本記事は 1月29日「 注目記事ランキング クラシック音楽鑑賞 」で 第1位 となりました。
皆さまのおかげです、これからも 何卒よろしくお願い申し上げます。


スケルツォ倶楽部
メニュー は こちら ⇒ Novel List 

パガニーニ 「常動曲 Moto Perpetuo 」
古今東西、唯一無比の音楽

PHILIPS (海外盤 464-371-2 )パガニーニ作品集 Paganini.jpg エマニュエル・パユとジャッキー・テラソンの共演

 おはようございます、“スケルツォ倶楽部発起人です。

 ・・・日曜日の朝のこと。
 仕事が休みをいいことに、勝手に朝寝を決めこんでいた私は、ベッドサイドの置き時計がまだ 7時半を指しているのを確かめると 壁側に寝返りを打とうとしました。ああ、休みだ - 短くもささやかな至福の時・・・。
 しかし その時、頭の上から 突然妻の声が降ってきました。

  「ねえ、たとえばわたしがこんなふうにいきもつかずにやすみなくしゃべりつづけたとしたらすこしはアナタもおどろくかしらけさもにちようびだっていうのに6じにおきてホントえらいなわたしったらアナタのすきなフレンチトーストをやくじゅんびをしていたんだからいつもいつもおなじようなレシピじゃさすがのアナタでもあきちゃうかなとおもってけさはすこしばかりくふうしてみたんだからいつもならはんぶんにきってやいてるしょくパンだけどけさはいつもよりこまかく9とうぶんしてからあついフライパンにマーガリンとかしてやきあげてすばやくおさらにうつしたらそこへバナナやキウイやパイナップルやブラックベリーなんかこまかくカットしておいたおいしいフルーツをトッピングしてそこにメープルシロップとホイップクリームをたっぷりかけてできあがりホラおきてたべてみたくなったでしょそれにけさはまめからひいたコーヒーもいれたしホラいいかおりしてきてるでしょだからはやくおきてったら・・・ 」
  「ああ、わかった。もうわかったから、静かにしてくれよ。忙(せわ )しないから、そんな句読点なしにしゃべりつづけるの やめてくれないか 」
  「・・・って そういう音楽があるの、アナタ 知ってた ? 」
  「 ? 」
  「パガニーニ常動曲
  「はあー (タメ息 ) その前振りだったわけね・・・」
  「(にっこり )おはよ、アナタ 」


パガニーニ作曲
無窮動によるアレグロ・ヴィヴァーチェ 」Perpetual Motion 作品11

パガニーニ 常動曲 無窮動 Moto Perpetuo

 ・・・直訳すると「永久運動 」という意味をもつ原題は Moto Perpetuo -  「常動曲 」 または「無窮動 」 - ヴァイオリンの超絶的名手として 全ヨーロッパを席巻していたパガニーニ(1782~1840 )が 1812年頃、最初は ギター伴奏によるヴァイオリン独奏曲として作曲したとされ、4分程度の短い曲ながら ヴァイオリンが(最後の2小節に四分音符二つ、二分音符一つがある以外は )延々と 2,328もの16分音符を休止なしに弾き続ける、古今東西 唯一無比の音楽です。
 きっとリサイタルでは好評だったのでしょう、その後 ピアノによる伴奏版やオーケストラ伴奏版も おそらく必要に応じて作られました。伴奏部分は 単純な和音とリズムの繰り返しにとどまっているように思われがちですが、耳を澄ませば 独奏ヴァイオリンの旋律線が単調に陥らぬよう 最大限適切に支援する役割を担っていることが判ります。

D.G.(POCG-1736 )「パガニーニ・フォー・トゥー 」
ヴァイオリンとギターによる版 (03:17 )
ギル・シャハムGil Shaham (ヴァイオリン )
イョラン・セルシェルGöran Söllscher (ギター )
録 音:1992年11月 ベルリン
併録曲:ソナタ・コンチェルタータ イ長調M.S.2、6つのソナタ M.S.27(作品3 )から 第1番イ長調、第4番イ短調、第6番ホ短調、グランド・ソナタ イ長調 M.S.3から「ロマンツェ 」、チェントーネ・ディ・ソナタ M.S.112から ソナタ第2番ニ長調、第4番イ長調、カンタービレ ニ長調 M.S.109、ソナタ・プレギエーラ「祈りのソナタ 」ヘ短調 M.S.23
音 盤:D.G.(POCG-1736 )「パガニーニ・フォー・トゥー 」に収録

 録音当時21歳、シャハムの若々しさが横溢する 魅力的な演奏。イョラン・セルシェルによる 爽やかなギターの歯切れよい刻みも心地良い響きです。
 さきほど この曲が「最初は ギター伴奏によるヴァイオリン独奏曲として作曲された 」と書いてしまいましたが、正確には諸説あり 別の研究者によれば 「常動曲 」のオリジナルは はじめから管弦楽伴奏だったとする説もありますので、念のため 書き添えます。このディスクの解説(持丸充氏 )によれば、パガニーニ自身の手でギター伴奏に編曲されたのは 作曲者晩年の1835年頃だったとされています。

POCL-4622 リッチ「パガニーニ・リサイタル 」
ヴァイオリンとピアノによる版 (03:54 )
ルジェーロ・リッチ Ruggiero Ricci (ヴァイオリン )
ルイス・パーシンガー Louis Persinger (ピアノ )
録 音:1954年2月 ロンドン
併録曲:魔女たちの踊りOp.8、ロッシーニの「モーゼ 」の「汝の星をちりばめた玉座に 」による幻想曲、パイジェッロの「水車小屋の娘 」の「わが心もはやうつろになりて 」による変奏曲Op.11、「ゴッド・セイヴ・ザ・キング 」による変奏曲Op.9、「ラ・カンパネッラ 」、ソナタ第6番ホ短調Op.3-6、ロッシーニの「タンクレディ 」のアリア「こんなに胸さわぎが 」による序奏と変奏曲Op.13
音 盤:DECCA-LONDON(POCL-4622 )「パガニーニ・リサイタル 」に収録

 2012年 8月に 惜しくも逝去した稀代の名手ルジェーロ・リッチによる ピアノ伴奏版による演奏です。その凄まじい弓使いは 音楽が破綻する一歩手前で踏みとどまるほどの激しさで、ほぼ同世代の もうひとりの名手イヴリー・ギトリス(1922~ )の 自由自在なボウイングを連想してしまいます。収録曲すべてが 一度聴いたら 確実に記憶に残る 個性的な歌い回し、あらためて その存在感の大きかったことを 実感させられますね。

ストコフスキー_ミュージック・フォー・ストリングス・コレクション_EMI
弦楽合奏による版 (03:54 )
レオポルド・ストコフスキー Leopold Stokowski 指揮
レオポルド・ストコフスキー交響楽団 Leopold Stokowski Symphony Orchestra
録 音:1957年 8月 ハリウッド
併録曲:ホーンパイプ(パーセル )、G線上のアリア、わがイエスよ いかばかりの魂の苦しみ、プレリュード(以上J.S.バッハ )、タンブリーノ(ヘンデル )、歌劇「アウリスのイフィゲニア 」~ 精霊の踊り、レント、歌劇「アルミード 」~ ミュゼット(以上グルック )メヌエット(ボッケリーニ )、弦楽四重奏曲第2番 ~ 夜想曲(ボロディン )、アンダンテ・カンタービレ(チャイコフスキー )、ヴォカリーズ(ラフマニノフ )、闘牛士の祈り(トゥリーナ )、ロンディーノ・ジョコーソ(ベルガー )
音 盤:EMI(海外盤 7243 5 65912 2 6 )ミュージック・フォー・ストリングス・コレクションに収録

 ストコフスキーの編曲による 弦楽アンサンブルの名曲ばかりを集めたオリジナル・アルバムの一隅に収録。弦のアンサンブル・セクションが 先に四小節演奏すると 次にコンサート・マスターが同じ旋律をソロで四小節 - と、これを交互に繰り返す、とても判りやすい編曲が施されています。
 途中、何度かテンポを柔軟に速めて 緊張感を維持させる工夫をこらすあたり、さすがの名人芸という感じ。
 脱線しますが、このディスクの「G線上のアリア 」は 原調どおりニ長調ですが、バッハが作曲したとおりではなく、低音弦がピッツィカートを弾(はじ )き、冒頭の旋律をチェロが担う ストコフスキー編曲版(RCA盤と同じ )です。 ⇒ 関連記事は こちら 

PHILIPS (海外盤 464-371-2 )パガニーニ作品集 Neville Marriner
弦楽合奏による版 (03:43 )
ネヴィル・マリナー Neville Marriner 指揮
アカデミー・オヴ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ Academy of St.Martin-in-the-Fields
録 音:1987年8月 ロンドン
併録曲:ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調(独奏 ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン )、第2番ロ短調(独奏 イヴリー・ギトリス )
音 盤:PHILIPS (海外盤 464-371-2 ) に収録

 こちらも弦楽合奏による演奏なのですが、ストコフスキ―盤と大きく異なるのは、第1ヴァイオリン・セクション全員が 本来の独奏用パートをひたすら 一心不乱のユニゾンで演奏し続けることでしょう。
 一糸乱れぬアンサンブルではあるものの、聴いていると 奏者の必死さが伝わってくるような、もちろん指揮者マリナーの意図したところなのでしょうが、何だか切なくなってくる演奏で思わず手に汗を握ります。終結部の和音まで無事にたどり着いた瞬間、ホッとしてしまうのは 多分 私だけではないと思います。


ロストロポーヴィチ/1990 モスクワ・コンサートSony Rostropovich.jpg
フル・オーケストラによる版(04:23 )
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ Mstislav Rostropovich指揮
ワシントン・ナショナル交響楽団 National Symphony Orchestra
録 音:1990年 2月 モスクワ音楽院メインホール、ライヴ
併録曲:交響曲第6番「悲愴 」(チャイコフスキー )、ポルカ「観光列車 」(J.シュトラウス / ショスタコーヴィチ編 )「ペール・ギュント 」第1組曲から「オーゼの死 」(グリーグ )、「ロミオとジュリエット 」から「タイボルトの死 」(プロコフィエフ )、「シャル・ウィ・ダンス 」から「プロムナード(ウォーキング・ザ・ドッグ ) 」(ガーシュウィン )、星条旗よ永遠なれ(スーザ )
音 盤:Sony Music Japan(SICC-1208~09 )ロストロポーヴィチ/モスクワ・コンサート C/W チャイコフスキー 交響曲第7番変ホ長調(ボガティレフ補筆完成版、オーマンディ / フィラデルフィア管弦楽団 )

 アンドレアス・マーキス編曲による めずらしい管弦楽版です。とはいっても曲調は やはりストリングス・セクション中心で進行するのは当然で 追加された管楽器パートも 控えめにオブリガードを吹奏する程度。でも数か所パガニーニの原曲では聴かれなかったフレーズが上書きされているのがオモシロいアクセントになっています。
 これは、ソルジェニーツィン擁護発言などによって1974年に社会主義体制下だった祖国を追われたロストロポーヴィチ(1927~2007 )が、16年後 ソ連の民主化を推進するミハイル・ゴルバチョフ体制のもと名誉を回復し、ワシントン・ナショナル交響楽団を率い16年ぶりに 首都モスクワで凱旋公演を行なった時の記念すべきコンサートのアンコールの一曲として選ばれたもので、会場の喝采がとにかく凄いです。


ナージャ_EMI(TOCE-9473 )「美しきイタリア 」 Nadja Salerno-Sonnenberg
弦楽六重奏による版(03:42 )
ナージャ・サレルノ=ソネンバーグ(第1ヴァイオリン )
ベニー・キム(第2ヴァイオリン )
川崎雅夫(第1ヴィオラ )
リョウ・ササキ(第2ヴィオラ )
リン・ハレル(チェロ )
マッツ・リドストレーム(チェロ )
録 音:1996年 8月 4~ 8日 アスペン音楽祭 コロラド
併録曲:イタリアのセレナード ト長調(ヴォルフ )、弦楽六重奏曲ニ長調「フィレンツェの想い出 」(チャイコフスキー )、著名な主題による変奏曲「ヴェニスの謝肉祭 」(リドストレーム )
音 盤:EMI / 東芝EMI(TOCE-9473 )「美しきイタリア 」に収録

 あわただしく支度をはじめるような前奏が一小節半ほど追加された デイヴィッド・リメリス編曲による、この弦楽六重奏版は、レオポルド・ストコフスキーの弦楽合奏版を基にしたとされています。たしかに 同じフレーズの繰り返し部分を ソロ奏者(主にナージャハレル )を頻繁に替えたり アンサンブルでの演奏と交替したりと、ストコフスキーのアレンジを連想させる工夫がされています。
 このアルバム「ベッラ・イタリア(美しきイタリア ) 」は、個性的な女性ヴァイオリニスト ナージャ・サレルノ=ソネンバーグと名手リン・ハレルらを中心とした室内アンサンブルの名盤です。いずれもイタリアに由来する室内楽曲を集めた好選曲で、ナージャの故郷イタリアへのオマージュとして企画されたものだったそうです。

その他、ヴァイオリン以外のソロ楽器で演奏されたディスク
ミカラ・ペトリ リーコーダ作品集(PHILIPS)
リコーダーによる演奏(原調、03:55 )です。
コペンハーゲン出身のバロック・リコーダー奏者 ミカラ・ペトリ。ソプラノ・リコーダーの音色が とにかく可愛い。
やはり管楽器では息継ぎが難しいのでしょう、時々音を抜いて巧みに呼吸しているように聴こえますが、それでも この技巧には大拍手です。
ミカラ・ペトリ(リコーダー )
ハンネ・ペトリ(チェンバロ )
録 音:1982年 6月
音 盤:PHILIPS(PHCP-3933 )


Wynton Marsalis(Sony ) Wynton Marsalis_1982
コルネットによる演奏(へ長調に転調、04:33 )です。
 まるで一息で吹いているかのような、驚異的な吹奏に驚きます。楽譜を見れば明白ですが、奏者が 息継ぎできるような休符などないのですから、これは いわゆる循環呼吸を使うしかありません。奏者が 自分の口を楽器に当て続けている以上、口を開いて息継ぎするわけにはゆかず、そうすると 鼻から呼吸することになるわけですが、プレイヤーは 演奏をしながら 頬に少しずつ空気を貯め込んでおき、その頬の筋肉で 口中の息を押し出しながら 同時に鼻から空気を吸い込む( ! )という、これで美演を聴かせようとしたら、それはかなり高等テクニックです。
 管楽器に詳しくない人が これを聴いたら「さすが マルサリスったら 息継ぎしなくても 一曲吹けちゃうんだ(笑 ) 」などと思いこんでしまうのではないでしょうか。 もし誰かに「循環呼吸 」って何 ? って 訊ねられたら、ぜひ 黙って これを聴かせてあげましょう。
 脱線しますが、循環呼吸長時間公式記録は ソプラノ・サックス奏者 ケニー・G による 45分47秒(1997年 )とのこと(ギネスブック登録 )。って ホント ?
ウイントン・マルサリス Wynton Marsalis(コルネット )
ドナルド・ハンスバーガー 指揮
イーストマン・ウインド・アンサンブル
録 音:1986年 9月 ニューヨーク
音 盤:Sony Records(SRCR-9293 )



ベラ・フレック Bèla Fleck_Sony Records(SICP-59 )「パーペチュアル・モーション 」
バンジョーによる画期的な演奏(原調、03:44 )です。
 バンジョーと聞いて、ディキシーランド・ジャズでリズムを刻んでる撥弦楽器? というくらいの乏しい知識しか持たない 私 発起人 の 憐れな先入観を打ち壊してくれる 奔放なプレイには脱帽。
 「常動曲 」は、ボーナストラック的に収録されているブルーグラス・バージョンではなく、エドガー・メイヤーによる編曲のほうをお勧めします(ピアノ伴奏 )。
 ギタリスト ジョン・ウィリアムス、ヴァイオリン奏者 ジョシュア・ベル、ベーシスト エドガー・メイヤー、チェロ奏者 ゲイリー・ホフマンらがこのアルバムに参加し、J.S.バッハ、スカルラッティ、ショパン、ベートーヴェン、ドビュッシーらの作品を、未体験の音響で再発見させてくれます。
ベラ・フレック Bèla Fleck(バンジョー )
録 音:2001年 2月~3月 ナッシュヴィル
音 盤:Sony Records(SICP-59 )アルバム「パーペチュアル・モーション 」に収録



↓ 清き一票を
にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
blogram投票ボタン
人気ブログランキングへ
Club Scherzo, since 2010.1.30.

関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

トラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)