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スウィング・オン・クラシックス
ベニー・グッドマンラヴェルの「ボレロ 」を吹く。

ラヴェル Maurice Ravel _ Beethoven Wrote It、But It Swings Benny Goodman(1909 - 1986 )

 音楽の歴史に 勝ち残ったクラシックの「美しいメロディ 」を、現代風にアレンジして再生させてしまう、その代表的な手法のひとつが「ジャズ・インプロヴィゼーションの素材として使う 」場合であると、以前 述べました。 ご参照 ⇒ 第一回

 ええと、それでは クラシック音楽の名旋律を 積極的に ジャズが素材に取り込むようになったのって、一体 いつ頃からだったんでしょうか ?
 スウィング期のサキソフォン奏者ラッセル・プロコープ Russell Procope(1908 – 1981 ) の証言によれば、1941年にASCAP (米国作曲家作詞家出版者協会 American Society of Composers, Authors and Publishers )によって管理楽曲すべてのラジオ放送が禁じられたため、やむを得ずジョン・カービー・セクステットが クラシック音楽のテーマを取り上げるようになったのが最初だった - という説を紹介しています。たしかに「ベートーヴェン・リフ Beethoven Riffs On 」や「こんぺい糖バウンス Bounce of the Sugar Plum Fairy 」などが 同年に発表された作品です。
 しかし、ジョン・カービーのバンドは これより 2年も前にショパンの「子犬のワルツ Minute Waltz 」をはじめとするクラシック名曲のアレンジ作品を すでに 手がけ、発表していましたし、さらにカービー以前にも クラシック音楽のメロディを素材にしたポピュラー、スウィング・ジャズ・ナンバーは たくさん存在していました。
 諸説あるようですが、かつて(1996年 )ソニー・レコードからリリースされた企画盤で、トーマス・フロスト、マイケル・ブルックスのプロデュースによるオムニバスCD「スウィング・オン・クラシックス Beethoven Wrote It、But It Swings 」(Sony Records SRCS-8077 )という興味深い一枚に収められた、リチャード・M.サドハルターによるライナーノートの一部を、以下 引用させて頂きましょう(青字の文章 )。

 ― 1917年、ハリー・キャロルが自作の「虹を追って I’m Always Chasing Rainbows 」の下敷きとして ショパンの「幻想即興曲 嬰ハ短調 」の叙情的な中間部のメロディを使用して以来、ポピュラー・ソングライターたちは、クラシックの交響曲やオペラのテーマから “ 借用 ” し続けてきた(中略 )。
 ・・・ラヴェルの「逝ける王女のためのパヴァーヌ 」を使って「ザ・ランプ・イズ・ロウ The Lamp Is Low 」をこしらえようが、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を襲って「フル・ムーン・アンド・エンプティ・アームズ Full Moon And Empty Arms 」や「アイ・シンク・オブ・ユー I Think Of You 」にしてしまおうが、(50年代に入っても )シャブリエ作曲の「スペイン 」を凡庸な「ホット・ディギティ Hot Diggity ( Dog Ziggity Boom ) 」に変えてしまおうが、ティン・パン・アレイは 古(いにしえ )の巨匠たちに 十分すぎるほど養ってもらってきた(中略 )。


 ― 1938年には “ クラシックでスウィングする ” というのは、まさに花開かんとしていた流行となった。
 バンドは大小に関わらず この波に乗ろうと躍起になり、ボールルーム向きにすべく ありとあらゆる種類の作品をこぞって取り上げたのだった。アントン・ルービンシュタインの「へ調のメロディ 」やオッフェンバックの「ホフマン物語 」の「バルカローレ 」、さらには「美しく青きドナウ 」のワルツ、「タイスの冥想曲 」、リストの「ハンガリー狂詩曲第2番 」、ラフマニノフの「前奏曲嬰ハ短調 」、リムスキー・コルサコフの「金鶏 」の中の「太陽賛歌 」などなど、列挙していけば 切りがない。
 ベニー・グッドマンのオープニング・テーマとして有名な「レッツ・ダンス Let’s Dance 」でさえも カール・マリア・フォン・ウェーバーの作品(「舞踏への勧誘 」 )から引用されている。編曲者たちはもう何年にもわたり、大抵はユーモラスな意図をもって このような盗用を行ってきたのだ。
 例えば、1929年にポール・ホワイトマンの人気楽団のために音楽を書いたレニー・ヘイトンは「ノーバディーズ・スウィートハート Nobody’s Sweetheart 」という曲で、ジャズ・サキソフォン奏者フランク・トラムバウアーのソロの導入部として、ドリーブの「シルヴィア 」と ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ 」といった二つのバレエ作品からの一部を使っていた。


Beethoven Wrote It、But It Swings
スウィング・オン・クラシックス 」
Beethoven Wrote It、But It Swings
 全収録曲を 聴く !
(Sony Records SRCS-8077 )


Beethoven_部分_Joseph Karl Stieler、1820 Dolly Dawn(1919-2002 )
1. スウィング・オン・ベートーヴェン ( ドリー・ドーン & ドーン・パトロール )
 ベートーヴェンの「運命 」、メヌエット ト長調 WoO.10-2、「月光 」第1楽章、第7交響曲の第2楽章 など 次々に登場、これらを素材にベートーヴェンを讃えるオリジナル歌詞を 女性歌手ドリー・ドーンが朗々と歌うというもの。
 このオモシロい楽曲を作曲(再構成 ? )したのは ヒューバート・ルーセルという人で、意外な - と言うか、いや やはり - と言うべきか、オペラとクラシック音楽の評論家だったそうです。

Beethoven_部分_Joseph Karl Stieler、1820 John Kirby (1908 – 1952 )
2. ベートーヴェン・リフ ( ジョン・カービー・オーケストラ ) 
 ベース奏者ジョン•カービーをリーダーとするセクステットは、1938~1942年頃が最盛期。ベートーヴェン交響曲第7番緩徐楽章を素材にした いかにもベーシストらしいアレンジが施された このナンバーは、1941年に発表されました。


ラヴェル Maurice Ravel _ Benny Goodman(1909 - 1986 )
3. ボレロ ( ベニー・グッドマン・オーケストラ )
 私 “スケルツォ倶楽部”発起人が このオムニバス盤の中で 実は 最も注目したのが、この一曲です。
 これは ルイ・アームストロングコールマン・ホーキンスといった多くのスター・プレイヤーを自己のバンドから輩出させ、ベニー・グッドマンのアレンジャーも務めていた スウィング・ジャズの重要人物フレッチャー・ヘンダーソンによる(拍子こそ4拍子に変更されているものの )、一度聴けば モーリス・ラヴェルのオーケストレーションを尊重した かなり良心的な編曲だということがわかります。にもかかわらず このレコーディングが 殆ど知られていない理由は、モーリス・ラヴェル協会によって 商業目的による「ボレロ 」使用が厳に禁止されたためで、このレコードも1939年に差し止められてしまったのでした。この録音は かつて一度だけ 第二次大戦中、アメリカ従軍兵にのみ配布されていた いわゆるVディスクで陽の目をみたものの、一般に正式リリースされたのは、何とこの ソニーの企画CD盤が57年ぶりとなる貴重なものでした。

▲ ボレロ 」は 2曲目03:23 から )。 オリジナルV–Discの再生音源が聴けます。


シューマンの肖像画 Claude Thornhill(1908‐1965 )
4. トロイメライ ( クロード・ソーンヒル・オーケストラ )
 原曲は、言うまでもなく ロベルト・シューマンの組曲「子どもの情景 」から。
 スウィングからモダンへの架け橋となった一人、名アレンジャーのクロード・ソーンヒルギル・エヴァンスを擁していた自己のモダンなオーケストラによる活動によって有名、知る人ぞ知る名曲「スノーフォール Snowfall 」の作曲者でもあります。

Tchaikovsky(1840~1893) Les Brown(1912–2001 )
5. スラヴ行進曲 ( レス・ブラウン・オーケストラ ) 
 チャイコフスキーによる有名曲を 急速テンポでスウィングさせるアレンジ、テーマ提示を終わると曲調はスローなブルース調となりますが、アルト・サックスのソロになると再び急速なテンポに戻ったり、スロー・ブルース調でエンディングを迎えたりと 緩急の較差が激しいです。エイブ・モストによるクラリネット、ヴォルフ・テインのテナー・サックス、二人のソロが聴けます。

Georges Bizet (1838‐1875) Xavier Cugat(1900 - 1990 )
6. 「アルルの女 」~ ファランドール ( ザヴィア・クガート・オーケストラ )
 ジョルジュ・ビゼーの名曲、個人的には やはり ボブ・ジェームスの名アレンジを思い出してしまいますが、すでにこの頃 - スウィング時代 - からジャズの素材として 使われていたというわけですね。コーラスやマリンバ、アコルディオン、フルート、そして おそらくザヴィア・クガート自身による独奏ヴァイオリンなど多彩な楽器を差し挟む個性的なアレンジ、ラテン調のリズムが慌ただしいです。
 しかし 残念なのは、ビゼー(ギロー )による原曲が 主要テーマである「三人の王の行進 」と「ファランドール 」という 二つの異なるメロディを 同時に演奏すれば ぴたりと合う という とびきりの工夫がされているというのに、このザヴィア・クガート編曲バージョンでは 肝心の二つの旋律を ただ並べて提示しているだけなのです。もったいないですし、この曲の「武器 」を使わないのであれば 何のためにアレンジを手掛けたのか、首をひねりたくなります。

Red Nichols ( 1905 – 1965 ) Red Nichols _Danny Kaye
7. オー、ソレ・ミオ ( レッド・ニコルズ・オーケストラ )
 かつて 映画「五つの銅貨 」のモデルとなったファイヴ・ペニーズのリーダー、コルネット奏者レッド・ニコルスによる ハヴァネラのリズムを用いた 明るいアレンジを施されたイタリア民謡が原曲です。尚、上掲写真、が本物のレッド・ニコルズは 言うまでもなく、映画の中でニコルズを演じた 俳優ダニー・ケイですよね。

ショパン Frédéric François Chopin John Kirby (1908 – 1952 )
8. 子犬のワルツ ( ジョン・カービー・オーケストラ )
 ショパンの よく親しまれた名曲がオリジナル。原曲の3拍子は2拍子にされました。主題も管中心のアンサンブルとなり、ピアノもクラリネットもアルト・サックスもトランペットも いずれも短い見せ場ながら ソロ・プレイヤーは大活躍します。但し、エンディグ部分だけは 何処からか持ってきたものを切って貼ったような ちょっと残念な印象です。

Paganini.jpg Benny Goodman(1909 - 1986 )
9. カプリース第24番 ( ベニー・グッドマン・オーケストラ )
 パガニーニ作曲「無伴奏ヴァイオリンのための奇想曲 」から第24番、最後を飾る大名曲。アレンジャーのスキップ・マーティンは、しっかりと ベニー・グッドマンがソロを 最大限生かすための「ステージ作り 」をしています。ピアノ・ソロは ジェス・ステイシーでしょうか? 短いけれど とても抒情的な良いソロだと思います。

Friedrich von Flotow(1812 - 1883 ) Adrian Rollini ( 1903 - 1956 )
10. マルタ ( エイドリアン・ロリーニ・トリオ )
 フロトー作曲によるオペラ「マルタ 」から 登場人物プランケットの義弟ライオネルが歌うアリア「夢のように 」から あの有名な旋律を用いた一曲。ヴィブラフォンによるリズミカルな伴奏音型にのせて、珍しくエレキ・ギターが旋律線を爪弾く という、この当時にしては なかなか魅力的なアレンジです。

Beethoven_部分_Joseph Karl Stieler、1820 Al Donahue (1904‐1983 )
11. ベートーヴェン・バウンス( アル・ドナヒュー・オーケストラ )  
 ベートーヴェンの小品「エリーゼのために 」がオリジナル、名曲ゆえ これを用いたポピュラー音楽作品は 数多いですよね。 カテリーナ・ヴァレンテによる「情熱の花 」(1959年 )、同じく ザ・ピーナッツ の日本語カヴァー、ザ・ヴィーナスの「キッスは目にして! 」(1981年 )、井上晴美の「イヴの誘惑 」(1991年 )、宇多田ヒカルの「幸せになろう 」(2002年、「DEEP RIVER 」収録曲 )、千葉ロッテマリーンズ サポーターのリズミカル・コールなどなど・・・
 ボストン近郊で複数の社交バンドのリーダーを務めていた ヴァイオリニスト、アル・ドナヒューは、この曲のヒット後、( 1940年)自己のスウィング・バンドを結成することになります。

ドヴォルザーク Dvorak GLENN MILLER
12. ユーモレスク ( グレン・ミラー・オーケストラ )  
 ドヴォルザーク作曲の 有名な小品がオリジナル。
 一貫してブギウギ調のピアノ伴奏音型に象徴される軽快なリズムに乗せ、トゥイート・ピーターソンのトランペット、アーヴィング・ファゾーラ・プレストプニックのクラリネット、ジェリー・ジェロームのサックスなど、仲間内で短いソロを回します。

グリーグ Edvard Hagerup Grieg Will Bradley (1912 – 1989 )
13. 「ペール・ギュント 」 ~ 山の魔王の宮殿にて ( ウィル・ブラッドレイ・オーケストラ )
 トロンボーン奏者ウィル・ブラッドレイのオーケストラは、正確にはドラマーのレイ・マッキンレイとの双頭バンドでした。グリーグの「ペール・ギュント 」に斬新なアレンジの手を加えたのは、レナード・ホイットニー。ソリストは マーロン・クラーク(クラリネット )、ピーナッツ・ハッコー(テナー・サックス )ら名手で、彼らを鼓舞するマッキンレイの迫力あるドラミングの激打が印象的です。

Tchaikovsky(1840~1893) John Kirby (1908 – 1952 )
14. こんぺい糖バウンス ( ジョン・カービー・オーケストラ )
 これもチャイコフスキーの「くるみ割り人形 」から。原曲はチェレスタ・ソロで知られる繊細な楽曲ですが、テーマの提示から サックスを含むホーン・アンサンブルに置き換えられ、ブラシでリズミカルに刻まれるドラムスも加わって オリジナルとは がらりと雰囲気が変わってしまっています。エンディングも なかなか終わらない不思議なアレンジがオモシロいです。

ドリーブ Clément Philibert Léo Delibes, 1836 - 1891 Arnold Johnson (1893-1975 )
15. ナイラ ( アーノルド・ジョンソン・オーケストラ )
 アーノルド・ジョンソンは、1920年代にパラマウント・ホテル・オーケストラのリーダーとして活躍していましたが、レオ・ドリーブ原曲とされる この「ナイラ 」を録音するため 当時レコーディング・スタジオに入ったのは、8年ぶりのことだったそうです。

Tchaikovsky(1840~1893) Claude Thornhill(1908‐1965 )
16. アラビアの踊り ( クロード・ソーンヒル・オーケストラ )  
 チャイコフスキー「くるみ割り人形 」の有名な「アラビアの踊り 」です。アーヴィング・ファゾーラ・プレストプニックによるクラリネット・ソロが聴けます。クライマックスのアンサンブル・パートなど アヴァンギャルドといっても過言でなく ピアノ・ソロ部分などかなりモダン、さすがソーンヒルといった感じです。

ショパン Frédéric François Chopin Jimmie Lunceford (1902 – 1947 )
17. プレリュード第7番 ( ジミー・ランスフォード・オーケストラ )
 ショパン作曲、太田胃散のCMでも 有名な 前奏曲第7番 イ長調 が原曲。
 アレンジャーはビリー・ムーア、アルト・サックスによる甘いソロは ウィリー・スミスが務めました。

メンデルスゾーン Benny Goodman(1909 - 1986 )
18. 春の歌 ( ベニー・グッドマン・オーケストラ )
 メンデルスゾーンの「無言歌集 」に収められた、言わずと知れた名曲。
 このアレンジは 才人フレッチャー・ヘンダーソンのペンによるもの。トゥーツ・モンデロのアルト・サックス・ソロも聴けます。

Georges Bizet (1838‐1875) Raymond Scott, 1908 – 1994
19. ザ・クインテット・プレイズ・カルメン ( レイモンド・スコット・クインテット )
 ジョルジュ・ビゼー作曲、歌劇「カルメン 」から 第2幕エスカミーリョによるクープレ「闘牛士の歌 」、第1幕カルメンによる「ハヴァネラ 」が題材に使われています。
 興味深いことに レイモンド・スコットは、 一部 譜面を使わないことによっても知られているそうで、具体的には 自身のピアノの周りに五重奏団のメンバーを集めると ハミングやピアノなどで各パートのフレーズについて指示、ある程度まとまると そこまで演奏を通してみて、すべてアセテート盤に録音、それらを持ち帰って 使えるフレーズを自宅で再構成しながら作編曲していたのだそうです( この部分、ヴァガボンド 岡田崇氏の情報に拠ります )。

イッポリトフ=イワノフMikhailovich Ippolitov-Ivanov, 1859 - 1935 Les Brown(1912–2001 )
20. 酋長の行列 ( レス・ブラウン・オーケストラ )
 イッポリトフ・イヴァーノフ作曲、組曲「コーカサスの風景 」のエキゾティックなフィナーレがオリジナル。どこかテーマにそぐわない 賑々しいイントロ、レス・ブラウンの最大のヒット・ナンバー「センチメンタル・ジャーニー 」を作曲した ベン・ホーマーによるアレンジは、途中 手拍子だけが残るなど斬新です。

ブラームス Johannes Brahms, 1833 - 1897 Claude Thornhill(1908‐1965 )
21. ハンガリー舞曲第5番 ( クロード・ソーンヒル・オーケストラ )
 ブラームスの編纂として知られる「ハンガリア舞曲第5番 」がオリジナル。
 これもソーンヒルらしい たいへん個性的なアレンジが施されています。特にピアノの自由な動きと重厚なアンサンブルとの掛け合い、素晴らしいです。
 ちょっと脱線しますが、チャップリン映画「独裁者 」の中で、チャップリン自身が演じる主人公の理髪師が この原曲のリズムに合わせながら 巧みに客の髭を剃るというシーン、秀逸でしたね。

Sergei Sergeevich Prokofiev Benny Goodman(1909 - 1986 )
22. ピーターと狼 ( ベニー・グッドマン・オーケストラ )  
 プロコフィエフによる音楽物語の傑作から「ピーターのテーマ 」部分がオリジナル。グッドマンのプレイは 抑制が効いています。
 このアレンジは フレッチャー・ヘンダーソンではなく、トゥッティ・カマラータメル・パウエルのいずれかであろうと サドハルターは推測しています。

ハチャトゥリアン Wiki Woody Herman、1913 - 1987
23. 「ガイーヌ 」 ~ 「剣の舞い 」 ( ウディ・ハーマン・オーケストラ )
 泣く子も踊るハチャトゥリアンの大名曲。パーカッシヴなメイン主題でなく、中間部のエモーショナルなメロディのほうが生きるアレンジです。
 1947年のウディ・ハーマン・セカンドハードが擁した ベスト・メンバーだった「フォー・ブラザーズ 」の面子は、20歳のスタン・ゲッツ、21歳のハービー・スチュワート、22歳のズート・シムズ、24歳のサージ・チャロフでした。
The Four Brothers_Stan Getz, Zoot Sims, Al Cohn and Serge Chaloff
フォー・ブラザーズ ( 但し、後年の アル・コーンスチュワートに交替して以降の写真です )

   ■   ■   ■   ■   ■

 さて、この一枚を 通して聴き終え、今 感じることは、もはや ジャズにアレンジされること イコール 必ずしも「現代風 」というわけではないんだなあということでした。当たり前のことですが、このディスクに収められたジャズの演奏法 スウィング時代のものなので、考えてみれば 今から75年も昔のスタイルというわけです。この後 ジャズはどんどん洗練を続け、モダン(ビ・バップ、クール、モード、新主流派 )、フリー、クロスオーヴァー、フュージョン(スムース )、新伝承派・・・ と この三四半世紀の間に すっかり知的でおしゃれな音楽に変貌を遂げていることに 感心してしまいます。
 その過程(プロセス )に於いて 特にモダン・スタイルに入って以降、クラシック音楽ジャズ化という作業の中でも エポック・メイキングな功績として 広く記憶されている作品と言えば、アレンジャーにギル・エヴァンスを起用した マイルス・デイヴィスによるCBSレーベルの歴史的な名盤 -
Miles Davis Porgy And Bess 1958年 Miles, Sketches Of Spain
 - ガーシュウィンのオペラを題材にした「ポーギーとベス Porgy And Bess (1958年リリース ) 」、ロドリーゴの「アランフェス協奏曲 」を題材にしたアルバム「スケッチズ・オブ・スペイン Sketches Of Spain(1960年リリース ) 」 - という二枚の傑作です。これらについては“スケルツォ倶楽部”発起人、またいつの日か 語りまくる場を設けたいと考えております。

 1959年 バッハの名曲にモダン・ジャズのフォー・ビートを乗せたジャック・ルーシェや、基本的にこれと同じ発想・手法によって1965年以降ショパンの作品やバロック名曲のアレンジで成功を収めたオイゲン・キケロらの例を別格とすれば、やはり1970年代 名プロデューサー、クリード・テイラーによるCTIジャズにおける クラシック音楽をアレンジしたフュージョン・スタイルによる多くの名盤群を忘れてはならないでしょう。
 それらは、たとえば デオダートによる「ツァラトゥストラはかく語りき 」、「牧神の午後への前奏曲 」、「逝ける王女のためのパヴァーヌ 」、「ラプソディ・イン・ブルー 」を筆頭に・・・
EUMIR DEODATO – PRELUDE (1972) Deodato Deodato 2 1973

 ボブ・ジェイムスによるクラシックのアレンジもの、「はげ山の一夜 」を皮切りに、「パッヘルベルのカノン 」、「アルルの女 ~ ファランドール 」、ガボール・ザボのアルバムに収録されていた「ハンガリー狂詩曲第2番 」、さらに自己のレーベル、タッパンジー以降も加えれば、ベートーヴェン第9交響曲スケルツォ楽章サン=サーンスの「白鳥 」、ヘンデル「水上の音楽 」から「エア 」、オーヴェルニュの歌から「バイレロ 」、果てはラモー作品集まで・・・ もはや枚挙に暇がありません。
Bob James “ ONE ”(C.T.I.~TAPPAN ZEE)VACM-2002 『夢のマルディ・グラ Bob James・Two ボブ・ジェームス 「ハンガリアン・ラプソディ 」ガボール・サボ CTI
Bob James_Foxy_TAPPANZEE ボブ・ジェームスの“白鳥+1_Sony Bob James H Shepherds Song

ヒューバート・ロウズによる「シリンクス 」、「パヴァーヌ(フォーレ ) 」、「春の祭典 」、「ブランデンブルク協奏曲第3番 」ジム・ホールの「アランフェス協奏曲 」ドン・セベスキーは リーダー・アルバム「ジャイアント・ボックス 」の中で、「火の鳥(ストラヴィンスキー ) 」、「ヴォーカリーズ(ラフマニノフ ) 」のアレンジを披露・・・
[春の祭典]ヒューバート・ロウズ ジム・ホール_アランフェス協奏曲_CTI ドン・セベスキー_ジャイアント・ボックス_CTI

 しかしクリード・テイラーは 自身のCTIレーベルクラシック音楽のジャズ化というひとつの領域を70年代に確立・成功させるその前夜、マイルストーンとも呼べる「一枚のアルバム 」を 1965年、ヴァーヴ・レーベルにおいて制作していたのです。
 そのレコードとは、必ずしも商業的に成功したとは言えませんでしたが、クリード・テイラーにとっては、その後 CTIでの大躍進へと続く、極めて重要なステップとなった 実験的な試みでした。
その「一枚 」とは、

・・・ビル・エヴァンス・トリオ
ウィズ・(クラウス・オガーマン )シンフォニー・オーケストラ

(左から )Evans - Taylor - Ogerman ビルエヴァンス_クラウス・オガーマン_Verve

次回は、これを話題にします。 乞うご期待。 ⇒ こちら

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