スケルツォ倶楽部 Club Scherzo
「スヌーピー」の音楽  メニューは こちら ⇒ Novel List
シェルビー・フリント、
映画 「スヌーピーの大冒険 」で 「ライラのテーマ 」を 歌う。

Snoopy Come Home_Original Poster


■ イントロダクション
Chick Corea Tap Step
 世紀をまたぐ存在となった 偉大なジャズ・ミュージシャン、チック・コリアが 70年代末、自己のグループであるリターン・トゥ・フォーエヴァーを 一旦締めくくる その前後の時期、次なる方向性を様々に模索しながら 魅力的なソロ名義作品を量産していた過渡期の名盤「タップ・ステップ 」Tap Step (1980年発表 ) を 久しぶりに聴きながら ライナーのパーソネルを読んでいたら、冒頭一曲目「サンバ L.A. 」Samba L.A. の 躍動的でプリミティヴなリズムに乗せながら 地声でシンプルな歌詞をひたすら繰り返す女声コーラス隊の中に - 有名な フローラ・プリム ゲイル・モラン とともに - シェルビー・フリントの名前も並んでいたことを ごく最近になって初めて気づき、とても驚きました。

シェルビー・フリント Shelby Flint (1939~ )とは 
Shelby Flint
 ・・・決して有名な人ではないと思いますが、最初期の女性シンガー・ソングライターのはしりのような一面もある存在で、そのカリフォルニアでのデビューは 若干17歳の時です。マイナー・レーベルに吹き込んだ処女シングルは、澄みきった透明な歌唱も美しい 自作「アイ・ウィル・ラヴ・ユー 」I Will Love You という歌で、その繊細で清らかな美声を見込まれ 大手ワーナー・ブラザース系列のレーベル Valiant Records と契約、ここから1960年に やはり自作の「わたしのエンジェル 」Angel on My Shoulder をリリース、翌1961年には 自身の名を冠した最初のアルバム「シェルビー・フリント 」を発表しています。

 しかし 私 “スケルツォ倶楽部発起人が その魅力的な歌声に注目するきっかけとなったのは、やはり ヴィンス・ガラルディスヌーピー(ピーナッツ ) TVアニメ・シリーズの音楽を まだCBSで手がける前に放った アコースティック・ジャズのヒット曲 「キャスト・ユア・フェイト・トゥ・ザ・ウインド 」 Cast Your Fate To The Wind に、歌詞を付けたヴォーカル・ヴァージョンを 録音した女性歌手として - でした。それが こちらです。

シェルビー・フリント
シェルビー・フリントShelby Flint
キャスト・ユア・フェイト・トゥ・ザ・ウインド Cast Your Fate To The Wind
収録曲:
遥かなるアラモ(Green Leaves Of Summer )、ムーンライト、ザ・リリー、イエスタデイ、ソフトリー・アズ・アイ・リーヴ・ユー、風の吹くまま(Cast Your Fate To The Wind )、忘れられない彼の顔(I've Grown Accustomed To His Face )、ハイ-ライリー ハイ-ロー(Hi-Lili, Hi-lo )、アイ・ウィル・ラヴ・ユー、ブルーバード、アワ・タウン、わたしのエンジェル(Angel On My Shoulder )
録 音:1966年
音 盤:Valiant Records (ワーナー・ミュージック・ジャパン WPCR-75416 )
 
 フォーク・ギターにストリングスが被る、シェルビーの自作曲「わたしのエンジェル 」、「ムーンライト 」、「ザ・リリー 」 そして 処女シングル曲の再演となる「アイ・ウィル・ラヴ・ユー 」、いずれも短いけれど 彼女の美しいヴォーカルが味わえる絶品のナンバーが続きます。
 「イエスタデイ 」は、ポール・マッカートニー作曲の あのビートルズ・ナンバーです。編曲を担当した ペリー・ボトキンJr. による 控えめなストリングス・アレンジには好感を抱くものですが、ポップスに(当時は 流行っていたらしい ) ハープシコードを多用するのは、ハッキリ言って、キライです。これをやって違和感なく決まるのは 、バート・バカラック と 今日の ピチカート・ファイヴ ぐらいだと思うのですが。そんなハープシコードの音にさえ我慢すれば、ドラムスのブラッシュ・ワークとギター、アコースティック・ベースの4ビートでスイングする部分だけは とても快適、シェルビーの美しい歌唱にはまったく文句なしです。
 彼女の自作曲の中では「アワ・タウン 」という作品が秀逸ですが、編曲を手がけたアレンジャー、ドン・アドリッシによる貢献が大きいのでしょう。必要最小限の音を選ぶ ビル・エヴァンスを思わせる知的なアコースティック・ピアノ、包み込むようなストリングス・アレンジも 途中で恋人との別離を歌う個所にくると ためらうようにピッツィカートを弾(はじ )くなど リズム面での工夫も一味違います。
 オリジナルLPでは B面に収録された「ブルーバード 」の作者でもある ドン・アドリッシによるアレンジは もう一曲、アラン・ジェイ・ラーナーの傑作ミュージカル「マイ・フェア・レディ 」の名ナンバー「忘れられぬ彼の顔(原曲は“彼女の顔 ” ) 」 -
Ive Grown Accustomed To Her Face ?
 -  I've Grown Accustomed To His(Her )Face  - にも至りますが、これもまた「アワ・タウン 」と同趣向の素晴らしい出来に感服です。
 
 さ、そして いよいよ アルバム・タイトル曲でもある 注目のナンバー、ヴィンス・ガラルディ作曲「キャスト・ユア・フェイト・トゥ・ザ・ウインド(遂に出たか ヴォーカル版! ) 」。期待に反して、編曲者ペリー・ボトキンJr.は、主旋律に付けた歌詞を追うことのみを シェルビーに課しました。
Vince guaraldi Cast Your Fate To The Wind
原曲の作者 ヴィンス・ガラルディ
彼の Cast Your Fate To The Wind オリジナル演奏が聴ける ディスク写真


 ガラルディ原曲では大活躍していたピアノは、シェルビーヴォーカル・ヴァージョンでは 意外なことに、殆ど使われていません。
 まず冒頭アコースティック・ベース一本が弾(はじ )く、あのシンコペートされた独特のリズムに乗って シェルビーひとりで歌い出します。徐々に楽器を増やしながら やがて繰り返されるリフ・フレーズは イン・テンポのまま、意表を突いて ホーン・セクションとパーカッションのスケール大きなバンド・アンサンブルとなって炸裂します。あの 軽いそよ風のようだった「キャスト・ユア・フェイト・トゥ~ 」が こんな風に料理されてしまうなんて・・・ ガラルディの原曲を知っているリスナーにとって、さすがに この編曲は 好みが分かれるところでしょう。

■ 映画「スヌーピーの大冒険 」の音楽
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (13) スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (38)
 子どもの頃、夏休みの思い出といえば、私にとっては スヌーピーの映画です。
 最初の劇場用映画の名作「スヌーピーとチャーリー 」 A Boy Named Charlie Brown(全米初公開1969年、日本初公開1972年 )において、ベートーヴェンの「悲愴 」第2楽章を弾くシュローダーのシーンで 嗚咽が堪(こら )えきれないほど感動した 私 “スケルツォ倶楽部” 発起人は、 ⇒ その時の思い出 / 感想の記事は こちら  その翌年(1973年 )に国内初公開となった 映画第二弾「スヌーピーの大冒険 」 Snoopy, Come Home(全米初公開 1972年 )を 有楽町スバル座で観ることができました。

■ サウンド・トラック担当は、ディズニー映画の音楽で有名な シャーマン兄弟!
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (50) スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (51)
(左 )オリジナル・サウンドトラック国内L.P.盤のジャケット(右 )同 裏表紙 
 この映画「スヌーピーの大冒険 」には、音楽の面で、とても大きな 新しい特徴があります。
 それは、従来までのピーナッツアニメ・シリーズ最初の映画「スヌーピーとチャーリー 」において、常にキャラクターのトレードマーク的なイメージとして「刷り込み 」され続け、独特の雰囲気を作ってきたヴィンス・ガラルディによるジャズ・ピアノが、そのサウンド・トラックから全く聴こえてこない(! )ということです。
 その日、映画館の席に座ると やがて場内が暗くなり スクリーンに映し出されたスヌーピーが 走り出した瞬間、当時 小5だった私が おや どこか違う - と思ったのが 最初に感じた 音楽に対しての第一印象でした。
 それもそのはず、「チム・チム・チェリー 」で有名な「メリー・ポピンズ 」や、「ジャングルブック 」、「チキ・チキ・バン・バン 」、「おしゃれキャット 」などの映画音楽 ディズニー・ランドのアトラクションに提供された名曲「小さな世界 - イッツ’ア・スモールワールド 」などといった、ストレートに明るく楽しい音楽を量産し、それまで大活躍だった人気作曲家チーム、リチャード&ロバート・シャーマン兄弟 以外の何ものでもない 独特のサウンド、アコースティックでブルーなヴィンス・ガラルディの ピアノ主体の音楽とは 一線を画する作風だったからです。
 にもかかわらず、自作のアニメ化にあたって その当初は バック・グラウンド音楽の選曲に たいへんこだわったとされる 原作者チャールズ・M.シュルツ氏が、この映画「スヌーピーの大冒険 」で 初めてディズニーのようなサウンドトラックの採用を あっさり認めたのは なぜだったのでしょうか、何らかの商業的な提携関係が プロダクション側とあったのでしょうか? 私には不明です。
 それでも シャーマン兄弟の仕事は 飛び抜けてプロフェッショナルだったと思います。
 映画をご覧になれば それは 誰にもわかります。音楽は 一貫して彼らのオリジナル・スタイルでありながら、実に良心的に 映像に適したオリジナルの音楽を付けることに 彼らは徹したのです。
Sherman Bros. スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (5)
 シャーマン兄弟 - 兄ロバート・シャーマン Robert B. Sherman(1925年生まれ、惜しくも 今年2012年3月5日 ロンドンで亡くなったばかりです )。弟リチャード・シャーマン Richard M. Sherman(1928年~ )は カリフォルニアにて健在です。
 シャーマン兄弟の この職人的な達成によって、スヌーピーの映像作品に付帯する音楽の幅が、その後 大きく広がったことを、私 “スケルツォ倶楽部”発起人、高く評価したいと思います。

■ 映画の筋を追いながら、
「スヌーピーの大冒険 」の サウンドトラック盤を聴く


1.スヌーピーの大冒険(01:44 )Snoopy, Come Home
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (2)
 映画の冒頭、主題歌「スヌーピー、カムホーム(帰っておいで、スヌーピー ) 」が流れる背景のオープニング映像は シーンが目まぐるしく変わるモンタージュ技法が採用され、たくさんのスヌーピーたちが 忙しげに、五度跳躍する擬バロック風の金管によるファンファーレを そのイントロダクションで吹奏する という楽しいアニメーションに乗せて メイン・テーマのメロディーが提示されます。
 その重要な主題旋律は、主音とそこから半音下がる音との間を波打つように繰り返す独特の動きによって、家出した主人公スヌーピーの「帰宅 」を促すような、飼主チャーリーブラウンたちの 哀切の響きさえ帯びた訴えが特徴です。便宜上 これを 勝手に「呼びかけ動機 」と名づけましょう。

2.ライラのテーマ(03:11 )Lila's Theme(Do you remember me )
Sung by Lila (Shelby Flint )

スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (21) スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (14)
 オリジナルのサウンドトラック盤では おそらく曲想を考慮して2曲目に収められていましたが、実際の映画で登場する順序は もっと後 - スヌーピールーシーの裏庭ボクシング対決という激しく手に汗を握るドタバタ・シーンが終わってから - に用意されていた場面、それは一転して 静かな郊外の病院を望む遠景、そこにひとりぼっちで入院している少女が、淋しさのあまり病室で手紙を書くというシーンです。
 初めて この映画を観る人は ここで突然 登場した新しい人物 - ピーナッツのレギュラー・キャラクターではない少女 - が、一体 何者だか判らず、思わずスクリーンに身を乗り出すことになるのですが、実は 彼女こそが チャーリー・ブラウンに飼われる前、子犬時代のスヌーピーの最初の飼い主、ライラ Lila だったのです - という設定。それは 映画を観ているうちに 徐々に判ってきます。
 この時 映像の背景で流れている静かで清純なバラードが、シェルビー・フリントShelby Flint の歌唱による「ライラのテーマ Lila’s Theme / Do You Remember Me 」です。今回 記事の冒頭で すでに説明させて頂きましたとおり、シェルビー・フリントヴィンス・ガラルディ の本拠地と同じカリフォルニア出身で、当時 25歳のシンガー・ソングライターでした。
▼ シェルビー・フリントShelby Flint
Shelby Flint


▲ さらに これより 2年後、彼女は、おそらく この時のシャーマン兄弟とのコネクションによって ディズニー映画「ビアンカの冒険 The Resucuers 」という映画の ( 「ライラのテーマ 」とは 同傾向の ) 爽やかな一曲 「 誰かが君を待っている 」 Someone's Waiting For You 名優 ダニー・ケイの妻で 往年の名画「五つの銅貨 」でも有名な シルヴィア・ファインがつくった名曲 ) を歌うことになります。 

 ・・・もとい。
 少年時代、この美しい「ライラ 」のテーマに耳を奪われ、個人的な心の名曲となった“スケルツォ倶楽部” 発起人、この歌を聴き返す度に、遠い夏の日の記憶が - 太陽の眩しさや 夕方のひぐらしの鳴き声など - 懐かしさが溢れて、胸一杯になります。

Lila's Theme - Do you remember me
ライラのテーマ - ドゥ・ユー・リメンバー・ミー


▲ シェルビー・フリントによる サウンド・トラック収録のオリジナル完全版が聴けます、Thank you !

I still remember a summer gone by
  過ぎ去った夏を わたしは まだ憶えているよ
Why was it over so fast
  なぜ あんなに早く終わりを告げたのかしら
I still remember when we said goodbye
  あなたと別れた日のことを わたしは まだ憶えているよ
Why can’t our summertime’s last
  なぜ わたしたちの夏の日はいつまでも 終わらないのかしら

Do you remember me
  あなたは わたしを憶えてくれているかしら
Once I called you my own
  一度は わたしのものだった あなたの名を呼べたのに
I’m sad as I can be
  今は それができなくて 悲しいの
It’s no fun all alone
  ひとりぼっちで 楽しくないの
Why can’t a memory roll away like a tear
  なぜ 思い出は、涙のように流れ落ちては 消えてくれないのかな
Why do I go to my window hoping you will appear
  なぜ わたしは、あなたの姿を期待して 窓から外を見おろすのかな
Cause I need you
  だって わたしには あなたが必要だから
Cause I miss you
  あなたが いないとさびしいから
Cause I wish you were here
  あなたが ここにいてほしい
                ( 対訳 山田 誠 )


スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (34)
 「ライラのテーマ 」は、その冒頭にヴァース(歌う導入部 )を置く、伝統的なアメリカの流行歌によくある形式を踏襲しています。主部の Do You Remember Me ( お前は わたしを憶えているかしら ) - それは、主音とそこから半音下がる音との間を往復した後、六度上昇するという旋律線ですが、 「半音下がっては戻る 」動き が、メイン・タイトル「スヌーピー、カム・ホーム! 」「呼びかけ動機 」一致します。これは、実は、チャーリー・ブラウンたちだけでなく、ライラもまたスヌーピーに対して「カム・ホーム! 」と呼びかけている事実が、そこに隠れています。
 しかし、そんな背景を知らずに聴けば、純粋に 別れた恋人が戻るのを願う少女のラヴソングとしか聞こえません。
 その別れた相手が ペットのスヌーピーである(! )というオチが 何ともおもしろいといいますか、贅沢な というか・・・とても複雑な気持ちになります。

3.海へ行こう(02:18 )At the Beach
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (7) スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (8)
 映画の開幕間もなく、チャーリー・ブラウンライナスたちと海へ遊びに来たスヌーピーが、ペパーミント・パティと仲良くサーフィンに興ずる 楽しい場面の音楽。ドリーミーなコーラスが採用され、そのリズムも速いボッサ・ノヴァですが、歌の旋律線自体は ディズニー映画「白雪姫 」七人の小人による「ハイ・ホー 」などを連想させるもので、南米音楽の要素は あまり感じません。

4.犬はダメだ(03:01 )No Dogs Allowed !
Vocal by Thurl Ravenscroft

スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (9) スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (10)
 ビーチへの立ち入りを禁止されるスヌーピー、その後 図書館からも 犬だからという理由で追い出されます。カンカンに怒って 新聞社へ抗議の手紙を書きますが、秘書のウッドストック(この映画が 映像初登場だそう )が 果たして無事にポストまでたどりつけたかどうかは・・・ ネタバレ自粛。
 ちなみに この歌「犬はダメだ 」No Dogs Allowed ! は 本映画の 全編いたるところに現れて スヌーピーを悩ませる、彼にとっては まさしく 呪いのサイン です。犬を締め出す場所は、ビーチや図書館だけに留まらず、このあと バス、電車、芝生の上、病院など・・・際限なく、(唯一の例外を 除いて ?スヌーピーを 苦しめ続けることになるのです。

5.スヌーピーのマーチ The Best of Buddies
Vocals by Don Ralke & Ray Pohlman

スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (17) スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (19)
 ライラからの手紙を読んだスヌーピーウッドストックを連れて病院へ見舞いに行くことを決めるものの、犬だからという理由で バスにも電車にも乗せてもらえず、仕方なく目的地まで 歩いてゆくことにします。
 この魅力的な歌の和声進行は 実は メイン・テーマ「帰っておいで、スヌーピー 」と共通するもの。さらに この後に登場する「すてきな気持ち 」Gettin’ It Together もそうなのですが、これらを もし重ねて同時に歌えば きっとぴったりと合う筈で、おそらくシャーマン兄弟が 当初そのように使う場面を想定して意図的に作曲したものではないかと考えます。
 しかし 映画ではこれらを生かして複数の旋律を重ねてみせるような場面(勝手に想像すると、ラスト・シーンの間際、スヌーピーが本当に帰ってきて チャーリーブラウンたちが 喜びのあまり 彼を胴上げしながら行進する場面で、このスヌーピーのマーチと 子供たちの「呼びかけ動機 」のコーラス、さらに ウッドストックも 後述する サンバのメロディーを 口笛で吹き鳴らしながら これらを交差させて 大きく展開するクライマックスも 可能だったのではないかと考えます )は、結局 最後まで 聞かれませんでした。
 ・・・Harmony is where it’s at / And where it’s at for you / is where it’s at for me / Share and share alike / is what it’s all about / and what it’s all about / is unanimity ( 心と心がとけ合って、お前とぼくが結ばれる、どんなものも分け合って、いつも ひとつに結ばれる - サントラ訳詞より )
 これは歌の中間部分、ここでは「半音下がっては戻る 」という、「スヌーピー、カム・ホーム! 」の「呼びかけ動機 」が使われています。

6.たよれる友だち(02:20 )Fundamenal-Friend-Dependability
Sung by Clara (Linda Ercoli )
 
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (25) スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (24)
 旅の途中、スヌーピーウッドストックは 迷子の犬と小鳥だとカン違いされ、クララという女の子に捕まってしまいます。
 彼女は友だちが欲しかったらしく、大喜びで スヌーピーを太い綱に繋ぎ、ウッドストックを 鳥かごに閉じ込めます。新しい友だちが出来たと無邪気に喜びつつ イヤがるスヌーピーを 無理やり お風呂に叩き込みながら歌う、クララの早口ソングがこれです。
 そういえば、これは かつてシャーマン兄弟の成功作「メリー・ポピンズ 」の中に登場した、やはり早口で大量の文字が並ぶ ( 「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス Supercalifragilisticexpialidocious 」 )という 有名な歌がありましたが、これを連想しないわけにはゆきません。この歌もまた 同じ趣向・傾向の、エキサイト必至の楽しい音楽です。ただ 見落としてならないことは、実は クララもまた 孤独な少女のひとりだった という点でしょう。

7.ウッドストックのサンバ(01:14 )Woodstock's Samba
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (26)
 クララの所から無事に脱出した二人、その夜はキャンプ気分で 料理を用意しながら楽しく踊りまわるシーンの音楽。ウッドストックの口笛のメロディが主導する、「スヌーピーのマーチ 」The Best of Buddies の巧みなヴァリエーションとなっています。しかしゴハン皿をスプーンで叩くスヌーピーのリズム以外、一体どこにサンバの要素があるのかしら - などという 野暮なことは・・・言わずにおきましょう。

 次の曲以降は L.P.では Side B になります。
 ちなみに いまさらですが、このサントラ盤も CD未発売です。推定Sonyさま! どうか出して!

CBS Sony SOPM-59
 ↑ 懐かしの国内盤L.P.(CBSソニーSOPM-59 ) A面のラベルです。

8.チャーリー・ブラウンのカリオペ(02:49 )Charlie Brown's Caliope 
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (28)
 レコードでは これがB面一曲目。
 スヌーピーが黙って出発してしまったため、その家出の理由がわからず、自分を責めるチャーリーブラウンを元気づけるため、ペパーミント・パティは 彼をカーニバル(遊園地? )のデートに誘ってくれます。本当にP.パティは 性格の良い娘だなーと感心します。
 音楽は、この後に登場することになる チャーリー・ブラウンの嘆きの歌「世界が変わる 」It’s Change のメロディと 密接な関係を持つもので、遊園地を類型的に表現する三拍子のジンタ風インストゥルメンタル音楽です。

9.スヌーピーの大冒険(01:56 )Snoopy,Come Home (Sad Reprise )  
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (37)
 チャーリー・ブラウン、ルーシー、ライナス、ペパーミント・パティの4人が裏庭をぐるぐると歩きながら、スヌーピーが理由不明で家出したわけを それぞれ自分のせいかも知れないと反省しつつ 交替で歌います。
 「呼びかけ 」動機を強調した 実は メイン・タイトルと同一曲であるにも関わらず、巧みに 寂しさが強調されたヴァージョンです。

10.すてきな気持ち(01:52 )Gettin' It Together
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (23)
 旅を続けるスヌーピーウッドストック
 歌詞は異なれど「呼びかけ 」動機で始まるカントリー&ウエスタン調の音楽は、フィドルが大活躍。しかし その本質は これも メイン・タイトルと 同一曲です。

11.世界が変わる(04:11 )It Changes
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (33)
 スヌーピーの来訪によって 元の飼い主であるライラの病気は すっかり良くなりました。当初は見舞いだけのつもりで 病院を去ろうとしたスヌーピーでしたが、彼を見送るライラの涙に絆(ほだ )され、とうとうチャーリー・ブラウンの許を去ることを決めてしまいます。
 クロッケーやホッケーは ライナスに、L.P.レコードのコレクションは シュローダーにと、気前よく 身の回りのものを 皆に配ってしまうスヌーピー、送別会のパーティでは 全員が涙に次ぐ涙、スヌーピーへのお別れのプレゼントの箱も山積みになりますが、さて その中身とは 果たして何だったでしょうか? (ネタバレ自粛 )
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (40) スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (41)
 ルーシーライナスの姉弟をはじめ、いつもケンカばかりしていた チャーリー・ブラウンの仲間たちから 自分が これほどまでに 愛されていたのかということを 初めて知ったスヌーピーは、みんなとの別れに際して、ここを離れる気持ちが 鈍っていることを 感じるのでした。
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (42) スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (43)
 これは、そんなスヌーピーが、後ろ髪を引かれる想いで 元の飼い主の許へと去った後、夜中に 空っぽの犬小屋を見ながら 孤独感をかみしめる チャーリー・ブラウンが 心の中で歌う悲愴なナンバーです。
 しかし その旋律は、カーニバルのシーンで使われていた、「チャーリー・ブラウンのカリオペ 」と 同一曲です。

12.スヌーピーのマーチ(01:21 )The Best of Buddies (Reprise ) 
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (44) スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (46)
 しかし そんなスヌーピーの気持ちを 図らずも救ったのが、ライラの住むマンション入り口に貼られた掲示だったのです - 「犬はダメだ 」!
 ストーリー進行中、しつこいほど張られてきた伏線が この場面で回収されるとは! 39年前の有楽町スバル座館内では、ここで 自然発生的に 共感の大拍手が起こりました。
 かわいそうに、今度はライラがガッカリする番ですが、公共住宅のルールでは仕方ありません。しかも 彼女は スヌーピーが大キライな ねこを 飼っていたことが判明、これが決定打となって もはやスヌーピーも 未練を断ち切ったでしょう。
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (48) スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (49)
 こうして彼は、再び チャーリー・ブラウンの許へと戻ってくるのでした。大喜びの仲間たちは、スヌーピーを担いで肩ぐるま、そのまま街を行進しながら 懐かしのわが家へと帰ります。

13.ライラのテーマ(01:55 )Lila's Theme (Instrumental Reprise )
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (30) スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (31)
 映画のストーリー進行上 順序は前後しますが、この美しいバージョンは すっかり全快して退院を翌日に控えた ライラに 一度は別れを告げて外へ出たスヌーピーが、彼女の涙を見て 思わず病室に駆け戻ってしまう場面に流れていた抒情的な音楽と、まだ旅の途上にあったスヌーピーウッドストックの二人が色彩的な夢の中で 病院を目指して 歩き続けるという 幻想的なシーンの音楽とを 巧みに接続した インストゥルメンタルによる楽曲で、ここでは 残念ながら シェルビー・フリントのヴォーカルは 聴けません。

14.スヌーピーの大冒険(01:35 )Snoopy,Come Home (End Title Reprise )
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (4) スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (6)
 エンディング・タイトルは メイン・テーマの短縮ヴァージョンです。
 映画のストーリーでは、最後の最後で、いかにもスヌーピーらしい 脱力するようなオチがあるのですが ・・・それも ネタバレ自粛です!

■ 今回、シュローダーの活躍は 殆どなし
スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (3) ← 象徴的なカットですね。
 
 今回の 映画「スヌーピーの大冒険 」では、残念ながら シュローダーの登場回数は多いとは言えず、本筋や重要なエピソードに絡む役割も果たしているとは言えません。これに比例して 本稿で話題にすべき クラシック音楽の名曲も 殆ど聴かれませんでした。
 ・・・その代わり、めずらしいアングルで描かれた シュローダーと そのピアノにもたれかかる ルーシーのワン・カットを見つけましたので、ここに披露します。
シュローダーとルーシー (1) スヌーピーの大冒険_Snoopy, Come Home (22)
(左 )通常の風景
(右 )二人を 斜め上から見おろしたような、とてもめずらしいアングル

 基本のアングル ⇒ こちら
 ・・・「それがどうした 」って言われたら、ちょっと困るんですが。
 だって、きっと 判る人にしか わからない と思うからです、スミマセン。

 はい。では また次回、どうか ご期待ください!


 ↓ 清き一票を
にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
blogram投票ボタン
人気ブログランキングへ
Club Scherzo, since 2010.1.30.

関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

トラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)