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ホロヴィッツのレコードとの出会いを回想
 - 「月光 」、「ヴァルトシュタイン 」、
   そして炸裂する「メフィスト・ワルツ

Vladimir Horowitz (2) Vladimir Horowitz‐Chopin (3) Vladimir Horowitz

 こんにちは、“スケルツォ倶楽部”発起人です。
 まだ私が「クラヲタなりたて 」だった 小・中学校時代 - クラシック音楽と出会ったばかりの 浅く幼かった理解力を 告白するコーナー(笑 )ですよ。
 ここで最近 話題にしていることは、演奏家(指揮者 )による独自 / 独特な解釈(奏法の一部に個性的な特徴が聴ける演奏、極端にデフォルメされた演奏、異なる版の選択、オリジナル楽譜の勝手な改変・・・など )によって、同じ曲であるにもかかわらず 違って聴こえてしまう演奏について - ですが、当ブログは そんなレコードたちと遭遇してしまった当時の回想録 になりつつある (・_・; ?
 前回の記事は ⇒ こちら

 今宵は 20世紀の巨峰、ヴラディミール・ホロヴィッツです - はい。特に RCACBS時代のホロヴィッツ、大好きですね。 どなたもご存知のとおり、この偉大なピアニストにも 異形・驚嘆の演奏が数多いですから。
 
 ええと、私が中学一年生の時に 最初に聴いたホロヴィッツのレコードといえば ベートーヴェン作曲「月光 」ソナタ(1972年CBS録音盤 )。
ホロヴィッツ ベートーヴェン「月光 」CBS-SONY
ベートーヴェン
ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調「月光 」
(併録:シューベルト 4つの即興曲 変イ長調Op.90-4、変イ長調Op.142-2、ヘ短調Op.142-1、変ホ長調Op.90-2 )
ヴラディミール・ホロヴィッツ(ピアノ )
録 音:1972年4月20日、27日 ニューヨーク
音 盤:CBS-SONY

 第3楽章プレスト・アジタート、16分音符で駆け登る主要主題には昇りきったドン突きに8分音符の二連発が仕掛けられています。この曲を演奏しようとする演奏家なら誰でも、普通ならこの個所で作曲者の指示どおりスフォルツァンドを繰り返し炸裂させ フレーズのアクセントとすべきところですが、皆さんご存知のとおり、1972年のホロヴィッツは この表示を殆ど無視するように弾き飛ばし、聴き手に肩透かしを食らわすのです (ちなみに、1956年の旧RCA録音では、ホロヴィッツは楽譜の表示に従っています )。
 な、何だ この演奏は ? 当時まだ若かった私 発起人は、ベートーヴェンの指示に従わない巨匠ピアニストの不遜な態度に反感を覚えました。楽譜の軽視はルール違反、楽聖の存在さえ軽んずるに等しい、すべて信号無視する運転手は取り締まりの対象とすべきである、などと抗議するような そんな しようもなく青い正義感にあふれていました。
 だからと言って、せっかくお小遣いをはたいて買った今月のL.P.レコード、世評も高いホロヴィッツの演奏を、弾き方が気に入らないからといって 聴かずにいるのももったいない、そもそもこれが 「解らない 」自分のほうがイケナいのかもしれない・・・などと思い直し、例によって 意識的に何度も繰り返し聴くうち、徐々に「楽譜無視 」奏法の クールで醒めた終楽章に魅せられるようになってしまっていたのです。その挙句「わかったぞ。こ、これは、ショパンのピアノ・ソナタ第2番のラストに置かれた あの不思議な第4楽章と同じ“墓の上を吹き渡る疾風”的な効果の先駆けだったに違いない 」、「疾風が吹き抜ける 夜の墓石を照らすものといえば 月光と、昔から相場は決まってるんだから 」 などと一人合点で錯覚してしまうほどまでに(笑 )。

Vladimir Horowitz_Schumann_ Kreisleriana Vladimir Horowitz‐Chopin (1)
 さあ、気づいたら 新しくピアノ曲のレコードを買う時には、真っ先にホロヴィッツを ファースト・チョイスの対象とするようになり、その後 彼のシューマンショパンの演奏を 聴けば聴くほど 若き日の “スケルツォ倶楽部”発起人、すっかりホロヴィッツ信者となっていた、そんな中学生時代でした。

 ホロヴィッツのベートーヴェン - と言えば、この「月光 」と同時期にレコーディングされた もうひとつのソナタ「ヴァルトシュタイン 」の 特殊な奏法も忘れられません。

ホロヴィッツ ベートーヴェン「ヴァルトシュタイン 」CBS-SONY
ベートーヴェン
ピアノソナタ第21番 ハ長調「ヴァルトシュタイン 」
ヴラディミール・ホロヴィッツ(ピアノ )
録 音:1972年12月20日、ニューヨーク
音 盤:CBS-SONY

 鬼才ホロヴィッツの「ヴァルトシュタイン 」と言えば、旧RCA(1956年)盤の猪突猛進な凄奏もオモシロいのですが 再録音となるCBSソニーのステレオ盤を聴いた時には 第一楽章から もう心を奪われましたね。
 冒頭、快適な八分音符の連打音に浅くペダルが踏み込まれていることに気づいた瞬間の衝撃ったら。そして断片的に現れる下降動機には殆ど前打音が付けられてるんですが、第67小節目の最高音(E音のsf )には 本来装飾音ありません。しかしホロヴィッツはそこにも勝手に前打音を付けて弾いているんです。いえ、偶然のミスタッチなどではありません、反復でも同じ個所に まるで ジャズのブルーノートのように わざわざ前打音を打っていますから、コレ確信犯です。
楽譜 ベートーヴェン「ヴァルトシュタイン 」第一楽章第67小節 オリジナル  楽譜 ベートーヴェン「ヴァルトシュタイン 」第一楽章第67小節 ホロヴィッツ奏法
(左 ) 67小節目のオリジナル楽譜、
(右 ) ホロヴィッツ(72年盤)の演奏どおりに採譜したら。


 ココなんか 一瞬だけですが もうまるでディキシーランド風(? )な節回しに。 しかし これが実に格好良く 気持ちイイ・・・って、でも後になって他の演奏家と比較しようと 上記どおり ベートーヴェンの譜面を開いてみたら  ホロヴィッツ(1972年CBS盤 )以外に こんな弾き方をしてるピアニストなんて誰一人いなかったのです、当然。うう、またやられた ! そんなホロヴィッツ、そのまま第2主題になってもテンポを落とすことなく私の目の前をウィンクしながら イン・テンポで滑走してゆくと 視界から消え去ったのでした。

 こんなホロヴィッツ凄まじくオモシロい激奏を もうひとつ。
ホロヴィッツ リスト 「メフィスト・ワルツ 」RCA
リスト
メフィスト・ワルツ第1番 S.514
(併録 : ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178 他 )
ヴラディミール・ホロヴィッツ(ピアノ )
録 音:1979年
音 盤:RCA(09026 61415 2 )
 
 ホロヴィッツによる リスト「ピアノ・ソナタ ロ短調(1977年 )」と言えば、まるで鍵盤の上に鉈(なた )を振り下ろすような凄まじさで もう大好きなんですが、これについては 敢えて また次回に触れることとして・・・ 今回は 彼の「メフィストワルツ 」の話題です。
 
 ホロヴィッツの「メフィスト~ 」ったら 古今東西 世界のどの演奏家とも異なるプレイ、とにかく個性的で猛烈にテンション高い演奏です。聴いたことあります ? 野卑なフィドルのチューニングを模したイントロダクションに続いて、悪魔的な跳躍をみせる あの有名な主題が提示された直後の経過部、他のピアニストからは決して聴けない、超絶技巧的パッセージが まるでJ.シュトラウスワルツ「春の声 」の旋回するメロディにも似た装飾的フレーズが 彩りも豊かに炸裂するものですから・・・ココ まったく唖然としますよ。
 え ? これ異版なのかな。初めて聴いた時には とにかく呆気(あっけ )にとられ、ホロヴィッツと同じ楽譜を使っているピアニストがなぜいないのだろう ? などと思って あれこれ調べたところ、それもその筈 これはフランツ・リストの原曲に ブゾーニが手を入れた編曲版を基にした譜に さらにホロヴィッツ自身が 高い演奏効果を狙って 思いきり派手に弾き直した特殊なバージョンだったのです。

ホロヴィッツ(BVCC-8973~4 ) ホロヴィッツ・オン・テレビジョンCBS-SONY
▲ この手の独自な「編曲」版の録音は 鬼才ホロヴィッツには数多く、RCAには 有名な 「星条旗よ永遠なれ(スーザ )」を筆頭に、「展覧会の絵(ムソルグスキー ) 」 や 「ラコッツィ行進曲ベルリオーズではなく、リスト作曲のハンガリー狂詩曲のほう )」、「イスラメイ(バラキレフ ) 」、CBSにもビゼーの原曲に 壮絶なる自作のヴァリエーションを加えた「カルメン変奏曲 」など・・・ 物凄い演奏のレコーディングが幸運にも いくつも残っていますよね。

 では、また次回・・・

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コメント

Re: ホロヴィッツの月光

こんばんは、Unagi さま!
ああ・・・ ここにも私と同じ 被害者が!(笑 ) ホントこういう不本意な勘違いって 多いですよね、でも 決して私たちがワルいんじゃない! ですよね! 許せないのに でも忘れられない、そんな「憎み切れない 」愛聴盤(爆笑 )の思い出があったら、ぜひ教えてくださいね。
作曲家でもあるUnagiさんは「オーケストラの変に細かいところを聴いて喜ぼうという 」注目のブログ「それでいいの 」http://unagi596.blog.fc2.com/ の Author でいらっしゃいます。 これからもよろしくお願いします!

URL | “スケルツォ倶楽部” 発起人 ID:-

ホロヴィッツの月光

こんにちは
僕はクラシックに興味を持ちかけたころ、友人の家にCBSソニーのクラシック全集Cd100枚みたいなのがあったのでダビングしてもらいに行きました。
なぜか知っていた月光ソナタを最初にお願いしたのですが、それがホロヴィッツのあの演奏でした。
何も知らないところにそれを何度も何度も聞いたため、刷り込まれてしまい、ほかのピアニストの演奏が間違っているように聞こえるようになってしまいました。
弾けはしないのですが、楽譜と違う気はしたので、しばらく困りました。
いまでも、最後のカデンツァみたいなところはホロヴィッツの演奏が耳にこびりついています。

URL | unagi ID:-

<span style="background-color:#FFFF00;">ホロヴィッツ</span>大好きです。
<span style="background-color:#FFFF00;">月光</span>の72年録音のオリジナルカップリングのLPは最近手に入れたのですが、銀色のジャケット、帯には「<span style="background-color:#FFFF00;">ホロヴィッツ</span>の部屋は銀色である」みたいなことが書いてあるので銀色ジャケットなわけですが、ビデオで自宅はよく出てきても壁は銀色じゃない。塗り替えたのか、評論家の妄想なのでしょうか。
私は一緒に入っているシューベルトを聴いて泣いてしまいました。音が悲しいくらい美しいと感じました。

URL | サンセバスチャン ID:UIYELLX2[ 編集 ]

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