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なぜ ルーシーは
シュローダーのピアノを 破壊しようとするのか

ピアノ破壊衝動-1ピアノ破壊衝動-3ピアノ破壊衝動-2ピアノ破壊衝動-5.

 こんにちは、“スケルツォ倶楽部発起人です。
 今宵の話題は、シュローダーピアノについて - 

 いつもシュローダーの弾いている楽器が 常に小さなトイ・ピアノであり、絶対に「本物のピアノではない 」ということ、 とても意味深です。
 すでに 当ブログ最初の記事なぜ シュロ―ダーが弾くトイ・ピアノは スタインウェイの響きがするのか 」 でも話題にさせて頂いたとおり、シュローダーという魅力的なキャラクターは、実は その子供らしい想像力によって 彼自身のイマジネーション世界 「限定 」 で 「ピアニスト 」 を演じる 「ごっこ遊び 」 にふけっているに過ぎず、原作者 シュルツ氏が 几帳面に描いている楽譜や アニメーションの中から流れてくる ベートーヴェンのピアノ・ソナタの楽音 とは、シュローダー君の頭の中で鳴っている ( 彼が 今 何を弾いている 「つもり 」 であるかを 表現する )音楽描写 である - というのが、スケルツォ倶楽部発起人 年来の持説であることは、もう皆さま ご存知のとおり。
 それは、たとえば スヌーピーの犬小屋が 第一次大戦の撃墜王フライングエースの戦闘機ソッピース キャメルとなって 宿敵レッドバロンと戦えるのと同じく、シュローダーおもちゃピアノも また 子どもがもつ想像力を 飛躍的に喚起させる道具となっているに違いない - と考えるものです。

スケルツォ倶楽部_シュローダーとルーシー (2)シュローダーのトイピアノ
 そして チャーリー・ブラウンスヌーピーたちの耳には シュローダーが「弾いている 」ベートーヴェンの音楽がしっかりと 「聞こえている 」 わけですが、それは 彼らピーナッツ・キャラクター全員が 豊かな想像力を求められる 「ごっこ遊び 」 をとおして 子ども同士のイマジネーション世界を 共有している関係であるからです。

3)怒り、嘆くルーシー
▲ そんなイマジネーションの重要な小道具たる 彼の大事なトイ・ピアノは、ルーシーによって 過去 何度も叩き壊されてきましたね。

TVアニメ
恋してるんだね、チャーリーブラウン You're In Love,Charlie Brown

「恋してるんだね、チャーリー・ブラウン 」_スケルツォ倶楽部 (21) 「恋してるんだね、チャーリー・ブラウン 」_スケルツォ倶楽部 (19)
ベートーヴェンの胸像を ピアノに叩きつけて破壊するルーシー

TVアニメ (画は コミックより )
スヌーピーのバレンタイン Be My Valentine, Charlie Brown

4)怒り、嘆くルーシー5)怒り、嘆くルーシー6)怒り、嘆くルーシー8)怒り、嘆くルーシー
ピアノを 蹴飛ばし踏んづけて粉砕するルーシー

 シュローダールーシーの関係は、作者チャールズM.シュルツ氏と、クラシック音楽を理解しなかった、シュルツ氏の最初の妻ジョイスとの関係を反映している、とする情報もありますが、今宵は ルーシーが なぜシュローダーのピアノを破壊したがるのか、その理由を考えてみたいと思います。
 その前に、ルーシーの この押さえきれぬ衝動について、原作者シュルツ氏が説明してくださっているような、そんな素晴らしい一編のエピソードを見つけましたので、以下 その一部を ご紹介します。

シュローダー_ピアノ(1)ピアノは強敵 シュローダー_ピアノ(2)下水へ捨ててやるから
(左 ) 「このピアノは ホントわたしのライバルだわ」
(右 ) 「いい? 今から わたしはこれを強奪して、下水溝へ放りこんであげるからね 」

シュローダー_ピアノ(3)ピアノは女性の敵! シュローダー_ピアノ(4)正義は勝つんだわ
(左 ) 「何するんだよ ! 」、「このピアノは 女性の敵 ! 」
(右 ) 「女性解放 !  先手必勝 ! (意訳 ) 」

シュローダー_ピアノ(5)信じられない シュローダー_ピアノ(6)ピアノを下水溝へ捨てるなんて
(左 ) 「信じられない ! 」
(右 ) 「ボクの大事なピアノを 下水溝へ捨てるなんて ! 」

シュローダー_ピアノ(7)ピアノじゃないわよ、アナタ シュローダー_ピアノ(8)わたしの競争相手よ
(左 ) 「あれは アナタのピアノじゃないのよ 」
(右 ) 「わたしのライバル ! 」

シュローダー_ピアノ(9)なぜルーシーはピアノを下水溝に? シュローダー_ピアノ(10)見つかったかーい? 
(左 ) 「どうしてルーシーは きみのピアノを 下水溝なんかへ ? 」
(右 ) 「おーい シュローダー、ピアノは あったかい ? 」

シュローダー_ピアノ(11)あ、雨だ シュローダー_ピアノ(12)マズイことになってきたよ
(左 ) 「おやおや 」、 「どうかしたの ? 」
(右 ) 「困ったことになってきたね 」、 「? ! 」

シュローダー_ピアノ(13)雨だよ、溺れる前に上がるんだ シュローダー_ピアノ(14)ピアノは? 手が届かなかった 
(左 ) 「本降りだよ、おぼれる前に はやく上がるんだ ! 」、「ヤレヤレ 」
(右 ) 「 で、ピアノは? 」、「手が届かなかったぁ… 」

シュローダー_ピアノ(15)もう川まで流されちゃった頃かな-  シュローダー_ピアノ(16)こんな仕打ちにはベートーヴェンだって耐えられなかっただろう! 
(左 ) 「この雨量だと もう川まで流されているかも・・・ 」、「芸術家には苦難の途だ ! 」
(右 ) 「ベートーヴェンだって こんなヒドイ目にあわされたら 耐えられなかっただろうな 」

シュローダー_ピアノ(16)川まで流されていく シュローダー_ピアノ(17)ボクのピアノが川に流されてゆく 
(左 ) 「ほら、あそこ ! 」、「なんてこった ! 」
(右 ) 「ボクのピアノが 川下へ流されていっちゃうよぉ ! 」

シュローダー_ピアノ(18)世界的に有名なレスキュー隊員が現場に到着したところ 
(左 ) 「心配するな ! 世界的に有名なレスキュー隊員が 現場に到着したところ 」

シュローダー_ピアノ(19)こりゃー 寒すぎる シュローダー_ピアノ(20)なかったことにして ! 
(左 ) 「うわー 水が冷たすぎるよ ! 」
(右 ) 「来なかったことにしよう ! 」

シュローダー_ピアノ(21)もしもし、エース・ピアノ社さん? シュローダー_ピアノ(22)はい、前と同じ種類のピアノがほしいんです 
(左 ) 「もしもし、エースピアノ社 ? 」
(右 ) 「はい、前と同じ型のピアノがほしいんですが 」

シュローダー_ピアノ(23)納品は ゆっくりで結構です
(左 ) 「配達は ゆっくりで 結構ですから ! 」

シュローダー_ピアノ(24)愛を成就させる秘策は 競争相手を排除することよ シュローダー_ピアノ(25)わたしは競争相手を下水へ捨ててやったわ。あとは彼がわたしを愛するようになるまで 時間の問題
(左 ) 「愛を成就させるための秘策は、ライバルの排除よ 」
(右 ) 「 わたしのライバルだったピアノは下水へ流してやったから、あとは彼がわたしを愛するようになるまでは 時間の問題・・・ 」

シュローダー_ピアノ(26)たかだか500年待ちってところかな_0005-3
(左 ) 「 って、せいぜい 500年待ちってところかしら ! 」

シュローダー_ピアノ(26)新しいピアノが届いたのね 
(左 ) 「新しいピアノ、届いちゃったのね 」

シュローダー_ピアノ(33)飲みかけのレモネードのコップなんか置かないでください シュローダー_ピアノ(34)やーだ、つまんないこと ごちゃごちゃ言う
(左 ) 「頼むから 飲みかけのレモネードのコップなんかを 新しいピアノの上に置かないでよ 」
(右 ) 「やだわー、そんなツマラナイ他人行儀なことを わたしに言っちゃ 」

シュローダー_ピアノ(35) !  シュローダー_ピアノ(36)ベートーヴェンだったら 可愛い女の子がレモネードのカップをピアノに置いたって 文句なんか言わなかったわよ
(左 )  ガツン !
(右 ) 「ベートーヴェンなら 可愛い女の子がレモネードのカップを ピアノに置いたって 絶対に文句なんか言わなかったわよ ! 」

▲ The Complete PEANUTS by Charles M. Schulz 1973 to 1974 より
The Complete PEANUTS by Charles M. Schulz 1973 to 1974
FANTAGRAPHICS BOOKS

 ルーシーにとって、シュローダーのピアノは 恋の競争相手であり、ライヴァルであり、また 恋敵(こいがたき )です。
 彼の手許にピアノがある限り シュローダーは いつまでも非生産的 かつ 自慰的な 「ごっこ遊びセレモニー・オブ・イノセンス ) 」 に耽(ふけ )っていることになります。ルーシーにとって、シュローダーのピアノは 彼の幼児性の象徴でもあり、同じ意味において 彼女の弟ライナスが手放そうとしない 「安心毛布 」 の役割にも似た側面をもつものと言えます。
 
 シュローダーおもちゃのピアノを卒業しない限り、彼が一個の男性として ルーシーに向き合うことはなく、さらに彼女の「女性 」性 に気づき、異性を征服しようという 雄(オス )の本能に スイッチがはいることもまた あり得ません。 そんなルーシーは 一足先に「女性 」として目覚めており、シュローダーのことを 「男性 」 に脱皮させようとしているのです。 その障害となっている - 彼を幼児状態のままで留めおく 「危険な 」 - ピアノという存在を 彼女が破壊しようとする衝動は、実は 本能的な性衝動とも同一線上にあるもので、決して理解できぬことではありません。 
 ルーシーは、彼女自身の理屈において、愛するシュローダーのことを 成長させようとする母親であり、 必死に矯正させようとするコーチであり、また ある意味において かけられた魔法を解いて救出 」 しようと奮闘する ブリュンヒルデ でもあるわけです。
 けれど「トイ・ピアノ 」が自己のアイデンティティたるシュローダーが、彼の楽器を捨てることは、到底考えられません。 
 なぜなら シュローダーは、原作者シュルツ氏によって ピーナッツ・キャラクターの一人として そのように描かれ、そのように運命づけられているからです。従って、最初からキャラクター同士の人間関係の中に仕込まれている構造的矛盾を抱えた存在であるルーシーシュローダーへの愛は、永久に成就しない 一方的な悲恋のうちに終わる、そういう宿命なのです。

▼ おまけ
シュローダー_ピアノ(29) シュローダー_ピアノ(30)おい、これは新しいピアノなんだ
(左 ) ( 踊るスヌーピー )
(右 ) 「おい、わんこ。 これは新しいピアノなんだ 」

シュローダー_ピアノ(31)おまえの爪で引っ掻き傷をつけてほしくないんだよな シュローダー_ピアノ(32)ディストレスト仕上げっていうことにしたら?
(左 ) 「おまえの爪で こんなたくさん 引っ掻き傷をつけてほしくないんだよな 」
(右 ) 「 (ディストレスト仕上げ ※ っていうことにすれば? ) 」

※ ディストレスト仕上げ : 家具の表面などに アンティークっぽく エイジング加工を施すことです。
                                   
                                      (対訳 : 山田 誠 )

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