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「気分がふさいでいるときは、いつも 新しいレコードを何枚か買うことにしてるんだよ 」 ブラームス Johannes Brahms, 1833 - 1897
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晩秋から初冬にかけて、 
グールドが描く ブラームスの「間奏曲集 」を聴く。

グールド、バッハ LP (CBS-SONY) グールド、バッハ LP 裏表紙
ブラームス 「間奏曲 」集
グレン・グールド(ピアノ )

SIDE A
 1.間奏曲 変ホ長調 Op.117-1 (5:33 )
 2.間奏曲 変ロ短調 Op.117-2 (5:26 )
 3.間奏曲 嬰ハ短調 Op.117-3 (5:18 )
 4.間奏曲 変ホ短調 Op.118-6 (5:57 )
SIDE B
 1.間奏曲 ホ長調 Op.116-4 (4:18 )
 2.間奏曲 イ短調 Op.76-7 (3:55 )
 3.間奏曲 イ長調 Op.76-6 (2:10 )
 4.間奏曲 ロ短調 Op.119-1 (2:22 )
 5.間奏曲 イ短調 Op.118-1 (1:03 )
 6.間奏曲 イ長調 Op.118-2 (5:43 )


 “スケルツォ倶楽部”発起人 が選ぶ 「無人島に連れてゆきたい100枚の音盤ランキング 」確実に 上位入選するであろう、思い入れも深い 一枚です。
 オリジナル・フォーマットである LPレコードでは、A面に収められた 四曲のうち、1960年 9月30日収録の 「3.嬰ハ短調Op.117-3 」を除く三曲は、この前日 9月29日のレコーディング。
 一方、B面に収められた 「1.ホ長調Op.116-4 」から「4.ロ短調Op.119-1 」までの四曲は、 2か月後となる11月21日、また「5.イ短調Op.118-1 」だけが11月23日の録音。そして レコードの巻末ラストに配された 名曲「6.イ長調Op.118-2 」は 再び 9月30日の録音分から採られ、全曲はいずれもニューヨーク、コロムビア30番街スタジオでレコーディングされたもの。プロデューサーは Joseph Scianni この一枚のアルバムのために グールドが選曲した 確かな眼と その よく考え抜かれた絶妙な配列に 唸ります。

グレン・グールド Glenn Gould

 もし 皆さまのお手元に この稀有な名盤を - L.P.フォーマットでもC.D.であっても - 保有しておられたなら、それは 幸いなことです。俳句に季語があるように、もし絶対音楽に対しても 感覚的に季節を与えようと試みたとしたら、この晩秋から初冬にかけての、まさに今の季節にこそ、あらためて耳を傾けることで その価値の深さを実感なさるでしょう。
 リスニングルームを 十分温かくしてから さあ、傍らに熱いコーヒーでも用意して、ご一緒に グールドのブラームスを 聴きましょう。

グールド_ブラームス

 もし このディスクを初めて聴く などという幸運な方がいらっしゃったら、そんな方に発起人がおススメする演奏は、やはりアルバム冒頭に置かれている 傑作 変ホ長調Op.117-1の「子守唄 」でしょうね。そのメロディの あまりの美しさのあまり、初めブラームスは これを声楽曲として構想したのではないかと考える人もいるくらいです。特にグールドが、和音をアルペジオのように わずかに崩してみせる 絶妙な奏法が 楽曲の隠された魅力を自然に表出させています。まずは この絶美の一曲に耳を傾けましょう。


 の耳には 「晩年 」のシューベルトの諦観を連想する、まるで冬空を吹き抜けてゆく冷たい風のような 変ホ短調Op.118-6 は、構想しつつも遂に作曲されなかった 幻の「第五交響曲 」緩徐楽章 の素材として ブラームスが考えていたとされる楽想です。
 一貫して零(こぼ )れ落ちるような美しい分散和音に終始する ロ短調Op.119-1シューマン風の魅力的な イ長調Op.76-6、巻末に置かれた名作 イ長調 Op.118-2 の語り口などにも きっと深い感銘を与えられると思いますよ。

 ・・・って、私“スケルツォ倶楽部”発起人、今回 このアルバムに関しては 当初 これほど多く語るつもりは 実は なかったのですが、やはり 聴き直してしまうと 中学生時代から繰り返し針を下してきた愛聴盤だった思い入れの深さと いまだに見出せる 新たな発見に対する感動のあまり つい余計な言葉が 過剰に溢れてしまいました。 ・・・どうもいけませんね。
 もし 私が 自分のコメントを勝手に付け加えて 皆さまに これほどの 高みにある名盤を 紹介させていただけるとしたら、言えることは もはやこれだけです。 
Don’t Think, Just Listen !

■ 「間奏曲イ長調Op.118-2 」の録音に 別ヴァージョン の存在が !
 2003年秋、「アンド・セレニティ ~ 瞑想するグレン・グールド 」なる グールドのオムニバス・コンピレーション盤がリリースされました。
 その国内盤には、日本盤のみのボーナス・トラックとして 「間奏曲イ長調Op.118-2 」の 貴重な未発表 別ヴァージョンの録音が 世界初CD化 という歌い文句で収録されてました。
 こちらは オリジナル・レコーディングの前の年 - 1959年 5月 1日 - の録音で、プロデューサーはハワード・スコット、 オリジナル・テイクより10秒ほど短い程度で 解釈にも 致命的な差異はありませんが、楽曲の円満なまとめ具合や 微妙な歌い回し、グールドの落ち着きなどは やはり オリジナル・テイクのほうに軍配が上げられると思います。

グールド ブラームス 間奏曲集_0007 グールド ブラームス 間奏曲集_ブラームスの楽譜
コンピレーション盤 「アンド・セレニティ ~ 瞑想するグレン・グールド 」
音盤:ソニー・クラシカル(SICC-176 )
CBS音源からのオムニバス編集盤
収録曲
1.マルチェッロ(J.S.バッハ編 ):オーボエ協奏曲ニ短調BWV974 ~ 第2楽章 アダージョ
2. シベリウス:ソナチネ第2番ホ長調op.67-2 ~ 第2楽章 アンダンティーノ
3. R.シュトラウス:ピアノ・ソナタ ロ短調op.5 ~ 第2楽章 アダージョ・カンタービレ
4. ブラームス:間奏曲イ長調op.118-2
5. メンデルスゾーン:無言歌ホ長調op.30-3
6. メンデルスゾーン:無言歌ホ長調op.19-1
7. C.P.E.バッハ:ヴェルテンベルク・ソナタ第1番イ短調Wq.49-1 ~ 第2楽章 アンダンテ
8. J.S.バッハ:イギリス組曲第4番ヘ長調BWV809 ~ 第4曲 サラバンド
9. グリーグ:ピアノ・ソナタ ホ短調op.7 ~ 第2楽章 アンダンテ・モルト
10. スクリャービン:2つの小品op.57
11. R.シュトラウス:5つの小品op.3 ~ 第1曲 アンダンテ
12. ブラームス:間奏曲 変ロ短調op.117-2
13. ブラームス:4つのバラードop.10~第1番ニ短調「エドワード・バラード 」
14. ブラームス:間奏曲 変ホ長調op.117-1
15. ブラームス:間奏曲イ長調op.118-2 (別ヴァージョン )


グールド ブラームス 間奏曲集_0002 グールド ブラームス:バラード集、ラプソディ集、間奏曲集 
グレン・グールド・コレクション第12集
ブラームス:4つのバラード、2つのラプソディ、間奏曲集
音 盤:海外盤(Sony Classical 2CD 88725412902 )
収録曲:
CD1
 ・4つのバラード Op.10
 ・2つのラプソディ Op.79
CD2
 ・間奏曲 変ホ長調 Op.117-1
 ・間奏曲 変ロ短調 Op.117-2
 ・間奏曲 嬰ハ短調 Op.117-3
 ・間奏曲 変ホ短調 Op.118-6
 ・間奏曲 ホ長調 Op.116-4
 ・間奏曲 イ短調 Op.76-7
 ・間奏曲 イ長調 Op.76-6
 ・間奏曲 ロ短調 Op.119-1
 ・間奏曲 イ短調 Op.118-1
 ・間奏曲 イ長調 Op.118-2(1960年録音 )
 ・間奏曲 イ長調 Op.118-2(1959年録音
グレン・グールド(ピアノ)


■ 最後に オマケの話題を ひとつ・・・
グールド ブラームス 間奏曲集
▼ 実は ずっと気になっていたことだったんですが、今回 遂に発見 ! オリジナル・ジャケットで グールドの肘の下に敷かれていた 分厚い本は、ブラームスの楽譜でした!
グールド ブラームス 間奏曲集_0004
グールド・オリジナルコレクション Sony Classical 2CD 88725412902 所収のブックレット写真より )
「 ? それがどうした 」って言われたら困るんですが、こういう細部へのこだわりは きっと わかる人にしか ワカッテもらえない・・・ と思うからです(笑 )。

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コメント

ご丁寧にありがとうございます。

元気にしております。
ますます興味をもちましたので早速仕入れました。明日には手元に届く予定です。ありがとうございます。

岡本先生 !

岡本先生、コメント ありがとうございます。お元気でしたか。
オリジナルの前年に録音されていた グールドの 「間奏曲 イ長調 作品118-2(ブラームス ) 」 別ヴァージョンは、「オリジナル・テイクと殆ど差異はない 」と 拙ブログ中に書いたものの、 本日 気になって 久しぶりに 聴き直してみたら、かなり はっきりと判るところを 一か所だけ 見つけました !
それは、冒頭 最初のイ長調の和音を、未発表テイクのグールドは、軽く アルペジオ気味に 弾き始めていたのです ! それは 一年後の「変ホ長調 作品117-1 」と同じ発想だったのです !

URL | “スケルツォ倶楽部”発起人 ID:-

NoTitle

グールドのブラームスはおっしゃる通り超のつく名盤だと僕も思います。
とはいえ、作品118-2に未発表テイクがあるとは知りませんでした。
聴いてみようと思います。ありがとうございます。

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