クラヲタに捧ぐ、ジャズ=フュージョンの名盤 ランダム辞典
スケルツォ倶楽部、
スティーヴ・ガッド Steve Gadd を讃える。
   
メニュー画面は ⇒ こちら

アバ - ジャズ Same Tree Different Fruit
(アンデッシュ・ヴィーク ピアノ・トリオ )

Same Tree Different Fruit (back ABBA_Thank You For The Music
 “スケルツォ倶楽部発起人(妻 )が、尊敬する偉大なジャズ・ドラマー スティーヴ・ガッドが参加した音盤を聴いて語り(打ち )まくる このコーナーも、何だかとっても久しぶり。
 素敵な新譜 Same Tree Different Fruit – ABBA(邦題:アバ-ジャズ )がリリースされる(!)という うれしい情報も 実は かえるの音楽堂かえる さま に ずいぶん早い時期から教えて頂いてはおりましたが、相変わらず何やかやと忙しい わたし、気がつけば アラ もう11月? そういえば ブログ村における “スケルツォ倶楽部”ランキング位置も いつのまにか激しく急降下していることに気づき・・・ ムムッ、これではイケナイ、わたしが頑張らねばっ。

 ↓ どうか 清き一票を お願いしますね
にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
blogram投票ボタン
人気ブログランキングへ
Club Scherzo, since 2010.1.30. 

・・・で、ようやくこの連休中 夫の静岡出張をよいことに、ゆっくりと聴く時間を割くことが出来ました(哄笑 )。

Same Tree Different Fruit – ABBA(邦題:アバ-ジャズ )
Same Tree Different Fruit Same Tree Different Fruit – ABBA (2)
01. ヴーレ・ヴー Voulez-Vous
02. ギミー ! ギミー ! ギミー ! Gimme! Gimme! Gimme!
03. マネー、マネー、マネー Money, Money, Money
04. 悲しきフェルナンド Fernando
05. ダンシング・クイーン Dancing Queen
06. きらめきの序曲 The Name Of The Game
07. S.O.S
08. テイク・ア・チャンス Take A Chance On Me
09. ダズ・ユア・マザー・ノウ Does Your Mother Know
10. ザ・ウィナー The Winner Takes It All
11. ママ・ミア Mamma Mia
12. サンキュー・フォー・ザ・ミュージック Thank You For The Music
アンデッシュ・ヴィーク(ピアノ )Anders Wihk
スヴァンテ・ヘンリソン(ベース )Svante Henryson
スティーヴ・ガッド(ドラム )Steve Gadd
以下 ゲスト・ソロイスト
ロベン・フォード(ギター )Robben Ford on 4
デヴィッド・サンボーン(アルト・サックス )David Sanborn on 12
録 音:2012年、ストックホルム SAE Studios Solna, Sweden
音 盤:ビデオアーツミュージック(VACM-7098 )

 ピアニストのアンデッシュ・ヴィークは スウェーデン出身の実力派、そして楽曲によってアコースティック or エレクトリックス両方の楽器を巧みに使い分けるベース奏者 ヴァンテ・ヘンリソンは 実はオスロ・フィル首席コントラバス奏者という異才(この先 こういう器用な人はもっと増えてくるのでしょうね )。
 この二人が組んで 彼らがお国のアーティスト ABBA アバ 結成40周年に捧げるアルバムを作る - というところまでは、まあ 別に驚くことではありませんが、その企画に起用されたドラムス奏者が こともあろうに世界最強のスティーヴ・ガッド ! だった・・・というサプライズ。
 その予想外の人選には 正直 首をひねりたくなりました。考えてもみてください、ガッドに・・・「ABBA アバ 」ですよ? ニューヨークにスウェーデンですよ? たしかに活躍していたピーク時期(70年代 )こそ重なるものの、ジャンルや地理的な距離を見れば、両者には 接点なんか 全く無かったんじゃないでしょうか? ガッドに 一体 何があったのでしょう、その辺りの事情については とても気になるものの、わたしには不明 ・・・しかし その仕上がりには、大拍手です。
 彼ら - アンデッシュ・ヴィーク、スヴァンテ・ヘンリソン、そして スティーヴ・ガッド という贅沢なドラマーを擁した - 注目のトリオ・グループは、なんと先月 すでに来日(していたなんて 全然知らなかったけど、よく見たらCDの帯にしっかりと書いてあったよ。はー、また聴けなかった・・・ )を果たし、10月14日には大分(ブリック・ブロック )、翌15日には大阪(ビルボードライブ大阪 )、16日は名古屋(名古屋ブルーノート )、そして17日には東京(ビルボードライブ東京 )でと、それぞれ成功裡に無事 公演を終え、次の韓国公演の地へと向かったようですね。

ABBA アバ について、復習する
ABBA (2)
 ABBA アバは、1970年代半ばから1980年代初頭にかけて活躍した、世界的な規模で知られるスウェーデンのミュージシャン男女4人のポップ・グループです。
 シングルとアルバムの総売上枚数は 3億7,000万枚以上、「世界で最も売れたアーティスト 」としても その名を連ね、2010年には「ロックの殿堂 」入り も果たしていたそうです。

アグネッタ・フォルツコグ アンニ・フリード・リングスタッド(フリーダ ) ビヨルン・ウルヴァース ベニー・アンダーソン
(左から )
アグネッタ・フォルツコグ Agnetha Fältskog
 1950年4月5日生まれ、ヨンコビン(スウェーデン )出身
アンニ = フリード・リングスタッド(フリーダ ) Anni-Frid Lyngstad
 1945年11月25日生まれ、ナルビク(ノルウェイ )出身
ビョルン・ウルヴァース Björn Ulvaeus
 1945年4月25日生まれ、ゴゼンバーグ(スウェーデン )出身
ベニー・アンダーソン Benny Andersson
 1946年12月16日生まれ、ストックホルム出身


 彼らが、戦後の欧米圏における、大衆音楽の伝達手段が ラジオやテレビなどマスを通してワールドワイドに伝播されるようになって以降の「ポップ・ミュージックの完成者 」などと呼ばれるほどの存在として、それが(米英ではなく )スウェーデンから現れたということは、とても興味深いです。
 以下(青字部分 )は、Amazon 「ABBA ストア 」に掲載されている 簡潔なバイオグラフィ(リッスンジャパンListen Japan. 1999 – 2009 )からの文章の引用です。ここにお借りしたことを 感謝します。
 「アバは単なるポップ・グループというよりも、かつて(70年代 )は 一種の世界的社会現象にもなったスター集団であり、霞むことのない威光を放つ伝説的ポップ・グループだ。華麗な楽器編成と卓越したヴォーカル・ハーモニーが織り成すサウンドは、普遍的な価値のあるものであり、また、70年代特有の刺激や快楽主義を象徴するものでもある 」
 「 『ダンシング・クイーン 』、『ギミー・ギミー・ギミー 』、『サマー・ナイト・シティ 』、『チキティータ 』 ・・・それこそ数え切れないくらいの悶絶ヒット・ナンバーの多くは 今でもなお ゴッタ返すディスコ・フロアで 我を忘れて踊っている時のようなストレートな陶酔感を与えてくれるのだ。また、そういったフィジカルなエクスタシーを作り上げる一方で、思わずホロリとくるようなメロウ・ナンバーも多数披露。アバの楽曲群は なんとも奥が深い。 」
 「オーケストレーションは実に高度だが、ポップ・ミュージックの国際的標準語とも言える彼らの英詞は、誰にでも口ずさむことができる実にフレンドリーなもの。そういう親しみやすさも大いに相乗して、アバは 世界的なマジョリティの心を わし掴みにしたのである 」


Same Tree Different Fruit – ABBA(アバ-ジャズ ) 全曲感想!

01. ヴーレ・ヴー Voulez-Vous
Voulez-Vous_1979 UK limited edition 10-track Picture Disc Voulez-Vous.jpg
 原曲は1979年に発表されたダンサブルな作品。アバ ABBAオリジナルの中では 当時 世界中のディスコティックで最も多く使われた回数も多かったナンバーだったのではないでしょうか(勝手な憶測ですが )。
 アラビアン・ナイトのような中近東風の音階を用いた個性的なイントロのメロディが特に印象深く、タイトル名を繰り返し連呼するリフのバックで吹奏されるブラス・セクションのリズミカルなアンサンブルは、これも当時のアース・ウインド & ファイアなどの影響を感じさせ、また 同じく ヴォーカルが「A-Ha ! 」って 熱い吐息を 繰り返すところなどは K.C. & ザ・サンシャイン・バンドの「ザッツ’ザ・ウェイ(アイ・ライク・イット )That's The Way ( I Like It ) 」そのまま、いずれも 当時の USAダンス(ディスコ )・ナンバー の影響を受けているものと思われます。
 これに先立つ僅か 4年前、 ヴァン・マッコイの名曲「ハッスル 」において まさにガッドが叩くダンス・リズムによって 世界に吹き荒れたディスコ・ブームの由来を想起してみれば、ディスコティックのイメージが特に濃い このナンバー「ヴーレ・ヴー Voulez-Vous 」を冒頭に置いたトリビュート・アルバムに 御大スティーヴ・ガッド自身が参加しているということ自体、とても意味深いことと感じてしまいます。
 これは アバのオリジナルでは ホ短調でしたが、ピアニストのアンデッシュ・ヴィークの手によって ここでは半音上げられ、ヘ短調になっています。リズムもガッドお得意の速いサンバにアレンジされ、もはやディスコ・リズムを意識させる要素はありません。後半16小節の苛烈なドラムス・ソロは、往年のガッドのドラムス・ソロを思い出させるフレーズが次々と噴出してくるので嬉しくなってしまいます。

02. ギミー ! ギミー ! ギミー ! Gimme! Gimme! Gimme!
Gimme!Gimme!Gimme!
 オリジナルは「ヴーレ・ヴー 」と同年に発表された、やはりディスコティックのダンス・マーケットを意識した作品でした。あたかも南米アンデス地方の民族楽器ケーナを思わせるような 鋭い高音の縦笛にも似たシンセサイザーの音色、重厚なストリングスの響き、シンセ・ベースとスラップ(チョッパー )・ベースとを自由自在にミックスさせつつ豊かに弾(はず )ませるリズムが特徴でした。
 アバのオリジナル楽曲の調性は ニ短調でしたが、Same Tree Different Fruit盤では ピアニスト ヴィークによって ハ短調に下げられ、原曲では印象的だったシンセサイザーによる縦笛を模したフレーズからスタートします。ピアノのプレイをプッシュ・アップするガッドの打ち込む 芯を捉えた拍動は やがてクローズト・シンバルとスネアとを交互に打つ リズミカルなエイト・ビートのパルスによって、さらに裏打ちで加わるトップ・シンバルの音色の心地良さによって、聴き手はすっかり酔わされてしまうことでしょう。本当にガッドのドラムスは、音楽の本質が絶えずニュアンスを変えることへの多彩な表現にエネルギーを注ぎ込むパワーそのものであると思います。
 スヴァンテ・ヘンリソンのエレクトリック・フレットレス - 絶対にジャコ・パストリアスが その表現技術のルーツであるかのような - による表情豊かで雄弁なベース・ソロにも聞き惚れてしまいます。

03. マネー、マネー、マネー Money, Money, Money
Money Money Money
 呪文のようにタイトルを繰り返す 暗いリフレインが特徴的な1976年のヒット曲。
 アバの原曲は そのイントロにマリンバのような個性的音色を模したシンセサイザーが重ねられていましたが、楽曲伴奏の基本主体となっていたのは イコライザーを掛けたアコースティック・ピアノ、うねるようなエレキ・ベース、そしてエレクトリック・ギターのオブリガートがこれらに絡むというものでした。 
 そのオリジナル調性は イ短調でしたが、今回 ヴィークによるジャズ・ピアノトリオ版では ヘ短調へと移調され、リズムもガッドの得意なラテン調になります。演奏も最後近くになって さらにヴィークは ト短調へと転調させるのですが、その直前、ピアノによって繰り返されるラテン・リズムに乗せ、ガッドによる自由なドラムス・ソロが用意されているのです。あ、これは ! かつて70年代に盟友だった 名ピアニスト チック・コリアとの あの手に汗を握るような熱い共演を思い出させてくれる、その先へと続く さらに素晴らしき展開に 一瞬期待・・・しかけたのですが、え? ソロがたったの16小節? 短かすぎる !

04. 悲しきフェルナンド Fernando
Fernando.jpg Mr. Robben Ford
(右 )ゲスト・ソロイスト ロベン・フォード Robben Ford  
 アバによるオリジナルは、1976年に発表されましたが、それは サイモン & ガーファンクルの名曲「コンドルは飛んでゆく 」を思わせる 南米ペルーの民族楽器であるケーナサンポーニャなどの音色を効果的に用いた、イ長調の明るい民謡調とも言える楽曲でした。
 Same Tree Different Fruit盤では ヴィークピアノ・トリオに ゲストとして招かれた ロベン・フォードによるエレクトリック・ギター・ソロが加わっています。原調のまま テーマの旋律を崩すピアノ・ソロの上に ギターが穏やかにかぶる短いイントロの後、付点リズムで躍動的にスイングするガッドの刻む推進力あるシャッフル風エイト・ビートに乗せて ヴィークが弾くピアノ・ソロは、テーマのメロディを大事にした 比較的音数も少ないもの。やがて いつの間にか始まっていた エモーショナルなソロ・ギターのプレイに気づくと、そのフレーズは徐々に前面に姿を現わし、気づくと全面的な即興演奏で大活躍を始めています。広い音域にわたり 高みに登っては駆け下りるロベン・フォードのソロは なかなか効果的ですが、これについては もう一度 後で( 「サンキュー・フォー・ザ・ミュージック 」の項で )再び 考察したいと思っています。

05. ダンシング・クイーン Dancing Queen
カール16世グスタフ国王、シルビア王妃との結婚式(1976年 6月19日 ) Dancing Queen
左の写真は、カール16世グスタフ国王、シルビア王妃との結婚式(1976年 6月19日 ) 
 オリジナルは1976年に発表された、アバ最高の有名曲です。翌年 4月 9日にはビルボード全米第1位を記録しています。
 この一曲が不滅の作品としてスウェーデンの人々の記憶に残ったのは、やはり何と言っても 当時 共和制的な君主として知られていた 若きスウェーデン国王カール16世グスタフ(1946~ )と現シルビア王妃との結婚披露宴前夜祭で演奏された、という歴史的な事実でしょう。明るく華やかなポップスであると同時に 気品ある調和のとれた曲調、象徴的な歌詞もロイヤル・ウエディングに相応(ふさわ )しいものでした。
 Same Tree Different Fruit盤での ピアノ・トリオによる 今回の演奏は、まるで そんな幸せへの期待に震えるように始まります。その有名なイントロ・メロディは 意表を突いてスヴァンテ・ヘンリソンのエレクトリック・ベースによって描き出されます。しかし ここでの基本リズムは 原曲に過剰なひねりを加えることはなく、オリジナルの芳香を残した躍動的なエイト・ビートです。
 テーマのメロディをヴィークがピアノで引き継ぎながら展開させてゆくと、徐々にガッドのドラムスが力強く語り始めます。波打つようなシンバルの響き、スネアの深いアタック音が気持ち良いです。やがてシンバル・ライディングが四つを刻む中、ヘンリソンのベースが ここでもジャコの繊細なプレイを思い出させるような 全く濁りのないハーモニクスを一発ハッキリと響かせると、いつのまにかヴィークの即興演奏が始まっています。ガッドによる巧みなバッキング共々 耳を傾けましょう。
 コーダでは ピアノのフレーズが恣意的ではとさえ思えるほど細かく決めを求めますが、これらに寸分乱れず合わせるガッドの プロ意識に裏打ちされた技術の高さが見事です。

06. きらめきの序曲 The Name Of The Game
The Name of The Game
 1977年に発表された、これも アバの傑作。
 久しぶりに 懐かしい原曲を聴き直してみましょう。何も考えずに一聴すると 少し地味な作風に感じる程度かもしれませんが、何度も繰り返し聴いていると、この曲の素晴らしさったら - もうジワジワと「来ます 」よ。
 曲は さり気なくマイナー・キーで始まり 淡々とイン・テンポで進みながら、いまだ恋人に出会う前の乙女の空虚な心が回想されます。やがて徐々にコーラスには厚みが加わり、いつの間にか 曲はメジャー・キーへと転調しています。遂に彼女は愛する恋人と出会い、彼から深い愛の喜びを初めて教わったのです。恋人と重ねる逢瀬、彼女は 来たるべき 更に大きな喜びを彼に教えてもらえる期待に 身体を震わせるのでした ・・・という、そんな 誰しもいつかは体験するような 若き日のドキドキする心象風景を歌った楽曲で、しかも “ What’s The Name Of The Game ? (そのゲームの名前は 何? )”という、せっかく意味深で 歌詞の内容にも掛けた、この上なく魅力的な原題がついているのに これを生かさずに、どうして「きらめきの序曲 」などという 判りにくい邦題にしてしまったのでしょうね。
 ピアノ・トリオ盤による演奏は、曲の各所で 固定されたベース音をキーにしながら その上にコードを自在に重ねてゆくというヴィークのモード風アレンジです。「アバ - ジャズ 」という邦題にもかかわらず 実際には ジャズを感じさせる要素はさほど多くない このアルバム収録曲の中にあって、最も「いわゆるジャズ 」的にモダンな香りを感じさせる優れた演奏ではないかと わたし、思っています。基本リズムこそエイト・ビートであるにも関わらず、ピアノ・ソロの途中 御大ガッドがトップ・シンバルでフォー・ビートっぽいライディングを打ち始める後半の一部のパートなどは 特に出色。

07. S.O.S. 
SOS.jpg
 原曲は1975年という、比較的初期に発表されたもの。
 日陰のように暗い短調と 逆に ぱっと明るくなる長調との絶妙な交替が鮮やかな曲調が親しみやすく、早くから アバの人気曲でした。
 しかし この Same Tree Different Fruit盤、ヴィークによるピアノ、いきなり演奏冒頭から 70年代のボブ・ジェームスが奏でる繊細なピアノ・プレイのタッチにもフレーズにも酷似していることに、わたし 大きな衝撃を受け、その気持ちよさのあまり 勝手にクラクラきております。

08. テイク・ア・チャンス Take A Chance On Me
Take A Chance On Me
 冒頭、「Take A Chance 」というキー・ワードを ループさせるように繰り返しつつ、それを基本リズムとして用いて メロディを乗せるという秀逸なアイディアの原曲は、今日(いま )なら サンプラー技術を使用して もっと即物的に扱っていたかもしれませんね。1977年当時、この発想は まったく独自のオリジナルでした、すぐネタが割れてしまいますから 誰もマネできなかったに違いありません。
 しかし Same Tree Different Fruit盤、ヴィークによるピアノのタッチ、いきなり演奏の出だしから 今度は 70年代のデイヴ・グルーシンの 躍動的にリズムを刻むピアノ・プレイに酷似していることに わたし衝撃を受け、その気持ちよさのあまり 勝手にクラクラきております。

09. ダズ・ユア・マザー・ノウ Does Your Mother Know
Does Your Mother Know
 オリジナルは1979年に発表された作品、殆ど女声二人がリード・ヴォーカルを務めるアバのステージでは どちらかと言えば珍しく、男声の ビョルン・ウルヴァースが主役を務めていました。また、普通なら こんな使い方は 絶対しないだろうという常識破り、それは シーケンサーで制御された無機質なシンセ・ベースのリズムで猪突猛進に始まる印象のジャンプ・ナンバーです。コーラスの厚みも力強い、魅力的な楽曲でした。
 ヴィークによるピアノ・トリオ版は 冒頭オリジナル・キーでG音を保持するエレクトリック・ベースに乗せて始まりますが、乾いたリムショットも聴こえるタイトなガッドのリズム、ここでは誰しも絶対に 往年の名グループ スタッフでのプレイを思い出すことでしょう。そう思うと、この乗りだけは どうしてもリチャード・ティーとのピアノでこそ聴きたくなってしまう。ああ、もしティーだったら この曲を 一体どんな風に料理しただろうな、きっと左手は もっと凄かったよね・・・
 とにかく ここでは自由自在に差し挟まれる、シンバルの疾走するライド、スパンスパンと決まるスネアの連打に マーチング風のローリングも あまりにもさり気なく、カツーン カツーンと耳の奥に響くトップ・シンバルのパーカッシヴなプレイも実に気持ちよく、一小節たりとも 単純に同じパターンを繰り返すことのない 御大ガッドのサンプル的な好プレイを 最後まで聴くことができるのです。まるで 70年代 若き日のガッドが甦ったかのような錯覚さえ覚える、そんな素晴らしさには 誇張なしで 本当に驚かされます。

10. ザ・ウィナー The Winner Takes It All
The Winner Takes It All
 1980年発表の名曲、イコライザーが掛かって、まるでホンキー・トンクのように歪んだ響きになった個性的なピアノの音に乗せ、アグネッタ・フォルツコグの美しく伸びやかな 素晴らしいリード・ヴォーカルが聴けました。今回、アバの楽曲をまとめて聴き返したのは 実に久しぶりだったので、ホント懐かしさに浸っています。
 ヴィークによる ピアノ・トリオ版のイントロのフレーズ、 絶対「何か 」に似ているのですが、うーん、何だったっけ・・・スミマセン、思い出せませんでした。
 ここでもガッドのライディングの快適さ、深みのあるスネアの気持ちの良い音色、タムの響きに満足しつつ、途中で エレクトリック・フレットレス・ベースの美しいオブリガートが描き出す ヘンリソンによる 控えめなアンサンブルにも ひそかに拍手を送りました。

11. マンマ・ミーア Mamma Mia
Mamma Mia
 1975年に発表された、このシングルは イギリスのチャートで 最初にナンバーワン・ヒットとなった アバの記念碑的な楽曲でもあるそうです。
 今回のピアノ・トリオ版では、意外にも ゆったりしたバラード調にアレンジされています。これを支えるガッドの巧みなスティックさばきだけを ただ聴いていたくなる、そんな気にさせられるほど 見事な千変万化のパーカッッション・プレイに耳を傾ければ、ガッド入神のプレイに 飽きることはありません。
 要所要所で唐突に細かく指定された難易度の高い決め技を ピアノ、ベースとのユニゾンで ガッドが見事に決めてくれるので、ヴィークも大いに助けられているのではないでしょうか。ここでもまた ヘンリソンのフレットレス・ベース、特に美しいです。

12. サンキュー・フォー・ザ・ミュージック Thank You For The Music
Thank You For The Music David Sanborn
(右 )ゲスト・ソロイスト デヴィッド・サンボーン David Sanborn  
 1977年に発表された、これも大名曲。歌詞対訳も含め、原曲の詳しい情報は こちらをご参照ください ⇒ 過去記事 「音楽をありがとう 」
 ここでは ゲストのデヴィッド・サンボーンがアルト・サックスで参加しています。今も昔も変わらぬ そのエモーショナルな音色には 深い敬意を表したくなります。
 ・・・さて、実は 4曲目の「悲しきフェルナンド Fernando 」ロベン・フォードによるエレクトリック・ギター・ソロが加わっている演奏を聴いていた時にも感じてしまったことなんですけど、アルバムの最後の一曲になって 正直に思ったこととは、このサンボーンの演奏でも ロベン・フォードのプレイでも 何だか ピアノ・トリオとのインタープレイに不自然な 希薄な空気を感じた・・・ということなのです。考えすぎでしょうか?
ある 勝手な憶測 】
 ・・・それでも どうにも気になって 演奏を繰り返し聴いてみた結果、どうやら ピアニストの ヴィークに原因があるような気がしてきました。彼のプレイは トリオ演奏では 決して悪くないのですが、ゲスト・ミュージシャンが加わった2曲においては、ソロイストに合わせようという気が あまりないような気がします。
 明らかにサンボーンのほうが ピアノの音に耳を傾けながら、真剣に合わせようとしている、そんな気配を感じるのです。ピアノのバッキングは、普通 ソロイストの即興フレーズを聴きながら、独奏者の発した音に対しても 敏感に反応するようでなければ - と思うものですが。
 - って、ここまで書いてきて ふと思いついたことですが、もしかしたら ここでの ソロイストの演奏って ひょっとしたら それぞれのピアノ・トリオ録音の上にオーヴァーダビングしてレコーディングされたものだったのではないのかな・・・? という憶測です。そんなことないよって言われたら それまでの話ですが、スミマセン、確たる根拠もありませんし、真実も判りません。
 でも もしそうだったとしたら、残念ですけど、ある程度 納得できてしまうなーって ・・・そんな感じさえするプレイなのです。

■ では 今宵の最後に・・・
 ああ、それでも 往年のプレイを思い出させてくれるような、ここでのスティーヴ・ガッドの素晴らしいスティックさばき、本当に胸のすく名演でした。
 唯一 惜しかったのは、個人的にアバオリジナル・ナンバーの中でも わたしの最も好きな作品のひとつだった「チキティータ Chiqutita 」を、彼らトリオが 取り上げてくれなかったことです。
Chiquitita.jpg
 屈指の名曲「チキティータ 」は、1979年の国際児童年に委嘱され、ユニセフに捧げられたチャリティ作品でした(ビージーズの 『失われた愛の世界 Too Much Heaven 』、ゴダイゴの 『ビューティフル・ネーム 』なども同じ目的で作られましたね ⇒ 関連記事 こちら
 アコースティック・ギターによるスパニッシュな分散和音に乗せて提示される、聖歌のように息の長いメロディ・ラインは まるで物語を語るが如き美しさ、しかし そのエンディングでは ベニー・アンダーソンのアコースティック・ピアノによる 激しい上昇グリッサンドを合図に タイトでリズミカルなマーチになってしまうという予想外の展開に。その堅実なビートでありながら 躍動感溢れる個性的な趣向が楽しく、こんな部分を もしも 御大ガッドの叩くリズムで補強されたら - と勝手に想像したら、絶対に あのガッド風マーチング・バンドのローリングさせまくるスネアの強烈ビートが そのドラムス・セットから 力強く鳴り響いたであろうことには、疑う余地もありません。その期待は わたしの想像の中にしまうことにして、今宵はこれで ふたを閉めようと思います。
 (あくび・・・ )アラ もう午前 1時40分だって。。。 すっかり遅くなっちゃった、じゃ 今夜はこの辺で。わたしは もう一度 ガッド様が参加した、この アンデッシュ・ヴィーク ピアノ・トリオのCDで お気に入りとなった 「きらめきの序曲 The Name Of The Game 」でも エンドレス・リピートさせながら、今宵は ベッドに入ろうかなと思います。 おやすみなさい。

 ↓ 清き一票を よろしくお願いします。 ・・・って、しつこい?
にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
blogram投票ボタン
人気ブログランキングへ
Club Scherzo, since 2010.1.30.

関連記事
スポンサーサイト

コメント

履歴書の職歴 さま!

とてもうれしい お言葉、感激です。
いつでも歓迎、またご意見くださいね ♡

URL | “スケルツォ倶楽部” 発起人 ID:-

NoTitle

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

URL | 履歴書の職歴 ID:-

かえるの音楽堂 は、わたしの大事な情報源!

カラヤンとマイルスが逝ってから CDショップはどんどん減リ続けてるし、特にJAZZ系の専門誌は片ッ端から廃刊、片や ひたすら忙しい日常生活、両親の介護に通院、ソッ・ピーナにも全然行けてないし、夫の面倒もみなきゃだし、挙げ句に このブログ “スケルツォ倶楽部” 校正のお手伝いもあるし( って、これは好きでやってるんですけど… )  もうJAZZについての新しい情報が全然入ってこない! 
…ですから、かえるさまの良ブログ かえるの音楽堂 http://frog-music.paslog.jp/ は、わたしにとって 大事な情報の泉となってます!新旧JAZZ-Fusion の良質な情報がいっぱいで うれしー (^_^)v
これからも いろいろ教えてくださいねー ♡

URL | “スケルツォ倶楽部” 発起人 ID:-

ヘビーローテーションで聴いています

こんにちは(^^♪ お邪魔します。
いやー相変わらず、詳細ですばらしいレビューです!!お昼休みに会社でゆっくり読んでいます。ガッドにアバの取り合わせって最初は?でした。でも聴いてみると、こういった企画もありかなって。ガッドが楽しそうで。いやー奥様すばらしい、確かにサンボーン、オーヴァーダブかな?私も来日していることは発売直前にネットで知りました。行きたかったなー

URL | かえる ID:-

コメントの投稿

トラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)