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Tuba mirum
妙なるラッパのファンファーレ
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スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (2)
バイロイトのバルコニー・ファンファーレ、
モンテヴェルディ「オルフェオ 」、シャンティーイの狩の角笛、
そして エルヴェ・ニケのヘンデル・・・


 あけましておめでとうございます、 “スケルツォ倶楽部発起人です。
 さて2016年、最初に取り上げる音楽の話題は、祝祭的・式典の場で用いられる 「ファンファーレ Fanfare 」について - さあ、今年も思いつくまま 大きな風呂敷(特に中身もないのに大それたもの )を広げてまいりましょう (笑 )。

   「ほいじゃアナタ、まずファンファーレの定義を言ってみて頂戴。 」
   「えへん、ファンファーレとは 金管楽器のソロ もしくはアンサンブル編成による、専ら輝かしく勇壮な楽曲を指す。編成には打楽器が加わることも多く、比較的短い演奏時間の機会音楽 - と、言えるのではないかな 」
   「それって、もともと どういう“機会”に使われてきたのかしら 」
   「そうだな、大きく3つほどに分類できると思う。まず1つ は、古(いにしえ )の世から やはり戦闘・戦争に赴く軍隊においてだろう。所詮 戦(いくさ )なんて集団同士で互いに殺し合う野蛮な行為だから、そんな混乱した騒音の中で 理性的なリーダーが味方の兵たちに対し正確でタイムリーな指示や情報を音で伝えることは有効だったはず 」
   「突撃や退却をラッパで知らせる信号(シグナル )だったわけね 」
   「ついでに 狩りの場における角笛(ホルン )信号も同様と考えられるんじゃないかな 」
   「なるほどね。じゃ2つめは ? 」
   「西洋の王侯貴族の社交の場、あるいは冠婚葬祭の式典において、セレモニーの開幕を宣言したり、主賓の臨席を音楽で知らせるものだった 」
   「ふんふん。会場の参列者に 祝典の始まり を賑やかに伝えたり、王侯や賓客の到着を告げたりするような、その場の雰囲気にも適した音楽が発祥だった、ということね 」
   「そう、延(ひ )いては 現代の - たとえばオリンピック開会式ノーベル賞の受賞式といった - 大規模なセレモニー等にも広く用いられるようになったんじゃないかな 」
   「そういえば、毎年夏のバイロイト音楽祭でも 祝祭劇場のバルコニーに金管奏者たちがオペラの開幕前に姿を現し、観衆に上演演目を知らせる旋律をアンサンブルのファンファーレで華々しく吹奏する、という粋な習慣があるじゃない 」
バイロイト祝祭劇場のファンファーレ ワーグナー

   「あの趣向は秀逸だ。もしバイロイトで上演されている全演目の バルコニー・ファンファーレを、臨場感もたっぷりにライヴ録音されたCDをユニバーサル・レーベルあたりが出してくれたら、オレ きっと買うな 」
   「 ( ― 軽く受け流し )では 3番目は ? 」
   「ムムッ・・・ ええと、これは上記ワーグナーにも関係するんだけれど、もっと古くから存在した 祝典的な演劇・歌劇も含む舞台劇の開幕に先立って演奏されてきたと伝わるファンファーレが発祥だ。これが近代に入ってからは ハリウッド映画や今日のTVドラマなどといった映像作品の開幕に際しても ごく普通に用いられるようになっている 」

   「ふふん、お疲れさま。 まあ 無難な分類じゃない ? 」
   「 ・・・って、その一言かい 」
   「それじゃ今宵は、思いつくまま 格好良いファンファーレが聴ける音盤をアナタのCD棚からランダムに抜き出して 片端から聴き比べてみないこと ? 」
   「あ、でも その前にひとつ。“ファンファーレは 金管楽器で演奏されるのが常識”などという オレたちの先入観を軽くぶち壊してくれた、最近の衝撃的映像が - こちら 」

   「まあ 可愛い (笑 ) よく you tube にあったね、この動画 」
   「これ、すでに 前回の“スケルツォ倶楽部”でも話題にしてますが こちら 昨年末の12月に公開された米アニメ映画 『 I LOVE スヌーピー / The Peanuts Movie 』冒頭において、20世紀フォックス社 20th Century Fox ロゴ映像の背景に鳴り渡る『ファンファーレ(アルフレッド・ニューマン作曲 ) 』は 金管アンサンブルによるものではなく、何と シュローダーピアノと打楽器による演奏( ! )だったという・・・ 」
   「映画『スヌーピー ~ 』の監督スティーブ・マーティノ氏によれば、20世紀フォックスの有名なオープニングを『シュローダーがピアノで演奏したら面白いんじゃないか 』と思いつき、『それによって、これは今までの映画と違うぞというメッセージにもなるし、ピーナッツの世界だとわかってもらえるから 』 と考えたそうね 」
   「しかし さすがに 20世紀フォックス社側が許してくれるか不安になって、スタジオヘッドのジム・ジアノプロスステイシー・シュナイダーにラッシュフィルムを観てもらったところ - 」
   「二人とも大笑いして 『これを使え ! 』って即決のゴーサインが出たという、びっくりポンなエピソード。よかったわねー(笑 ) 」
   「でもこれだけは ホント特殊な例外。ピーナッツの人気キャラクター、ピアニストのシュローダー君だからこそ - というサプライズ企画だったわけ 」

I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE オリジナル・サウンドトラック(epic )
   「シュローダー君のピアノ演奏版『20th Century Foxファンファーレ(アルフレッド・ニューマン作曲 ) 』って、映画『スヌーピー 』オリジナルサウンドトラック盤(epic - Sony )には ? 」
   「くーっ さすがに未収録だった。惜しい・・・ 」


   「もとい。 それじゃ 古今の有名ファンファーレのCD聴き比べ大会、始めようよー わくわく 」
   「もー、しようがないなー 」
   「あ、アナタ 冷蔵庫からおせち料理の残りとトスカーナ地方の赤ワイン キャンティ CHIANTI - それにグラスを二つ用意して ♡ 」
   「(後ろ向きにCDを選んでいる )ファンファーレを音楽史的に辿ってゆくなら、やっぱ モンテヴェルディから聴くのが順当かなー 」
   「ねーねー はやく はやくー 」
   「そんなに尻を振るな ! 」
 
Monteverdi _LOrfeo (Harmonia Mundi)Original Monteverdi _LOrfeo (Harmonia Mundi)
モンテヴェルディ 作曲
歌劇「オルフェオ 」L'Orfeo -Favola in Musica から「トッカータ 」
ルネ・ヤーコプス Rene Jacobs指揮
コンチェルト・ヴォカーレ Concerto Vocale
ローレンス・デール Laurence Dale、ベルナルダ・フィンク Bernarda Fink、アンドレアス・ショル Andreas Scholl 他
録音:1995年 1月
原盤:Harmonia Mundi(HML-5901553~54 / 2枚組 )

   「あ、これって聴いたことあるよ。NHK-FMで海外のクラシック・コンサート・ライヴを聞かせてくれる良番組『ベスト・オブ・クラシック 』で バイエルン放送協会から提供された音源が紹介される時なんかによく流れてくるファンファーレよね 」
   「そう、(オマエだけでなく )誰もが知ってる 有名なファンファーレ『トッカータ 』を冒頭に含む歌劇『オルフェオ 』は、1607年に初演された音楽史的にも重要な逸品。オペラのイントロダクションとして演奏される 『トッカータ 』は、近代オペラの“序曲”に当たるもの。上昇を繰り返す金管の格好いい音型も印象的なファンファーレを、その後モンテヴェルディ宗教曲聖母マリアの夕べの祈り (1610年 ) 』にも転用したことで知られる 」
   「この ヤーコプス盤ったら 思いっきり派手に鳴らす弦・打楽器の威力も強烈 ! うーん、気持ちいい。ワインがすすむわー 」


CHASSES ROYALES AU CHATEAU DE CHANTILLY ジャン=フランソワ・パイヤール
エラート「空想の音楽会 」から
第11巻「シャンティーイの館における王家の狩の音楽 」
ジャン=フランソワ・パイヤール 指揮
パイヤール室内管弦楽団
狩猟ラッパ・アンサンブル(ドーレのみ ) 他
ドーレ:狩りのサンフォニー
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「狩 」
コレット:コミックな協奏曲第14番「とびきり上等の食事 」
ラモー:歌劇「イポリートとアリシー 」より第4幕第3場「狩の場 」
レオポルト・モーツァルト:狩のシンフォニア
録音:1964年9月、12月 パリ リバン聖母教会
原盤:Erato(国内盤 WPCS-5871 )

   「これは、フランス エラート・レーベルの、知る人ぞ知る タイム・カプセル的な企画“空想の音楽会”シリーズの一枚。その中でも『第4巻:ヴェルサイユ宮、小トリアノンにおけるマリー・アントワネット王妃のための音楽会 』、『第21巻:ボローニャ、サン=ペトローニョの大聖堂における音楽会 』等と並んで 最注目の名盤だ 」
   「うひゃー、冒頭のファンファーレ - ジャン=ジョゼフ・ムーレ作曲『狩のサンフォニー 』で炸裂するホルン・アンサンブル - の威力ったら、コレ 一体何なの 」
   「いや、この曲でパイヤールが起用した楽器は、現代のホルンとは違うんだな。これは18世紀ダンピエール候以来の伝統を守ってきた 狩猟角笛奏者たちによる古楽器の吹奏。まるで破裂音のような自然倍音列の迫力は、平均律に慣れた われわれ現代人の耳には前衛的にすら響くだろ ? 」
   「ス・ゴ・イ(猛烈に感動 )・・・ 」
   「シャンティーイは、ルイ14世時代の王侯貴族が狩猟の拠点にしていた城館。『狩のサンフォニー 』は1729年9月 - 実際にルイ14世がこの館を訪問した日に、王の御前で演奏された楽曲をパイヤール自身が発掘したものだという 」
   「へえー・・・ パイヤールって この録音当時は こんなに実験的な録音も試みていたのねー 」
   「この企画盤に収録された作品は、いずれもアンシャン・レジームにおける王侯貴族の狩猟にちなんだ選曲なんだよ。ムーレ以外のプログラムでは 穏当なホルン(コール・ダルモニー )アンサンブルが活躍するよ。プログラムの最後に収められた『狩のシンフォニア 』の作曲者レオポルト・モーツァルトは、言うまでもなく W.A.モーツァルト のお父さん 」
   「ミシェル・コレットの『とびきり上等の食事 』の主題ったら、もろマーラーの『朝、野辺を歩けば 』と 同じ音列 じゃないの。特に この第3楽章なんて、もう大爆笑 」


Hervé Niquet et Le Concert Spirituel, with natural brass. ヘンデル_王宮の花火の音楽_水上の音楽_ニケ Glossa
ヘンデル 作曲
「王宮の花火の音楽 」HWV 351
「水上の音楽 」組曲第1番 ヘ長調 HWV 348
「水上の音楽 」組曲第2番 ニ長調 HWV 349
「水上の音楽 」組曲第3番 ト長調 HWV 350
エルヴェ・ニケ Herve Niquet 指揮
ル・コンセール・スピリチュエル Concert Spirituel Ensemble
録音:2002年 9月 メッツ・アーセナル、ライヴ
原盤:GLOSSA(東京エムプラス MGCD-921606 )

   「パイヤールエラート名盤『シャンティーイの城館~ 』に触れた以上、エルヴェ・ニケコンセール・スピリチュエルによる ヘンデルの名演についても語らないわけにはゆかないな 」
   「あ、二重否定の肯定文 出たわね 」
   「ルイ14世時代の狩猟角笛を用いて 歴史的な音響の再現を試みたパイヤールエラートの企画から38年が経過、間違いなく その影響を受けた次世代のエルヴェ・ニケが より壮大なスケールでヘンデルを描いた一大イヴェントが、これです 」
   「このディスク、発売当初からたいへん話題になったわよね 」
   「もう10年以上も経ったのか。たしか当時、この大編成で来日、東京オペラシティでも再現コンサートが催されたことは まだ記憶に新しい。チケットが買えなくて 行けなかったけど 」
   「 『王宮の花火の音楽 』の『序曲 』冒頭におけるファンファーレの威力と これに続く打楽器のお祭太鼓な大炸裂は 今聴いてもリリース当時の衝撃を鮮明に思い出すわね 」
   「 『水上の音楽 』第1組曲の『メヌエット 』とか 第2組曲『ブレー 』で顕著に聴ける、自然倍音列を思いっきり鳴らすホルン・セクション、軍楽隊的な鋭いナチュラル・トランペット、そして典雅なバロック・オーボエ、リコーダー、バロック・バッソンなどの個性的な音色、そんな古楽器奏者総勢約100名が集結した大規模編成による激演は臨場感たっぷり 」
   「このル・コンセール・スピリチュエルっていう演奏団体は、この録音企画のために召集された団体 ? 」
   「いやいや、1987年にヴェルサイユ・バロック音楽センターの提携機関としてパリに創設された古楽器オーケストラで、主に18世紀作品を再現/演奏することを設立当初から目的に据えていたんだな。そのスタート時から団体を率いていたのが、エルヴェ・ニケだったわけ 」
   「ふんふん 」
   「特にこのヘンデル・プロジェクトでは、当時の楽器と奏法を 妥協することなく厳格に『再現 』することを目指し、現存しない楽器があれば 文献に則って古楽器職人に作ってもらう( ! ) というほどの徹底ぶりだったというから・・・ 」
   「はー ナルホド、高いレヴェルでの達成だったわけね。ここでのファンファーレが凄いわけだわ 」


私   「ええと、すみません。 ・・・終わらなくなっちゃいました 」
   「ごめなさーせ、この話題 次回も もう一度やらせて頂きます(笑 ) 」

その2 に 続きます。。。">その2 に 続きます。。。

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