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ブリテン : 歌劇 「ねじの回転 」 The Turn of the Screw
(原作:ヘンリー・ジェイムズ )
 - 本当はもっと怖い真相 

Benjamin Britten 第一幕 第2場「歓迎 」

第一幕 第2場「歓迎 」

 短い間奏曲は、静寂から徐々に加速度的に活発な動きを増し、舞台上で新しい「先生 」を迎えるのを楽しみに待っている二人の子どもたちの元気に走り回る様子へと自然につながります。
 グロース夫人が 兄妹(マイルズ、フローラ )を おとなしく並ばせながら 身支度を整えてやり、お辞儀の予行練習をさせているところ。
 やがて到着した新任の若い家庭教師が馬車から降りると、彼女らは互いに挨拶を交わします。家庭教師の儀礼的な言葉を支えるソロ・ヴァイオリンによる か細いトーンが、彼女の内面の緊張と繊細さを表現しているようです。そのヴァイオリンを縁(ふち )取るかのように輝くハープがキラキラと上昇する分散和音と装飾的な木管のアンサンブル、さらに これらを刷(は )き揃える弦のフラジオレットが描く美しさ。
 子どもたちの生活指導面に頼れる存在を得て、そこからくる安堵の深さなのでしょうか、感謝と期待の大きさを伝えようと過剰に無駄な言葉を溢れさせるグロース夫人。これに対して 初めて出会う子どもたちの天使のような美しさと利発さ、屋敷の規模の立派さにも魅せられた 家庭教師の感激。 そんな大人二人が 互いに相手の言葉を聞かずに 自分の内心だけを独白する表面的な効果もオモシロい不思議な二重唱。そして そんなオトナたちの会話の退屈さをすばやく見抜いた子どもたちは、一瞬で新しい「先生 」に打ち解けると、「広い屋敷の中を案内してあげるから 」 と 彼女の手を引っぱろうとします。ここでの子どもたちの歌唱部分は、お気づきでしょうか、最初のはしゃぎまわる旋律と同じもの。傾聴すべきは、ここが ブリテンによって 大人二人による二重唱と きれいに重なるよう 対位法的な工夫が施されている ことでしょう。

グロース夫人Thora Hird
▲ 人さし指を立てながら 子どもたちをたしなめるグロース夫人の警告も やはり同じフレーズが再現され、これが 老婦人の日常的な口癖であることまで暗示されています。
 
 これらを受けて、家庭教師も 心機一転、 「この屋敷が これからわたしの家になるのだわ 」と 呟くのでした。
フローラ(パメラ・フランクリ )とマイルズ(マイケル・レッドグレイブ )_映画「回転」より
▲ 妹フローラ(パメラ・フランクリン )と 兄マイルズ(マイケル・レッドグレイブ ) ‐ 映画「回転 」より

 尚、ヘンリー・ジェイムズの原作では、家庭教師の到着を迎えるのは 妹のフローラグロース夫人の二人で、寄宿学校で暮らしていた兄マイルズが 夏季休暇で屋敷へ帰ってくるのは その週末になってからのことです。そこで 家庭教師は、フローラと一緒に 翌々日の金曜日、彼女のを 一頭立ての馬車で 駅まで迎えに行くことになるのでした。

・・・次回は、【第一幕 第3場「手紙 」 】

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