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スケルツォ倶楽部”発起人/作 オリジナル・ストーリー
「サンタクロース物語 ~ It’s A Small World ~  」
この物語は、2010年11月30日から同年12月25日に投稿しました、
“スケルツォ倶楽部”発起人.作 の オリジナル連載小説に 手を加えたものです。

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 ヘンデル「メサイヤ」ニコラウス・アーノンクール(RCA)BVCC-37698
(16) 最終回 聖ニコラウスの新しいお仕事 

 ・・・ 「こらこら、起きてくれよ。ほら、ニコラウス 」
暖かく柔らかいベッドの上で熟睡しながら、なぜか煙突に身体が詰まって抜けられない という不思議な夢を見ていたニコラウスに、目覚めよと呼ぶ声が聞こえました。
「α§眠ΔΘ〆Ω? 」
口元に一筋垂れてしまった涎(よだれ )を肘で拭き、白いひげを掻きながらニコラウスが立ち上がると、そこには清潔な白い服をまとったキリスト・イエスが 微笑みながら立っておられます。
「あ、イエスさま!」
「もう少し休ませておきたかったが、すまないね。お前にひとつ 大事な仕事を頼みたいのだが、どうだろう 」
今や はっきりと目覚めたニコラウスは、もちろん
「はい、何なりと 仰せつけください! 」
と、良い返事をしました。
そこでキリストはおっしゃいました。
「わたしの誕生を祝ってくれる記念日に、世界中の人々が みんな自分の子どもたちに贈り物をあげるようになれば、きっと世の中はもっと平和になると思うのだよ。この良いアイデアが 習慣として世界に定着するまで お前には毎年 この季節になるたび、空を飛ぶトナカイたちに橇(そり)を引かせて プレゼントを - 今度は 私にではなく - 世界中のよい子たちに 配ってあげてもらいたいのだが ニコラウスよ、そういう仕事は お前にどうだろう 」
それは オレには適役だぞ、と ニコラウスは謙虚に考えました。
「そして わが子のことを愛し、大事に想う お父さんやお母さんのまごころが この世に存在し続ける限り、お前には いつまでもこの仕事を務めてもらいたいんだが、どうだろう 」
「はい、主よ。喜んで務めさせて頂きます! 」
キリストから 直(じか )に 新しい仕事を与えられたニコラウスは、主イエスのお役に立てることを 心から嬉しく思いました。
と言っても 軽薄に舞い上がるようなことは もちろん慎みました。むしろ ぐーっと 気持ちを引き締めると、彼は 久しぶりに 大きく深呼吸してから 頭を下げました。大仕事を任された時 ニコラウスは いつも自然にそうしてきたのでした。

「ありがとう、聖ニコラウス(サンタクロース )よ。引き受けてもらえて うれしいなあ。ところで、お前のことを大事に想っている私からも 実は 素敵な贈りものがあるんだけど、受け取ってもらえるかな? 」
と、まるで悪戯(いたずら)っ子が 友だちに内緒ばなしをするかのように、くすくすと忍び笑いを堪(こら)えながら、キリストが ご自分の懐(ふところ)から よっこらしょと取り出してみせたのは、大きな白い袋でした。
「あ、それは - 」
あの雨の晩 イヴリーの宿屋が放火された夜、ヘロデの近衛隊長ロンギヌスによって奪われ 火中へ投じられた筈の、ニコラウスの贈り物の袋でした。しかもそれは30年前 彼がエリコの作業場で おもちゃの最後の一つを詰め終えて、まさに たった今 袋の口を麻ひもで ぎゅっと縛り上げたばかりの ぴかぴかの新しさでした。
「そうだよ。見覚えがあろう、お前が 東方の三博士からの依頼で、私のために用意してくれた、素晴らしい“ イッツ’ア・スモール・ワールド ”だ 」
キリストは、その大きな重い袋を まるで綿菓子でも持ち上げるかのように ご自分の手のひらの上に軽々と乗せ、はい と差し出されました。
ニコラウスは ちょっぴり当惑しました。
「これを・・・ 私に 返してくださるのですか 」
その両腕に釘の穴が残るキリストは、優しい微笑みと一緒に うん と頷かれました。
「今のお前にはね、これを渡さなければならない者が 他にいるはずだからだよ 」
と、次にキリストが指し示された空間に目を移してみると、そこには いつのまにか真っ白な扉が用意されていました。
 主イエスに背中を押されたニコラウスがそこに立ってみると、扉は自動ドアで、まるで天使が翼を広げるかのように両側いっぱいにゆっくりと 静かに開きます。
 
 そのドアの向こう側には・・・ ああ、別れてから30年以上 ニコラウスが 一日も忘れたことのなかった、彼の愛しい妻、マルタの美しい姿がありました。
 彼女は真っ白い服をまとい、夫であるニコラウスのことを認めると 懐かしい満面の笑顔で、跳ねるように駆け寄ってきました。マルタは、すでに癒されているのでしょう、かつては不自由だったその片足を もはや引きずってはいませんでした。
「ニコラウス! 」
「マルタ! 」
 そして、彼女の背後にこっそり隠れていて その足元からよちよちと走り出すなり ママを追い抜いて ニコラウスの腰のあたりまで ぴょーんと抱きついてきた幼い子どもは - 彼の大事な可愛い2歳の息子カルロスでした。カルロス坊やは 心底うれしそうに 父の顔を見上げると、かつてそうしていたように、精一杯の歓迎の言葉で ニコラウスを迎えてくれました。
パパ、 おかえりなさい! 」

 そこへ キリストの柔和な お声が ニコラウスの頭上 高くから 聞こえました。
「さあ、お前の愛する子に お前のまごころの贈り物をあげなさい。お前が最も小さな者のひとりにしたこと、それは すなわち 私にしたことと同じなんだからね。ありがとう、ニコラウス。お前の贈り物は、確かに 私に届いたのだよ 」
聖ニコラウスは、至福の感動と感謝のあまり どっと滝のように溢れ出した自分の涙が、まるで 再会を果たせたばかりの大事な家族を 再び流し去ってしまうことを恐れるかのように、しっかりと その両腕に愛する妻子を抱きしめました。

 ・・・ 彼らの傍らでは、キリスト・イエスがやさしく微笑みつつ 聖ニコラウス(サンタクロース )と家族との仲睦まじい光景を いつまでも温かく見守っていました。

 ― 良かったですね。
 クリスマスの意味を知って これを祝う、
 あなたと ご家族のすぐ傍らにも  
 ほら、キリスト・イエスは立っていますよ。

メリー・クリスマス
 
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