本記事は 12月22日「 注目記事ランキング クラシック音楽鑑賞 」で 第1位 となりました。
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スケルツォ倶楽部 Club Scherzo 
「ベートーヴェン家の聖夜 」

~ 父と子の会話 ~
息子「お父さん、ぼく そろそろ結婚しようと思っているんですが - 」
 「反対だ。うすうす聞いているぞ、その相手の女のことは。身分も低く、その上 バツいち だそうじゃないか 」
息子「働き者で 性格も悪くありません。前の夫とは死別ですから、彼女の責任ではないのです 」
 「ダメだ。その相手の女の父親は ギャンブル好きで借金もあるというではないか。いかん いかん、わしは お前のためを思って 忠告しているんだぞ 」
息子「そんな・・・それは 悪意のある誤報ですよ。でも ぼくは お父さんには逆らえません。残念ですが、それなら 彼女とのことは あきらめます 」
 「え、何だ そんな簡単にあきらめるなんて・・・本当にいいのか? それだけの相手だったということなのかな 」

~ その一週間後 ~
息子 「お父さん、お呼びですか 」
  「ヨハン、息子よ。いささか気になったので あれから 信用のおける機関に調べてもらった 」
息子 「え、もしや マリア・マグダレーナ のことですか 」
  「そうだ、わしは思い違いをしていたようだ。マリアさんは 賢く気立ても良い女性のようではないか。むしろ いささか頼りない 飲兵衛のお前を支えてくれる しっかり女房 になってくれるかもしれないぞ。そして 彼女の実家の父親は 可哀そうなことに すでに亡くなっているが、とても腕の良い宮廷料理長だったそうだ。借金などもなく、母親の身元も確かだった 」
息子 「では お父さん、ぼくたちの結婚をお許しいただけるんですか 」
  「うむ、むしろ お前の将来のためには勧めたい相手だ。そして これを機会に酒の量を減らすんだな、ヨハン。最近 いささか呑み過ぎだぞ、宮廷歌手の喉が 酒で焼けているようでは 洒落にならぬからな 」
息子 「うわー、ありがとうございます、お父さん! 」

~ その翌年、1770年 12月16日 の夕べ ~
息子 「さあさあ、こちらです。ほーら、お父さんの初孫ですよ。ぜひ名付け親になってやってください 」
  「うむ、わしに似て とても可愛い男の子だな。お前に似なくて良かった 」
息子 「それ あんまりじゃないですか 」
  「そうだ、この子には わしの名まえを譲ってやることにしようかな 」
息子 「ありがとうございます、高名な宮廷楽長であるお父さんにあやかって、この子が楽才も授かれば 猶(なお )良いと思います」
  「おお 神よ、名ばかりでなく 私の寿命を削っても この可愛い孫には 将来 音楽で食べていけるだけの才能と 不屈の魂とが 豊かに与えられますように - 」
息子 「マリア、よく産んでくれたね、こんなに元気な赤ちゃんを 」
  「まったく そのとおりだ。私からも深く礼を言わせてもらいたい、マリアさん。それに 貴女が来てくださらなかったら、このヨハンの奴め、アルコール中毒になっていたかもしれない(笑 ) 」
息子 「お父さん、ぼく 大好きなお酒を もう きっぱりと止めてみせますよ。そして宮廷歌手として 音楽の勉強も 初心に帰って、一からやり直すことを誓います 」
  「よくぞ言った、ヨハンよ。その言葉とともに 今宵のこの日 - 12月16日 - を 決して忘れるんじゃないぞ 」
息子 「はい、お父さん! 」
  「お前も人の親となったのだから。ほら 見てご覧、授かったこの可愛い笑顔を。まさに この子こそが ベートーヴェン家を継ぐことになる、お前の長男だ 」
二人 (声を揃え ) 「誕生日おめでとう、小さなルートヴィヒ! 」

 祖父ルートヴィヒの肖像 父ヨハンの肖像
(写真左 )「父 」 (ベートーヴェンの祖父、ルートヴィヒ 1712 - 1773 )
(写真右 )「息子」 (ベートーヴェンの父、ヨハン 1740 - 1792 )


今宵 聴く音盤 
 そうなんです、今宵12月16日は ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの誕生日。
 もし彼の母マリア・マグダレーナの前夫が亡くなっていなかったとしたら、彼女が もしヨハン・ベートーヴェンとあのタイミングで出会っていなかったら、そして 祖父ルートヴィヒが 二人の結婚に最後まで賛成しなかったとしたら・・・ 楽聖ベートーヴェンは存在しなかったかもしれないのです。そう思うと本当に 人の誕生とは、常に奇跡的な偶然が重なった末であることを思います。
 その生誕記念日は「12月17日 」説も根強くあり、ですから 私は クリスマスのように ひとまず「16日 」をバースデー・イヴとしてお祝いし、翌「17日 」は 残された数々の名曲を聴きながら 楽聖に深く想いを馳せる日にしよう - などと 勝手に決めてみました ・・・ って 今年からですが(笑 )。
 ベートーヴェン第9 ワルター盤(ソニー・クラシカル SICC-1069 ) Beethoven at the age of 49( Josef Karl Stieler)
ベートーヴェン 交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱 」
第1楽章 ~ 第3楽章
  ブルーノ・ワルター 指揮 / コロンビア交響楽団、
  録音:1959年1月19~31日 カリフォルニア、アメリカン・リージュン・ホール
第4楽章のみ
  ブルーノ・ワルター 指揮 /ニューヨーク・フィルハーモニック
  エミリア・クンダリ(ソプラノ )、ネル・ランキン(メゾ・ソプラノ )
  アルバート・ダ・コスタ(テノール )、ウィリアム・ウィルダーマン(バリトン )
  ウェストミンスター合唱団(合唱指揮:ウォーレン・マーティン)
  録音:1959年4月6、15日 ニューヨーク
CBSコロンビア(ソニー・クラシカル SICC-1069 )

 深々と冷える今宵は 美しい第3楽章を聴きましょうね。
 久しぶりにブルーノ・ワルターのディスクを。これをL.P.盤で 繰り返し真剣に聴いていたのは、私の中学生時代でした。 ・・・本当に懐かしい。
 そのワルター指揮による59年に録音されたステレオ盤は、なんらかの事情によって 終楽章だけがコロンビア交響楽団とは異なるオーケストラ(推定 ニューヨーク・フィルを主体とする演奏団体 )、異なる日時と場所 で録音されているため 最初の3つの楽章とは明らかに その響きも雰囲気も違ってしまい、それゆえ 昔から賛否も分かれる演奏ですが、少なくとも ことアダージョ・モルト・エ・カンタービレ第3楽章に限っては、誰しもが その素晴らしさに絶賛の声を上げることを禁じ得ないでしょう。心のこもった、格調高い名演です。
 やがて 80年代以降は 主流( ? )となった いわゆる「オーセンティックな 」古楽演奏 - クリストファー・ホグウッドニコラウス・アーノンクールブリュッヘンガーディナー ら  - の 怒涛の世界的普及によって、昨今ではすっかり影をひそめてしまったかにさえ思える、これら旧き良き時代の絶妙なテンポの緩徐楽章を、ドライな古楽に渇いた耳を癒やすため 全身に浸すごとく どっぷりと聴いてみたくなることって、皆さん ありませんか。
 ああ、特に 雄弁に物言う弦セクションの表情豊かさに じーっと目を閉じて耳を傾けていれば、その切なさに胸が詰まるほど。

 誕生日おめでとう ベートーヴェン! CLICK「スヌーピーの音楽 」 へ飛ぶ
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