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スケルツォ倶楽部”発起人/作 の オリジナル・ストーリー
「サンタクロース物語 ~ It’s A Small World ~  」
この物語は、2010年11月30日から同年12月25日に投稿しました、
“スケルツォ倶楽部”発起人.作 の オリジナル連載小説に 手を加えたものです。

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 クリスマスの音楽_Karajan Presents
(2)東方の三博士 

 木工職人のニコラウスは、三人の占星術の博士 - カスパール、メルヒオール、バルタザール - に会いに行きました。
 彼らは旅の途中にあり、エリコの東端にある富裕な商人の立派な屋敷に滞在していました。その身なりの豪奢さや、彼らが運んでいる調度品や身の回りの品物の贅沢さは、部屋へ案内されたニコラウスの目を丸くさせるには十分でした。
 
 三人の博士のうち、カスパール師が その口数の寡少なために陰で「沈黙博士 」などと呼ばれているのとは逆に、メルヒオールとバルタザール師の二人は、とてもよく喋(しゃべ )る人物でした。
「ははは、身なりに驚いたようだな。実は われら三人は 東の国の王の血縁でもあるのだ 」
と 誇らしげに語る、三人の中では最も若いメルヒオール。
「天体観測術で未来に起こる出来事を調べることが出来れば、わが国の繁栄にも繋がるというわけで、東の国の王から わしらは莫大な研究費を頂戴しているんじゃ 」
と、ゆっくりと語る 老いたバルタザール師。
それを聞き、ニコラウスは尋ねました。
「なるほど。しかし そのような方々が、何故かくも遠き このような地まで旅してお出でになったのですか 」
メルヒオールとバルタザール師は、よくぞ訊いてくれた と言わんばかりに説明を始めました。
「・・・ そのきっかけは 一年前、天空に 極めて不可思議な星が存在するのを 私が発見したことだ 」
「いや、メルヒオールよ、最初に発見したのは そこに座っておられるカスパール師だったじゃろう 」
「いや、私の方が 一日早く見つけたんだ 」
「・・・ まあ、良いとしよう。その星は、通常あり得ぬ位置に存在し、あり得ぬほど明るい輝きを放ちながら 夜空を 少しずつ移動しておったのじゃ 」
「いろいろな角度から調べた挙句、遂に 私は ある真実を突きとめた 」
「いや、メルヒオールよ、先に突きとめたのは そこに座っておられるカスパール師だったじゃろう 」
「いや、私の方が 半日ほど早かったんだ 」
「・・・ まあ良いとしよう。重要なことは、この星が天に現れるのは なんと数千年に一度だけ ということ。それこそ“メシア(救世主)の星 ” という天の徴(しるし)だった ということが判ったんじゃ 」
「 “メシアの星 ” が 西の夜空に輝いてから1年後、その止まった地点から垂直に下ろした場所に、神の御子が誕生するという言い伝えだ 」
ニコラウスは驚いて聞き返しました。
「え、神の御子ですって? 」
その時、“沈黙博士” の カスパール師が、初めて口を開きました。
「然り。戦争・支配・迫害・貧困ばかりの 今の世を救うメシアとして、天からつかわされる神の御子。このお方さえいらっしゃれば、この世の中から 争いも病気も貧富の格差も全部なくなる。そして人々は 死に別れた親兄弟とも再会して みんなで 平和のうちに暮らせるようになる 」
それを聞いたニコラウスは、カスパール師に 興奮して尋ねました。
「そ、そんなことが その御子さまは 本当にお出来になるんですか。死に別れた親兄弟とも再会できるのなら、先立った倅(せがれ)や 家内にも 会わせて貰えるんでしょうか? 」
カスパール師は 言葉少なに答えました。
「然り。かく伝えられているとおりだ 」
その瞬間、ニコラウスは 最愛の妻マルタと息子のカルロスに会えるかもしれない - という喜びで胸がいっぱいになり、自分の両足が躍り上がってしまいそうになるのを 必死に堪(こら )えました。 
 けれど 高齢のバルタザール師は 溜め息をつきました。
「 ・・・ “メシアの星 ” は いまだに動き続けておる。老いたこの身には一年にも渡る長旅はさすがに堪(こた )えるわい。星が天空を動き続ける限り、わしらはずっと その星を追いかけて旅を続けねばならぬのじゃろうか - 」
若いメルヒオールが、老人を元気づけるように言いました。
「大丈夫だよ、バルタザール。神の徴(しるし)は、これが出現してから一年というではないか。われらの遠征も12か月目に入った、もう間もなく旅も終わろうというもの。 ・・・ 私は思うのだが、今の様子なら 星はエルサレム辺りで止まりそうな予感がする。おそらく その御子さまは、ヘロデ王の孫か、王に近い貴族の家にでも お生まれになるのだろう 」
これにうなづきながら バルタザール師は、椅子に腰をおろします。
「 お若い人よ、先ほど わしが言った “ 国の繁栄に繋がる ” とは 実は そういうことにも関係があるんじゃ、わかるか。神の御子が ご誕生ということになれば、その国は 近い将来 必ず勢いを増すであろう。遠く遥々(はるばる )表敬訪問にやって来た わしら東の国と、その御子さまの国とが将来 仲たがいするようなことがないように、最初から 友好を育(はぐく)み、心配の芽を摘み取っておく ということが、わしらの仕事の目的というわけなんじゃ 」

 - つづく - 


- 解説 ―
1.東方の三博士 - 救世主の誕生を祝うため 旅を続ける神秘的な存在で、伝承では「三人の王 」「三人の賢者 」などと呼ばれることもあります。ここで “スケルツォ倶楽部”発起人は 彼らのことを、東の国の王の血縁で 裕福な占星術学者 という設定にしました。

2.神の御子 - ここは ニコラウスがキリストの到来を知る 重要な場面です。
 ニコラウスにとって 救い主とは「この世から 争いも病気も貧富の格差も全部なくす 」だけでなく、「死に別れた妻子とも再会して みんなで平和のうちに暮らせるように 」してくれる存在として、彼の その後の行動すべてを 決定的に動機付けることとなるのでした。


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