本記事は、8月 2日「注目記事ジャズ ランキング 」で 第1位となりました。
皆さまのおかげです、これからも 何卒よろしくお願い申し上げます。


クラヲタに捧ぐ、ジャズ=フュージョンの名盤 ランダム辞典
スケルツォ倶楽部、
スティーヴ・ガッド Steve Gadd を讃える。
 
  
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奇跡のタイムカプセル 
「リアル・タイム・ライヴ・イン・コンサート 」 (リチャード・ティー )1992年

Beatles Richard Tee_0002 ティー(左 )とガッド
(左 )アルバム・ジャケット、 (右 )スタッフ時代のティーガッド(Right )

 ご無沙汰してます、“スケルツォ倶楽部発起人のほう )デス。
 「かえるの音楽堂 」の Author かえる様 に教えて頂くまで、わたし 不覚にして この未発表ライヴCDのリリースを、知らなかったのです。「かえる 」様、ありがとうございます。
 予想どおりの素晴らしさ - いえ、随所に 往年のガッドを 髣髴(ほうふつ )とさせる 冴えと閃きのプレイが聴かれる、特に Take the“A”Train の凄まじいアンサンブルなどは 予想を超えた サムシング がありました。
 
 スティーヴ・ガッド Steve Gadd 生涯の「盟友 」だった、今は亡き - ワン・アンド・オンリーの名ピアニスト - リチャード・ティー Richard Tee と、そのサポート・グループである Richard Tee Committee による 1992年10月28日 新宿ルミネインディゴ・ブルー における、寛(くつろ )いだライヴの模様を再現する この一枚は、わたしにとって まさに 奇跡の「タイム・カプセル 」でした!
 ティー、ガッドの他、このリチャード・ティー・コミッティー(って、これもやっぱり踏韻ですよね )の豪華にして お馴染みのメンバー構成は、 ジョン・トロペイ John Tropea(ギター )、ウィル・リー Will Lee(エレクトリック・ベース )、ロニー・キューバー Ronnie Cuber(テナー・サックス )、そしてラルフ・マクドナルド Ralph MacDonald(パーカッション )という、文句なしの名手揃い。
 それでは 当夜 新宿のインディゴ・ブルーで演奏された、いずれも貴重なナンバーを ご一緒に聴いてまいりましょう。当時は最新アルバム(そして 結果的に ティーラスト・アルバムとなってしまった・・・ )「リアル・タイム Real Time 」から、その多くが選曲されています。


1.ザッツ’ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド That’s The Way Of The World
E,W F_That’s The Way Of The World(CBS) REAL TIME
(左 ) 原曲 アース・ウインド & ファイアー の アルバム That’s The Way Of The World (CBS )
(右 ) ティー最後のスタジオ録音「リアル・タイム 」 ビデオアーツ・ミュージック(VACV-1044 )

 アース・ウインド & ファイアー Earth,Wind & Fire のオリジナル( 邦題は 「暗黒への挑戦 」? )として知られるスケール大きな名曲で、1976年 結成したばかりの スタッフ Stuff(リチャード・ティースティーヴ・ガッドの他、エリック・ゲイルコーネル・デュプリーらも参加していたスーパー・グループだったことなどは、今さら言うまでもありませんよね )の最初期の活動を記録する 貴重な「ライヴ・アット・モントルー1976 」において、すでに R.ティーのお気に入りフィーチャリング・ナンバーとして演奏されていたマテリアルでした(エリック・ゲイルの 朴訥な呼吸のギター・ソロも 忘れられません )。
 1992年のオープニング・ナンバーとして選ばれたこの一曲、おそらく当夜のインディゴ・ブルーのインティメイトな雰囲気と リチャード・ティーのピアノが奏でるリラックスしたフィーリングの両方を、一瞬にして嗅ぎ取ったガッドによって決定された、それは スタジオ録音ヴァージョンよりも やや遅めの 実に心地良い絶妙なテンポです。
 
 スティーヴ・ガッドのドラムスは、昔から 心ない評論家によって 散々「機械的 」だと言われ続けてきました。たしかに そのメカニカルなほどの正確さは 彼の美質の一面ではあります。 なので その正確無比なプレイを耳にして そのように思う人がいることも まあ わからないではありませんが、そんな表面だけで音楽を聞き流すような輩(やから )の耳には、ガッドが 全身で発するパルスの振幅の豊かさと さらに大きなスケールで 「スウィングしている 音楽の本質を 聴き取ることなど 決してできないでしょう。 真剣に耳を傾けてみれば、ガッドが 実は 一小節たりとも同じリズム・パターンを繰り返し叩くようなことがないことには、誰しも気づくでしょうからね。

 ティーのピアノの硬質な打鍵、ここではテーマの提示部ばかりでなく 即興パートまでオクターヴ奏法が目立ちますが、本当に彼の個性が楽しめる名演だと思います。
 特筆すべきは、やはり バッキング・メンバーの好サポートが 随所に光っていること。
 めずらしくテナー・サックスでソロを取る ロニー・キューバーは 音数少ないメロディックな良ソロです。イントロから 裏声で器楽的なヴォーカルまで聴かせてくれる、名手ウィル・リースラップ(チョッパー )が ビーン! と抜けてゆく エレクトリック.ベースの音色も 実に気持ち良いです。あー、この瞬間の陶酔が 永遠でありますように!

 ここで いきなりの脱線ですが、
 R.ティーの ラスト・アルバム 「リアル・タイム 」3曲目に収録されている、ピアノのシングルトーンも 実に美しいナンバー「ゴーン・トゥ・スーン Gone Too Soon 」 - って、どこかで聞いたことのある曲だなー と思いながら 今まで ずっと気になって考えていましたが、今回 あらためて聴き直していたら ああ、故マイケル・ジャクソンの アルバム「デンジャラス Dangerous 」 に入っている一曲だった(! )と 急に思い出しました。
 マイケルリチャード・ティー っていう、二人のイメージが にわかに 結びつかなかったせいもありますが、それにしても 偶然 二人とも 「 Gone Too Soon (早逝 ) 」してしまった 偉大な才能でしたね。あらためて・・・合掌です。


2.ザ・ウェイ The Way
 これもアルバム「リアル・タイム 」に収録されていた、ティーのヴォーカルが聴けるチャーミングなナンバー(作詞・作曲は ティーの夫人エレナだそう )です。
 パートやフレーズ毎(ごと )、自由自在にリズムや表情を変えてみせる、ガッドの巧みなスティックさばきが 最高に魅力的な一曲で、おそらく その気持ちよさのあまり・・・ とうとう ティーさん、歌いながら 笑ってしまうのでした。
 ロニー・キューバーの 最初のテナー・サックス・ソロが終わる頃、曲は一度メジャー・キーへと転調するのですが、そこで一瞬弾かれる 経過句的なピアノのフレーズが何とも言えず 素敵なんだな。

3.マイ・ファニー・ヴァレンタイン My Funny Valentine
 リチャード・ロジャーズ=ローレンス・ハートによるミュージカル・ナンバー、1956年マイルス・デイヴィスが マテリアルとして 彼のアルバム「クッキン` 」で 珠玉のプレイを聴かせて以来、モダン・ジャズのスタンダード名曲として知られるようになりましたね。
 インディゴ・ブルーのライヴ録音では ティーのエモーショナルなソロ・ピアノを中心に演奏が進められますが、いわゆる正統的なモダンジャズ・ピアニストの演奏とは一線を画す、ソウル系ミュージシャンとしてのメロディアスな資質を備えた、スケール大きな個性的プレイの魅力に 感嘆せずにはいられません。
 ガッドブラシを用いた繊細なバッキングウィル・リージョン・トロペイによる 抑制の効いた絶妙なサポート・プレイにも、思わず耳が吸い寄せられます。
 前曲「ザ・ウェイ 」同様、これもまた ティーのラスト・アルバムとなった名盤「リアル・タイム 」の収録ナンバーですが、そのスタジオ録音のバック・グラウンドでは かつてハッスル のアレンジャーとして編曲を手がけていた名匠ジーン・オルロフのペンによる 美しいストリングスによるアンサンブルも どうか お聴き落としのなきように。

4.ストローキン Storokin’ 
Strokin(R.Tee) 1978Tappan Zee 
 ボブ・ジェイムスタッパン・ジー・レーベルからリリースされた、リチャード・ティーの記念すべきファースト・アルバムからのタイトル・ナンバーですね。 ストローキン’」に触れた 過去の記事は ⇒ こちら
 オリジナルのスタジオ録音のテンポを聴き慣れているファンは、このライヴ演奏における さらに快速にすっ飛ばすスピードと その勢いには ちょっと驚く - というより、嬉しくなっちゃうことでしょう。ガッドは、最初から 弾(はじ )けるサンバ調のリズムで もう やる気満々です。
 ステージでは お約束となった、ピアノとドラムス中心のティーとガッドによる自由なサンバ攻撃パートに入ると、その勢いは もはや誰にも止められません。ピアノを叩きながらティーが 堪え切れず爆笑しているのがマイクに入っています(・・・いや、あれは ラルフ・マクドナルドの声かな? )。
 そこで炸裂するテナー・サックスのソロは マイケル・ブレッカーでもトム・スコットでもありませんが、贅沢は申しません、ロニー・キューバーで十分結構です。彼と交互にソロを取るティーが もう とにかく絶好調で、ゴキゲンなオクターヴ奏法も飛び出します。 って、あれ? もう終わりなんですか。あー、もっと長くても良かったのになあ・・・。

5.イン・リアル・タイム In Real Time
 5曲目は、ティー夫妻による共作だという これもラスト・アルバム「リアル・タイム 」 に収録されていた、もうひとつのヴォーカル・ナンバー「イン・リアル・タイム In Real Time 」です。とてもムーディな一曲 - ジョン・トロペイの、エリック・ゲイルのプレイを思わせる泣きのギターと、短いけれど 的を射たロニーテナー・サックス・ソロ・・・。

6.愛を贈れば Send One Your Love
Journey Through the Secret Life of Plants Stevie Wonder_Send One Your Love(Motown VIP-2796 )
(左から)オリジナル・アルバム「シークレット・ライフ 」、
スティーヴィ・ワンダー 愛を贈れば Send One Your Love 」シングル国内盤(モータウン VIP-2796 )

 スティーヴィ・ワンダーの原曲は もともとドキュメンタリー映画「The Secret Life Of Plants 」のサウンド・トラックシークレット・ライフ Journey Through the Secret Life of Plants 」として作曲されましたが、その映画自体は 惜しくも未公開でした。けれど ここからシングル発売された「愛を贈れば Send One Your Love 」は、そのクオリティの高さから 大ヒットを記録しています。
 
 これも ティーのラスト・アルバム「リアル・タイム 」に 選ばれて収録されていたナンバーでした。その冒頭 出だしから ガッド以外にはあり得ない 格好良いアウフタクトの入りが とにかく素晴らしいです。スティーヴィのオリジナルなヴォーカル・ラインを、実に美しく ピアノの高音がなぞってゆきます。この曲もロニー・キューバーの雄弁なサックスと 交替でソロを取るティーの乗りも素晴らしい、そして まとまりも良い名演と思います。

7.チェンジズ Changes
158[1]
 この弾き語りヴォーカル・ナンバーは、前のアルバム「インサイド・ユー Inside You 」に収録されていた、リチャード・ティー自身の作曲による美しいバラードです。彼のフェンダー ローズ・エレクトリック・ピアノによるプレイが ライヴで聴けることが注目の 一曲となります。
 ガッドは、ここでもお得意のブラシ・ワークを中心に、しかし ほぼリズム・キープに徹しています。ウィル・リーエレクトリック・ベースが、曲の細部をとても大事にする、趣味の良い仕事をしているのが聴きとれます。

8.イッツ`タイム It’s Time
 当夜の演奏曲中 これだけ少し毛色の変わった、リズム中心のナンバーで、リチャード・ティー・コミッティーメンバー紹介が中心となる楽曲です。ここでティーとともにメインヴォーカルを取る、ベーシスト、ウィル・リーが 持ち込んだものではと思われます。
 もはや当時であれば さすがに古くなったスタイル( かつて佐野元春が「ヴィジターズ(1984年 ) 」でコピーした頃の・・・と言えば 判りやすいでしょうか )に属するN.Y.ラップ、ヒップ・ホップの初期のスタイルを思わせる、しかし楽しい楽曲です。ロニー・キューバーのサックス、ウィル・リーのベース、ラルフ・マクドナルドのパーカッションと、順々にいずれも長尺のソロが披露されますが、その後で、遂に ガッドドラムス・ソロが聴けます! そこでは ラルフ・マクドナルドが カウベルを叩きながら一生懸命リズム・キープをしてくれていますが、ガッドにとっては 余計なお世話だと思います。本当は ガッドのソロ純粋なソロでこそ聴きたいもの。2分30秒という長めのソロを叩き終えると、ティーガッドの刻むリズムに乗せながら、公演に関わった興行元や関係者への謝辞を含む 丁寧な挨拶の言葉を ラップに包んで贈ります。
 そのあとで再びロニー・キューバーのサックス・ソロ、ラルフ・マクドナルドパーカッション・ソロが繰り返された後、再度ガッドも 技巧的ながら短いソロを聴かせた後、全員の20分近くに及ぶ 長尺な演奏を終えています。

9.A列車で行こう Take The “A” Train
スティーヴ・ガッド と リチャード・ティー
 いやー、待ってましたの、これは 本当に名演ですね。
 この曲は、ティー 最初のリーダー作「ストローキン’ 」と、奇しくもラスト・アルバムとなった「リアル・タイム 」の 両方のアルバムで取り上げられることになったナンバー。いずれも(そして さらに このライヴ盤でも聴ける )われらが スティーヴ・ガッドとの 期待のデュオ演奏です。
 お茶目なリチャード・ティーの「イキマッセ~ 」という日本語が聞こえたかと思うと 覇気も高らかに 無伴奏ピアノ・ソロでスタート、ピアノがリズミックな駆動を始めると 絶妙のタイミングでガッドのドラムスが 激しい拍動(パルス )を打ち始めます。そのコンビネーションの素晴らしさ、後半部に置かれたカデンツァの見事さ、彼ら二人のキャラクターが作り上げる時間の濃密さは もはや他人によって代替することは不可能なパフォーマンスでした。
 
 デューク・エリントン楽団のテーマ曲として知られる この曲「Take The “A” Train(A列車で行こう ) 」は、楽団の作曲 & 編曲 担当だったビリー・ストレイホーン )による作品です。ちなみに この有名な旋律の特徴ある(最初の二小節の )和声の動き C Maj7 → D7(on F# ) は、やはり汽車が主人公を務めるイギリスの人形劇「きかんしゃトーマス 」のテーマ音楽のコード進行と共通するものがあります。
A列車で行こう 」の原曲は、こちらのエリントン・コンピレーション盤が入手しやすいのではないでしょうか。
Duke Ellington (Ken Burns Jazz-Collection)
Ken Burns JAZZ Collection(モダン・ジャズの巨人たち ) ~ デューク・エリントン “Duke Ellington”
収録曲:East St. Louis Toodle-Oo、Black and Tan Fantasy、Take It Easy、The Mooche、Rockin' In Rhythm、Mood Indigo、Creole Rhapsody、It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing )、Love Call、Sophisticated Lady、Solitude、Caravan、Back Room Romp、Ko-Ko、Don't Get Around Much Anymore、Cotton Tail、Take The 'A' Train、Satin Doll、Come Sunday、Black Beauty
音 盤:Ken Burns JAZZ Collection Columbia(CK61444 )


10.Bridge Over Troubled Water(明日に架ける橋 )
1981年_ S.  G. セントラルパーク・コンサート_(CBS)
 アルバムの最後、ボーナス・トラックのように付された一曲は、ポール・サイモン作曲の「明日に架ける橋 」でしたが、ティー=ガッドがリズム・セクションを務めていると知らされた以上、どうしても連想してしまうのは、あの有名なニューヨーク、セントラルパークでのライヴをはじめとする サイモン&ガーファンクルのバッキング・サポートでありましょう。
 ここでは スペシャル・ゲストとして登場した伊藤君子さんのヴォーカルが聴けます。当然ながら、彼女の声域に合わせ、曲のキーはF(ヘ長調 )へと移調されています。彼女の歌唱自体は もちろん素晴らしいものですが、少し残念・・・と、申しますのも S & Gの「明日に架ける橋 」のオリジナル・キーは E♭(変ホ長調 )だったからで、リチャード・ティーによるピアノの力強いイントロダクションのフレーズを聴こうとすれば、Fメジャー・キーでは少々収まりが良くないと感じてしまうからです。ティーが弾くゴスペル調のピアノは、この場合E♭でこそ炸裂するから・・・と申すのは、勝手な わたしの主観的意見ですが。

 「かえるの音楽堂 」のAuthorかえる様「こういった幻のライブの記録が今こうして聴けるのは本当に素晴らしいことです。来日回数の多いリチャードですから まだまだ埋もれている名演の記録が、どこかにきっとあるはずです。またそういった記録が発表されることを願っています。 」とおっしゃってます。出典は ⇒ こちら  “スケルツォ倶楽部” 発起人(妻 )も このご意見には 全面的に 同意です! 熱意ある関係者の皆さまの 貴重な音源発掘へのご努力に 心より期待しております。

ザッツ’ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド って、どういう意味?
Maurice White Earth, Wind  Fire
モーリス・ホワイト(左 )と、彼の築き上げた アース・ウインド & ファイアー (右 ) 
 最後に、この素晴らしいライヴ・アルバム 一曲目のオープニング・ナンバー「ザッツ’ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド That’s The Way Of The World 」原曲の歌詞について、少し考えてみたいと思ってます。
 「ザッツ’ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド That’s The Way Of The World 」(それこそが世の習い ) ・・・本来 これが どんなメッセージを込めた歌だったのかについて調べることで、リチャード・ティーが 何故 これをスタッフ時代から繰り返し演奏してきたのか、彼のフェイヴァリット・ナンバーであったのか、その理由を 少しでも推測することにもなると思うからです。

 「ザッツ’ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド That’s The Way Of The World 」は、前述のとおり、アース・ウインド & ファイアー モーリス・ホワイト、チャールズ・ステップニー、ヴァーデイン・ホワイト による共作 )の1975年 - それは、まさにゴードン・エドワーズスタッフを結成した年 - のヒット曲でした。
わが国では なぜか「暗黒への挑戦 」などという邦題が付けられています。それは 一体 何故でしょうか?

 原題のタイトル「The Way Of The World世の習い ) 」とは、その歌詞をよく読んでみると 意外なことに「世の習い 」が 本質的に ネガティヴ(否定的 )な意味で使われていることに 気づきます。

‘Cause The World Seems Cold
Stay Young At Heart ‘Cause You’re Never Old At Heart
   この世は冷たいものだから
   心の中で 若さを失わないで
   心は 決してくすんでしまったりはしないのだから


That’s The Way Of The World
Plant Your Flower And You Grow A Pearl
A Child Is Born With A Heart Of Gold
The Way Of The World Makes His Heart Grow Cold
   この世界は そんなものだよ
   花を植え 真珠を育てるんだ
   子供が生まれてくる 綺麗な心で
   こんな世の中が 子供の心を冷たくさせる
 

 ・・・何が言いたいのか 判りにくい歌詞ですが、わたしの勝手な解釈によれば 「もし世界を その流れるままに委ねてしまえば 世の秩序は 乱れる一方である 」と、詩人は まず この世の性悪説を 危惧しているように思えます。
 だからこそ、心ある人々は 「 川の流れに逆らって泳いでゆくような 必死の努力を続けてゆかない限り、世の中は 決して良くなることはない 」ということを知っている -  それこそが まさに「花を植え、真珠を育て、子どもたちの心に愛を注ぎ、そういう努力する人々の熱意があって、初めて 世界は その秩序や平和を 保つことができるのだ 」  ・・・と、そういうことを 言いたかった歌詞なのではないか、いえ そうあってほしいと、わたしは 解釈したくなります。
 そして、リチャード・ティーが、彼の お気に入りのナンバーとして この楽曲を しばしばライヴ活動で 取り上げていた 動機も、その歌詞のメッセージと 全く関係なかったということは あり得ないのではないか - とも思うのです。

 モーリス・ホワイト自身がかつてドラマーとして共演していたラムゼイ・ルイススペシャルゲスト・ピアニストとして アース・ウインド & ファイアーのステージに迎えたことでも知られる1975年のコンサート実況盤「アライヴ・イン´75 (ソニー SICP-8041 ) 」を聴くと、その最高に盛り上がったラスト・ナンバーにおいて リード・ヴォーカルを務めるホワイトは まさに この「ザッツ’ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド 」を取り上げ、熱狂する聴衆をまるで会堂に集まった信者に見立て あたかも 「この世界を あるべき姿に戻そうではないか山本安見氏による良訳 )」と、彼らに語りかける 牧師のように、さらに この歌に即興的な歌詞を加えているのです。
「この特別な曲には 昔ながらの教会のグルーヴ(乗り )がある 」
「みんな 立ち上がって、この会場を 教会だと思ってくれ 」
「ここは 昔 みんなが祈りを捧げた教会の 最前列、楽器がなかった頃には 魂と身体だけで表現していたものだ 」
「 (その頃のように )手を叩いてほしい、そのスピリットを見せてくれ 」
  ( 対訳:山本安見 )

Earth, Wind  Fire Alive’75
アース・ウインド & ファイアー 実況録音
「ザッツ’ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド、アライヴ・イン´75 (ソニー SICP-8041 )の表紙


次回に続く・・・


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コメント

かえるさま!

うわー、かえるさまから 良コメント 頂いちゃいました。ありがとうございますっ
同じ趣味の音楽が発するヴァイブレーションで 互いに共感できることって ホント 素晴らしいですよね。理解し合えてるなーって感じがしちゃいます。
そして、今回 また かえるさまから 新しい情報を 頂きましたよ。
スティーヴ・ガッド・トリオによる「ABBA JAZZ 」ですって・・・うひゃ 大変、来週リリースじゃない?  ↓ 詳しい事前情報は こちら! 
http://frog- music.paslog.jp/article/2520981.html 
宿題にさせてくださいね、わたしも聴いておきます、ふんすっ!

URL | “スケルツォ倶楽部” 発起人 ID:-

素晴らしいレビューです!

スケルツォ倶楽部(奥様)こんにちは。
レビューをお待ちしていました。また私のブログぬ触れていただき光栄です。素晴らしいレビューを楽しく拝見しました。まったく同感です。彼らのものすごく素晴らしい演奏に改めて感動しましたね。マイファニー・バレンタインにしろ、That’s The Way Of The Worldにしろ多くのカバーがあり、それぞれ名演奏で甲乙つけられませんが、リチャード・ティーのワン・アンド・オンリーな世界はファンにとって、永遠の曲ですね。スティーブ・ガッドは機械的でもなんでももなく、魂のこもった熱い演奏だと思います。確かに正確にリズムをキープしていることからでしょうけど、実際にライブを見れば分かりますよね。私もマイ・フェイバリット・ドラマーはガッド様です。そういえばもうすぐ、「アバ・ジャズ」が発売ですね。これも楽しみです。

URL | かえる ID:-

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