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Tuba mirum
妙なるラッパのファンファーレ
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ベートーヴェン : 「レオノーレ序曲第3番、
舞台裏で バンダのトランペット奏者つかまえて
吹いちゃダメ ! 」って、一体・・・ ?



 こんにちは、 “スケルツォ倶楽部発起人です。
 今回の文章は、前回 歌劇「フィデリオ 」で 大臣の到着をトランペットで知らせた人は 誰 ?  - の 続きです。

   「はい、では ここで 前回のクイズの問題文を もう一度 」
   「 ! 」
   「ベートーヴェン歌劇フィデリオ 』で、大臣ドン・フェルナンドの到着を トランペット信号で知らせることによって、フロレスタンレオノーレ夫妻の危機を救ったのは、一体誰でしょうか ? 」
   「あのさ、ベートーヴェンでしたとか、原作者ブイイだったとかっていうのは、NGだからな 」
   「あたりまえでしょー、ガチの勝負だから大丈夫よ 」

   「よーし。 じゃ正解は・・・ ヤキーノだったんじゃないか ? ほら、トランペット信号の場に続き、兵卒らと一緒に地下牢まで降りてきて 最初に大臣到着の報をロッコに知らせたのが ヤキーノだったじゃん 」
   「ふんふん 」
   「それにさ、そうでもしないと 彼は オペラの中では 今ひとつ活躍の場も少ない脇役だからね。どうだろ ? 」
   「(笑 )ブーッ、違いまーす。ヤキーノ じゃありませーん 」
   「えー・・・ (かなり悔しがる ) 」
   「ふふん、もう一度 チャンスをあげましょう 」
   「ムムッ よし・・・ じゃあ レオノーレが 予め仕込んでおいたとか。何しろピストルを隠し持っていたほど 用意周到で慎重な彼女のこと、地下牢で典獄ピツァロが逆切れして暴発する可能性まで想定していたんじゃないのかな ? 」
   「(笑 )ブーッ、違います。レオノーレさん じゃありません 」
   「えー・・・ (かなり悔しがる ) 」
   「ふふん、もう一度 チャンスをあげましょう 」
   「くそー・・・ それでは 大臣ドン・フェルナンドが自らの一行に 信号ラッパ手を随行させていたとか ? うん、きっとそうだよ 視察施設に到着するその都度 随行のラッパ手がトランペットで 建物の中の人に知らせる習慣だったんじゃね ? 」
   「(大笑 )ブブーッ、そんな習慣ないよ。でも もう一度チャンスをあげましょう 」
   「じゃ、ロッコか ? 彼は ピツァロには 面従腹背の存在で、囚人フロレスタンが いよいよ危ない場面となったら 彼を助けるために 実は 深謀遠慮な予防線を張っていた - とか ? 」
   「(笑 )ブーッ、違う 違うっ 」
   「ムムムーッ・・・ さすがにマルツェリーナってことはないよなー。 く 、悔しいけど 降参だ ! 」
   「 ( 勝ちほこって 哄笑する ) 」

   「ちぇっ、もういいから 早く正解を教えろよ ! 」
   「 “スケルツォ倶楽部会員の皆さまは、もうお判りですよね 」
   「 ? 」
   「第一幕で 典獄ピツァロが、彼の邪悪なアリア『復讐を実行する時が来た Ha, Welch ein Augenblick ! 』 を歌い終わった直後に出てくる台詞を 思い出してください - 

フィデリオ_クレンペラー1961年 2月ロンドン、ライヴ_Testament (2)
(Pizarro ) Hauptmann! Besteigen Sie mit einem Trompeter sogleich den Turm. Sehen Sie mit der grössten Achtsamkeit auf die Strassen von Sevilla. Sobald Sie einen Wagen von Reitern begleitet entdecken, lassen Sie augenblicklich ein Signal geben. Verstehen Sie, augenblicklich !

( ピツァロ ) 隊長、今すぐにラッパ手を連れて 城の塔へ登るのだ。セヴィリアからの道をそこで見下ろし、細心の注意を払いながら監視していろ。もし騎馬と一緒に大臣の馬車が来るのを見つけたら、そこで 直ちに合図のラッパで信号を吹いて知らせるんだ。分かったな、直ちにだぞ ! ) 」


 - オペラ対訳プロジェクト | オペラの歌詞日本語対訳サイト 
   オリジナル台詞と訳文とを参考にさせて頂きましたこと、感謝申し上げます (上記 青字部分


   「えっ ?  ・・・ってことは 正解は ピツァロ ・・・? 」
   「ヤーヴォール 」
   「なーんだ、ピツァロが自分自身で仕込んでいたのか 」
   「予(あらかじ )め城兵に指示命令できる立場の人物といったら、彼しかいなかったのよね 」
   「なるほど・・・ トランペットの音を聞いた瞬間、あまりにもあっさり諦めてしまったように見えたのは、信号のサインが意味する内容を、実は ピツァロ自身が最もよく判っていたから - というわけか 」
   「オペラの推薦盤 クレンペラー指揮 / コヴェントガーデン歌劇場ライヴ(Testament )盤で、その場面 - 下士官に命令するシーン - を聴いて 確かめてみようよ 」
   「クレンペラーテスタメント・ライヴ盤で ピツァロ役を演じているバス=バリトン歌手は ハンス・ホッター。もはやヴォータンの威厳だな。ほら、舞台写真も格好良いよ ! 」
ハンス・ホッター(ドン・ピツァロ )BBC
▲ ハンス・ホッタードン・ピツァロ )BBC 
   「ホッターピツァロが聴ける録音は多くない。野崎正俊氏の労作 『オペラ ディスク コレクション (アートユニオン ) 』 によれば、このコヴェントガーデン公演の前年(1960年 )、ヘルベルト・フォン・カラヤンミラノ・スカラ座を振ったオールスター・メンバーによる 非正規録音(Historical Recording Enterprises )が残ってる程度 -  」
   「 ちなみに、そのカラヤン/スカラ座公演での配役に興味あるんだけど ? 」
   「どれどれ( ト 資料を読む )フロレスタンロッコクレンペラー盤と同じキャスト、ジョン・ヴィッカーズゴットロープ・フリックレオノーレは やっぱりビルギット・ニルソンだな、マルツェリーナヴィルマ・リップヤキーノゲルハルト・ウンガー・・・って、ゲルハルト・シュトルツェ ならよかったのに。。。 そして 大臣ドン・フェルナンドフランツ・クラスだった とのこと 」


Willibrod Josef Mahler, Portrait of Beethoven with Lyre, c. 1804(部分 ) フィデリオ_クレンペラー1961年 2月ロンドン、ライヴ_Testament
ベートーヴェン:
序曲「レオノーレ 」第3番
オットー・クレンペラー指揮
コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団
録音:1961年 2月24日 「フィデリオ 」実況より
原盤:Testament SBT2 1328(2枚組 )


 歌劇「フィデリオ 」上演の際、マーラーがウィーンで始めた慣習として、第2幕第2場の場面転換に この序曲を配置する試みは、その後 フルトヴェングラーの支持によって広く受け入れられるようになり、今では世界的に浸透していますから 音楽愛好家の方ならどなたもご存知でしょう。
 ブルーノ・ワルター(1941年、ニューヨーク メトロポリタン歌劇場 )、 カール・ベーム(1963年、ベルリン・ドイツオペラ東京公演 日生劇場 )など、歴史的な公演を録音した音盤でも この個所で「レオノーレ序曲第3番 」が挿入され、大きな効果を上げている様子を 私たちは耳で確認できます。
 
 オットー・クレンペラー(1961年、コヴェントガーデン王立歌劇場 )盤においても同様なのですが、ここでひとつ興味深いことに、レオノーレフロレスタンが再会を喜ぶ二重唱の後、音楽の流れを中断させずに そのまま序曲冒頭のG音とアタッカで繋げるというドイツ流の工夫が まだ当時のロンドンの聴衆には馴染み薄だったということでしょうか ( ? )、二重唱が終わったところで 客席から沸き起こった大きな感動の拍手が長く鳴り止まないため、もうすでに始まっていた序曲の冒頭 - 弦と木管のピアニッシモ - が 全然聴こえないほどなのです。これに一部の聴衆が怒り出し「シーッ、静かにしろ 」、「序曲が始まっているんだぞ 」などと叫んでいる声までマイクロフォンが しっかりとらえています(笑 )。これは、そんな当時のドキュメントとしてもオモシロい、臨場感も満点のディスクです。


ベートーヴェン:「レオノーレ 」序曲第3番
トランペット・ファンファーレにまつわる、
その後のなりゆきが とても気になる 実話 ・・・。

ミトロプーロス アテネ_ヘロデス・アティコス野外劇場
 ギリシャ出身の名指揮者 ▲ ディミトリー・ミトロプーロス Dimitris Mitropoulos(1896 – 1960 )がウィーン・フィルハーモニーを率いて彼の故郷アテネに演奏旅行した1958年のこと。
 公演は、野外劇場ヘロデス・アティコスで行われた。プログラムには、ベートーヴェン序曲「レオノーレ」第3番が組まれていた。野外コンサートであるため、演奏会に邪魔が入ることを防ぐため、劇場の周囲にはアテネ市の警察官が巡回に立ち、非常線が張られていた。
 さて「序曲 」が始まり、有名なトランペット信号を吹くべき個所が近づいてきた。担当のトランペット奏者は舞台裏で吹奏するため 静かに席を外し、ピカピカ光る楽器を抱えて慎重に劇場から屋外へ忍び出た。
 まさにその場所で マウスピースに口を当て いざファンファーレを吹こうとした瞬間、駆けつけたパトロール中の警察官 数名に取り押さえられ、
こんな所で吹いちゃいかん。今 劇場でウィーン・フィルが演奏しているのが聞こえないのか ?
と、楽器は奏者の手から もぎ取られてしまった・・・。


 -  ウィーン・フィル えぴそーど Musizieren Geht Übers Probieren 」(アレクサンダー・ヴィテシュニク著、福原信夫 / 吉野忠彦 共訳、立風書房 )より引用(青字部分 )

 さて、この後「レオノーレ 」序曲のゆくえは、ファンファーレ無し(!)で、一体 どうなったのでしょうね。果たして 続いたのか、無事に終わったのか、どう切り抜けたのか、猛烈に気になります。著者のヴィテシュニク氏は ここでペンを止めていますが(笑 )。


ベートーヴェン
「レオノーレ」序曲第2番
トランペット・ファンファーレを聴く。


 ベートーヴェンが この歌劇のために作った序曲は、現在4曲残っていますが、ドン・フェルナンド到着を知らせるトランペット・ファンファーレ序曲の中でも効果的に姿を現すのは、「第2番」と「第3番」の二曲のみにおいてです。
 「レオノーレ」序曲「第2番」 は、歌劇「フィデリオ 」初稿版「レオノーレ 」初演にあたって用意された序曲で、いわば「第3番 」の前身のような存在です。推敲の手を加えられた「第3番 」が 完成された充実の名曲であるのに対し、その隣で比較される立場となる「第2番 」君が、劣る部分ばかり目立ってしまう姿であることも仕方ないでしょう。そう思って聴けば、「第2番」と「第3番二つの版の相違点を比べるのもまた一興というもの ( ? )。

 両者で使われている楽曲の材料自体は殆ど同じなので、二曲の構成オーケストレーション差異に、まず耳を傾けてください。
 「第2番」は緩やかな序奏がたいへん長く、さらに主題の提示部展開部など前半に重きが置かれ、とても丁寧に「作り込まれてる感」が強い一方で、もし退屈な演奏で聴かされることになってしまった場合には、正直「なかなか始まらない感」も満載です。
 トランペットのファンファーレは、曲の最後のほう(所要時間15分22秒のところ、11分47秒頃 )にようやく登場しますので、逆に 後半は少し端折ったような印象、再現部も省略される上、終結部も短い です。
 しかし もし(後追いで )初めて「第2番 」を聴く などという人がいらっしゃったら、最も驚かれる部分は、おそらく舞台裏から聴こえてくるトランペット・フレーズの(「第3番 」との )差異でしょう。「第3番 」の信号は変ロ長調ですが、「第2番 」のほうは変ホ長調 - まず調性からして異なります。さらに 信号が描くメロディラインも「第3番 」は劇中で登場する旋律そのままですが、「第2番 」の信号フレーズのほうは、音域も より幅広く跳躍する異なる音型なのです。

 はい。推薦盤は、私が初めて聴いた中学2年生の時から もう一発でノックアウトされた凄演 - 「レオノーレ」第2番 と言ったら、もうコレ以外には「皆無と言えよう(笑 ) 」です。

ワルター_ベートーヴェン_CBS SRCR-2691 ブルーノ・ワルター Bruno Walter CBS
ベートーヴェン:
序曲「レオノーレ 」第2番
ブルーノ・ワルター指揮
コロンビア交響楽団
録音:1960年 7月 1日、ハリウッド
併録:交響曲第3番変ホ長調「英雄 」、序曲「コリオラン 」
原盤:CBS( Sony SRCR-2691 )


―  晩年のワルターが成し遂げた 最も激烈な演奏である。金管とティンパニの生々しくも荒削りな最強奏、熱っぽいクレッシェンド、怒るように荒れ狂う意志の力、濃い翳など、スタジオ録音でワルターがこれほど激しい指揮をした例は 極めて少ない。
 しかもコーダにわずかにアッチェレランドがかかるほかは、堂々たる遅めのテンポを一貫し、アンサンブルやバランスにも毛ほどの乱れもない。そして彼の激しい情熱は火と燃えて、348小節からの木管のフォルティッシモにはホルンを重ね、凄まじい効果を発揮するのである。
宇野功芳 著「名指揮者ワルターの名盤/駄盤(講談社+α文庫 )」より )


 いかにも宇野功芳らしい文章 ( 上記引用、青字部分 )ですが、“スケルツォ倶楽部発起人、この文章に全面的に同感です、些かもつけ加える言葉ありません、ホント 一点一画も疎かにしない力一杯の激演です。
 ああ、もし未聴だなどという幸運な方、ワルターがお好きであれば尚更、ぜひ聴いてごらんなさい。この素晴らしさ、絶対にご損はされないことを保証しましょう。尚、c/w「コリオラン」序曲も同趣向の秀演です。


   「ちなみに ファンファーレの話題、まだ次回も続きます 」
   「って、まだやる気なんですって。皆さま ごめなさーせ (笑 ) 」

⇒ 次回 その4 に続く。。。

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