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ブリテン : 歌劇 「ねじの回転 」 The Turn of the Screw
(原作:ヘンリー・ジェイムズ )
 - 本当はもっと怖い真相 について、無謀な究明を企てる。

ブリテンの記念切手 ねじの回転 (8)

家庭教師   「 ・・・淵ですよ、深い淵。覗(のぞ )けば覗くほど 多くが見えてきて、見えれば見えるほど恐怖が募(つの )ります。見えないものなど、恐怖せずにすむものなど あるのかどうか・・・ 」
グロース夫人 「見るのが怖いということですか 」
家庭教師   「違います  -  見えないのが怖いのです 」

       ― ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転 」より (光文社、土屋政雄/訳 )


プロローグ の前に -

 こんにちは、“スケルツォ倶楽部発起人 です。
 この夏、私は 突然「ねじの回転 」の怖さとオモシロさに目覚めました。

 「ねじの回転 」のストーリーは、ある面で 「魔王 」のヴァリエイションであるとも言えるのですが、このふたつのストーリーには 決定的に異なる面があります。 
 ゲーテでは 「魔王 」の姿が、その標的にされた「子ども 」の目には見えているにもかかわらず、保護者たる「 」には見えません。恐怖の叫びをあげるのは「子ども 」だけです。
 逆に 「ねじの回転 」の場合、「死霊 」 の姿が見えるのは 保護者である 主人公の「家庭教師 」だけで、同居の家政婦にも ターゲットにされている 二人の「子どもたち 」にも 見えていません (少なくとも「見てない 」ことになっています )。 ですから、「ねじの回転 」では 恐怖の叫びをあげるのは、標的にされた「子ども 」ではなく、「家庭教師 」だけなのです (正確には もうちょっと複雑な構造なんですが、おいおい解説してまいります )。

 しかし原作者であるヘンリー・ジェイムズによって 意図的に曖昧にされたままストーリーが進行した挙句、悲劇的な最後に至るまで とうとう理由も状況も未解決のまま 「 一体 何だったんだ? 」っていう感じで 読者は放置されてしまうので、一度読んだくらいではワカラナイことだらけであるにもかかわらず、この恐怖の原作ブリテン歌劇と両方の魅力に 私 発起人、目下 どっぷり肩まで浸(つ )かっているところです。

Benjamin Britten on Piano ブリテン ねじの回転_初演メンバー
▲ 特に 作曲者自身が指揮、初演時のメンバーを召集したスタジオ盤(1954年、デッカ )の存在は重要で、モノラル録音であるにもかかわらず ガチャガチャ パタパタいう 臨場感ある楽器の間接音を 隣接したマイクが 間近でとらえた その硬派な演奏内容がすっかり気に入ってしまい、この 4ヵ月以上のあいだ ほとんど毎日ずっと - たまたま往復通勤に要する時間がちょうどよかったという理由もあるのですが - オペラの全曲を 少なくとも 日に一度は 必ず通して聴き続ける日々でした。 聴けば聴くほど ブリテンの素晴らしい才能に タメ息が出てしまいます。
 ああ、どなたか この歌劇の 全ての場面の前に間奏曲として演奏される 主題と十五の変奏曲を 抜き出して、コンサート・プログラム用の演奏会組曲に 編曲しては頂けないものでしょうか。

ブリテン ねじの回転_ハーディング盤
▲ 作曲者の自演の他にも もう一組、イアン・ボストリッジピーター・クイント役( ! )を務めた ダニエル・ハーディング指揮 マーラー・チェンバー・オーケストラによる比較的新しい録音(2002年、Virgin )のCDを - 今まで封も開けず 手元にあったことを思い出し、コレを - 併せて聴き比べ始めたら この演奏のオモシロさにも猛烈にのめり込んでしまい、寝る暇も惜しく感じるほどです。これほどまで心から夢中になってしまう対象に出会ったことは、ホント 久しぶりのことです。

「ねじの回転 」ヘンリー・ジェイムズ(土屋政雄 訳 )光文社
土屋政雄氏の名訳による原作(光文社 )はもちろん・・・

DVD_映画「回転 Inoccents 」 DVD_映画「ダークプレイス 」
映画版「回転 The Innocents 」(1961年、主演:デボラ・カー )、舞台設定を現代に移してリメイクされた映画版「ザ・ダーク・プレイス In a Dark Place(2006年、邦題「覗かれる女 」主演:リリー・ソビエスキー )・・・

DVD_映画「妖精たちの森 」
▲ さらに 原作「ねじの回転 」の なんと「前日談 」を描く - すなわち生前のピーター・クイントとミス・ジェスルを主人公にするという - 斬新な発想のもと作られた 映画「妖精たちの森 The Nightcomers 」(1971年、主演:マーロン・ブランド )に至るまで、 いずれの作品もその素晴らしさには心から感嘆しました。

 はい。これらの多様な視点については、原作との相違も含め このあと文中でも随時触れようと思ってますが、基本的には ブリテンが作曲したオペラ「ねじの回転 」 のリブレット進行に沿って、作者によって隠されてきた怖さの真相(深層 ? )について、私 “スケルツォ倶楽部発起人 独自の拙(つたな )い考察を含め、語りたいと思ってます。

Henry James Mary Myfanwy Piper
▲ 歌劇「ねじの回転 」 【原作と台本 】
原作ヘンリー・ジェイムズ Henry James
台本メアリー・マイファンウィ=パイパー Mary Myfanwy Piper (女性です )
(参考までに、ブリテンの最後から2番目のオペラ「オーウェン・ウィングレイヴ 」も 興味深いことに 同じ原作 / 台本 です )


【登場人物 】
  プロローグのみの語り手 (テノール )
  女家庭教師 (ソプラノ ) :主人公の若い女性、20歳くらい
  幼い二人の兄妹 兄マイルズ (ボーイ・ソプラノ ) 10歳くらい
              妹フローラ (少女のソプラノ ) 8歳くらい
  家政婦グロース夫人 (ソプラノ ) :幼い兄弟の身の回りの世話をする初老の女性
  故人 ピーター・クイント (テノール ) :屋敷の使用人だったが、すでに死んでいる
  故人 ミス・ジェスル (ソプラノ ) :前任の家庭教師だったが、すでに死んでいる

【初演、および初演の配役 】
  1954年9月14日、ヴェネツィア フェニーチェ劇場
  作曲者 Benjamin Britten自身による指揮、イングリッシュ・オペラ・グループ
配役 ( デッカ盤と同じメンバー )
  プロローグ(テノール ) : ピーター・ピアーズ Peter Pears
  女家庭教師(ソプラノ ) : ジェニファー・ヴィヴィアン Jennifer Vyvyan
  マイルズ(ボーイ・ソプラノ ) : デイヴィッド・ヘミングス David Hemmings
  妹フローラ(少女のソプラノ ) : オリーヴ・ダイアー Olive Dyer
  家政婦グロース夫人(ソプラノ ) : ジョアン・クロスJoan Cross
  ピーター・クイント(テノール ) : ピーター・ピアーズ Peter Pears Peter Pears
  ミス・ジェスル(ソプラノ ) : アルダ・マンディキアン Arda Mandikian

【楽器編成、および初演の演奏者 】 
  フルート(ピッコロ、アルト・フルート持替 ) : ジョン・フランシス John Francis
  オーボエ(イングリッシュ・ホルン持替 ) : ジョイ・ボウトン Joy Boughton
  クラリネット(A 管、Bb管、および バス・クラ持替 ) : ステファン・ウォーターズ Stephen Waters
  バスーンヴァーノン・エリオット Vernon Elliott
  ホルン チャールズ・グレゴリー Charles Gregory
  ハープイニッド・サイモン Enid Simon
  打楽器ジェイムズ・ブレイド James Blades
  ピアノ( 兼チェレスタ ) : マーティン・アイセップ Martin Isepp
  第一ヴァイオリン オリーヴ・ツォリアン Olive Zorian
  第二ヴァイオリン スザンヌ・ローザ Suzanne Rosza
  ヴィオラセシル・アーロノヴィッツ Cecil Aronowitz
  チェロテレンス・ワイル Terence Weil
  コントラバスフランシス・ベインズ Francis Baines

・・・ 次回は 【プロローグ 】

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