スケルツォ倶楽部 Club Scherzo All Titlelist
Tuba mirum
妙なるラッパのファンファーレ
⇒ メニュー は こちら
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (2)
ベートーヴェンの歌劇「フィデリオ 」で
大臣ドン・フェルナンドの到着を
トランペットで知らせてくれた人は・・・ 誰 ?



 こんにちは、 “スケルツォ倶楽部発起人です。
 この文章は、前回 - 古今の名曲から ファンファーレを ご一緒に。( その1 ) - の 続きです。

   「 はい。 ではズバリ “ファンファーレのポピュラー名曲” で最大の有名曲と言えば - 」
   「うーん・・・( と、10分ほど腕組みしつつ深く考え込んだ後 - )やっぱり ロッシーニの歌劇『ウィリアム・テル序曲(から 第4部 『スイス軍の行進 』 の開始部分 )とか スッペの『軽騎兵序曲(の冒頭 )に尽きるのではないかな 」
   「あら、長く考えた末に アナタらしくない あまりにも直球すぎる回答(笑 )」

ロッシーニ Franz von Suppé
(左 )「ウィリアム・テル 」の ロッシーニ、(右 )「軽騎兵 」のスッペ

   「この二曲のファンファーレは 横綱級に有名だから、詳しい人も多くいらっしゃる“スケルツォ倶楽部”会員さんに対して 今さら披露するなんて、実は 人前でパンツ下ろしてみせるくらいの恥ずかしさに 今 必死で耐えてるところだ 」
   「そんな恥ずかしいアナタに 敢えて尋ねましょう、オススメの名盤といえば ? これも直球でお答えください 」
   「って、そう来たら もうカラヤン / ベルリン・フィル(D.G. )盤以外にはないだろ。しかもCD時代になってからは、2曲とも これ一枚で聴けてしまう お得なカップリングも魅力大。中身のほうも 黄金時代のベルリン・フィルの 強力な金管も弦もティンパニも 力いっぱいの猛烈な鳴りが全開。うわ、こんなに凄かったかなーっていう、 久しぶりに聴いたら もう絶対に惚れ直してしまう、そんな超名演だよ 」
Karajan_UCCG-5234.jpg カラヤン ロッシーニ スッペ序曲集_DG
ロッシーニ:
歌劇「絹のはしご 」序曲、「アルジェのイタリア女 」序曲、「セビリャの理髪師 」序曲、「ウィリアム・テル 」序曲
スッペ:
喜歌劇「美しきガラテア 」序曲、「スペードの女王 」序曲、「怪盗団 」序曲、「軽騎兵 」序曲、「詩人と農夫 」序曲
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮 )
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1971年 1月、5月(ロッシーニ )、1969年 9月(スッペ )
原盤:D.G.


   「はい。それでは モーツァルトのファンファーレと言えば ? 」
   「うーん、歌劇『魔笛 』中に繰り返し登場する 変ホ長調の三和音モットーが有名だけど・・・ それ以外には あまり思いつかないなー 」
   「ほら、どうなのよ 」
   「神童モーツァルトは 生まれつき音感が繊細だったがゆえに、幼い頃からトランペットの鋭い音色が苦手だったらしいんだ。なにしろラッパの音を聴かせると恐怖のあまりその場から逃げ出しちゃった - なんていうエピソードもあるぐらいだし 」
   「まあ、それ 可愛い逸話ね 」
   「おお、そうだ - 歌劇『フィガロの結婚 』の第一幕で フィガロが歌う アリア『もう飛ぶまいぞ、恋の蝶 』の中にならトランペットのファンファーレが使われていた気が - 」
   「あった、あった。『もう飛ぶまいぞ ~ 』は モーツァルトらしい 明るい傑作アリアよね。歌うにつれ曲調が徐々に軍隊行進曲へと変貌してゆき、最後はティンパニのリズムトランペットのファンファーレを伴った本格的なマーチとなって そのまま第一幕のフィナーレになっちゃう 」

!W.A.モーツァルト ロレンツォ・レガッツォ (ルネ・ヤーコプス コンツェルト・ケルン盤)H.M.
モーツァルト:
歌劇「フィガロの結婚 」第一幕から
フィガロのアリア「もう飛ぶまいぞ、恋の蝶 」
演 奏 : ロレンツォ・レガッツォ (フィガロ )
ルネ・ヤーコプス 指揮 / コンチェルト・ケルン
録 音 : 2003年4月 ケルン、シュトルベルガーザール
音 盤 : F.H.M.(HMC-901818.20 )

私   「“恋の蝶”とは、思春期が訪れた小姓ケルビーノのこと。彼は自分が 『 』であることに目覚めたばかりの少年。『自分で自分が判ら 』ぬまま 屋敷中の美しい年上の女たちにちょっかいを出す、そんな危ない存在となっている 」
   「同年代の少女 庭師の娘バルバリーナとならまだしも、フィガロの結婚相手スザンナや あろうことか雇い主たる伯爵夫人ロジーナにまで手を出した(ことを疑われた )ため、アルマヴィーヴァ伯爵の逆鱗に触れ、まるで放逐されるように軍隊への入隊を命じられるのよね 」
   「内心ではスザンナの浮気が心配だったフィガロも 危険な豆爆弾ケルビーノがお屋敷を出て行ってくれれば ひとまず安心と、本音は喜びを隠し切れない、そんなユーモラスなアリアなんだな 」
   「軍隊ファンファーレは 前半 柔らかく木管で呈示されるけれど、後半リズムが明確にマーチを刻み出してから初めてトランペットにその姿を現すのよね 」
   「ここでヤーコプスは、終始トランペット( = 軍隊の象徴 )があたかも遠くにあるかのように音量を抑制させ続けているんだけど、最後のコーダに至って初めて爆発的に強奏させる、そんなコントラストの工夫と効果が もう抜群なんだ 」


(左 )シャーンドル・ヴェーグ、(右 )ディスクのジャケット
Sandor Vegh ヴェーグ モーツァルト ポスト・ホルン・セレナーデ(PHILIPS)
モーツァルト:
セレナード 第9番 ニ長調K.320 「ポストホルン 」
ゴットフリート・メント(ポストホルン )
シャーンドル・ヴェーグ 指揮
ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ
録音:1988年12月、ザルツブルク
原盤:PHILIPS(422 413-2 )日本フォノグラム PCD-32

   「ポストホルン ? 」
   「当時の郵便ラッパだな。遠い街から手紙を積んで 郵便馬車が街の門に入ると 御者の配達乗員はそこでラッパを吹き鳴らし 手紙の到着を知らせたんだ 」
   「ふーん、音色はホルンというよりトランペットに近い感じね 」
   「そう。ここで紹介するおススメCDヴェーグ盤における、明るく輝かしい音色のポストホルン奏者ゴットフリート・メントはトランペット持ち替えだけど、たとえば ニコラウス・アーノンクール / ドレスデン・シュターツカペレ(Teldec )盤におけるペーター・ダムのように、ホルン奏者がポストホルンを持ち替えてレコーディングに臨むケースもあるんだよ 」
   「長閑(のどか )なポストホルンの音色。全曲中 第6楽章メヌエットのトリオに一度だけしか登場しないのよね。何かもったいないな 」
   「演奏効果を高めるための抑制だな。何度も使ってしまうと どうしても印象は薄れてしまうものだから。 で、このセレナードでも 門出旅立ち を象徴するポストホルンが - しかも ただ一度だけ - 用いられたというところに、実は 何らかの意味があったのではないかという説が。 」
   「ふんふん 」
   「実は ザルツブルクなんていう田舎から早く出て 都会ウィーンへ行きたいのだという気持ちを、モーツァルトが 当時の雇用者であったコロレード大司教に対して 暗に仄(ほの )めかし、訴えていたのではないか - というもの 」
   「うーん、それ 当時のモーツァルトの閉塞状況を知れば知るほど興味深い点よね 」
   「オーレル・ニコレ(フルート )、ハインツ・ホリガー(オーボエ )、クラウス・トゥーネマン(ファゴット )など、名手を擁したザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカを率いるのは、往年の名ヴァイオリン奏者シャーンドル・ヴェーグ。優美な柔軟さだけでなく 意外なほどの力強さを併せもった、素晴らしいレコーディング - 推薦します 」


   「さあ 次はいよいよベートーヴェンね。アナタ、お待たせ。偉大な楽聖のファンファーレ と言えば、やっぱりアレでしょ ? 」
   「アレ ? え、ええと・・・ 『 ウェリントンの勝利 』 とか ? 」
   「はー・・・(タメイキ ) たしかに 愛称『戦争交響曲 』は、ウェリントン将軍率いるイギリス・スペイン連合軍ナポレオンフランス軍双方がヴィットリア会戦に先立って交す、派手なファンファーレから始まってはいるけどさー。でもベートーヴェンファンファーレ聴くなら、アナタ、音楽史的にも まず 歌劇 『 フィデリオ 』、あるいは 『 レオノーレ序曲第3番 』を 真っ先に挙げるのが 順当ではないこと ? 」
   「わー そうだった !  オレとしたことが、うっかり忘れてた ! 」
   「 “うっかり” じゃなくて “すっかり” だったんじゃないの ? 」

Beethoven_部分_Joseph Karl Stieler、1820 フィデリオ_クレンペラー1961年 2月ロンドン、ライヴ_Testament
ベートーヴェン :
歌劇「フィデリオ 」
セーナ・ユリナッチ(レオノーレ )、ジョン・ヴィッカーズ(フロレスタン )、ハンス・ホッター(典獄ドン・ピツァロ )、ゴットロープ・フリック(ロッコ )、
エルジー・モリソン(マルツェリーネ )、ジョン・ドブスン(ヤキーノ )、フォーブス・ロビンスン(大臣ドン・フェルナンド)
オットー・クレンペラー指揮
コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団、合唱団
録音:1961年 2月24日 実況録音
原盤:Testament SBT2 1328(2枚組 )

   「重要な役割を果たすことになるファンファーレは、オペラのクライマックスで登場 」
   「長い間 地下牢に幽閉され衰弱した無実の囚人フロレスタンのことを亡きものにしようと、剣を携えて近づく政敵ピツァロの前に飛び出した 『フィデリオ 』 は、変装した自身の正体フロレスタンの妻 たるレオノーレ ( ! )である という真実を告げる 」
   「これに驚きつつも 典獄ピツァロ、怯(ひる )むことなく 『ふん、こうなったら お前ら 二人一緒にあの世へ送るまでのことよ 』 と、徐(おもむろ )に剣を抜く。しかし その時 “フィデリオレオノーレの手には自衛のピストルが握られていた - 」 
   「おお ! レオノーレ、あんた寺田屋のお龍さんか 」
   「誰 ? ・・・で、その瞬間 遠くから聞こえてくる信号ラッパによって、大臣ドン・フェルナンド一行が刑務所に到着したことがわかるのよね 」
楽譜 ベートーヴェン「レオノーレ(フィデリオ )」 のファンファーレ

   「 ▲ トランペット信号を聞いた瞬間、典獄ピツァロは茫然自失、つい今しがたまでの殺気はどこへやら、青菜に塩と観念してしまう 」
   「危ないところだったわね。士官や兵卒を伴って地下へ降りてきた大臣ドン・フェルナンドは、死んだと思っていた盟友フロレスタンが この地下牢に幽閉され生きていたことを知って、心から驚き、喜び合う 」
   「おお ! フロレスタン、あんた有岡城の黒田官兵衛さんか 」
   「誰 ? ・・・で、夫は無事に解放され、悪役ピツァロは逮捕、連行されてゆくのよね 」
   「めでたし めでたし。 さて - と 推薦盤は 上記 燃え上がるような異常な熱気で有名なクレンペラー指揮 / コヴェントガーデン歌劇場正規ライヴ音源( 注 : 翌1962年にセッション録音されたEMIスタジオ盤のほうではありません )。公演の素晴らしさに興奮した客席の熱狂的な反応もしっかり収録されてます。

フィデリオ_ワルター _1941年 メトロポリタン ベーム_フィデリオ_1961年日生劇場 ベルリン・ドイツオペラ来日公演
 ・・・ 歌劇 『 フィデリオ 』と言えば、歴史的なブルーノ・ワルター(左 1941年、ニューヨーク メトロポリタン歌劇場 )盤や カール・ベーム(右 1963年、ベルリン・ドイツオペラ東京公演 日生劇場 )盤など、実況録音のディスクに 歴史的レコーディングが多いことは、皆さんご存知のとおりですよね 」

ジョン・ヴィッカーズ(フロレスタン )とセーナ・ユリナッチ(レオノーレ )Testament盤所収のLibrettoより
▲ ジョン・ヴィッカーズ(左 ) と セーナ・ユリナッチクレンペラー盤 所収 Libretto 写真 より )

▼ “スケルツォ倶楽部” 過去記事も よろしければ ご一読ください。  
ベートーヴェン「フィデリオ」のフロレスタンとレオノーレ、その後の夫婦関係 ? 


   「・・・さて、ここでの有名なファンファーレは ドラマの代名詞的存在。情報伝達の方法が、口頭での伝令や 文字に書かれた手紙を届ける などといった 原始的なやり方しかなかった そんな当時のこと、天候にも左右されるデメリットも多かった 狼煙(のろし ) なんかより、このオペラの舞台設定のように 離れた所や地下室といった特殊な場所にも リアルタイムに メッセージを 届け得る方法と言ったら・・・ 」
   「ふむ、やっぱり信号ラッパしかなかっただろ 」
   「ふふん、それでは ここでアナタに クラヲタ・クイズ です ! 」

- ファンファーレが吹奏される - 

   「よし、かかってきやがれ 」
   「問題 大臣ドン・フェルナンド到着トランペットで知らせることによって フロレスタンレオノーレ夫妻の危機を救ってくれた人は、さあ だったでしょう ? 」
   「え? 信号ラッパ手に決まってるだろ 」
   「それじゃアナタ、問題にならないでしょが(怒 )。ラッパ手に吹奏を指示したのは 誰かっつーことよ、おバカね 」
   「ムムッ ? 」
   「ふふん、皆さまも ご一緒に お考えください(笑 ) 」


⇒ 問題の答えは、次回 その3 に 続く。。。


↓ 清き一票を
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
blogram投票ボタン
人気ブログランキングへ
Club Scherzo, since 2010.1.30.

関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

トラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)