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ルカ(リュカ )・ドゥバルグ_ソニー(SICC-30262 ) 「気分がふさいでいるときは、いつも 新しいレコードを何枚か買うことにしてるんだよ 」 
 「 レコード買うと 元気がでるよ。
   落ちこんだときには いつも新しいレコード 買うんだ・・・ 」



ルカ(リュカ)・ドゥバルグの素晴らしいスカルラッティを、
NHK-FM「クラシック・カフェ」で 初めて知る。
 

 こんばんは、“スケルツォ倶楽部発起人です。
 今月11月11日(金 ) - といえば、つい二週間ほど前のこと。
 朝の通勤途上、マイカーの車中では いつものNHK-FM「クラシック・カフェ 」再放送の時間帯(午前 7時25分~ )。車を走らせながら 大きめの音量でFM放送を受信していました。その朝、同番組の案内を務めておられたのは 柔らかいお声が マイ・フェイヴァリットな“カフェ・ウェイトレス粕谷紘世さん。
 関連記事は ⇒ こちら

「次は、ドメニコ・スカルラッティのソナタを三曲、聴いて頂きましょう。ピアノは リュカ・ドゥバルグ・・・ 」

 リュカ・ドゥバルグ ? - すでにご存知の方にとっては 「何をいまさら 」 でしょうが、私にとっては 初めて耳にするピアニストの名前でした。 それもそのはず、私は ここ 2年ほど クラシックの新譜CDをチェックできる精神的ゆとりを失っており、若い頃から 30年以上は付き合ってきた「レコ芸 」も購読を止めてしまったので、最近の新しい音楽情報からは すっかりご無沙汰なのであります。

 ・・・今さら スカルラッティ ?
 ホロヴィッツを筆頭に プレトニョフポゴレリチ らによるアルバムを すでにお腹いっぱい聴いた後、スコット・ロスが残した偉業 - チェンバロによるスカルラッティ・レコーディング - も ひととおり聴いて 「知ってるつもり 」になっていた私は、しかも現代ピアノによる演奏で この作曲家への新しいアプローチ方法が残されているとは思えないなあ・・・ などと粕谷紘世さんの声には後ろ髪を引かれつつも、ラジオはニュースに切り替えようかなと 指先をオーディオ操作盤へと伸ばしかけました。
 しかし その瞬間、この聞き慣れない名前のピアニストによる演奏が始まり、私の耳は その音楽に吸いつけられてしまったのです。

Lucas Debargue, 4ème Prix du dernier Concours Tchaikovski © Jean-Luc Caradec ドメニコ・スカルラッティ 
ドメニコ・スカルラッティ作曲
ソナタ イ長調 K.(カークパトリック番号)24
演 奏:リュカ・ドゥバルグ(ピアノ )

 開始早々から 恐ろしく均等に流れ落ちてくる粒子状の音滴、これはもはや計算されたタッチではありません。右手を追いかける左手、そうかと思う間もなく 今度は右手が左手を振り返るやいなや 互いの立場は逆転、そんな両手の運動は まさしく「自然 」そのものです - などと聴者を錯覚させてしまうほど高度な技術を、この若いピアニストは有しているのです。
 やがて曲調は短調に転じるとテンポも緩やかに。振り子のように一定のリズムをゆっくりと繰り返すわけですが、そこからが凄いんです。このリズムは徐々に速くなってゆきますが そこには 安易に仕組まれた作為性が一切感じられず、主部へと戻る瞬間の呼吸は まるで自然の営みのようです。

 雑談。 - そういえば この曲、ホロヴィッツも弾いてたよね - そう思って この夜 帰宅してから CBSのCDから探しだして聴き比べてみたら、一途に猛進するホロヴィッツに対し ルカくんのほうが圧倒的に凄まじい 複雑な楽曲展開へと至り それがもう唖然とするほど異なるので 自分の記憶力に自信を失いかけたところ、よくよく調べてみたら 版の違いとかじゃなく ホロヴィッツのほうは 出だしまでが同じの別のソナタ K.39 (笑 )でした。 ふー 紛らわしいんだよ、スカルラッティ。 


ドメニコ・スカルラッティ作曲
ソナタ ハ長調 K.132
演 奏:リュカ・ドゥバルグ(ピアノ )

 優雅なサラバンド、繊細な旋律をゆっくりとなぞるピアノの硬質な打鍵に耳が凍りつきます。それは まるで雨粒がゆっくりと樹々の枝から葉を伝って 葉の先端から地上へと落下するまでをスローモーションで眺めるようです。その葉先から遂に落ちて飛び散る雨粒は 一瞬で「静 」から「動 」へ ぱーんと弾(はじ )けるアクションが音粒で描写されるようですが、そこはスカルラッティが好んで多用する同音連打が巧みに生かされています。 - うーん、聴けば聴くほど ココ素晴らしい。


ドメニコ・スカルラッティ作曲
ソナタ ニ短調 K.141
演 奏:リュカ・ドゥバルグ(ピアノ )

 かつてアルゲリッチが リサイタルのアンコールとして弾いた実況録音がいくつも残っているので 比較的ポピュラーな一曲ではないでしょうか。これも同音連打が特徴の技巧的な作品です。K.24などと同様、タッチの力強さと粒立ちには全くムラがなく、合わせて左手が打つ鋭い応拍の弾力にも傾聴させられます。自然に加速する心が激しい切迫感を後押ししているので このような優れた演奏で聴くと、私には 後世のベートーヴェンソナタ「悲愴 」第1楽章主部に聴ける ロマン派への激しい衝動を先取りしているようにさえ聴こえてしまいます。 あ、ちなみに そんなスカルラッティですが、J.S.バッハヘンデルとは同年生まれですから。念のため。


 ・・・って、ここまで聴いて もう私は迷うことなく その晩、この聞き慣れない名前の若いピアニストのCDを Amazonで注文していたのでした。まだプログラム冒頭のスカルラッティのソナタ3曲しか 試聴していなかったというのに(笑 )。いやー、放送を聴けて良かったなあ。ありがとう、NHK‐FM ありがとう、粕谷さん

 そこそこ長く音楽を聴いてきた経験上 私には直観で感じるものがあります、このピアニストの才能には 聴く価値があることを。 初聴きで これに匹敵するほど心の昂ぶり を覚えた記憶といえば・・・ そうですね、
アンドレイ・ガヴリーロフ_スケルツォ倶楽部 ニコラス・エコノム_スケルツォ倶楽部 19歳のスタニスラフ・ブーニン_スケルツォ倶楽部 ミシェル・ペトルチアーニ_スケルツォ倶楽部
▲ アンドレイ・ガヴリーロフ ニコラス・エコノムの凄演を初めて聴いた時、あるいは 1985年のショパン・コンクールで「ワルツ第4番」を ハンマー投げの遠心力で高速回転させる19歳のスタニスラフ・ブーニンの映像を観た時、また ジャズ・ピアノ だったら(チャールス・ロイドに共演者として迎えられた時の )ミシェル・ペトルチアーニの衝撃的な演奏を 初めてヴィジュアルで観た時 - くらいしか 他には思い出せないほどです。

― だから期待します !
ルカ(リュカ )・ドゥバルグ_ソニー(SICC-30262 )
ルカ(リュカ )・ドゥバルグ
「スカルラッティ、ショパン、リスト、ラヴェル 」
トラックリスト :
01 ソナタ イ長調K.208 (L.238) (D.スカルラッティ)
02 ソナタ イ長調K.24 (L.495) (D.スカルラッティ)
03 ソナタ ハ長調K.132 (L.457) (D.スカルラッティ)
04 ソナタ ニ短調K.141 (L.422) (D.スカルラッティ)
05 バラード第4番ヘ短調op.52 (ショパン)
06 メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」S.514 (リスト)
07 夜のガスパール (ラヴェル)
08 抒情小曲集~メロディop.47-3 (グリーグ)
09 楽興の時D.780 op.94~第3番ヘ短調 (シューベルト)
10ソナタ イ長調K.208に基づくヴァリエーション (D.スカルラッティ)
音 盤:ソニー(SICC-30262 )
録 音:2015年11月20日~22日 パリ、於サル・コルトー ライヴ


▲ 注文したディスクが自宅に届いて、じっくり聴ける幸運な時間が許されたら、また この感想の続きを書きたいと思ってます。すなわち、ショパン(バラード4番 )、リスト(メフィスト・ワルツ )、ラヴェル(夜のガスパール )・・・ということでしょうか、宿題は(笑 )。
 そういうわけで 今宵はココまでに。では おやすみなさい。


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