クラヲタに捧ぐ、ジャズ=フュージョンの名盤 ランダム辞典
スケルツォ倶楽部、
スティーヴ・ガッド Steve Gadd を讃える。
   
メニュー画面は ⇒ こちら

Steve Gadd(1977)Electric Bird 
「ラヴ・プレイ 」(マイク・マイニエリ )1977年 

Love Play Mike Mainieri (Arista) mike mainieri love play arista
マイク・マイニエリ 「ラヴ・プレイ」 アリスタ (BMGビクターB19D-47024)
 
 マイク・マイニエリ(ヴィブラフォン、シンセサイザー)Mike Minieri 
 スティーヴ・ガッド(ドラムス)Steve Gadd
 マイケル・ブレッカー(テナー・サックス)Michael Brecker
 デヴィッド・サンボーン(アルト・サックス)David Sanborn
 ウォーレン・バーンハート(ピアノ、キーボード)Warren Bernhardt
 デヴィッド・スピノザ(ギター)David Spinozza
 トニー・レヴィン(ベース)Tony Levin ほか
 1977年 ニューヨーク録音


 今晩は、発起人(妻のほう)のコーナーです。
 もしも1970年代のジャズ=フュージョンの名盤ランキングがあったとしたら、これは 確実に上位に着席させたい傑作。ジャズ・フュージョン草創期の重要なオルガナイザーのひとりだった 才人マイク・マイニエリが作り上げた、実にファンタスティックなアルバムです。なにしろ ここに参加しているミュージシャン全員が いずれも個性的な技能ですべての演奏に貢献しており、今でも時々 棚からCDを出しては 最後のタイトル曲「ラヴ・プレイ」まで聴き通すたびに、その圧倒的な演奏によって もー スゴイ感動、洗濯もお掃除も 何もしたくなくなっちゃうほど・・・です。

 まずA面冒頭「ハイ・ライフ」、アフリカ音楽リズムハイライフ ” を ガッドがパーカッショニストのアーサー・ジェンキンスらと伴に刻む、 静かな打楽器アンサンブルで始まりますが、滑走路からリタ・ギャロウェイの素晴らしく飛翔するヴォーカルが 一瞬で わたしたちをアフリカからニューヨークまで空間移動させてくれます。これを初めて聴いた時には、先がまったく予測不能な音楽の展開に驚いちゃったものです。マイニエリシンセ・ヴァイブは、明らかに金属製の民族楽器的なオモシロイ音色を選んだかと思うと、ピアニスト ウォーレン・バーンハート のリズミカルな短いピアノ・ソロに続いて、今度はマリンバに持ち替え まさしく木琴という感じのアコースティックな音色で、パキンパキンと叩きまくります。ここ 快感です。ガッドが刻むリズムも いつのまにか 彼の お得意のサンバのような南洋系のグルーヴ感を醸し出しているではありませんか。これは冒頭からリスナーの心をとらえてしまう、魅力的で独特なマイク・マイニエリまったくオリジナルな音楽なのです。  
 2曲目「マジック・カーペット」、これはガッドが叩きまくるビートで舞い上がるホコリに乗って 空中浮遊する「魔法のじゅうたん」そのものです。最初から最後までドラムスが主導権を握って大活躍する1曲ですが、特に 03:19 からのフィル・イン攻撃には、短いながら ガッドの個性を100% 堪能できるプレイに、きっと誰しも満足を得られることでしょう。
 3曲目、まるでマイケル・フランクスの曲のような「ラテン・ラヴァー」、ここではマイニエリ自身のヴォーカルが聴けます。マイニエリの個性的な声質は、“ 高い声の出ないポール・サイモン ”のようでもあり、短いマリンバのソロが始まると 何故かホッとしてしまうのは、やはり 彼の唄よりマレットさばきの方に わたしが期待しているからなんでしょうね。
 4曲目「アイム・ソーリー」も、マイニエリのオリジナル。ここでは 盟友 マイケル・ブレッカーテナー・サックスによる素晴らしいソロが聴けます。マイケルの、常に演奏全体を一瞬で見渡した上で そこに自身を解き放って完全燃焼させる絶妙な即興には 聴いていてホント熱くなります。ガッドの気合の入ったバッキングも 炎に油を注ぐようです。
 曲順は前後しますが、CDの7曲目は「サラ・スマイル Sara Smile 」、1970~80年代に活躍したソウル・ロック・デュオ・グループ、ホール&オーツ Hall & Oates による 1975年の全米第4位にランキングされた ポップ・バラードの名曲で、エリック・ゲイルもこのメロディを アルバム「ジンセン・ウーマン Ginseng Woman 1977年(CBS)」で、レゲエのリズムで料理していましたね。ここでは 今度 デヴィッド・サンボーンによるアルト・サックスが、これでもかとばかりに 全開でむせび泣くのを聴けます。もう 感動の嵐です。
Michael Brecker (Better Days)   David Sanborn (1979 CBS)
 マイケル・ブレッカーデヴィッド・サンボーン は、この「ラヴ・プレイ」録音から1年後、わが国のキーボーディスト 深町 純 & ニューヨーク・オールスターズ の一員として ランディ・ブレッカー(トランペット奏者)、マイク・マイニエリスティーヴ・ガッドリチャード・ティー(ピアニスト)、アンソニー・ジャクソン(エレクトリック・ベース奏者)らと共に来日し、東京(後楽園ホール、郵便貯金ホール)で さらに素晴らしい「アイム・ソーリー」、「サラ・スマイル」の演奏を聴かせてくれました。この時のライヴは、アルファ・レコードによって録音されています。
Jun Fukamachi  NewYork All Stars(1978 alfa) これは また次回のお楽しみに。

 この実況録音盤では ガッドによるドラムスの激打も物凄いのですが、また 次の機会に聴き直し、あらためて感想をレポートしたいと思ってます。その時には、また わたしも思いきり キーボードを打ちまくることを誓いマス!

 では、次。曲順は前後しますが、オリエンタルな雰囲気の親しみやすい旋律の「シルクワーム」、これは めずらしく七拍子の曲。90年代に再結成された スティーリー・ダンのツアーで音楽監督を務めたことでも(意外!・・・と)評判になった ウォーレン・バーンハートの作品です。エフェクト的に使われる 抑制されたグロッケン・シュピールの音色も効果的、また マイニエリのシンセ・ヴァイブの音色も興味深く、リフのように分散和音を重ねながら繰り返す重厚なパートに移ると四拍子になりますが、ここは バーンハート自身が 後に 発表することになるアルバム「マンハッタン・アップデイト(1980年、アリスタ)」に収録されてる「ハング・グライディン’」という曲の スペイシーな広がり を連想してしまいます。
Warren Bernhardt Manhattan Update (1980 Arista) バーンハートの名盤(Arista)について、これも次回。

 ガッドは、バーンハートの「マンハッタン・アップデイト」にも参加していますから、併せて この名盤についても また いつか機会を設けて 詳しく 触れたいと思います。

 そして いよいよ アルバム・ラストに置かれた名曲ラヴ・プレイ」です。ヴァイブとピアノ、アコースティック・ギターを中心とした美しい室内楽的なアンサンブルで始まります。さわやかなフォーク・タッチによるイ長調の穏やかな旋律です。
 マイニエリの最初のヴァイブ・ソロは、ガッドマーチング・ドラムを 伴奏に始まりますが、要所要所で美しいアンサンブル部分をはさみ、聴き手をまったく飽きさせません。ヴィブラフォンによる16分音符の細かい即興は 音の粒が光となって飛び散るのが見えるようです。ガッドのエイト・ビートが タイトに力強くなってゆく中、デイヴィッド・スピノザ によるエレクトリック・ギターのソロになります。その語法は ロック・スタイルを消化していることがわかる、滑らかなものです。やがてマイニエリの主導によって 複雑なフレーズがビシッと決まった瞬間、ガッドシンバルの一打ち を合図に リズムはサンバ(速いラテン)風に変わります。この部分は 冷静な作曲者によって熱狂的に盛り上がるよう計算され尽くしており、ガッドのフィル・イン効果も 凄まじいです。しかし聴者の熱狂に対し、マイニエリのシンセ・ヴァイブによるリズミカルな即興は、その演奏の激しさに反して どこか醒めた視点で聴衆を意識している感じがわたしには強くします。それは 当然のことかも知れませんが、マイニエリ自身は 決して興奮していないのです。
 このパートが終わると、サンバの熱も冷めぬまま ピアノだけが残って、バーンハートが Gメジャーのコードを 力強く 一定のリズムで叩き始めます。ここから最後のパート(コーダ)に入ります。一変して 激しいロック・ビートのリズムに乗せ、曲の冒頭で提示されたあの穏やかな主要旋律を 今度はト長調に転調させたマイニエリが 大音響のシンセサイザーで雄大に繰り返すところは 感動的ですらあります。そして 最後の和音の直前、興奮をさらに高めるガッドによる短いドラム・ソロを残して、名盤「ラヴ・プレイ」は 終わりを告げるのです。
 ・・・ うーん、ホント素晴らしい。このアルバムは 最初から最後まで、ぜひ通してお聴きになることをおススメします、きっと 感動が倍加すると思います。

 スティーヴ・ガッドマイク・マイニエリとの出会いの経緯「ホワイト・エレファント」や「リマージュ」の話題、その後の 彼らの活躍「ステップス」の功績 についてなど、実は 今夜 一緒に触れようと思っていたのですが、やっぱり とても一回では済まない量になってしまいました ので、次の機会に回すことに。
・・・ そういうわけで、今回は  傑作盤「ラヴ・プレイ」の感想だけに 留めさせて頂きました、 今夜もお読みくださり、ありがとうございました。 では またね !

 次回(7)1973年の リターン・トゥ・フォーエヴァー(チック・コリア)に続く・・・

↓ 貴方の励ましクリックを 頂戴できたら 元気が出るかも。
にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ


関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

トラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)