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「覚えとけ、小僧。これがブルックナー 第5番だ ! 」
・・・ でも それ改訂シャルク版だったんすけど ? 
クナッパーツブッシュ/ウィーン・フィル(1956年 )盤



 過去記事 でも話題にしたように、たとえば ストコフスキー/フィルハーモニア(RCA)盤「新世界より 」とか スヴェトラーノフ/USSR国立交響楽団(Melodiya )盤「1812年シェバーリン版 )」 などのように、初めて聴いた「名曲 」のレコードが原曲に忠実ではない演奏だったりすると、知らないまま純粋無垢な耳に 正しくない情報が刷り込まれてしまうわけですから、もう迷惑千万、後が大変でしたね。

 ブルックナーの「交響曲第5番 変ロ長調 」を クナッパーツブッシュ/ウィーンフィル盤で初めて聴いてしまった 出会いも忘れられません。
 マーラーと並んで長大なブルックナー交響曲のレコードを購入する機会など 中学生には限られていました(もちろん経済的な理由です )。普通ならLP二枚を要する筈のボリューム大作「第5番 」が 何と「一枚に 」収められた ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウィーンフィルのステレオ再発(ロンドン/デッカ )盤が 1,300円という超廉価なGTシリーズ(国内キング限定盤 )にラインナップされているのを 中学校からの帰宅途中 レコードショップの店頭で発見した時には 一瞬わが目を疑ったものです。その時は 「この幸運を逃したら ブルックナーの5番を聴ける機会など二度とあるまい 」とまで思い詰め (今にして思えば 笑 )、躊躇なく買い求めたものでした。

ブルックナー
交響曲第5番 変ロ長調(シャルク改訂版 )
ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮 )
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録 音:1956年6月(ウィーン、ゾフィエンザール )

ブルックナー クナッパーツブッシュ ブルックナー交響曲第5番 変ロ長調 knappertsbusch-portrait_1951_.jpg
▲ (左から )ブルックナー、当時のL.P.ジャケット、クナッパーツブッシュ
 
 さあ 初めての「クナッパーツブッシュ 」に、初めての「ブルックナー 」です。「第5番 」 のレコードを 大事に小脇に抱え 大喜びで帰宅すると、興奮のあまり玄関に靴も鞄も放り出し、手も洗わず、ただまっすぐステレオの前に座り込むと 逸る気持ちを抑えつつ 盤面に傷つけぬよう そっと針を降ろしたものです。
 その瞬間1956年のウィーン・フィル郎党を引き連れたクナッパーツブッシュ組長の一団がどすどすとばかり 家(うち )のリスニングルームに土足で上がり込んでくるなり そこにきょとんと座っている中学生だった私をみつけるやいなや いきなり首根っこつかんで捻じ伏せると 覚えておけよ、小僧。これがブルックナーだ ! と言わんばかりの勢いで、感動という名の渦の中へ 私を思いっきり放り込んでくれました。(感涙にむせびながら )ありがとうございます。

 しかし・・・それは、今にして思えば 悪名高きシャルク改訂版を選んだクナの「見識 」を 聞かされることでもありました。 初めて聴いた “ブル5第一楽章 序奏(アダージョ )で 私が連想したのは メンデルスゾーンの 同じ「第5番 」の冒頭とよく似た祈りの旋律だなー ということでした。そんなコラール的主題を支える低弦セクションが弾(はじ )く ピッツィカートが この演奏に拍動を与える 他に類をみぬ「快速 」なスピード第2楽章の木管は 節回しが所々微妙に改変されているし、さらにクライマックスではシンバルが鳴るばかりか、金管セクションの別働増員された第4楽章には トライアングルまで加わるという、もしオリジナル原典版を先に知っていれば 当然すぐオカシいと気づく筈の「常識 」も 当時は これが初めての「名曲 」との邂逅だったゆえ 持ちあわせておらず、あろうことか これを繰り返し聴いて隅々まで記憶してしまった “ブル5” - とりわけ最も困ったのは、このスピードで快速な「冒頭 」刷り込まれてしまった私の耳です。

 はあー、それにしても どうして こんなに急いでたんだろ この日のクナッパーツブッシュ ?  「アイネ・クライネ~ 」だって ワーグナーだって あんなに超低速だったというのに ? おかげで その後 相対的に「同曲の 」他の演奏は どれも出だしが遅く感じられて 聴くに耐えず、初めて聴いたあの日から もう40年は経とうというのに 未だ クナ盤の呪縛が解けず、他のディスクで この「序奏部 」が鳴り出しても 耳が先に拒絶してしまい まともに聴けなくなってしまった、この哀れな身の上(笑 )。

 では また次回 ・・・

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コメント

Re: 「クナのヴォータンの別れと魔の炎の音楽のジョージ ロンドン問題 」?

すーさん さま
再度のお便りありがとうございます ! 実は かなりの“ブルヲタ、しかも相当の強者(つわもの )らしい見識のコメントに 私 発起人もたじたじ・・・(笑)
クナのヴォータンの別れと魔の炎の音楽のジョージ・ロンドン 」について、どんな問題があったのかは存じませんが、あの素晴らしいレコーディングは手放しで大好きです。特に、何といっても冒頭一音の迫力は忘れがたいですよね。渾身の力をこめたウィーン・フィルの、絶叫するような高音弦の飛翔、あそこはまるでパパ想いのブリュンヒルデが 父ヴォータンの愛に満ちた配慮に気づいて感極まった瞬間のエクスタシーのようではありませんか。
でも クナ自身は さほど歌手の人選にまで こだわりはなかったのではないかと勝手に想像してます。もちろん オマエは「ヴォータンの別れ~ 」をホッターで聴いてみたくはないかと問われたら、それは否定できませんが、あの暗い声質ながら発音も滑舌も良いジョージ・ロンドンのメリハリ利かせた“ヴォータン”歌唱は 些か緩み気味のクナの指揮棒には むしろ合っていたんじゃないかなーとさえ感じるのです。

URL | “スケルツォ倶楽部” 発起人 ID:-

返信ありがとうございました。
でもこれは5番に限った話でして、3番ならザンデルリンク、4番はベーム、7番はカラヤンの新盤もしくはヨッフムの日本公演、8番はハイティンクのドレスデン版、9番はジュリーニとそれぞれにフェイバリットがありましてクナ好きではあるのですが、クナ絶対ではないのです。

話は変わるのですが、クナのヴォータンの別れと魔の炎の音楽のジョージ ロンドン問題についてお聞きしたいのですがいかが思われますか?
私はあれが大好きなのです。
宇野巧芳がホッターでなければと言ったせいで同調してる輩がいます。
そんな奴は俺の前に出てこい!この野郎!と思うのですが…。

もし
管理人さんがホッターが良し!と思われていたら



すいません

URL | すーさん ID:-

Re: すーさん さま ! 

思わず「おお、ご同輩 ! 」って叫びたくなる共感のお便り うれしく拝しました。ありがとうございます。特にクナッパーツブッシュは 積極的にブルックナーの録音を残してくれた割には改訂版ばかり・・・。でもブルックナー受容の歴史を振り返れば 改訂版の果たしてきた役割も大きかったのでしょうね。編者たちはいずれも良かれと思って手を加えてきたわけですし・・・あ、そういえば 敢えて改訂版(まさに このシャルク版 )の楽譜を使って演奏された「5番 」が 良質な録音で聴ける一枚があるそうですよ。ボッツタイン指揮ロンドン・フィル(テラーク Telarc CD‐80509 )海外盤ですが。この演奏のコーダなら すーさん さまも満足されるかも?!

URL | “スケルツォ倶楽部” 発起人 ID:-

まったくもって同意です。
私も刷り込まれた口で、他の演奏を聞くと『ブルックナーを分かっとらん😡』、原典版を聞くと終楽章の納まりが悪すぎ!なんて思ってしまいます。

URL | すーさん ID:-

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