本記事は、4月12日 「注目記事ジャズ ランキング 」で 第1位となりました。
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スケルツォ倶楽部 Club Scherzo
スティーヴ・ガッド Steve Gadd を讃える。
   
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1986年:Paquito D’Rivera パキート・デ'リヴェラ
ザ・レディ・アンド・ザ・トランプ 」 The Lady And The Tramp

CBS盤 “エクスプロージョン EXPLOSION”収録
PAQUITO DRIVERA EXPLOSION PAQUITO DRIVERA EXPLOSION (2)
Side A
1: Just Kidding (Written-By – Michel Camilo ) 7:20
2: Song To My Son 3:45
3: Seresta (Written-By – Howard Levy, Manfredo Fest )2:44
4: Mambo Inn (Written-By – Bobby Woodlen, Grace Sampson, Mario Bauzá )5:14

Side B
1: The Monster And The Flower (Written-By – Claudio Roditi ) 6:15
2: Christmas Without You 5:50
3: Chekereson 3:45
4: The Lady And The Tramp 6:27

Producer – Helen Keane, Paquito D'Rivera, Ron Saint Germain*
Executive-Producer – George Butler
Written-By – Paquito D'Rivera (tracks: A2, B2 to B4 )
Arranged By – Michel Camilo (tracks: A1, A3 ), Paquito D'Rivera (tracks: A2, A4, B1 to B4 )
Engineer [Assistant] – Debbie Cornish*, Moira Marquis
Engineer [Recording, Remix] – Ron Saint Germain*
Saxophone [Alto], Clarinet – Paquito D'Rivera
Trumpet, Flugelhorn, Trombone – Claudio Roditi
Harmonica – Howard Levy
Piano [Acoustic, Yamaha Dx 7] – Michel Camilo
Piano [Yamaha Dx 7] – Daniel Freiberg
Bass – Lincoln Goines, Sergio Brandao
Drums – Steve Gadd
Drums, Percussion – Portinho
Congas, Percussion – Sammy Figueroa
Guiro – Raymond Perez
Acoustic Guitar, Percussion – Jose Neto
Tamborim [Dominican] – Isidro Bobadillis*
String Section
Violin – Frederick Buldrini, Gene Orloff, Harold Kohon, Harry Lookofsky,
Louann Montesi, Marti Sweet, Matthew Raimondi, Max Ellen
Viola – Alfred V. Brown*, Mitsue Takayama
Cello – Jeanne Le Blanc*, Jonathan Abramowitz
録 音:July, 1985, NYC
音 盤:Columbia ‎– FC 40156


 お久しぶり "スケルツォ倶楽部"発起人(妻のほう )です、今宵は短い記事を一つ。
 80年代のガッドが 縦ノリでフォービートを刻んだ名演 - と言えば、やはりステップススリー・カルテッツマンハッタン・ジャズ・クインテット・・・ と 音楽好きなアナタのこと、いくつも すぐに思い出せるでしょうが、この一曲だけは うっかり忘れていたんじゃないでしょうか?
 それは・・・ パキートの 「ザ・レディ・アンド・ザ・トランプ 」。 
 キューバ出身、天才アルト・サックス/クラリネット奏者“パキートデ’リヴェラは 1948年ハバナ生まれ。 7歳で 管楽器メーカー Selmer と宣伝契約するほどの神童ぶりを発揮。最初の有名な経歴は、チューチョ・ヴァルデース(ピアノ )が11人の若手音楽家と共に結成した キューバの代表的バンド“イラケレ”への参加でしょう。ジャズ、ロック、クラシック、キューバ音楽をミックスした独特のスタイルを確立、高い演奏技術とともに世界的な注目を集めました。
 1981年、スペイン楽旅中にアメリカへ亡命。ディジー・ガレスピーと懇意になり、テレビなどの映像メディアを通じ 一種の社会現象とも言えるほどアメリカ・ジャズ界に大きな影響を与えました。ステージでガレスピーと並んで アルトをブロウィングする姿を 往年のチャーリー・パーカーの雄姿に重ね合わせるファンも多かったことでしょう。1997年にはグラミー賞を受賞。
 とにかく比類なき明るい音色、スピード、爽快さ、カリビアン・テイストたっぷりのリズムに乗せて フラジォレット(倍音 )も難なく吹き鳴らしてしまうし、猛烈に音数の多いビ・バップ・フレーズも流れるようです・・・。
 当時パキートのキャラクターとかぶっていた(?)、大衆路線で明るい音色と やはりビ・バップを得意としていた名アルト奏者リッチー・コールの人気が、パキートのアメリカ亡命時期を境に急速に下降線をたどっていったのも偶然ではないかも・・・などと考えてしまいます。

ガッド、1985年 courtesy of Getty Images
 そんなイケイケなパキートが 1986年にCBSからリリースした傑作アルバム「エクスプロージョン 」に、名手ガッドが参加しているのですから、もう堪りません。 - ああ、よくぞここでガッドを起用してくれたものです、感謝の念しか湧きません。
 そういえば、この国内盤レコード(邦題「サマー・エクスプロージョン(笑 ) 」 ) 初出時には なぜかA面1曲目(ジャスト・キディング Just Kidding )とB面1曲目(ザ・モンスター・アンド・ザ・フラワー The Monster And The Flower )の位置が差し替えられていましたっけ・・・ って そんなどうでもいいことまで 今、思い出しています。
 ラテン・ナンバーの名曲「マンボ・インMambo Inn、短いイントロに続いて ラテン・パーカッションを従え、どこまでも明るいパキートのアルトが鳴り出すと、その 力ずくの楽しさに 思わず手足が勝手に踊りだしてしまう衝動を止められません。うわ、どうしてカリビアン・リズムって これほどまでアルト・サックスの音に合うんだろ。もうノリノリのラテン・フュージョン全開です。
 そうかと思えば、まるでこぼれ落ちるように美しいバラード・ナンバー 「クリスマス・ウィズアウト・ユー Christmas Without You では ハワード・レヴィのハーモニカに しっとりとスポットが当たります。かつてチャーリー・パーカーのレパートリーだった マット・デニス作曲の名スタンダード「エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミーEverything Happens To Me のメロディからアドリブを紡ぎだすパキートの 良センスには 思わず涙がこぼれ落ちそうになります。
  短いのに 豊かなスケールを感じさせる小曲「セレスタSeresta - これは ハワード・レヴィ作曲のナンバー、どこか既聴感を伴う エモーショナルな南米風ワルツですが、そのタイトルが意味するものとは リオでミュージシャンが夜遅く集まって 早朝までジャムセッションに熱中することだそうです。 ネタバレになっちゃうかもだけど、これを ピアノミシェル・カミロ )とクラリネットパキート )によるインティメイトな二重奏曲だと思って聴いていると、やがて情熱的に重ねられるリフレインが徐々に熱を帯びてきて、遂に何度目かの繰り返しで 堪りかねたようにストリング・セクションパーカッションが襲いかかってくる瞬間のパッションたるや 忘れられなくなりますよ、知る人ぞ知る 隠れた名曲です。
 ソニーのベスト盤(SICP-5044 )にも収録されている、有名な「ジャスト・キディングJust Kidding - アドリブ・パートが始まるや いきなり「ソルト・ピーナッツ 」の引用フレーズを臆面もなく放ってみせる お茶目なパキート節も全開、そしてガッドの そりゃーもー絶叫したくなるほどパワフルで素晴らしいソロも大炸裂 - この名演については すでによく知られていますから、ここでは もうひとつの名演 ザ・レディ・アンド・ザ・トランプThe Lady And The Tramp に 注目するものです。
 ・・・あ、その前に ここで ひとつご注意を。この曲は、フランク・シナトラの歌唱やジェリー・マリガンのレパートリーとして知られる「ザ・レディ・イズ・ア・トランプThe Lady Is A Tramp とタイトル酷似していますけど 全然別の曲ですので(笑 )。
 ベニー・グッドマンに敬意を表したパキートが ここではクラリネットを駆使します。楽想こそ古典的なスイング調ですが、テンポは物凄い急速なフォービートだし、モダンな感覚で 飛ぶような疾走感は格別です。
 この演奏へのガッドの貢献度たるや もう最高。クラリネット・ソロが開始と同時に 低いタムをズドンと一発かましたかと思うと、カン、カン、カン、カンとよく抜ける音色で憑かれたように四つを刻むトップ・シンバルのライディングの気持ちよさ。 このリズムに メンバー全員が思いきり鼓舞されたことでしょう。
 超強力なリズム隊  - ガッド(ドラムス )、リンカーン・ゴーインズ(エレクトリック・ベース )、ミッシェル・カミロ(ピアノ ) - この豪華なトリオに乗り込むのは パキート(クラリネット )のほか クラウディオ・ロディティ(トロンボーン )、ハワード・レヴィ(ハーモニカ ) という 力強いメンバー。この一曲の中でもハイライトと言える、ガッドによる 言葉を失うほど圧巻のドラムス・ソロと全員の4ヴァース交換は 04:52頃から。 絶対傾聴 ! もう聴かないことにゃ いくら誉めてもハナシにならないんですから。


▲ 「ザ・レディ・アンド・ザ・トランプ 」 は 35:35頃から。
L.P.音源が まるごと一枚聴けてしまいます、うう ありがたい・・・
SIDE A:
1. (00:11~) Just Kidding
2. (07:35~) Song To My Son
3. (11:25~) Seresta
4. (14:15~) Mambo Inn
SIDE B:
1. (19:38~) The Monster And The Flower
2. (25:55~) Christmas Without You
3. (31:47~) Chekereson
4. (35:35~) The Lady And The Tramp

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