本記事は、5月12日 「注目記事ジャズ ランキング 」 で 第1位となりました。
カフェ ソッ・ピーナ のタイトルが ランキング一位に選ばれたのは、実に 2年ぶりのこと、 スタンゲッツの記事  以来です。
皆さまのおかげです、これからも 何卒よろしくお願い申し上げます。
   

Getz Children Of The World (CBSソニー 25AP-1696 ) スケルツォ倶楽部 ⇒ 全記事 一覧は こちら
午後のジャズ喫茶 「カフェ ソッ・ピーナ」から
  ⇒ メニュー画面は こちら

フィル・ウッズ Phil Woods
ヨーロピアン・リズム・マシーン 時代の
凄まじい演奏に 聴き惚れてしまう。

Phil Woods フィル・ウッズ Phil Woods_0003 Phil Woods (2)

 こんにちは、”スケルツォ倶楽部発起人(妻のほう )です。

 ここは いつもの カフェ ソッ・ピーナ - 音楽オタクで独身の二代目マスターが選んでくれるディスクを お店の先代オーナーから伝承の巨大なオーディオ・セットを通して 思いきり大音量で聴かせてもらえる わたし お気に入りのカフェ。 ここは自宅から 徒歩10分ほどの公園そばに建っているオレンジ色の雑居ビル2階にあって、壁一面がガラス張り、春の陽が射しこむ店内は 汗ばむほど。

 さて・・・ 店内では 何故か さっきから 音楽が途絶えています。 一体どうしたのでしょう ? ジョン・ケージ 「4分33秒でも かかっているんでしょうか (笑 ) ? ラジオだったら 「放送事故 」状態です。 ・・・まあ、どうせ ソッ・ピーナ店内には お客は わたししかいないわけですから、ま いいんですけど - そう思いながら カウンターから首を伸ばして 厨房の奥を覗いてみると・・・ ああっ、 マスターったら またシンクの前で うたた寝していやがる。

わたし    「マスター ? 」
マスター  「(飛び起き ) うわあーっ ! まだ いらっしゃったんですか 」
わたし   「はァ ? 何を驚いてるの。さっきからずっと このカウンターに座っていたじゃないの。 あ、さては あたしがもう帰ったとでも ? 」
マスター  「す、すみません、あまりにお店が静かだったものですから 」
わたし   「(タメイキ )なるほど、こりゃソッ・ピーナ閑古鳥が鳴くわけだわ 」

マスター  「え、ええと、じゃ次は 何をおかけしましょうか 」
わたし   「また マスターったら そんな必死にゴマかそうとして(笑 ) 」
マスター  「ソッピーナ・ブレンドも一杯、サービスしときますよぉ 」
わたし   「では 前回からのビリー・ジョエルつながりで、フィル・ウッズのプレイを いくつか聴かせて頂戴。 」
マスター  「お安い御用です。(カウンターに 新しいコーヒー・カップを置きながら ) ええと、ビリー・ジョエルの シングル 『素顔のままで Just The Way You Are 』 だけでなく、なんと 『ニューヨークの想い New York State Of Mind 差替ヴァージョンのソロも フィル・ウッズのプレイだったという情報をみつけたところでしたが ⇒ 前回は こちら  
Billy Joel_Just The Way You Are ビリー・ジョエル_the Greatest Hits Volume I II album

 ・・・これらビリー・ジョエルの数々のレコーディングをプロデュースしたことで名高い フィル・ラモーンは、実は フィル・ウッズと 名門ジュリアード音楽院の同級生だったんですよね 」
わたし   「へえ、名前が同じフィルつながりだけじゃなく(笑 ) 同窓生だったんだ 」

★ 故フィル・ラモーン の偉大な業績は ⇒ こちら

マスター  「フィル・ラモーンのよく知られた仕事のひとつに、ポール・サイモンのソロ・アルバムのプロデュースもありますが、これも名盤 『 時の流れに Still Crazy After All These Years (1975年、Warner Bros. ) 』 所収の一曲、『 楽しくやろう Have A Good Time 』を聴いてみてください 」

わたし   「これ、ポール・サイモンらしい屈折した歌詞だね。七拍子だし、不安を煽るような支離滅裂な内容は アルバム・タイトル曲とも関連ありそうね。そしてエンディングで 突然 大炸裂する意味不明な無伴奏アルト・ソロ ・・・ 」
マスター  「これが、フィル・ウッズのプレイです 」
わたし   「オモシロイ ・・・ けど やっぱりよく判らないな、この曲 」

カーリー・サイモン_Torch 
マスター  「カーリー・サイモンが、スタンダードなジャズのトーチ・ソングばかりを集めて切々と歌った名盤 『 トーチ Torch(1980年、Warner Bros. ) 』、プロデューサーはマイク・マイニエリ、楽曲によって ソリストを デイヴィッド・サンボーンマイケル・ブレッカーに担当させ、それぞれのホーン・プレイヤーの聴き比べも楽しめる、結構モダンでジャジーな一枚なんですが、名曲『ボディ・アンド・ソウル Body And Soul 』 でソロを吹いているのが、フィル・ウッズなんですよ 」

わたし   「マイク・マイニエリヴァイヴが、都会的で冷たい氷のような感触をボディに与え、これに対比させるようにマーティ・ペイチの厚みのあるストリングス・オーケストラと 苦しい胸中をソウルフルに歌うウッズの表現力が素晴らしいわね 」

マスター   「たぶん、この手のウッズの 歌伴に参加したソロ・プレイは、探してみれば まだまだ出てくると思いますね。  これは 以前も話題にしました が、わが国のアイドル・グループSMAPの通算8枚目のアルバム 『TACOMAX(1996年、ビクター ) 』 所収の二曲 『どんないいこと 』、『声を聞くよりも 』 にさえ、全編メロウで流麗なソロを披露しているのが、何とフィル・ウッズさんなんですから 」
SMAP 008 TACOMAX_スケルツォ倶楽部 木村拓哉 1996年頃
わたし    「あ、そうだったわね。特に 木村拓哉がメイン・ヴォーカルをとっている 『声を聞くよりも 』 のアルト・ソロ、素晴らしかった。ついでに そこでドラムスを叩いているプレイヤーは・・・ 」
マスター   「はい、奥さんが ごひいきのスティーヴ・ガッドでしたよね 」
わたし    「ね、他にも これは外せない っていう ロック・アーティスト・アルバムでのソロ・プレイがあったでしょ、忘れてない ? 」
マスター   「ああ、スティーリー・ダンのことですね 」
スティーリー・ダン_うそつきケイティ MCA スティーリー・ダン_ドナルド・フェイゲン と ウォルター・ベッカー(左)
わたし    「名盤 『うそつきケイティ Katy Lied(1975年、MCA ) 』の いかにもフェイゲンらしい逸品 『ドクター・ウー Doctor Wu 』ね、フェイゲン=ベッカーのユニットとしての神秘性が いよいよ深まってきた時期の注目の一曲。 でもウッズのソロは短いよね 」
マスター  「スティーリー・ダンといえば ほら、めずらしくも ドナルド・フェイゲンが ライナー・ノーツを書いた、フィル・ウッズのアルバム が あるんですよ 」
わたし     「 !
マスター   「 若き ジャズヲタ だった フェイゲンが、ウッズの音楽と出会った頃の思い出が綴られているのです 」
わたし     「それ 興味深いわよ。ぜひ読ませて頂戴、マスター。 」
マスター   「以下、一部を 引用させて頂きましょう 」

若きドナルド・フェイゲン
フィル・ウッズのプレイに 初めて注目した頃の思い出を語る - 

フィル・ウッズ Phil Woods_0017
▲ フィル・ウッズ 「エヴォリューション 」
PHIL WOODS’ LITTLE BIG BAND EVOLUTION (CCD-4361 )
フィル・ウッズ(アルト・サックス、クラリネット )、
トム・ハレル(トランペット、フリューゲルホーン )、ニック・ブリグノラ(バリトン・サックス )、ハル・クローク(トロンボーン )、ネルソン・ヒル(テナー・サックス )、ハル・ギャルパー(ピアノ )、スティーヴ・ギルモア(ベース )、ビル・グッドウィン(ドラムス )
録 音:1988年 5月、ニューヨーク
収録曲:
ハル・マレット、アルヴィンG. マイルス・アヘッド、ブラック・フラッグ、サデュアス、アップタウンへの道、レイン・ゴー・アウェイ、ソング・フォー・シシフォス
音 盤:キングレコード / コンコード(K-25Y-16041 )

Young Donald Fagen 若きドナルド・フェイゲン
▲ 若きドナルド・フェイゲン のポートレート
以下、アルバム所収のライナー・ノーツ ( 文章 ドナルド・フェイゲン ) 抜粋(青字文章
  -  50年代の終わりから60年代の初めにかけて、宅地計画で生まれた退屈な郊外の中流家庭に育ったせいで 文化とはほとんど縁がなかった( 中略 )。安楽と安泰が、魂を、親父のブラック・アンド・デッカーの電気のこぎりみたいに切り刻んでしまうところでは、本物も情熱も、外を見まわすより仕方なかった。 僕 ドナルド・フェイゲンの場合は、それが ジャズだった。レコード屋や マンハッタンから届くラジオの電波、そのうち独りでバスに乗って街まで行ける位の年頃になると、「ヴァンガード 」や「ヴィレッジ・ゲイト 」のお子様席に、僕はそれを求めたのだ。
 僕の趣味は抜群に良かった。エリントンに、バードチャーリー・パーカー )に、プレスティッジマイルスに、ソニー・ロリンズミンガス、それからモンク・・・。とある土曜日の午後、レコード売場で、僕は物凄いものをみつけて 家に持ち帰った。それこそが リヴァーサイドの新作「タウン・ホールのセロニアス・モンク・オーケストラ 」だった。

タウン・ホールのセロニアス・モンク。オーケストラ フィル・ウッズと思われる人物
▲ 当時のお小遣い 5ドルを全部はたいて買ったそのレコードは、時間が経つにつれて、はるかに値段以上の価値のあるものであることがわかった。モンクの楽曲の中でも 特につむじ曲がりの「13日の金曜日 」には 中間部に僕がこれまで聴いたこともないような、ごっついアルトのソロが入っていた。ぶっ飛ぶような、でも小粋で滑稽でもあるようなソロだった。
 その基本スタイルは バードキャノンボール (アダレイ )なのだけれど、このソロはどこからみても独自でオリジナルだった。リードを締めつけるような 4音のフレーズ(まるで T.モンク ! T.Monk ! いいぞファンク ! Got Funk って、唸ってるみたいに )で開始するその曲は、やがてエレガントにかつ整然と展開してゆくのだけれど、それでいて こんこんと湧き出るような感じや ソウルフルな切れ味といったものを失うことは決してなかった。最後の数小節の、憎いほどコントロールの行き届いたリフなんかは、マイレイホッジズナントンとかの20年代、30年代のエリントン・オーケストラのブルーズメンを彷彿とさせたものだ。
 一体 誰なんだ、このプレイヤーは ? ジャケットのクレジットをみると、そこに答えが書かれていた - 「フィル・ウッズ 」と。
 僕はすっかり参っちまった。だがあいにくレコード屋の店員はフィル・ウッズのリーダー・アルバムについてまでは知らなかったから、「ペアリング・オフ 」や「ライツ・オブ・スウィング 」に僕が出会えるのは、ずっと後になってからのことだった。
 そんな一方で、僕はウッズのサイドメンとしての仕事に耳を傾けることにした。ウッズが主要ソロイストとして入っている、オリヴァー・ネルソン の「モア・ブルーズ・アンド・ジ・アブストラクト・トゥルース 」、そこで またしても僕は 演奏のボルテージの高さ、特に その 「三歩下がった押しの強さ 」とでもいったようなものに すっかり感動させられてしまった。ビートをゆったりとぐーんと後ろへ引っ張るようにスウィングさせながら、それが いつ何時こっちの鼻先にバップのこぶしになって飛んでくるかもしれないような、そんな威圧感があった。
 それからソニー・ロリンズの「アルフィー 」のサントラ盤のように、ウッズの聴き間違えないような音色が、アンサンブル・コーラスのサウンドの決め手になっているものも幾つかあった。(以下、略 )


マスター  「若きフィル・ウッズは、すでに高校時代から チャーリー・パーカーの演奏を耳で聴いてはそこから学び取り、同時にレニー・トリスターノのレッスンにも通っていたそうです 」
わたし   「私淑していたチャーリー・パーカーが急逝した後、その未亡人と結婚して、遺児の養育まで引き受けたというのは、よく知られたエピソードよね 」
チャーリー・パーカー チャン・パーカー夫人 若きフィル・ウッズ
▲(左から )ウッズの師 チャーリー・パーカー、その妻チャン、若きフィル・ウッズ

マスター  「若きウッズ最初の代表的リーダー・アルバムである、以下の二枚は 絶対に落とせない名作です。 最初の一枚、1954年にジュリアード音楽院を卒業した、その翌年23歳の時にニューヨークで吹き込まれた 『ウッドロア Woodlore 』(1955年、Presutige )から聴いてみましょう 」
フィル・ウッズ Phil Woods_0013
  フィル・ウッズ (アルト・サックス )
  ジョン・ウィリアムス (ピアノ )
  テディ・コティック (ベース )
  ニック・スタビュラス (ドラムス )
収録曲:
ウッドロア、フォーリング・イン・ラヴ・オール・オーヴァー・アゲイン、ビー・マイ・ラヴ、オン・ア・スローボート・トゥ・チャイナ、ゲット・ハッピー、ストローリング・ウィズ・パム
音 盤:Prestige (ビクター VICJ-5161 )
録 音:1955年11月25日

わたし   「うわ、凄い。処女作にして もう自己のスタイルを完成させているのね。特に、現行CDには『スローボート・トゥ・チャイナ 』が 3テイクも入っているけれど、いずれも毎回全然違う発想のアドリヴが、まるで力強く湧き出すような勢いが もう尋常じゃないわね 」
マスター  「そうでしょう、良いでしょう、『ウッドロア 』 - コレ ぼく、大好きなんですよ。偉大なチャーリー・パーカーの轍(わだち )の跡を転がりつつも模倣に終わらず、しっかりと自分自身のフレーズで豪快に自己表現しているんですよ。 」
わたし   「 『ゲット・ハッピー 』も熱いけど、『フォーリング・イン・ラヴ~ 』 や 『ストローリン・ウィズ・パム 』といった クールなバラード演奏も美しいわね 」

マスター  「1954年には 白人バップ・ピアニスト、ジョージ・ウォーリントンのグループに ジャッキー・マクリーンの後任として入団。ドナルド・バードとの二管フロントで『ジャズ・フォー・ザ・キャリッジ・トレード(1956年、Prestige ) 』の録音にも参加しますが、このアルバムについては、またいつか詳しく -  」

マスター  「その翌年、つまり 『ウッドロア 』から2年後、もう1枚の注目のリーダー・アルバムが 名盤 『ウォーム・ウッズ Warm Woods(1957年、Eric ) 』 です 」
フィル・ウッズ Phil Woods_0001
  フィル・ウッズ (アルト・サックス )
  ボブ・コーウィン (ピアノ )
  ソニー・ダラス (ベース )
  ニック・スタビュラス (ドラムス )
収録曲:
イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ、イージー・リヴィング、アイ・ラヴ・ユー、スクァイヤーズ・パーラー、ウェイト・ティル・ユー・シー・ハー、ワルツ・フォー・ア・ラヴリー・ワイフ、ライク・サムワン・イン・ラヴ、ガンガ・ディン
音 盤: Epic / ソニー (25・8P-5107 )
録 音:1957年 9月11日、10月18日、11月 8日 ニューヨーク

わたし   「わあ、これ素敵 」
マスター  「冒頭、デイヴ・ブルーベック作曲の 『 イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ 』 最初の一音から もう魅力的でしょ。ね、コーヒーのお代わりがほしくなっちゃったでしょ 」
わたし   「この時代の若いジャズ・ミュージシャンの凄いところは、その多くが、生涯の最高作と呼べるアルバムを若くしてレコーディングしてしまうことよね。フィル・ウッズの場合も コレなんじゃないかな 」
マスター  「若い才能の迸(ほとばし )り が刻印された瞬間の録音でしょう。それが 前作 『ウッドロア 』 のようなダイナミックな凄味とはまた違って、こちらはとてもリラックスした、このジャケットのイメージどおり、それでいて モダンなセンスとメロディアスな歌心を両立させた、深い味わいの傑作アルバムです 」
わたし   「 わたしの個人的に大好きなスタンダード曲 『ライク・サムワン・イン・ラヴ 』の、静かな独白から徐々に自信に満ちたアドリヴが一瞬も尽きずに湧き出し続けるアルト・サックスの音色の美しさったら もう・・・ 」
マスター  「さらに驚くべきことに、ウッズはこの録音と同日に 盟友ジーン・クイルとの双頭セッションの傑作アルバム『トークス・ウィズ・クイル Phil Talks With Quill 』のレコーディングを 9月11日の僅か一日だけで完了させてしまっていることです。行き詰まることなく流れ出すアドリヴの凄さを聴いていると、もう天才としか表現できません 」
フィル・ウッズ Phil Woods_0015 若きフィル・ウッズとジーン・クイル
(右の写真 ) 若きフィル・ウッズジーン・クイル
わたし   「リズム・セクションのメンバーが 『ウォーム・ウッズ 』 と同じなのね、こちらは 名曲『ディア・オールド・ストックホルム 』とか、パーカーのスタンダード『スクラップル・フロム・ジ・アップル 』、後年ステージで繰り返し演奏することになる ロリンズの 『ドキシー 』 なんかも演(や )ってるんだね 」

Benny Goodman in Moscow 1962_RCA ジャズ・ミッション・トゥ・モスクワ(コルピックス )
マスター  「正確な演奏技術と読譜能力の高さを買われ、その後 しばらく フィル・ウッズは 全米どこでも ひっぱりダコだったようです。 手がけた仕事は 一流どころばかり、たとえばベニー・グッドマン の 歴史的な ソ連公演(1962年 ) への参加や、帰米後に その グッドマン・バンド から選抜されたメンバーを集めてレコーディングされた めずらしいセッション・アルバム ・・・

オリヴァーネルソン 続ブルースの真実 クインシー・ジョーンズ 『 クインテッセンス 』 ルグラン・ジャズ
 ・・・オリヴァー・ネルソンの名盤 『続・ブルースの真実 』、 クインシー・ジョーンズの 『クインテッセンス 』、 その後 長い付き合いとなる ミシェル・ルグラン との最初の重要な仕事 『ルグラン・ジャズ 』 など、そのレーベルも RCA、コルピックス、フォンタナ、フィリップス、ロンドン、ヴァーヴ、インパルス など 多岐なレーベルに渡って、スタジオ・ミュージシャンとして広範囲に活動しています。

▲ 特に クインシー・ジョーンズの 「 クインテッセンス 」における ウッズのソロは情感豊かで 素晴らしく、ウディ・ハーマンOrch. の 「 アーリー・オータム 」 における スタン・ゲッツ の仕事にも匹敵すると思います。
 
マスター   「 ・・・そんな中、一枚 気になるレコードをご紹介します 」

ケニー・バレル_a generation ago today(左 )ケニー・バレル_a generation ago today
▲ ケニーバレル Kenny Burrell
「ア・ジェネレーション・アゴー・トゥデイ 」a generation ago today
  ケニー・バレル(エレクトリック・ギター )
  フィル・ウッズ(アルト・サックス )、
  マイク・マイニエリ(ヴァイヴ )、
  リチャード・ワイアンズ(ピアノ )、
  ロン・カーター(ベース )、
  グラディ・テイト(ドラムス )
収録曲:
アズ・ロング・アズ・アイ・リヴ、プア・バタフライ、サヴォイでストンプ、アイ・サレンダー・ディア、ローズ・ルーム、イフ・アイ・ハッド・ユー、ア・スムース・ワン、ホーリー・キャッツ
録 音:1966年12月 ~ 1967年 3月、ニューヨーク
音 盤:ヴァーヴ Verve V6-8656 原盤 (ポリドール POCJ-2756 )

マスター   「チャーリー・クリスチャンのレパートリーを集めた ケニー・バレルの快作に ウッズはサイドメンとして参加。このディスクは、知る人ぞ知る ウッズのリラックスしたスタンダード・プレイにも注目、一聴をオススメします。ウッズ自身のリーダー作でない故に、逆に良い意味で 抑制されたクールなプレイが魅力的な一枚。まさに 『素顔のままで 』 の原点が ここにあると言ってもよい位です 」
わたし    「ふんふん、グラディ・テイトが冒頭で刻む中庸なボサノヴァ・リズムのナンバーも快適ね。数曲だけ若きマイク・マイニエリも参加していて、その爽やかなヴァイヴの音色が どこかラウンジ風な良い味を出しているわね 」

わたし   「それじゃ マスターが個人的におススメの フィル・ウッズのリーダー・アルバムと言えば ? 」
マスター  「もう ズバリ ヨーロピアン・リズム・マシーン時代ですね。ぼくの偏見もあるかもしれませんが、当時ヨーロッパへ渡ったアメリカのジャズ・ミュージシャンは少なからずいましたが、その多くが都落ち的な、どこか後ろ向きな印象を感じさせられたものです。けれどフィル・ウッズの場合にはそういう印象は一切なく、まるで自己鍛錬の修行でもする若武者のように、それは果敢にフランスへ渡った上、そこでヨーロッパの若手ミュージシャンたちと 新しい音楽を追求しようとする姿勢は別格で、孤高の存在とさえ映りました 」
フィル・ウッズ Phil Woods_0003 Phil Woods and the European Rhythm Machine
フィル・ウッズ & ヨーロピアン・リズム・マシーン
Phil Woods And His European Rhythm Machine
アライヴ・アンド・ウェル・イン・パリ
Alive And Well In Paris
  フィル・ウッズ(アルト・サックス)
  ジョルジュ・グルンツ(ピアノ )
  アンリ・テキシェ(ベース )
  ダニエル・ユメール(ドラムス )
収録曲:
若かりし日 And When We Are Young、アライヴ・アンド・ウェル、フリーダム・ジャズ・ダンス、ストールン・モーメンツ、ドキシー
録 音:1968年11月14、15日
原 盤:パセEMIオデオン / 東芝EMI(TOCJ-5960 )

わたし   「ヨーロピアン・リズム・マシーン第一作とされる傑作がこれね。なんて美しいアルトの音 -  」
マスター  「最高傑作です。 ウッズが自己の決意を表明するような、最初の一音で名盤と確認させる、その力強さ、劇的な構成の素晴らしさ。 友人だったという ロバート・ケネディの訃報を聞いて、その鎮魂を込めたチューンでもある - などという有名なエピソードも 一曲の作品としての重みをさら増すものには違いないでしょうが、これほどまで純粋に音楽として素晴らしいというのに、この上さらに 感傷的な情報の上書きなどは余計ではないかとさえ 個人的には感じてしまいます 」

フィル・ウッズ Phil Woods_0002 レマン湖、シオン城
フィル・ウッズ & ヨーロピアン・リズム・マシーン
Phil Woods And His European Rhythm Machine
モントゥルー・ジャズ・フェスティヴァル・ライヴ
At the Montreux Jazz Festival
  フィル・ウッズ (アルト・サックス)
  ジョルジュ・グルンツ (ピアノ )
  アンリ・テキシェ (ベース )
  ダニエル・ユメール (ドラムス )
収録曲:
カプリッツィ・カヴァレスキ、アイ・リメンバー・バード、アド・インフィニタム、ライオット
録 音:1969年7月19日 スイス、モントゥルー
原 盤:Verve / MGM SE-4695 (440 065 512-2 )

マスター  「渡欧の翌年、スイスのモントゥルーにおけるジャズ・フェスティヴァルのライヴ・レコーディング 」
わたし   「当時モントゥルーの実況録音からは モダン・ジャズの名盤がたくさん生まれているわよね、臨場感も豊か 」
マスター  「ヨーロピアン・リズム・マシーンは まさにライヴ演奏が命でした。これは1970年のフランクフルトのライヴ盤と双璧の傑作です。冒頭から飛ばす、飛ばす、凄まじい白熱の勢いです。二曲目に置かれた レナード・フェザー作曲 『アイ・リメンバー・バード 』 の演奏が素晴らしく、最初こそ落ち着いて開始されるものの 徐々にエモーショナルな感興が溢れて止まらなくなり、気づくと倍テンポで盛り上がり 興奮と感動のクライマックスを迎えます。ステージ素材としての選曲は いずれも興味深く、L.P.ではB面以降の二曲、ゆったりとスウィングする カーラ・ブレイの有名な 『アド・インフィニタム 』や アルトのフレーズが溢れるように噴出する ハービー・ハンコック作曲 『ライオット 』 など、他のディスクでは聴けない比較的珍しいレパートリーが楽しめます 」

フィル・ウッズ Phil Woods_0007 ゴードン・ベック_Gordon Beck
フィル・ウッズ & ヨーロピアン・リズム・マシーン
Phil Woods And His European Rhythm Machine
フランクフルト・ジャズ・フェスティヴァル・ライヴ
At The Frankfurt Jazz Festival
  フィル・ウッズ (アルト・サックス)
  ゴードン・ベック (ピアノ、エレクトリック・ピアノ ) 上の写真 右の人物
  アンリ・テキシェ (ベース )
  ダニエル・ユメール (ドラムス )
収録曲:
フリーダム・ジャズダンス、ジャン・ルイの歌、ジョシュア、ザ・ミーティング
録 音:1970年3月21日 ドイツ、フランクフルト
原 盤:Verve / MGM SE-4695(440 065 512-2 )

マスター   「ピアニスト、ジョルジュ・グルンツがグループを退団、いよいよ本作から英国人ゴードン・ベックが参加します。彼は、後年アラン・ホールズワースとの共演によっても知られるピアニストですが、ヨーロピアン・リズム・マシーンにエレクトリック・ピアノを持ち込み、その個性的な才能を発揮させることに 」
わたし    「 冒頭の『フリーダム・ジャズ・ダンス 』 ったら 物凄い急速テンポで、しかも猛烈にスウィングしているね。60年代のマイルスを連想しちゃうな 」
マスター   「ベック とは同国人となる イギリスの才人 ヴィクター・フェルドマン作曲の 『ジョシュア 』 も 元々マイルス・バンドのオリジナル・レパートリーでしたから、絶対ウッズマイルスを意識していたでしょう 」
わたし    「ここでもウッズのアルトが 実に多弁で豪放ね。朗々たる音色は豊かで 噴出するフレーズは 全然淀みない 」
マスター   「モード・スタイルに始まり、フリー・ブロウイングな動きもみせ、火を噴く勢いは止まらず、テーマが戻ってくるとゴードン・ベックのピアノへとバトンタッチ 」
わたし    「ベックのピアノは、激しくリズミカルな連打を聴かせるかと思えば 当時のハービー・ハンコックのようにモーダルで流麗なタッチも魅力的ね。フリー風な奏法も最小限に抑えて抑制効かせてるし、テーマ・フレーズを大事に扱うところなんかも好印象だな 」
マスター   「二曲目からエレクトリック・ピアノが登場します。リズムもロック風なエイト・ビートが基調になります。このタイトルの『ジャン・ルイ 』とは、パリの代表的なジャズ批評誌編集長ジニブル氏の名前だそうですよ 」
わたし    「ウッズのソロの背後で誰かが大声で叫んでる 」
マスター   「会場の盛り上がり、凄いです。続いてエレクトリック・ピアノでソロをとるゴードン・ベック。そのフレーズは正統なジャズ・ピアノですが、途中からリズム・セクションがファンキーなリズムを刻み始めるので、コレに乗せられ、リズミカルでフリー風な動きで暴れざるを得なくなります 」
わたし    「アンリ・テキシェのベース・ソロ、アコースティックな音色は美しいし フレーズの豊かさも一級品だけど、せっかく急流だった音楽の流れがここで弛緩してしまうのは否めないわね 」
マスター   「ヨーロピアン・リズム・マシーンは この2年後 ウッズの帰米によって解散することになるのですが、もしウッズの滞欧活動がもっと長く続いていたらと想像すると、少なくともベース奏者は間違いなくウェザー・リポートのようにエレクトリック楽器に交替したでしょうね 」
わたし    「 うーん、それにしても 『 ジョシュア 』 は狂ったように速いし、ひたすらファンキーな 『ザ・ミーティング 』も 前作までとは全く別次元の音楽だよね。この勢いは一体どこまで行っちゃうんだろ ? 」
マスター   「・・・少し疲れませんか、奥さん ? 」
わたし    「え ? 全然 」

フィル・ウッズ Phil Woods_0014 70年代初旬のフィル・ウッズ
フィル・ウッズ & ヨーロピアン・リズム・マシーン
Phil Woods And His European Rhythm Machine
クロマティック・バナナ Chromatic Banana
  フィル・ウッズ (アルト・サックス、クラリネット、ヴァリトーン、リコーダ )
  ゴードン・ベック (ピアノ、エレクトリック・ピアノ、オルガン、パーカッション )
  アンリ・テキシェ (アコースティック・ベース、フルート、パーカッション )
  ダニエル・ユメール (ドラムス、パーカッション )
収録曲:
クロマティック・バナナ、アルティメイト・チョイス、ザ・ラスト・ページ、サンズ・メロディー、ア・ルック・バック ~ ザ・デイ・ホエン・ザ・ワールド…
録 音:1970年7月5日 フランス
原 盤:Pierre Cardín / Inner City Records(IC-1002 ) 

マスター   「長らく入手困難だった、ピエール・カルダン・レーベルの音源『クロマティック・バナナ 』、数年前 本当に久しぶりに再発され(CDでは世界初だったのでは ? )、とにかく懐かしがっています。オリジナルL.P.は すでに大分以前に手離してしまっていたので比較できないのですが、たしかオリジナル(P.C. )盤では スタジオ内でのプレイヤー同士の会話や、幼い子どもが たどたどしくメンバー紹介している可愛いらしい声などが入っていたり・・・ といった不鮮明な記憶があるのですが、再発CDには一切聞かれませんでした。カットされたのでしょうか、いえ そもそもボクの単なる記憶違いだったかもしれません 」
わたし    「このアルバムはフリー色が濃いって、どこかに書いてあったのを読んだ気がするんだけど、今回わたし初めて聴いてみたけど、意外に聴きやすい音楽じゃない。アルバム冒頭、ダンサブルな 『クロマティック・バナナ 』 は、どこかマイルスの 『 イン・ナ・サイレント・ウェイ 』 とか 『 キリマンジャロ~ 』 や 『 イン・ザ・スカイ 』、その前後のエレクトリックなサウンドの香りがするよ 」
マスター   「ステージでのレパートリーや演奏スタイルからして、当時のエレクトリック初期のマイルスからの影響は 間違いないでしょう。ゴードン・ベック作曲のモード曲『アルティメイト・チョイス 』のテーマなんて、ウェイン・ショーターの曲だよと言われたら、あっさり信じてしまいそうな格好よさです 」
わたし    「数年後に 『ミュージック・デ・ボア(1974年、Muse ) 』で再演される、『ネイマ 』っぽい佳曲でウッズの美しいオリジナル曲 『ザ・ラスト・ページ 』 のオリジナル演奏も聴けるのね 」
マスター   「このアルバムは 良い意味で、ピアニストのゴードン・ベックが主導権を握った良作です。アルバムとしてのまとまりに関しては今ひとつですが、再発されたおかげで久しぶりに聴けて、ボク幸せでした 」

わたし    「フィル・ウッズは1972年には帰米、久しぶりに主な活動を米国へと移すわけね。その頃から アメリカ国内で多方面にセッション参加するようになったり、ロック・ポップス歌手のレコーディングにもソロで協力するようになったり、そしてもちろんニューヨークでのレギュラー・バンドの活動にも力を注ぐようになるわけだけど・・・ もじもじ 」
Phil Woods

マスター   「あれ、どうか されましたか ?  」
わたし    「わたしも そろそろ夕飯の支度しに 帰宅しなきゃ。 これでも主婦ですから 」

フィル・ウッズ Phil Woods_0010 フィル・ウッズ Phil Woods_0016
マスター   「えー ? フィル・ウッズヨーロピアン・リズム・マシーン以後、アメリカでのその後の活躍、『ミュージック・デ・ボア(1974年、Muse ) 』 や 最近 久しぶりに廉価でCD化され 話題になってる 『ジャパニーズ・リズム・セクション(1975年、RCA ) 』 とか・・・

フィル・ウッズ Phil Woods_0012 リナ・ホーン「バラードの夜 」フィル・ウッズ参加RCA
 ・・・それに ミシェル・ルグランとの名盤 『イマージュ(1975年、RCA ) 』、リナ・ホーンのロンドン録音 『バラードの夜(1976年、RCA ) 』への参加 - 特に I've Got The World On A String My Ship I Have Dreamed などの ストリングス・オーケストラを バックにしたソロ - なんか ホントに素晴らしいんだけどなー 、それに 比較的近年 ヴィーナス・レコードに レコーディングされた 円熟の名演の諸作・・・ などまだ、まだ語り足りない話題の続きは、くーっ また いつかにしましょうか (タメイキ ) 」
わたし     「 (笑 ) 超残念そうね、マスター。 ほいじゃ  」
マスター   「どうか また おいでくださいね 」
わたし     「 って、そんな、拝んだりしないでよ わたしのことを・・・ 」

最近の フィル・ウッズ Phil Woods
▲ 最近の フィル・ウッズ

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