本記事は、5月 7日 「人気記事ジャズ ランキング 」 で 第1位となりました。
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Getz Children Of The World (CBSソニー 25AP-1696 ) スケルツォ倶楽部 ⇒ 全記事 一覧は こちら
午後のジャズ喫茶 「カフェ ソッ・ピーナ」から
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スタン・ゲッツのレコードは なぜ
子どもと一緒に写った ジャケットが 多いのか

Getz Family Portrait Getz_Children Of The World (CBSソニー 25AP-1696 ) Stan Getz Plays_Verve

■ 今日も ジャズ・カフェ“ソッ・ピーナ”
 こんにちは、“スケルツォ倶楽部”発起人(妻 )のコーナーです。
 ジャズ・カフェ“ソッ・ピーナ”は、わたしの自宅から徒歩10分ほどの近距離、公園そばに建つ オレンジ色の雑居ビル2階にある ガラス張りの明るい喫茶店です。
 音楽オタクで独身の変わり者、二代目マスターが選んでくれるディスクを、先代オーナーから伝承の巨大なオーディオ・セットで 思いきり大音量で聴かせてもらえるのが 何かと忙しい わたしの数少ないストレス発散法のひとつ。
 さあ、でも 今日は 一体どんな音楽がかかっているのかしら? と、小さな胸をわくわくさせながら 重たい防音ドアを 力いっぱい開ければ、そこに 吊り下げられたオーストリア・チロル地方の大きなカウベルが がららんと鳴る音に マーラー第6交響曲を連想していると、奥の厨房からマスターが。
マスター   「いらっしゃいませ 」
わたし    「こんにちは、マスター。ね、今日 5月 5日は 何の日だ? 」
マスター   「唐突ですねー。世間一般は 子どもの日。こいのぼり立てて、ちまき食べて、おもちゃ買ってもらって。好きだったなー、子どもの頃は 」
わたし    「マスターのお店では また何かやらないの? お子さまランチ・スペシャルとか 」
マスター   「いえいえ、ジャズ・カフェに お子さま連れのお客様なんて まず いらっしゃらないです(きっぱり )。それにG.W.(ゴールデン・ウィーク )期間って 平日のモーニングやランチのお客様がご来店されない分、実は 売上が立たないので、もう毎年 5月といえば 赤字と決まってるんですよ 」
わたし    「って、5月だけ? 」
マスター   「う・・・うう(泣き出す ) 」
わたし    「言わぬが花だったようね 」
マスター   「・・・にもかかわらず、肉も野菜もパンもミルクも卵もコーヒー豆も 余計に仕入れておかなきゃいけないし、釣銭だって用意しておかなきゃだし 」
わたし    「ふんふん 」
マスター   「それなのに 食材の卸問屋も銀行の両替機も休みって、コンちくわ 一体どういうことなんでしょう(怒り出す ) 」
わたし    「まま、落ち着いて。(はやく話題を変えなきゃ )ええと マスター、そう言えば スタン・ゲッツのレコード・ジャケットってさ、子どもが一緒に写ってるデザインが 多いわよね、それ なぜなの? 」
マスター   「え? ああ たしかに、名盤『ゲッツ・プレイズ 』を筆頭に、『キャプテン・マーヴェル 』、『スウィート・レイン 』の裏ジャケット写真、それにCBSコロンビア盤の愛称『スヌーピー 』と・・・ うん、たしかに おっしゃるとおりですね 」
わたし    「よかった、喰いついてくれて 」
マスター   「? 」

Stan Getz Plays_Verve Stan and Steve Getz at the St. Louis Zoo_1961 
▲ スタン・ゲッツ・プレイズ Stan Getz Plays
  スタン・ゲッツ(テナー・サックス )
  デューク・ジョーダン(ピアノ )
  ジミー・レイニー(ギター )
  ビル・クロウ(ベース )
  フランク・イソラ(ドラムス )
曲 目:星影のステラ、タイム・オン・マイ・ハンズ、ティス・オータム、今宵の君は、恋人よ我に帰れ、身も心も、アラバマに星落ちて、ユー・ターンド・ザ・テーブルズ・オン・ミー、サンクス・フォー・ザ・メモリー、ヒム・オブ・ジ・オリエント、ジーズ・フーリッシュ・シングズ、(ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン )
録 音:1952年12月12 & 29日、ニューヨーク
音 盤:Verve(ポリドール POCJ-9125 )

わたし    「柔らかいトーンのゲッツのアドリブは、まるで湧水がどんどん溢れるように 止めどなく繰り出される素晴らしさ。そんな演奏の合間に ゲッツの耳元まで口を寄せて内緒ばなしする 可愛らしい仕草の男の子。この子、ゲッツのお子さんなのかしら 」
マスター   「長男のスティーヴくんだそうです、当時 5歳 」
わたし    「では お母さんって、有名な 北欧の美少女だったモニカさん? 」
マスター   「そこですね。ゲッツの結婚相手といえば、一般には スウェーデン出身の美しい妻モニカっていうイメージが たしかに強いわけですけど、実は ゲッツがワシントンのジョージタウン大学に留学中だった 女子大生 モニカに 初めて出会ったのは1955年になってからですし、実際に 二人が結ばれたのも翌年1956年ですから・・・ 」
わたし    「ノーマン・グランツヴァーヴ・レーベルの名盤『スタン・ゲッツ・プレイズ 』が発表されたのは、それより昔の1953年。ということは、(この有名なジャケットが 初リリース時のオリジナル・デザインだったとすれば、 )少なくともモニカさんとの間に授かったお子さんではないわよね 」
マスター   「はい、それはあり得ないですね。スティーヴくんのお母さんは、ゲッツ最初の結婚(1947年 )相手で、当時18歳だった ビヴァリー・バーン(スチュアート )というジーン・クルーパ楽団に在籍していた女声歌手でした 」
わたし    「ゲッツは、美人のモニカさんと出会ってしまったために、スティーヴくんのお母さんである 最初の妻ビヴァリーさんと別れたのかしら 」
マスター   「ぼくも真相は知らないんですが、離婚(1956年 )後、ビヴァリースティーヴくんを含む ゲッツとの子供たちを連れ(原田和典氏の情報に拠ります )、トランペット奏者トニー・フラッセラのもとへ その身を寄せたそうです」
わたし   「そんな話をあとで聞いた 未来のわたしたちの目からジャケットを眺めちゃうと、スティーヴ坊やは 『パパ、おねがい。ママと別れないであげて 』って訴えているように見えてしまうわね 」
マスター   「なるほど。それ、女性らしい感性ですねー 」
わたし    「スティーヴくんは その後 どうなったのかしら 」
マスター   「今、ハリー・アレンのマネジャーとして芸能業界で活躍しているらしい(岡村融氏の伝聞情報に拠ります )ですよ 」

Stan son Nick
ゲッツと 次男(?)ニック Nick くん

わたし    「ゲッツの 他の“子ども”ジャケットも 時系列順に 聴かせて頂戴。 」
マスター   「お安いご用です。ゲッツモニカ夫人との家族写真も併せて ご覧に入れましょう 」

The Best of STAN GETZ_VERVE V6-8719 ! THE BEST OF STAN GETZ_VERVE V6-8719 Monica Getz
▲ ベスト・オブ・ゲッツ The Best Of STAN GETZ
リリース:1967年
収録曲:風に吹かれて Blowin' In The Wind、ハー Her、ペントハウス・セレナーデ Penthouse Serenade、ヂザフィナート Desafinado、イパネマの娘 Girl From Ipanema、ヒア’ズ・ザット・レイニー・デイ Here's That Rainy Day、フークッドケア Who Could Care、インセンシティヴ Insensatez、テレフォンソング The Telephone Song、ネイチャー・ボーイ Nature Boy、スタン’ズ・ブルース Stan's Blues
音  盤:L.P.(VERVE_V6-8719 )ヴァーヴ音源による コンピレーション盤

ちなみに、右の写真は ジャケット裏に印刷された、1966年のモニカ夫人のポートレート


Sweet Rain_Verve(ポリドール POCJ-9140 ) Sweet Rain(裏 )Verve(ポリドール POCJ-9140 )
▲ スウィート・レイン Sweet Rain
  スタン・ゲッツ(テナーサックス )
  チック・コリア(ピアノ )
  ロンカーター(ベース )
  グラディ・テイト(ドラムス )
曲 目:リザ、オ・グランヂ・アモール、スウィート・レイン、コン・アルマ、ウィンドウズ
録 音:1967年3月21日、30日、ニューヨーク
音 盤:Verve(ポリドール POCJ-9140 )


キャプテン・マーヴェル Captain Marvel_CBS Columbia キャプテン・マーヴェル Captain Marvel(裏 )CBS Columbia
▲ キャプテン・マーヴェル Captain Marvel
  スタン・ゲッツ(テナーサックス )
  チック・コリア(エレクトリック・ピアノ )
  スタンリー・クラーク(ベース )
  トニー・ウィリアムス(ドラムス )
  アイアート・モレイラ(パーカッション )
曲 目:ラ・フィエスタ、500マイルズ・ハイ、キャプテン・マーヴェル、タイムズ・ライ、ラッシュ・ライフ、デイ・ウェイヴズ、(クリスタル・サイレンス )
録 音:1972年3月3日、ニューヨーク
音 盤:海外盤 CBS Columbia

わたし    「キャプテン・マーヴェルのほうは、表紙が 少年時代のゲッツ、裏表紙が 当時の成人ゲッツ、という趣向のジャケットです 」
マスター   「チック・コリアリターン・トゥ・フォーエヴァーゲッツが乗り込んで、さらにトニー・ウィリアムスをトッピングという もの凄い顔ぶれに、賛否両論の一枚ですね 」
わたし    「わたし 実は アイアート・モレイラパーカッションの音って、好きじゃないの。っていうか、はっきリ言ってキライ。これが無ければ いいのに 」
マスター   「大丈夫ですよ。パーカッション抜きの、ゲッツチックスタンリー・クラーク、そしてトニーという 4人編成で、1972年に スイスのモントルー・ジャズ・フェスティヴァル で ライヴ演奏していますが、最近 この正規録音盤が(映像も )リリースされていますからね 」
わたし    「ゲッツチック・コリアとの活動については、また別の機会を設けて語りたいわね 」
マスター   「お約束しましょう 」
わたし    「必ずだよ(にっこり ) 」

マイ・フーリッシュ・ハート My Foolish (裏 )Heart_Label M (2) マイ・フーリッシュ・ハート My Foolish (裏 )Heart_Label M (1)
▲ マイ・フーリッシュ・ハート My Foolish Heart
  スタン・ゲッツ(テナーサックス )
  リッチー・バイラーク(ピアノ )
  デイヴ・ホランド(ベース )
  ジャック・ディジョネット(ドラムス )
曲 目:インヴィテイション、アンタイトルド、スプリング・イズ・ヒア、リザ、ルシファールズ・フォール、マイ・フーリッシュ・ハート、フィエスタ(フェスティヴァル )
録 音:1975年3月20日、フェイマス・ボールルーム、ボルティモア
音 盤:海外盤 Label M

マスター   「たいへん興味深いメンバーによるライヴです。ゲッツの歴代グループ・ユニットとして聴き比べた場合、その集中力、結果としての音響、構成・仕上がり、まとまりの良さなどは、 まさに“チック・コリア・バンド”だった前作『キャプテン・マーヴェル 』より 上ではないかと、ぼく個人的には 思いますね 」
わたし    「あのさ、最後に収録されてる『フィエスタ 』っていう曲のクレジット、これチック・コリアの作品じゃなく、ドラムスのジャック・デジョネットの曲だよね 」
マスター    「あれ、本当だ。今の今まで チック・コリアの『ラ・フィエスタ 』だとばかり思ってた・・・ 」
わたし     「マスターったら 格好いいこと言って、実は最後まで聴いてないんでしょ。これは 1984年にデジョネットが 彼のスペシャル・エディション(ECM-1280、823 467-2 )でも再演していたカリプソ風の佳曲 Festival だよ 」
マスター    「ああー、スペシャル・エディションの『アルバム・アルバム 』に入ってた明るい曲! そういえば、あのジャケットに使われている写真も 偶然か 意図的か デジョネット夫妻と 二人のお嬢ちゃんたちとの家族ショットでしたね 」
Jack DeJohnette_ECM-1280 Jack DeJohnette_ECM-1280 (2)
▲ これは ジャック・デジョネットスペシャル・エディションアルバム・アルバム 」(ECM )
わたし    「このレコードを 初めて手にとった時、それまで どちらかと言えば硬派なイメージだったジャック・デジョネットが 何で? っていう感じの、とても意外な 第一印象だったのを覚えているわ 」
マスター    「たしかに ジャズのレコード・ジャケット写真に リーダー・ミュージシャンが 自分の子どもを登場させることって、スタン・ゲッツ以外には すぐ思い出せないくらい・・・ やっぱり コレって とても珍しいことなんですよ 」
わたし     「次は、スケルツォ倶楽部でも 以前から 何度も話題にしてきた 注目の一枚ね 」 

Getz_Children Of The World (CBSソニー 25AP-1696 ) Getz_Children Of The World (裏 )CBSソニー 25AP-1696
▲ チルドレン・オブ・ザ・ワールド Children Of The World
このディスクのデータ詳細は こちら ⇒ 過去記事を ご参照


Stan Getz_People Time_Emarcy(PHCE-2021~22 ) Stan Getz_People Time(裏 )Emarcy(PHCE-2021~22 )
▲ ピープル・タイム People Time
収録曲:イースト・オブ・ザ・サン,ウェスト・オブ・ザ・ムーン、ナイト・アンド・デイ、アイム・オーケイ、ライク・サムワン・イン・ラヴ、ステイブルメイツ、アイ・リメンバー・クリフォード、風と共に去りぬ、ファースト・ソング、ゼア・イズ・ノー・グレイター・ラヴ、飾りのついた四輪馬車、ピープル・タイム、朝日のようにさわやかに、ハッシャバイ、ソウル・アイズ
  スタン・ゲッツ(テナー・サックス )
  ケニー・バロン(ピアノ )
録 音:1991年 3月 3日、4日、5日、6日、コペンハーゲン「カフェ・モンマルトル 」におけるライヴ
音 盤:Emarcy(ポリグラム PHCE-2021~22 )

わたし    「あら、最後は こどもが ジャケットにいっぱい! 」
マスター    「ゲッツが亡くなる わずか3ケ月前、ラスト・ステージの最後の録音ですね。末期がんによる 体力の著しい消耗にもかかわらず、不安を微塵も感じさせず、迷いの欠片もない 彼のブロウィングが到達した境地は まさに前代未聞、至高の名演奏 」
わたし    「文字どおり 白鳥の歌の記録と言えるわね。あと 特筆すべきは ピアノ伴奏者だったケニー・バロンが、ホント とても良い仕事をしたということね、これを聴いて 連想しちゃうのは、かつて 晩年のアート・ぺッパーのことを支えた、やはりピアニストだった ジョージ・ケイブルスが果たした役割に勝るとも劣らない素晴らしさ 」


スタン・ゲッツは フィラデルフィアのハーレム出身 幼少時代のゲッツ_New York
わたし    「そして、これがゲッツの子どもの頃の写真なのね、かわいい 」
マスター   「あらためて、スタン・ゲッツ Stan Getz(1927 – 1991 )フィラデルフィアのハーレム出身でした。家庭は ウクライナ(当時ソ連 )移民のユダヤ系の両親のもとに生まれです 」
わたし    「彼の両親の写真がこちら 」
Stans Father - Alexander Stans Mother - Goldie
マスター   「そうです、父の名は アレクサンダー、最初にアルト・サックスを買い与えたのは この父親だったそうです 」
わたし    「お母さんの名前は ゴールディ
マスター   「スタン少年が 一日8時間、バスルームでサックスを練習する音がうるさいぞと近所から苦情を言われた時に、ふん、もっとデカい音で吹いてやんな、スタン、と お母さんが 相手に怒鳴り返してくれて うれしかった、というエピソード、有名ですよね (笑 ) 」
マスター   「10代の頃からジャック・ティーガーデン、スタン・ケントン、そしてベニー・グッドマンといった名門バンドで活躍。そして、ウディ・ハーマンセカンド・ハードに参加します 」
わたし    「有名なフォー・ブラザーズ時代ね、ゲッツ、ズート・シムズ、サージ・チャロフ、ハービー・スチュワードと並んでハーマン楽団の看板スターだったそうね 」
マスター   「中でも名高いのが ラルフ・バーンズの作曲した『サマー・シークエンス組曲、その第4部『初秋(アーリー・オータム ) 』での たいへん個性的な 詩的ソロです 」

Woody Herman_Blowin’ Up A Storm:The Columbia Years 1945-47
▲ ウディ・ハーマン:Blowin’ Up A Storm:The Columbia Years 1945-47
CBS Columbia時代の名演集(Columbia Legacy C2K 65646

マスター   「ゲッツのソロが有名な「サマー・シークエンス、パート4 (アーリー・オータム ) 」オリジナル録音が(さらに貴重な別テイクまで )聴けるのがこれです 」
わたし    「たしかに ゲッツの絶妙な語り口によるソロが始まると、もうホント 一瞬で空気が変わってしまうような、ここでの即興演奏ったら いつ聴いても素晴らしいわよね 」
マスター   「この名演によって、ゲッツは いわゆるクール・ジャズを代表するテナー・サックス奏者として知られるようになり、ソロ活動へと快進撃を始めるわけですね 」
わたし    「さてと、今日は そろそろおいとましようかなー 」
マスター   「ありがとうございました。 ・・・そう言えば、“スケルツォ倶楽部”発起人さん ご夫妻には お子さん、いらっしゃるんですか? 」
わたし    「ふふん、それは内緒!


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