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なぜ ビリー・ジョエルの「ニューヨークの想い 」には
異なるサックスソロ・ヴァージョンが存在するのか。

(左から )リバティ・ディヴィート、ダグ・ステッグマイヤー、リッチー・カナータ、ビリー・ジョエル(Columbia ) ビリー・ジョエル_ニューヨーク_0004
▲ 左から / リバティ・ディヴィート、ダグ・ステッグマイヤー、リッチー・カナータ、ビリー・ジョエル(Columbia )

 こんにちは、“スケルツォ倶楽部発起人のほう )です。
 前回 は 若きビリー・ジョエルを 無事 彼の故郷ニューヨークへ連れ戻すことに成功しましたが ( って夢ですが - ) 今回も 彼の名曲「ニューヨークの想い New York state of mind 」のつづき・・・ この歌のスタジオ・レコーディングに、実は 二つのヴァージョンがある - という話題について、倶楽部会員の皆さまは ご存知でしょうか。

「ニューヨークの想い 」旧ヴァージョンが聴ける、ビリー・ジョエル_ニューヨーク物語_0002
▲ 株式会社CBS・ソニー(32DP-653 )
 オリジナル・スタジオ録音は、アルバム「ニューヨーク物語 Turnstiles(1976年 ) 」 L.P.ではA面ラスト(4曲目 )に収録されてました。
 グランドピアノの低音から高音までL-Rいっぱいに広がるアコースティックなサウンド。残響を抑えたドライでデッドな音空間で、その歌いだしはレイ・チャールズを模したビリー・ジョエルのソウルフルな味わい深いヴォーカル。ゆったりとフォービートのリズムを刻むリバティ・ディヴィートの快いライディング。第2節の「I've seen all the movie stars… 」辺りから静かに入ってくるストリング・オーケストラの安定感は抜群で、これは編曲家ケン・アッシャーによるもの。
 アルト・サックスによる控えめなソロは、これ以後 ビリー・ジョエル・バンドのレギュラーメンバーとして その音楽的キャリアの最も重要な時期に活動をともにすることになる、ロングアイランド出身のサックス奏者 リッチー・カナータ Richie Cannata ( 1949~ ) です。
リッチー・カナータ Richie Cannata ( 1949~ )
▲ 彼が演奏するソロは、原曲メロディの素材を生かすことや 親しみやすい四七抜き音階を多用することなどが特徴で、大好きな「ニューヨークの想い 」を オリジナル・アルバム「ニューヨーク物語 Turnstiles 」 で - しかもL.P.レコードで - 慣れ親しんできた わたしには、そこで親しんだソロ構成はもちろん すべてのサックス・フレーズが頭の中に入ってしまうほど聴き馴染んだものでした。
 ビリー・ジョエルのツアーにもバンド・メンバーとして参加していたリッチー・カナータは、得意のアルト・サックスはもちろん ソプラノ・サックスフルート、クラリネットといった複数の管楽器を吹き分けていたばかりか、ハモンド・オルガンアコーディオンなど アディショナル・キーボードのパートまで兼ねるという大活躍で、バンド・サウンドに貢献、この後「ストレンジャー 」、「ニューヨーク52番街 」、「グラス・ハウス 」にまで参加、1980-1981年の全米ツアーまで ( 尚、ビリー・ジョエル初のライヴ盤 「ソングス・イン・ジ・アティック Songs in the Attic 」 は このUSAツアーの音源から採られたもの ) その活動を伴にしていました。

「ニューヨークの想い 」新ヴァ―ジョンが収録されている現行の「ニューヨーク物語 」
▲ Sony Music Entertainment (Japan)Inc.(SRCS-9446 )
 「ニューヨークの想い 」のサックス・ソロが いつのまにか「差し替えられていた 」ことに わたしが初めて気づいたのは、1999年頃に同ナンバーを含むオリジナル・アルバム「ニューヨーク物語 」が廉価価格(…といっても1,785円でしたが )で再リリースされた国内盤を購入した時のことでした。
 もともと ドライでデッドだったオリジナル録音に比べ、音場の残響効果が深めにミキシングされているなあと 微妙な差異に気づいて首を傾(かし )げたのも束の間、明らかにリッチー・カナータではない、他のサックス奏者によるカウンター・メロディが スピーカーから突然聴こえてきた瞬間、椅子から落ちそうになるくらい仰天しました。
 な、何だ、これは。別テイクなのか、ビル・エヴァンスの「枯葉 」じゃあるまいし。でも(最後まで聴いてみると )サックス以外は 完全にオリジナルと変わらぬ演奏なのでした。 ということは、ビリー・ジョエルのヴォーカルと彼自身によるピアノ、ダグ・ステッグマイヤーベースリバティ・ディヴィートドラムスというベーシック・トラックの上にオーヴァーダビングで わざわざサックス・パートだけを差し替えた - ということのようです。
 でも このサックスのフレーズは、どう聴いても リッチー・カナータ じゃない・・・ はっきり言って リッチーよりも遥かに巧い。 ・・・でも巧ければよいというものではありませんよね。たとえばリー・モーガンの「サイドワインダー 」でバリー・ハリスのピアノ・ソロがイマイチだからと言って ハービー・ハンコックのプレイに差し替えたりしますか、しないでしょう。スティーヴィ・ワンダーの「ドゥ・アイ・ドゥ 」で 御大ディジー・ガレスピーのトランペット・ソロが期待に反した結果だったとしても、じゃシカゴ交響楽団トップ奏者の演奏と差し替えますか、しないでしょう。
 そうでなくたって 四半世紀近くもオリジナル・レコーディングのヴァージョンでビリー・ジョエルの「ニューヨークの想い 」を愛聴してきたファンにとって、自分の思い入れある記憶と演奏が替わってしまうことなんて、普通なら絶対に考えられないじゃありませんか。
 第一 この演奏って 誰なんでしょう、リッチー・カナータに代わって吹いている、これほど巧みなサックス・プレイヤーって 一体 何者 ? 
Mark Rivera
▲ マーク・リヴェラ Mark Rivera でしょうか、順当に考えれば ?  この人は B.J.バンドカナータの後任でした。 それとも他のスタジオ・ミュージシャンなのでしょうか ?
 うーむ・・・ 頭の中が煮詰まりかけた時、米 Wikipedia, the free encyclopedia(New York State of Mind )に ひとつの情報をみつけました。

 ― There are two studio versions of the song. The original version featured Richie Cannata on saxophone and appeared on the original Turnstiles album.
Cannata's saxophone part was replaced by a Phil Woods saxophone part on the Greatest Hits Volume I & II album. This new version appeared on the Turnstiles CD reissue in 1998.
This section does not cite any references or sources. Please help improve this section by adding citations to reliable sources. Unsourced material may be challenged and removed.


 ― 要するに、「この歌には二つのスタジオ・ヴァージョンがある 」と。「オリジナル版ではサックス・ソリストにリッチー・カナータがフィーチャーされており、これはオリジナル・アルバム“ ニューヨーク物語Turnstiles ”に収録されていた 」。
「 (しかし ) カナータのサックス・パートは、ビリー・ジョエルのアルバム“グレイテスト・ヒッツVol.1 & 2 ( 2枚組 )” リリース時、フィル・ウッズのサックスに差し替えられた。 (さらに ) このニュー・ヴァージョンは、アルバム“ ニューヨーク物語Turnstiles ”が1998年にCDで再発された際にも、旧ヴァージョンと差し替えられた 」 ということです( 但し、「この情報には出典が明記されていません。信頼性を向上させるため情報の提供を求めます 」との付記もありました )。

 ・・・ なるほど、そうでしたか。 グレイテスト・ヒッツ Vol.1 & 2 が発売された時点で、すでにサックスのパートは差し替えられていたわけだ。 けれど このベスト盤がリリースされた時、わたしは すでに ビリー・ジョエルのオリジナル・アルバムは 全部所有していたので、新曲 ( オンリー・ヒューマン 、ザ・ナイト・イズ・スティル・ヤング の2曲 ) だけはシングル盤で入手したものの、さらに わざわざベスト・アルバムまで購入することはしませんでした。 それゆえ ベスト盤に収録されていたほうの 「ニューヨークの想い 」 は、聴いていなかったのでした。 ムムッ ・・・不覚。
ビリー・ジョエル_the Greatest Hits Volume I II album
グレイテスト・ヒッツ Vol.1 & 2 ( 2枚組 ) はあー ・・・ 結局 コレも買って 確かめましたよ(タメイキ )。

 もとい。 出典こそ明記されていないものの 新しくサックス・ソロを演奏している(と思われる )プレイヤーは、その高度な技術面からも、音色面からも、また巧みなフレーズ展開においても、その演奏にしっかりと耳を傾ければ、かつて同じビリー・ジョエルの「素顔のままで  Just the Way You Are 」で素晴らしいソロを披露した、パーカー直系の名手フィル・ウッズ Phil Woods である可能性が極めて高いと思います。
フィル・ウッズ_ Phill Woods フィル・ラモーン_Phl Ramone
▲ (左から )フィル・ウッズ、 名プロデューサー フィル・ラモーン

 またウッズビリー・ジョエルのプロデューサー、フィル・ラモーン Phil Ramone と かつて ジュリアード音楽院時代からの同級生で、プライヴェートにおいても親しい関係にあったという事実も、この信憑性を補強しています。
 わざわざクレジットに明記されていなくとも 何らかの理由(わけ )があって 意図的にパーソネル表記が秘されていることは 特段珍しいことではありません。たとえば、ビートルズの「ホワイト・アルバム 」においては ジョージ・ハリスンの代わりにエリック・クラプトンがエレクトリック・ギターを弾いているナンバーがあることは よく知られていますし、高齢で高い声域が出にくかったキルステン・フラグスタートの代わりに 若きソプラノ歌手エリーザベト・シュヴァルツコップフが部分的に発声して録音を補ったというEMIスタジオの逸話も有名です。
 ・・・けれども、すでに長い期間市場に出され 広く聴かれ続けてきたオリジナル演奏のヴァージョンをレコード会社が 突然 差し替えてしまうという行為に正当性があるかどうか ということは、また別の問題と思いますが。

International Broadcoast Recordings(IBR-2175 )
Skyscraper Blues International Broadcoast Recordings (IBR-2175 )
録音:1976年 6月10日 ( なぜか 9日との誤記あり、意図的か ? ) 
ニューヨーク、ボトム・ライン Bottom Line における 非正規ライヴ録音。
Somwhere Along The Line、Summer Highland Falls、Piano Man、James、Travelin' Prayer、New York State of Mind、The Ballad of Billy The Kid、I've Loved These Days、Miami 2017、Captain Jack、All You Wanna Do Is Dance、Ain’t No Crime
 ソリストはリッチー・カナータ
 ビリー・ジョエルの初期からのファンにとって 1976年のボトム・ラインのライヴは、実は よく知られた録音で、ソースは FMラジオ局の放送音源です。 たまたま わたしが保有している このディスクは、残念ながら コンプリート収録ではない 粗悪な非正規盤で、本来ならライヴ冒頭で演奏されていたはずの Prelude / Angry Young Man やインストゥルメンタル・ナンバー Root Beer Rag、そしてアンコールで歌われた Souvenirなど、数曲が落ちています。
 そういえば、これも ビリー・ジョエル最初期のレコーディング音源としては有名な シグマ・サウンド・スタジオ・ライヴ(1972年 ) も ようやく数年前に ソニーから正規リリースされたことですし、このボトム・ラインにおけるライヴ音源のほうも そろそろ完全版で正規発売されないものでしょうかね。

Columbia , for Demonstration L.P.“Souvenir”(AG-326, AS-326 )
▲ Columbia , for Demonstration L.P.“Souvenir”(AG-326, AS-326 )
録音:1976年12月5日、6日
ニュー・ロンドン(コネチカット州 )、コネチカット大学パーマー・オーディトリアムにおける正規ライヴ録音。
 ソリストはリッチー・カナータ、ソロ長め。途中でピアノのソロもあり。
 「ニューヨークの想い 」の前にはピアノを弾きながら語るビリー・ジョエルのナレーションが比較的長く収められ、時節柄、クリスマスソングHave Yourself A Merry Little Christmas” の一節を披露したり、バンドがブルースを演奏したりするシーンも収録。インティメイトな会場の雰囲気、たいへん湧いて楽しい。
 Side-1だけがライヴ、併録の「さすらいのビリー・ザ・キッド 」、「夏ハイランドフォールズにて 」、「スーヴェニア 」とともに公式ライヴ・ヴィデオ “Billy Joel Tonight”から採られたもの、との記載あり。
 ちなみにSide-2 のほうは アルバム・ヴァージョンから「エンターテイナー 」、「キャプテン・ジャック 」、「さよならハリウッド 」、「楽しかった日々 」、「ロスアンジェルス紀行 」が収録。 これは本来 FMラジオ局向けのプロモーションL.P. だったようです。

Stranger 」30th Anniversary Edition
▲ 「ストレンジャー Stranger 30th Anniversary Edition に添付されたボーナスCD
Sony Music Japan International Inc.(SICP-1904~6 )

録音:1977年 6月 3日 
ニューヨーク、カーネギー・ホールにおける公式ライヴ録音(未発売の初登場 )。ライヴ盤の収録曲:マイアミ2017、プレリュード / 怒れる若者、ニューヨークの想い、素顔のままで、シー’ズ・ガット・ア・ウェイ、エンターテイナー、イタリアン・レストランで (バンド・イントロダクション )、キャプテン・ジャック、楽しかった日々、さよならハリウッド、スーヴェニア
 リッチー・カナータのサックスは、音色が伸びやかで 美しい。
 今回のバックはハモンド・オルガンではなく、ちゃんとステージにストリングス・オーケストラが入っています。途中で ピアノ・ソロはありませんが、コーダ直前の技巧的なカデンツァは長めに弾かれています。
 当日のビリー・ジョエルの声の調子は絶好調で、そのすべてが素晴らしく、さらに 「今宵の演奏はレコーディングされています 」という言葉を聞いて 会場も一気に盛り上がります。
 さらに、このセットには 英BBC放送のTV音楽番組 Old Grey Whistle Test 出演時のライヴ・パフォーマンス(1978年 )や「ストレンジャー 」のヴィデオ・クリップ、アルバム制作のドキュメンタリー映像などが収録された 興味深いボーナスDVDも付いていました。

Songs From The Backyard Billy Joel_Songs From The Backyard (1980-1981 Tour ) ジャケット裏
Songs From The Backyard (1980-1981 Tour )
Whatever(WER-09~10 )

録音:During 1980-1981 USA Tour
収録曲 : You May Be Right、Don't Ask Me Why、Sleeping with The Television On、Summer Highland Falls、You're My Home、Only The Good Die Young、Stranger、Just The Way You Are、It's Still Rock&Roll To Me、I'll Cry Instead、Everybody Loves You Now、Miami 2017、Streetlife Serenader、Sometimes A Fantasy、Stiletto、Big Shot、Movin’ Out、Angry Young Man、Piano Man、Zanzibar、The Ballad of Billy The Kid、New York State of Mind
 「グラス・ハウス 」 が リリース直後から全米で大ヒットしていた当時、ビリー・ジョエル・バンドは 初のライヴ・アルバムを制作する計画があり、全米ツアーのコンサート毎にレコーディング・マテリアルを録り貯めていました(それが、前述の「ソングス・イン・ジ・アティック Songs in the Attic 」として 1981年にリリースされることになります )。
 この非正規ディスクには、おそらく その録音スタッフか関係者筋あたりから流出したものではないかと思われる、この時期の豊富で良好な音源素材からチョイス ・ 収録されています。 1980年から1981年、2年間に渡る全米ツアーからのもの - というだけのアバウトな表記で、ロケーションも年月日も一切記載されてはいませんが、サウンドボード録音の音質は 正規盤並みの高クォリティ ( 若干テープヒスは耳につくものの )、演奏内容にも まったく不満を感じません。
 「ニューヨークの想い 」、ここで ピアニスト、ビリーが いきなり叩きだす リズミックな イントロダクションは、オリジナル録音で聴かれる テンポ・ルバートな演奏とは まったく異なる エモーショナルなゴスペル調、そんな 自由自在なフレキシビリティ には 誰しも 聴けば驚かされるでしょう。 
 サックス・ソロは、B.J.バンド所属も これで とうとう最後期となってしまった リッチー・カナータによるもの。 最後のカデンツァでは 毎度の親しみやすい四七抜き音階でスケールを めまぐるしく昇降させたり、挙句 激しいフリーキー・トーンまで混ぜたりして 聴衆を煽動します。 ビリー自身も冒頭から続けてフレーズを自由に崩しまくり、Ain’t No Crime のフレーズをさりげなく引用してみせたり、途中で ピタッと バンドのリズムを止めてみせたりと、繰り返しライヴを重ね、もう すっかり手の内に入った 非常に優れた演奏を聴かせてくれます。

1987年12月13日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンにおけるホームレス・チルドレン救済のための「メディカル・ベネフィット・コンサート 」
▲ ホームレス・チルドレン救済「メディカル・ベネフィット・コンサート
My Sound S.r.L. / ANF SOFT Co.Ltd(INP-059 )

録音:1987年12月13日
ニューヨーク、マディソン・スクエア・ガーデンにおける非正規ライヴ録音。
 「メディカル・ベネフィット・コンサート 」に登場したポール・サイモン、ブルース・スプリングスティーン、ジェームズ・テイラー、ルー・リードらとともに、ビリー・ジョエルも単独でこの慈善ステージに立っていました。
 ここで 一曲だけ「ニューヨークの想い 」で弾き語りを聴かせるビリー・ジョエルのピアノは アコースティックな音色ではありません。ディスクの録音状態が良くないせいもありますが、イマイチ冴えない電子ピアノのような音色。バックで鳴っているローズ・エレクトリック・ピアノは、そのフレーズからリチャード・ティーであることが判ります、おそらくポール・サイモンをサポートするメンバーのひとりとして ステージに控えていたのでしょう。しかしエレクトリック・ベースのプレイヤーが誰であるかを特定することは難しいです。ドラムスの音も聴こえません。
ビリー・ジョエル Michael Brecker(Steps 1979)
▲ (左から )ビリージョエルマイケル・ブレッカー
 この貴重な録音の価値を高めているのは、何といってもテナー・サックスマイケル・ブレッカービリー・ジョエルと この「ニューヨークの想い 」で共演している一期一会のプレイが聴けることでしょう。しかしマイケルのソロは短か過ぎ、フレーズの随所に凄味こそ感じますが、まだ燃え上がる前に演奏は終わってしまいます、・・・残念 ! 

 1988年のグラミー賞のステージに於いて、アルト・サックスデイヴィッド・サンボーンをソリストに迎え、ビリー・ジョエルが「ニューヨークの想い 」を弾き語りしている 興味深い動画をみつけました。
 荒い画質・ノイズ混じりの音質ともに今ひとつですし、背後でかすかに聞こえる ストリングス系キーボードのチューニングが ピアノに合っていないなど 致命的に興醒めですが、 そこには目をつぶって サンボーンの噴出するように凄まじいソロが素晴らしく、一聴をおススメします。よろしければ ぜひご覧ください。投稿主様にも感謝します。


▲ ここでのサンボーンのエモーショナルなプレイは、ホント まるで命を縮めるごとき迫真さ。本当にスゴい。
 演奏ステージのドラム・セットには、ビリー・ジョエル・バンドの盟友リバティ・ディヴィートが座していますね。彼は個性的な名手で かつてはボブ・ジェームスのアルバム「H 」(1979年 )などにも起用され、キレのある生き生きとしたプレイを聴かせてくれましたが、この他にジャズ・フュージョン系のセッションに参加したという情報は 殆ど聞きませんね。

ビリー・ジョエル2000イヤーズ・ザ・ミレニアム・コンサート ビリー・ジョエルの2006年1月~ 4月 マディソン・スクエア・ガーデンでの音楽活動再開ツアー
▲ 1999年12月31日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンにおけるビリー・ジョエル2000イヤーズ・ザ・ミレニアム・コンサートの実況録音(左 )、および それから7年後、薬物中毒のリハビリから復帰後初めて行なった ニューヨーク市での音楽活動再開コンサート(2006年1月~ 4月 )の様子、ホール会場は同じマディソン・スクエア・ガーデンでしたが、この時は 前代未聞の記録的な12回ものソールドアウト・コンサートシリーズ実況レコーディングでした(右 )ビリー・ジョエルの書いた極めつけのスタンダード名曲ゆえ いずれのステージでも「ニューヨークの想い 」は欠かさず演奏されましたが、舞台に招かれて 大きくフィーチャーされたソリストは、かつて1976年のオリジナル録音においてソロを務めていた、サキソフォン奏者 リッチー・カナータ その人でした。

ビリージョエル  「 - 今から ある人をステージに呼びたいんだ。
           彼とは、昔・・・1970年代の中頃、一緒に演(や )っていた、
           サックスを吹いてくれていたヤツさ。
           今日のホーンセクションも 彼がまとめてくれたんだよ。
           でも次のナンバーはね、その男が 初演のソリストだったんだ。
           ようこそ、ロングアイランドから  ミスター・リッチー・カナータ ! 」
Richie Cannata
リッチー・カナータ 近影
 このサプライズ・ゲストの登場に、新旧のファンが揃う聴衆から贈られる万雷の拍手を(1999年、2006年 いずれの実況録音盤においても ) はっきりと聞きとることができます。
 カナータのソロで聴ける、親しみやすい四七抜きスケールは、基本的に昔と変わりませんが、その代り無駄な音や余計なフレーズが削ぎ落とされ、さらに音色に大物プレイヤーのような力強さと貫禄が加わっていました。

以下、雑談
 今世紀に入ってから以降、ビリー・ジョエルの「ニューヨークの想い 」歌唱を聴いていて気がついた特記事項ですが、彼が「I'm in a New York state of mind 」と歌うフレーズの締め括り毎に繰り返すリフレインの歌詞部分を、オリジナルの節回しとは 明らかに異なるメロディで歌っていることに お気づきでしょう ( ザ・ミレニアム・コンサート以前の歌唱では まだ殆ど聞かれません )。
 その 気になる旋律の正体とは - 偉大な デューク・エリントン が作曲した Don’t Get Around Much Anymore のメロディと同じ フレーズの引用 ではありませんか (!)。

Sony ケン・バーンズ・ジャズ ~ 20世紀ジャズの宝物 ー デューク・エリントン
▲ Sony ケン・バーンズ・ジャズ ~ 20世紀ジャズの宝物 ー デューク・エリントン 
East St. Louis Toodle-oo、Black and Tan Fantasy、Take It Easy、The Mooche、Rockin' In Rhythm、Mood Indigo、Creole Rhapsody、It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing )、Love Call、Sophisticated Lady、Solitude、Caravan、Back Room Romp、Ko-Ko、Don't Get Around Much Anymore、Cotton Tail、Take The 'A' Train、Satin Doll、Come Sunday、Black Beauty
ソニーミュージック(SRCS-9647 )


★ では 次回は パーカー直系の名アルト奏者 フィル・ウッズ についての話題を お送りしましょう。
素顔のままで 」の ソロ・プレイしか ご存知ない・・・ なんてこと ありませんよね ?
⇒ フィル・ウッズ の真価 / ヨーロピアン・リズム・マシーン時代 を聴く  

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コメント

Re: アナログ盤とCD盤

ビリっと ジョーロ さま、ビリー・ジョエルの音楽への あふれる愛が伝わってくる 素晴らしいコメント、どうもありがとうございます。
GREATEST HITS VOLUME Ⅰ & VOLUME Ⅱ 発売された当時の貴重な証言は、リアルタイムで聴いた人にしか語り得ぬ 価値の高さがあります。オリジナル発売期に アナログ盤とCD盤の なんと両方を購入されて 聴き比べ、なおかつ 個々の楽曲の微妙な違いに気づかれる人が 一体どれだけいたことでしょう。 ビリっと ジョーロ さまのコメント文章は そのまま貴重な資料にもなっていると思います。 このたびは 拙スケルツォ倶楽部 へのご参加、誠にありがとうございます。

URL | “スケルツォ倶楽部” 発起人 ID:-

アナログ盤とCD盤

はじめまして、私もビリー・ジョエルは大好きで高校時代から30年余り聞いております。
NEW YORK STATE OF MINDのサックス奏者の件、興味深いお話でしたが、私からも少々よろしいでしょうか?
GREATEST HITS VOLUME Ⅰ & VOLUME Ⅱが発売された85年に、当時テレビCMでこのアルバムの内容を知り''聞いた事あるいい曲ばかりじゃないか‼︎''と思い、バイト代を握りしめレコード店でアナログ盤を買って四六時中聞いていたのですが、CD盤の方が収録曲が多く、何しろデジタルオーディオ、コンパクトディスク、音も良い!‥とそれらに惹かれて、CD盤も購入し聞いてみた所、5曲目のイントロで''あれっ⁈''
と気がついたのです。
そうです、オリジナルアルバムはその時はまだ持っていなかったので後で分かったのですが、アナログ盤にはオリジナルバージョン、CD盤には新バージョンが入っていたのです。
しかもCD盤の曲解説、3曲目''THE ENTERTAINER''の部分に''このCDのために再リミックスされたものである。''との記入が…、しかし何度聞き比べても違いはなく、そこでやっと
CD盤のための再リミックスがTHE ENTERTAINERではなく、NEW YORK STATE OF MINDであった事に気付いたのでした。
私はオリジナルの方が雰囲気があって好みですが、ビリージョエルには他にもALL ABOUT SOULのオリジナルとリミックスがありますよね!
それと、ベストアルバムの収録曲の微妙な違い…
THE COMPLETE HITS COLLECTIONという4枚組のベストアルバムがあるのですが、GREATEST HITS VOLUME Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、''AN EVENING OF QUESTIONS & A LITTLE MUSIC''、という内容なのですがVOLUME ⅠとVOLUME Ⅱは昔の2枚組ベストとはずいぶん違っていました。
変更点(CD盤同士)
VOLUME Ⅰ
4曲目 SAY GOODBYE TO HOLLYWOOD
85年盤/81年発売のSONGS IN THE ATTICに収録されているもののイントロショートバージョン
COMPLETE盤/オリジナル TURNSTILES収録バージョン

8曲目 JUST THE WAY YOU ARE
85年盤/途中カットされているシングル?バージョン
COMPLETE盤/オリジナル THE STRANGER収録バージョン

VOLUMEⅡ
1曲目 MY LIFE
85年盤/イントロ部分等がカットされているシングル?バージョン
COMPLETE盤/オリジナル 52nd STREET収録バージョン
2曲目 BIG SHOT
85年盤/曲の終わり部分がカットされている。
COMPLETE盤/オリジナルバージョン
7曲目 PRESSURE
85年盤/3コーラス目カットのシングル?バージョン
COMPLETE盤/オリジナルバージョン
10曲目 TELL HER ABOUT IT
85年盤/曲のフェードアウトが早い
COMPLETE盤/オリジナルバージョン
…といった違いがあります。
そういえばYOU’RE ONLY HUMANとTHE NIGHT IS STILL YOUNGのPVはアルバムと違うショートバージョンでしたね…
ちなみにCOMPLETE ALBUM COLLECTIONとかいう15枚組のウン万円もするファン垂涎のCDもありましたね!
私は買えませんでしたが…
少々が長文になり失礼しました…では‥。



URL | ビリっと ジョーロ ID:0A1ALcEA[ 編集 ]

かえるさま !

お久しぶりです ! お元気でしたか ? 「かえるの音楽堂 」http://ameblo.jp/frog-music/ で コンスタントに 良記事を投稿され続けていらっしゃいますね。 比較的 最近の話題では 「セイリング・ワンダー 」についての回を 特に懐かしく読ませて頂きましたよ。▶ http://ameblo.jp/frog-music/entry-11984340271.html かえるさまには 過分なお褒めのコメント、とても恐縮です。あのグラミー賞の動画で、実は わたしもデイヴィッド・サンボーンの力量を あらためて見直したものです。

URL | “スケルツォ倶楽部”発起人 ID:-

NoTitle

こんにちは お久しぶりです。
いやー「ニューヨークの想い 」には
異なるサックス ソロ・ヴァージョン
がある?なんて知りませんでした。
フィル・ウッズと聞いてなっとくですが。
サンボーンとビリーの共演動画は
楽しませていただきました。
それにしても”奥さま”いつも感心
してしまいます。力の入ったブログ
です!

URL | かえる ID:-

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