本記事は 4月 3日 「 注目記事ランキング クラシック音楽鑑賞 」で 第1位 となりました。
皆さまのおかげです、どうもありがとうございました。


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スケルツォ倶楽部 Club Scherzo
「ベートーヴェンの顔 」
Beethoven_Christian Frederik Emil Horneman _1803 by Isidor Neugass, 1806 Beethoven_部分_Joseph Karl Stieler、1820 Ferdinand Georg Waldmuller, Portrait of Beethoven, 1823

 こんばんは、 “スケルツォ倶楽部”発起人(妻のほう )です。
 わたしたち夫婦が ともに尊敬の対象としている 大作曲家ベートーヴェンは、この世の中に 写真の撮影技術がまさに普及しようかという直前に - それは、まるで撮られるのを避けるかのように -  この世を去ってしまいましたから、口惜しくも 楽聖真正なる肖像写真 は、存在しません。ああ、果たして実物のベートーヴェンったら、一体 どんな顔をしていたんでしょうね。
 それでも 古今の肖像画などで様々に描かれてきたベートーヴェンの顔には、さながら「イコン 」のごとく いくつかの共通点があるのです。
 その代表的な特徴とは ご存知のとおり、蓬髪(もじゃもじゃ頭 )、 きりっと固く閉じた 薄い唇 (ん、頑固そう・・・ )、そして  とにかく 鋭い眼光 (少し やぶにらみ気味か )、  ・・・ これらは どの絵にも まるでお約束のように描きこまれていますから、やはり 本物も これに近かったんだろうなー などと 勝手に推察。
 今月のベートーヴェンの命日 - 3月26日 - には 心より掌を合わせつつ、今宵は 多少駆け足となりますが、時系列で偉大な音楽家の肖像画を ご一緒に見てまいりましょう!

ケーキだ、ケーキカットだ! ちょっとスゴクない?
1770年12月16日、誕生


Thirteen years old _1783_Beethoven
1783年(13歳 )少年ベートーヴェンとして伝わる油絵 
伝承の背景は不明です(ウィーンのKunsthistorisches Museum所収 )。
この時期の作品 : 選帝候ソナタ 変ホ長調、ヘ短調、ニ長調 WoO.47

Joseph Neesen , Silhouette of Beethoven, c. 1786
1786年(16歳 )ベートーヴェン横顔のシルエット
ヨーゼフ・ニーセン Joseph Neesen による。
この前年から ボンの宮廷オルガニストに就任しており、
ウィーンへ赴いて モーツァルトに会うのは、この翌年です。

母の死、その後 本格的にウィーンへ移住、ハイドンとの出会いと決別・・・
しかし 一人前の音楽家として活躍を始めた 初期の時代の肖像画は、殆ど残っていません。

Beethoven_1801_By Carl Traugott Riedel アルテュール・グリュミオー_1968年、La Chaux de Fonds、Musica‐Theatre
1801年(31歳
カール・トラウゴット・リーデル Carl Traugott Riedel による肖像画
この時期の作品 : スプリング・ソナタ ヘ長調、「魔笛 」の主題による7つの変奏曲WoO.46
前年(1800年 )には、自らが主催するコンサートで、交響曲第1番 ハ長調、七重奏曲 変ホ長調 などを 初演しています。

ルードウィヒ・B(手塚治虫 )潮出版社 手塚治虫 ©手塚プロダクション
1802年(32歳
これは、手塚治虫の死によって惜しくも未完となった「ルードウィヒ・B 」の主人公ベートーヴェン。手塚の 「ルートウィヒ 」 は、ピアノ・ソナタ「月光 」を弾き終えたところで、その動きを 永遠に止めています。
手塚治虫が作品を通して扱った音楽の話題は、また改めて 別の機会をもうけることを お約束します )

Beethoven_Christian Frederik Emil Horneman _1803 ベートーヴェン_フォルテピアノとヴァイオリンのためのソナタ全集_シュレーダー_インマゼール_DHM
1803年(33歳
クリスチャン・フレデリク・エミール・ホーネマン Christian Frederik Emil Horneman による肖像画
この時期の作品 : ピアノ協奏曲第3番 ハ短調、クロイツェル・ソナタ イ長調、歌曲「うずらの鳴き声 」WoO.129
 
Willibrod Josef Mahler, Portrait of Beethoven with Lyre, c. 1804(部分 ) BIS_ベートーヴェン_ピアノとオーケストラ楽曲全集
1804年(34歳
 ヨーゼフ・ヴィリブロート・メーラー Joseph Willibrord Mähler による肖像(部分 )。
 この肖像画には 実は ちょっとオモシロイ設定があって、戦後のわが国のベートーヴェン研究の草分け的存在の一人だった 武川寛海氏によれば、その構図を「森の小路を自転車に乗った若きベートーヴェンが 右手をハンドルから離して、やあと合図しているみたい 」などと絶妙な口調で説明した後、 「左手がつかんでいるのは (自転車ではなく ) なんとリラ - 古代ギリシャの楽器 - である 」と言うのです。
Willibrod Josef Mahler, Portrait of Beethoven with Lyre, c. 1804
「拡げた右手の後ろに見えるのは イオニア式の円柱のある神殿であり、さらにその後ろには 雲に覆われた山の背があり、植わっている木はポプラである。彼が挙げている右手は 『音楽的な恍惚の状態にあるがごとく拍子をとっているところ 』だ 」と、音楽学者カール・コーバルトの著作における解説を紹介してくださっています。
 たしかに、この絵の英題は「Portrait of Beethoven with Lyre(リラを持つベートーヴェンのポートレート ) 」というのだそうです。もし説明がなければ ホント「自転車に乗るベートーヴェン 」ですよね。 ♪ リンリン
ベートーヴェンの膝を照らす(部分) A postcard showing a girl playing a lyre-guitar_from Wikipedia
 楽聖の、ちょうど陰になっている膝の周辺を明るく加工してみると… Oh,なるほど ! たしかに 古代ギリシャの竪琴「リラ 」が描かれていましたね。参考までに 右の絵は「リラ 」を奏でる音楽の女神です(19世紀のポストカードより )。
 ・・・もとい。
 この時期の作品 : 交響曲第3番 変ホ長調「英雄 」、ピアノ・ソナタ第18番 変ホ長調、同第21番 ハ長調「ヴァルトシュタイン 」、オラトリオ「かんらん山上のキリスト 」 という傑作揃いです。

by Isidor Neugass, 1806 Hogwood Beethoven Eroica_ スケルツォ倶楽部
1806年(36歳 イジドール・ノイガス Isidor Neugass による肖像画
この時期の作品 : 交響曲第4番 変ロ長調、ヴァイオリン協奏曲 ニ長調、弦楽四重奏曲(第7番 ~ 第9番 )「ラズモフスキー」、そして ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調「熱情 」(前年作曲 )・・・

by Julius Schmid_散策するベートーヴェン
1808年(37歳
 ユリウス・シュミット Julius Schmid の筆による、有名な「自然を散策するベートーヴェン 」です。これは肖像画ではなく、風景画に溶け込んだ楽聖の - まさに自然と一体化した - 姿と言える傑作でしょう。
 これが描かれた時期は ベートーヴェンの没後なので、本当は時系列的にはこの位置ではないのですが、発起人(妻 )が 個人的に 好きだからというだけの理由で、交響曲第6番 ヘ長調「田園 」の作曲年に - 1808年に - 勝手に置いちゃいました(スミマセン )。
Julius Schmid, Beethoven plays at a social gathering at the house of Prince Lichnowsky
 ユリウス・シュミットは、極めて卓越した写実的な技術の高い画家でした。音楽関係の絵画では あの「シューベルティアーデ 」も傑作だと思いますが、ベートーヴェンを題材にした他の絵画には、 「公爵リヒノフスキー邸の集いで ピアノを弾くベートーヴェン 」 Beethoven Plays At A Social Gathering At The House Of Prince Lichnowsky (上掲 ) など、興味深い作品を残していますね。


Beethoven’s “Life” Mask made in 1812 by Franz Klein Barenboim_Beethoven_ERATO.jpg
1812年(42歳
 フランツ・クライン Franz Klein が、生前のベートーヴェンの顔から型を取った枠に石膏を流して固めた( デス・マスクではなく ) “ライフ”マスクです。ゆえに、生前の「ベートーヴェンの顔 」の造形には 最も近いものとされています。
この時期の作品 : 交響曲第7番 イ長調、同第8番 ヘ長調

Blasius Hofel, Beethoven, 1814 アマデウス弦楽四重奏団_ハープ_D.G.
1814年(44歳ブラシウス・ホーフェル Blasius Hofel による肖像画
この時期の作品 : 歌劇「フィデリオ 」、ピアノ・ソナタ第27番ホ短調op.99

Willibrord Joseph Mahler, Beethoven, 1815 ベートーヴェン_ピアノとチェロのための作品全集_鈴木秀美_小島芳子_DHM
1815年(45歳 
ヨーゼフ・ヴィリブロート・メーラー Joseph Willibrord Mähler による肖像画。
急死した実弟の息子、すなわち甥であるカールの後見を巡って 裁判紛争になってしまいます。これらに貴重なエネルギーを消耗したのか、この時期以降に作曲される作品数は、さらに健康問題なども重なってか、暫く 著しく減少してしまうのでした。

1818 August von Klober による素描 ベートーヴェン_交響曲全集_インマゼール_アニマ・エテルナ(ZIG-ZAG )
1818年(48歳
アウグスト・フォン・クローベル August von Klober による素描。

Ferdinand Schimon, Portrait of Beethoven 1818-1819 ベートーヴェン_交響曲第2番_ケルテス_バンベルク交響楽団_オイロディスク(DENON )
1819年(49歳
フェルディナンド・シモン Ferdinand Schimon による肖像画
聴覚の衰えが著しくなり「筆談帳 」が欠かせなくなります。
この時期の作品 : ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調「ハンマークラヴィア 」

Beethoven_部分_Joseph Karl Stieler、1820 グールド_バガテル CBS SONYベートーヴェン_ミサ・ソレムニス_ジンマン_チューリヒ・トーンハレ_Arte Nova
ベートーヴェンDG全集 ビルスマ&インマゼール_ベートーヴェン チェロ・ソナタ全集_Sony
1820年(50歳
ヨーゼフ・カール・シュティーラー Joseph Karl Stieler による 最も有名な肖像画
この時期の作品 : ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調

Ferdinand Georg Waldmuller, Portrait of Beethoven, 1823 ガーディナー盤「ミサ・ソレムニス 」Archiv_スケルツォ倶楽部
1823年(53歳
フェルディナンド・ゲオルク・ヴァルトミュラー Ferdinand Georg Waldmuller による肖像画
この時期の作品 : ミサ・ソレムニス ニ長調、ディアベッリ変奏曲

by Johann Stefen Decker in 1824
1824年(54歳
ヨハン・シュテファン・デッカー Johann Stefen Decker による素描
この時期の作品 : 交響曲第9番 ニ短調「合唱 」

Joseph Karl Stieler_Beethoven_1826-1827 ポリーニ_ベートーヴェン 後期ピアノ・ソナタ集_D.G._スケルツォ倶楽部 Maurizio Pollini _ Beethoven Sonaten OPP.101-106 Hammerklavier POCG-9950
1826年(56歳
ヨーゼフ・カール・シュティーラー Joseph Karl Stieler による肖像画
身体の不調が続き、容態も相当 悪化します。
この時期の作品 : 弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 同第16番 ヘ長調、大フーガ 変ロ長調(これは、ご存知のとおり、前年に完成した 弦楽四重奏第12番 のフィナーレとして 当初は構想されていたものです )。

Julius Schmid_Beethoven In Quiet Contemplation
ユリウス・シュミット Julius Schmid の絵画作品を もう一枚 紹介。
最晩年の楽聖の姿を描いた、「沈思黙考のベートーヴェン 」 Beethoven In Quiet Contemplation 
どことなく フェルメールを連想させる構図(照明や静物なども )です。

by Joesph Danhauser_ March 28, 1827
1827年 3月26日 午後 5時45分、ベートーヴェン永眠(56歳 3ヶ月
ヨーゼフ・ダンハウザー Joesph Danhauser による素描 ( 筆写は 逝去より二日後の 3月28日でした )


弾き終えて 黙祷するシュローダー
黙祷・・・

関連記事は こちら ⇒ 「シュローダーが 『悲愴 』を弾いたのは ベートーヴェンの命日だったかも。

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コメント

岡本さま!

岡本さまは 質も量も飛び切りの 音楽ブログ 「アレグロ・コン・ブリオ 」 ( ただいま第5章! ) http://classic.opus-3.net/blog/ のAuthor でいらっしゃいます。 お便り ありがとうございます。
この場を 借りて、 3月27日の貴ブログ記事 http://classic.opus-3.net/blog/?p=13187#comments  - の コメント欄に ご返事くださった文章の中、たった一言で ワーグナーの長大なる 「指環 」の本質を総括してしまう 「権力より愛だね 」 の秀逸さには、少なくとも 1分以上 おなかを抱えてしまいました。 素晴らしい!

URL | “スケルツォ倶楽部”発起人 ID:-

NoTitle

こんばんは。
ベートーヴェンの肖像画を時系列でみていくという試み面白いですね。
果たして実際のベートーヴェンの顔はどうだったのか興味津々です。
それにしても1800年以前のものがほとんど残されていないというのが不思議です。

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