本記事は 3月 1日 「 注目記事ランキング クラシック音楽鑑賞 」で 第1位 となりました。
皆さまのおかげです、これからも 何卒よろしくお願い申し上げます。


スケルツォ倶楽部
名優ゲアハルト・シュトルツェの演技を聴く
 オルフ「オイディプス王」(クーベリック)D.G.ゲルハルト・シュトルツェ(最小サイズの肖像写真)  目次は こちら

(38)シュトルツェ晩年の舞台出演、そして再婚

■ 1974年「夜警
   ~ ワーグナー:楽劇「ニュールンベルクのマイスタージンガー

存在しません。
 前回の話題( カラヤンによる、映画版 「ラインの黄金ワーグナー ) 」 録音1973年、映像は1978年 撮影 )から 時系列は前後しますが、1974年第8回ザルツブルク・イースター音楽祭 4月 7、10、14日において やはりカラヤンによる新演出で上演された ワーグナー楽劇「ニュールンベルクのマイスタージンガー 」において、若い徒弟を演じるには もはやそぐわない年齢(体格も )になっていた われらがシュトルツェは、ここで たいへん珍しい役柄を演じたそうです - ちなみに 楽劇の主要な配役は、カール・リーダーブッシュハンス・ザックスルネ・コロヴァルター、グンドゥラ・ヤノヴィッツエーヴァ、ギュンター・ライプベックメッサー、そしてダーヴィット役は ペーター・シュライヤーでした。
 そのシュトルツェの演じた役とは、「親方 」の一人でもなく ( かつてバイロイト等で演じた実績のある アウグスティン・モーザー役でなくとも、その声域から フォーゲルゲザンク、ツォルン、あるいはアイスリンガーなどを演じることもできたはずですが )、たいへん意外なキャステイング、すなわち端役の「夜警 Nachtwächter 」を、ニコラウス・ヒルブラント という歌手と二人組で( それともダブル・キャストか? 不明 )演じたのでした。この役をテノール歌手が務めたという例は - 少なくとも音盤史においては 聞いたことがありませんが、さらに この翌年 - 1975年第9回ザルツブルク音楽祭でも - 3月23、30日に、ほぼ同じキャストによって再演されています ( まさか 同姓同名の異なる歌手? それも考えにくい・・・ )。
 実況録音盤などの音資料が、私 発起人の手元にないため 情報の裏が取れず、たいへん興味深いキャスティングであるにもかかわらず、その歌唱内容も確かめられず、背景などについて詳細不明です、すみません。
 ご存知のとおり、この「夜警 」は 端役ではありますが、第2幕でドラマのほぼ全登場人物が舞台に登って繰り広げる あの有名な「大騒動 」シーンが やっとこさ治まった後、しーんと静まりかえった宵の街に独り現れ、実に効果的な方法で幕を下ろしてくれる印象的な人物なのです。
 そのため かつては ヘルマン・プライ(ケンペ1956年EMI盤 )クルト・モル(カラヤン1970年EMI盤 )ベルント・ヴァイクル(ヴァルヴィゾ / バイロイト1974年 Philips盤 )などといった 若き日の名歌手らを起用したディスクにおいても確認できるように 基本的にはバス、バリトンといった、低声域の男声歌手に 普通なら 委ねられるのが、一般的です。

Der Nachtwächter ( 夜警 - 第 2幕第 6場から )
 Hört,ihr Leut,und laßt euch sagen,
     皆さん、お知らせ申します。
 die Glock hat eilfe geschlagen:
     鐘が11時を 打ちました。
 bewahrt euch vor Gespenstern und Spuk,
     悪魔に魂を侵されぬよう
 daß kein böser Geist eu’r Seel beruck !
     幽霊や もののけに ご用心!
 Lobet Gott, den Herrn !
     神を讃えましょう。
                (訳詞:渡辺 護


■ 1976年「バルドルフォ
   ~ ヴェルディ:歌劇「ファルスタッフ

D.F=D ライヴ・ベスト_ORFEO ( 海外盤:C544.001B
ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮
バイエルン国立歌劇場管弦楽団
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(ファルスタッフ )、
 キート・エンゲン(ピストラ )
 ゲアハルト・シュトルツェ(バルドルフォ )、その他の配役詳細不明
ライヴ録音:1976年8月2日、バイエルン国立歌劇場
ORFEO ( 海外盤:C544.001B ) 
ハイライト盤:(フィッシャー=ディースカウのオペラ名唱集 )

 カイルベルト指揮による1965年の「カルディヤック(ヒンデミット ) 」、
 ベーム指揮による1971年「サロメ(R.シュトラウス ) 」
 サヴァリッシュ指揮による1973年「パルジファル(ワーグナー ) 」、
 1976年「影の無い女(R.シュトラウス ) 」
・・・などから 抜粋 併録。

 シュトルツェは、バイエルン国立歌劇場サヴァリッシュの指揮するヴェルディの「ファルスタッフ 」で、フィッシャー=ディースカウ演じるタイトル・ロールの、喜劇的な従僕バルドルフォを演じています。
 10年前に録音されたバーンスタイン / ウィーン国立歌劇場(CBS-Sony )盤では、高血圧の医師カイウス先生を演じていましたが、フィッシャー=ディースカウなどは、「彼 (シュトルツェ )が バルドルフォを歌った時は、本当に可笑しかった 」と回想しているほどです。しかし 残念ながらこのディスクは抜粋盤ですから、シュトルツェの歌唱もごく僅か(本当に僅か! )しか聴けません。
 バルドルフォが、騎士ファルスタッフに姑息な使い走りを頼まれるも それを拒むところから収録されています、「お断りいたします 」。ファルスタッフに理由を問われると「プライドが許しませんので 」という、その二言(ふたこと )の会話だけです。収録されてるシュトルツェの音声は それで全部ですから、念のため。
 このCDはバイエルン国立歌劇場における過去のライヴ録音から編集された フィッシャー=ディースカウ本位の「オペラ名場面集 」なので、スポット・ライトはしっかりD.F.=D.に当たり、シュトルツェの口ごたえを受けて始まる ファルスタッフの有名な「プライド(名誉 )のモノローグ 」へと音楽は進行します。
 これだけですから、シュトルツェの調子がどうだったかなど これだけでは とても判りっこありません。少なくとも いつもの特徴的な声に 張りは十分あるように聴こえますが。

 シュトルツェの声が わずかでも聴けるディスクは( 正規盤では )、これが現時点で 最後の一枚となります。
 その他、Wikipedia によれば 同じ年(1976年 )、ホルスト・シュタインが指揮する ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ 」において 端役の「牧人 」を務めていたようですが、日時や共演者、歌劇場など 詳細は不明です。


■ 再婚
Der große Sänger mochte seine Frau Gerda so gern, dass er sich seit der Hochzeit Gerhard Prochaska geborener Stolze nannte.
▲ Der große Sänger mochte seine Frau Gerda so gern, dass er sich seit der Hochzeit Gerhard Prochaska geborener Stolze nannte. In Garmisch-Partenkirchen wollte sich das Sänger-Ehepaar zur Ruhe setzen.  © privat 

 前後の事情について まったく知らない私たちにとっては 唐突な感じがしますが、1977年 シュトルツェは オペラ歌手ゲルダ・プロハスカ Gerda Prochaska(1949 ~ ) という女性と再婚しています。
 彼女は、ガルミッシュ・パルテンキルヘン出身のメゾ・ソプラノ歌手で、バイロイト音楽祭にも、出番の少ない端役ですが(ゲッツ・フリードリヒ演出した歌劇「タンホイザー 」第2幕、歌合戦の開始を告げる 4人の待童 Edelknabe の一人として、エーリヒ・ラインスドルフが指揮した1972年、および その翌年 ハインリヒ・ホルライザーが指揮した際の )過去二回の出演実績がありました。その後、メゾ・ソプラノ歌手として ウィーン・フォルクスオパー等でも 活躍していたようです。
Gerda Prochaska-Stolze
Gerda Prochaska-Stolze 
H.P. Konzerte Prochaska Meine Philosophie より

 しかしシュトルツェとの結婚生活は、誠に気の毒なことに、それから わずか 2年数か月だったということになりますが、彼女は 夫ゲアハルトとの死別後もその姓をプロハスカ=シュトルツェ Gerda Prochaska-Stolze と名乗り、地方での小規模なリサイタルなどの主催( ? 興行ということか、詳細不明 )を務めたりしておられるようです。
 彼女の声が聴ける音盤は、ネットで確かめ得る限り、マリア・シュピンドラー(ソプラノ )とともに チェコの指揮者レオシュ・スヴァロフスキ / スーク室内管弦楽団による ペルゴレージ作曲「スタバート・マーテル 」(1995年 3月28日、プラハ・ライヴ )の実況録音(Lotos )盤があり、これは 今も入手可能なようです(発起人未聴 )。
Pergolesi Stabat Mater Donizetti Parafrasi Del Christus
 たいへん気にはなりますが、シュトルツェの再婚に関する情報は少なく、またプライヴェートなことでもあるため、敢えて これ以上 踏み込んでまで 詳しく調べることは しておりません。
 何卒、ご容赦ください。

次回、(39)「まだ救い主は 来ておられぬ! 」 に続く・・・

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