス猟犬スヌーピーを連れ 毛布捜索のため もはや真っ暗な街へと出かけるのでした。


トラック17. スケーティングSkating ~ ブルーパック Blue Puck ~ スケーティングSkating 2 (Snoopy on Ice )
 これは、完全版CD中でも 私 発起人が最注目したトラックです。
 凍りついたプールを街でみつけたスヌーピー、毛布を泣きながら探し回るライナスのことは放っておいて、得意のアイス・スケートに興じます。

17-3 Skating (Snoopy On Ice)(0)
 フィギュア・スケートの妙技をみせるスヌーピー
 TVシリーズ第一作「チャーリー・ブラウン・クリスマス 」ヴィンス・ガラルディがピアノ・トリオで披露した 忘れ得ぬ一曲「スケーティング 」が、ここで美しいオーケストラを加えて華麗に再演されます。

17-2 Blue Puck
 やがてデザイン化されたホッケー選手たちに混じって アイス・ホッケーに参加するスヌーピーの映像に。 ゲームに熱中するあまり反則をとられて退場、ペナルティ・ボックスに収容され、大いに悔しがります。犬だけに マナーは ちょっとよくないようですねー。
 音楽のほうもスピード感に満ちた「ブルー・パック 」へと変わります。この演奏は、モダン・ジャズの醍醐味を感じる 本当に素晴らしいもの。
 速いフォービートを刻むモンティ・バドウィッグのランニング・ベースに乗せて、ハーブ・エリス(ギター )、ガラルディ(ピアノ )、ヴィクター・フェルドマン(ヴァイブ )、サックス(奏者不明 )、コンテ・カンドリ(トランペット )と それぞれの秀逸なソロが続いた後、ミルトン・バーンハート(トロンボーン )のソロ・パートに入ると、そこで驚くべきことに、他のプレイヤーたちも同時にソロに参入、何と集団即興演奏的なパートとなります。
 この集団即興演奏は、完全版CDになって初めて聴くことができた部分なのですが、調和を重んじるウエスト・コーストのジャズ・プレイヤーが これをやるということは、実はたいへん珍しいことなのです。複数の演奏家が同時にソロをとる行為は、アンサンブルの混乱を招きかねないリスクから ディキシーランド・ジャズ以降、モダン・ジャズではジャム・セッションにおいても意識的に避けられてきた行為でした。
 この理由を考えてみた 私 “スケルツォ倶楽部発起人、あくまで映画のサウンド・トラックに使われることが目的だったとしたら、アイス・ホッケーという複数のプレイヤーが入り乱れて激しく競い合うゲームの「混乱 」を表現するため、敢えて選り抜きのミュージシャンたちは この演奏方法を 意図的に選んだのではないか ? という考察が、私にとって 納得できる結論でした。皆さまは いかがお感じになってでしょうか。

17-3 Skating (Snoopy On Ice) (3)
▲ 惜しい ! 転倒するスヌーピー


トラック18. 「ライナス & ルーシー 」 マイナー・ヴァリエーション Linus and Lucy (Minor-Key )
18-1 Linus And Lucy (Found Blanket)Part1
 夜明けまで歩いたのに、毛布はどこにもありませんでした。
 「ったく大した猟犬だよ、オマエは。何の役にも立たないじゃないか 」と、スヌーピーを罵るライナス。険悪な空気に もういたたまれません。


トラック18. 「ライナス & ルーシー 」 (毛布があった ! ) ( Found Blanket )
18-2 Linus And Lucy (Found Blanket)Part2
 しかし毛布は 実は すぐ近くにあったのです。本選出場に向け 身支度を整えるチャーリー・ブラウンが ベッドの下から引きずり出した毛布を 靴磨きの雑巾代わりに使っていることに気づいたライナス、血相を変えてチャーリー・ブラウンの手から 毛布をひったくるように取り返します、「あんまりだよー 」。
 それでもライナスは大喜び。音楽も 本来のメジャー・キーに戻り、テンポアップになって 歓喜 大爆発です。


トラック18. 「チャンピオン・チャーリー・ブラウン 」 ヴァリエーション Champion Charlie Brown (Spelling Bee )
18-3 Champion Charlie Brown (Spelling Bee)(01)
 旧き良きジャズのビッグ・バンドが快適にスウィングするようなアレンジが施された、「チャンピオン・チャーリー ~ 」の演奏です。ここは、無事に安心毛布との再会を果たし ご機嫌なライナススヌーピーと一緒に 背広をめかしこんだチャーリー・ブラウン選手と 徒歩でスペリング・ゲーム全国大会の会場へと向かうシーンで流れていました。



以下、ネタバレあり。
この先、スペリング・ゲーム大会の勝敗結果に触れております。






18-4 Champion Charlie Brown (Spelling Bee) (2)
もし あなたがまだ映画をご覧になっていなければ、 この先は 映画を観てからお読みになることを おススメします。











18-5.jpg
何も知らずに映画をご覧になったほうがよいと思いますよー











18-8.jpg
ほーら、言わんこっちゃない・・・







トラック19. 「チャーリー・ブラウンという名の男の子 」 ヴァリエーション A Boy Named Charlie Brown
18-9.jpg
「あと一人 」というところで、チャーリー・ブラウンは敗れました。
ルーシーチャーリー・ブラウンの一割だなんて ゼロの一割を持ってることだわ 」
哀感ただようストリングス中心のヴァージョンです。


トラック19. 「バス・ホイール・ブルース、リプライズ 」Bus Wheel Blues Reprise
19-2 Bus Wheel Blues
スコット・トロッター作曲、トラック14.と同じ曲・演奏、今度は帰路というわけです。


トラック20. 「チャーリー・ブラウンという名の男の子 」 ヴァリエーション A Boy Named Charlie Brown (I’m never going to school again )
20-1 A Boy Named Charlie Brown (Im Never Going To School Again)
 敗戦した代表選手を バス停に出迎えてくれる者は誰もいませんでした。ライナススヌーピーは淡々と帰宅しますが、チャーリー・ブラウンの落ち込みようったら・・・ 見ていられません。


トラック21. 「チャーリー・ブラウンの野球チーム 」Charlie Brown And His All-Stars
21-2 Charlie Brown And His All-Stars
 翌日、失意のあまり 自室に閉じこもってしまったチャーリー・ブラウン、学校は休みました。また、彼が監督兼エース・ピッチャーを務める 万年最下位の野球チームにも顔を出しませんでした。でも皮肉なことに この日 彼の野球チームは、チャーリー抜きなのに(それゆえか ? ) 初めて勝利を収めました。 そんなチャーリー・ブラウンを心配して、ライナスが自宅を訪れます。

 トラック3.の後半に収録されていた 同名タイトルのナンバーと同じ 明るい曲、演奏は ハーブ・エリスのギターがテーマを主導する別ヴァージョン、リズムも同じ快適なボサノヴァなのに、まるでチャーリー・ブラウン不在を象徴するかのように リーダーのピアニスト、ヴィンス・ガラルディアコースティック・ピアノの音も この演奏には 入っていないのです。
 この場面で ライナスチャーリー・ブラウンの交わす会話が ボーナス・トラック32.に収録されています。

ライナス   「きみがどんな気持ちか わかるよ。きみはスペリング大会のために あれだけ頑張ったけれど みんなをがっかりさせて 大恥をかいたと思ってる。でも なにか大事なことに気づかなかったかい、チャーリー・ブラウン ? 」
チャーリー 「え、何に ? 」
ライナス   「世界が終わらなかったことに - だよ 」



トラック22. 「チャーリー・ブラウンという名の男の子 」 ヴァリエーション A Boy Named Charlie Brown ~
トラック22. エンド・タイトル 「チャーリー・ブラウンという名の男の子 」 A Boy Named Charlie Brown Reprise (ヴォーカル:ロッド・マッケン )

21-3 A Boy Named Charlie Brown [Rod McKuen]
 ライナスのくれた言葉に考え直したのか、チャーリー・ブラウンはベッドから出て、着替え、外へ出ます。そう、世界は何も変わることなく、今までどおり 地球は回っていました。

 ピッチャー・マウンドの近くで ルーシーも独り、フットボールを転がしているのが見えました。彼女は片手でボールを支えながら チャーリーには まったく気づいていない様子です。
 おお・・・、遂にルーシーの支えるフットボールを 思いきり蹴り飛ばす日が来たのだ、その記念日こそ 今日だ ! チャーリー・ブラウンは 彼女に気づかれぬよう そうっと 木の影から他の木陰へと徐々に近づき、そして タイミングを見計らって、ルーシーが指先で支えているフットボールに 突進しました。そして・・・

21-4 A Boy Named Charlie Brown [Rod McKuen] (2)

ルーシー 「ウェルカム・ホーム、チャーリー・ブラウン 」

21-5 A Boy Named Charlie Brown [Rod McKuen] (3)

 彼女には すっかりお見通しだったようです。
 チャーリー・ブラウンは、自分がようやく日常生活に戻ってきたことを 実感したのでした。


おまけ  ボーナス・トラック コメント
最後に、完全版CDに収録された Bonus Tracks について、コメントを 簡単に加えさせて頂きます。

トラック23. チャンピオン・チャーリーブラウン Champion Charlie Brown (Logo) (別テイク )
 これは トラック1.の別テイクです。巻頭に流されるロゴのB.G.M.として作成されました。 オリジナルは約10秒の短さ、こちらは20秒ヴァージョン、グロッケン・シュピールの音色がかなり鮮明に入ってます。

トラック24. 星条旗 The Star-Spangled Banner
 これは トラック03.~04.の項で すでに触れました。スコット・トロッター編曲による星条旗です。

トラック25.スヌーピーのテーマ Air Music (Snoopy Theme )/レッド・バロンの逆襲 The Red Baron Strikes Again
 トラック06. の後半部分と同じ楽曲の別テイクになります。パーカッションの差異が目立ち、リム・クリックを多用したオリジナル・テイクとは異なり、ティンバレスの抜けるような響きがより目立ちます。ピアノ・ソロでも「ライナス&ルーシー 」の引用フレーズなど聞かれません。

トラック26. ベートーヴェン「悲愴 」ソナタ 第3楽章  (Ludwig Van Beethoven )
 こちらも トラック12~13の項で触れてあります。ちなみに これはCBSオリジナルL.P.の音声ドラマで使われたものと同じで どちらも個所で音楽は途切れています。映画では シュローダーはもう少し長く弾いていました。

トラック27. バス・ホイール・ブルース Bus Wheel Blues (alternate )
 トラック14.(01:18 )同名曲より1分近長い、別テイク(02:09 )です。録音ミキシングもかなり異なるので、聴きなれない中音域フレーズがよく聴こえて新鮮。

トラック28.チャンピオン・チャ-リーブラウン Champion Charlie Brown (Transition )
 17秒の完全な未発表トラック。バンドがブギウギのリズムで「チャンピオン・チャーリー ~ 」の断片をさらりと演奏して終わり。

トラック29. スケーティングSkating ~ ブルー・パック Blue Puck ~ スケーティング Skating (Snoopy on Ice alternate ) 06:24
 トラック17.(05:12 )より1分以上も長い、注目の別テイク。CBSのオリジナルL.P.レコードで使われていた「スケーティング 」演奏は この録音です。ガラルディのピアノ・ソロの豊かなフレーズ展開など聴き比べると、映画に使われた本テイクを上回る演奏内容です。「ブルー・パック 」もスピード感あるスリリングな秀演。トロンボーン・ソロと同時に ソリスト全員が参加して集団即興演奏になる展開は 本テイクと同じですが、比較すると やはりこちらの演奏のほうが冴えています。「スケーティング-2 」の大詰めで 主旋律を繰り返しながらフェイドアウトしてゆくところも 悪くないですね。

トラック30. 「ライナス & ルーシー 」Linus and Lucy (Found Blanket ) 別テイク
 みつかった毛布と一緒に大喜びでライナスが踊りまくる場面の 魅力的な別テイクです。本テイク(トラック18. )にあったようなフルートのオブリガートがない代わり、まるで視界が広がってゆくように見事なオーケストラ伴奏が付き、さらにテンポ・アップ。迫力にも事欠かない、なかなかの良演奏です。

トラック31.「チャンピオン・チャーリー・ブラウン 」Champion Charlie Brown (unused jazz combo )
 映画本編のサウンド・トラックとしては使われなった、ジャズ・コンボ・ヴァージョン。4ビート、Dマイナーのブルース進行にアレンジされています。カンドリ(ミュート・トランペット )、エリス(ギター )、ガラルディ(ピアノ )、フェルドマン(ヴァイブ )、バドウィッグ(ベース )、グラネリ(ドラムス )

トラック32. 台詞 Dialogue (ライナス、チャーリー・ブラウン )
 これも すでにトラック21の項で 対訳も付け、詳しく解説済みです。意気消沈していたチャーリー・ブラウンを立ち直らせた、それは ライナスの宝の言葉 - 。

IMG_0610.jpg

「スヌーピー」の音楽  メニューは こちら ⇒ Novel List


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